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第二十六章
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( サイモン )
全員が見守る中、涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃ、更にトゲが刺さっている首からは血が絶えずダラダラと垂れ流しのダダンは、そのままガターーンッ!!と大きな音を立てて首吊り状態になった。
ちなみに首のトゲは女王コレットが命じて作ったモノで、” 罪人にはより多くの苦痛を ” ーーを目的に作られたモノだ。
案の定ダダンは首に刺さったトゲによる痛みと、首が締まる苦しさに足をバタバタさせて随分と藻掻き苦しんでいた様だが、やがてその動きも止まりシーーン・・と静寂が訪れる。
愛人たちはあからさまに喜び、ダダン達に恨みを持った者達は歓声まで上げていたのだがーーーー・・・
ーーーーバタ・・
バタバタバタバターーー!!!!
完全に止まっていたダダンの足が突然また激しく動き出し、ダダンは真っ赤に充血した目を目いっぱいに開け民衆たちへ視線を向けた。
「 ーーーーーあ・・・がっ・・がっ・・。 」
苦しそうに喘ぐ声が口から漏れ出し、痙攣しながら民衆へ必死に手を伸ばそうとしている様だ。
それを見た全員が恐怖し固まってしまったが、女王コレットは一切動揺する事なく「 ほぅ・・? 」と興味深そうに息を吐く。
「 < 黒死ユリ >の胞子に寄生されているな。
それは芽吹くまで寄生した宿主の身体を生かす別名《 ゾンビユリ 》とも言われる花で、魔素が濃い領域にしか生えていないはずなのだが・・
一体どこで寄生されたのやら。
ーーーフフッ、なるほどな。これは面白い。 」
< 黒死ユリ >
魔素の濃い領域に生えているユリ科の花が魔素を吸い込んで性質を変えた花。
美しい黒いユリの様な花を咲かし見るものを喜ばせるが、その後に胞子を噴出する際近くにいる生物の傷口から入り込み寄生し、体内で成長する。
体中に根を張り成長していき宿主の身体を食い尽くすが、新鮮な状態の餌を食べるためか成長し切るまで宿主を生かす事から別名《 ゾンビユリ 》ともいわれている。
その時の痛みは想像を絶する痛みで、根を張る前に治療薬を飲まなければ助からない。
コレット様は心底楽しそうに笑うと、苦しみ藻掻くダダンを指差し言った。
「 人の恨み程恐ろしいモノはないな。これもイシュル神の思し召しであろう。
よし、このままこの者は朝まで放置せよ。
そして朝、完全に息絶えたら・・跡形もなく焼き払え。 」
「「「 ーーーはっ! 」」」
コレット様は周りにいる兵達に命令を下すと、そのままクスクスと楽しそうに笑いながらその場を去っていった。
見物していた民衆は気が済むまでダダンの苦しむ様を見ては飽きて帰っていき、愛人達も好きなだけその様を見て晴れ晴れとした顔で去っていく。
そして母とリリアと僕の三人も、ダダンの口から出てくる言葉が ” 助けて ” から ” 殺してくれ ” に変わったのを見届けてから、颯爽とその場を去ったのだった。
次の日、ダダン・・ではなくもはや黒いユリの花の固まりになってしまった物体は、その場で焼き払われ、残された愛人や子供達、そして被害にあってきた者達へダダンの財産は等しく分配され、その全員が自身の帰るべき場所へと帰っていった。
その後平和を取り戻した我が家では、母は相変わらずマイペースに仕事しては趣味の家庭菜園をしていたし、リリアは前以上に勉強漬けの日々、僕は僕で様々なゴシップを見つけてはチョイチョイと首を突っ込んでは色んな技術を学ぶ日々を過ごす。
そしてとうとう準成人である12歳を迎え、僕とリリアの資質が判明すると、母はライトノア学院の受験申込み表を持ってきて僕たちの前にババンッ!と突き出した。
「 二人共中級資質おめでと~!
せっかくだし進学しなよ。コレ、ナンバーワン中学院のライトノア学院の受験申し込み!
やっぱりこれからは異文化コミュニケーションは必須だと思うんだよね~。 」
腕を組み、うんうんと頷く母に僕とリリアはお互い顔を合わせ渋顔に。
確かにせっかくなら中学院には行こうかと思っていたが、家から通える場所にしようと思っていたので、それを母に伝えると、母はチッチッチッ~と指を振って見せてきた。
「 ちょっとちょっと~?僕の子供のくせに志低くな~い??
二人共実力はあるんだから、常に上を目指さなきゃ。
目指せNO・1~!! 」
ビシッ!と天井に向かって一本指を立てる母からプイッと同時に視線を逸らすと、僕は爪磨き、リリアは読書を再開する。
「 そういうの面倒くさいからパス~。 」
「 ・・別にどこでも勉強はできるし。 」
本音は母から離れたくないからだったが、それは言わずに素っ気なく返事を返すと、母は僕たちの頭を同時にワシっと掴んで、無理やり視線を合わせてきた。
全員が見守る中、涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃ、更にトゲが刺さっている首からは血が絶えずダラダラと垂れ流しのダダンは、そのままガターーンッ!!と大きな音を立てて首吊り状態になった。
ちなみに首のトゲは女王コレットが命じて作ったモノで、” 罪人にはより多くの苦痛を ” ーーを目的に作られたモノだ。
案の定ダダンは首に刺さったトゲによる痛みと、首が締まる苦しさに足をバタバタさせて随分と藻掻き苦しんでいた様だが、やがてその動きも止まりシーーン・・と静寂が訪れる。
愛人たちはあからさまに喜び、ダダン達に恨みを持った者達は歓声まで上げていたのだがーーーー・・・
ーーーーバタ・・
バタバタバタバターーー!!!!
完全に止まっていたダダンの足が突然また激しく動き出し、ダダンは真っ赤に充血した目を目いっぱいに開け民衆たちへ視線を向けた。
「 ーーーーーあ・・・がっ・・がっ・・。 」
苦しそうに喘ぐ声が口から漏れ出し、痙攣しながら民衆へ必死に手を伸ばそうとしている様だ。
それを見た全員が恐怖し固まってしまったが、女王コレットは一切動揺する事なく「 ほぅ・・? 」と興味深そうに息を吐く。
「 < 黒死ユリ >の胞子に寄生されているな。
それは芽吹くまで寄生した宿主の身体を生かす別名《 ゾンビユリ 》とも言われる花で、魔素が濃い領域にしか生えていないはずなのだが・・
一体どこで寄生されたのやら。
ーーーフフッ、なるほどな。これは面白い。 」
< 黒死ユリ >
魔素の濃い領域に生えているユリ科の花が魔素を吸い込んで性質を変えた花。
美しい黒いユリの様な花を咲かし見るものを喜ばせるが、その後に胞子を噴出する際近くにいる生物の傷口から入り込み寄生し、体内で成長する。
体中に根を張り成長していき宿主の身体を食い尽くすが、新鮮な状態の餌を食べるためか成長し切るまで宿主を生かす事から別名《 ゾンビユリ 》ともいわれている。
その時の痛みは想像を絶する痛みで、根を張る前に治療薬を飲まなければ助からない。
コレット様は心底楽しそうに笑うと、苦しみ藻掻くダダンを指差し言った。
「 人の恨み程恐ろしいモノはないな。これもイシュル神の思し召しであろう。
よし、このままこの者は朝まで放置せよ。
そして朝、完全に息絶えたら・・跡形もなく焼き払え。 」
「「「 ーーーはっ! 」」」
コレット様は周りにいる兵達に命令を下すと、そのままクスクスと楽しそうに笑いながらその場を去っていった。
見物していた民衆は気が済むまでダダンの苦しむ様を見ては飽きて帰っていき、愛人達も好きなだけその様を見て晴れ晴れとした顔で去っていく。
そして母とリリアと僕の三人も、ダダンの口から出てくる言葉が ” 助けて ” から ” 殺してくれ ” に変わったのを見届けてから、颯爽とその場を去ったのだった。
次の日、ダダン・・ではなくもはや黒いユリの花の固まりになってしまった物体は、その場で焼き払われ、残された愛人や子供達、そして被害にあってきた者達へダダンの財産は等しく分配され、その全員が自身の帰るべき場所へと帰っていった。
その後平和を取り戻した我が家では、母は相変わらずマイペースに仕事しては趣味の家庭菜園をしていたし、リリアは前以上に勉強漬けの日々、僕は僕で様々なゴシップを見つけてはチョイチョイと首を突っ込んでは色んな技術を学ぶ日々を過ごす。
そしてとうとう準成人である12歳を迎え、僕とリリアの資質が判明すると、母はライトノア学院の受験申込み表を持ってきて僕たちの前にババンッ!と突き出した。
「 二人共中級資質おめでと~!
せっかくだし進学しなよ。コレ、ナンバーワン中学院のライトノア学院の受験申し込み!
やっぱりこれからは異文化コミュニケーションは必須だと思うんだよね~。 」
腕を組み、うんうんと頷く母に僕とリリアはお互い顔を合わせ渋顔に。
確かにせっかくなら中学院には行こうかと思っていたが、家から通える場所にしようと思っていたので、それを母に伝えると、母はチッチッチッ~と指を振って見せてきた。
「 ちょっとちょっと~?僕の子供のくせに志低くな~い??
二人共実力はあるんだから、常に上を目指さなきゃ。
目指せNO・1~!! 」
ビシッ!と天井に向かって一本指を立てる母からプイッと同時に視線を逸らすと、僕は爪磨き、リリアは読書を再開する。
「 そういうの面倒くさいからパス~。 」
「 ・・別にどこでも勉強はできるし。 」
本音は母から離れたくないからだったが、それは言わずに素っ気なく返事を返すと、母は僕たちの頭を同時にワシっと掴んで、無理やり視線を合わせてきた。
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