上 下
870 / 1,315
第二十六章

855 モルト、ニール始動

しおりを挟む
( ニール )

「 専属聖兵士、かつ伯爵家の者としてソフィア様と公爵家のリーフ様を置いておめおめ逃げる事などできぬ! 」


「 はんっ!相手にとって不服はねぇ!

こんな楽しいお祭り、獣人としては見逃せねぇよ! 」


「 全員ぶっ倒す……楽しみ……。 」


「 玉の輿に乗るにはぁ~時に大きな賭けにも乗らないとね♡ 」


「 兄さん……。

……一人生き残った所で、その生には何の価値もありませんから。

なら全員でハッピーエンド、目指してみるしかないと思っています。 」


アゼリアさん、レイド、メルちゃん、そしてサイモンとリリアさんも次々と自身の強い決意を語ると、カルパスさんは困った様に微笑んだ後、俺達に向かって深々と頭を下げた。


「 ならば、どうか君たちの力を貸して頂きたい。

本来君たちに頼むべき事ではないのだが、今この場で高い実力を持っていて、更に自由に動けるのは君たちだけなのです。

今、街に置いてある ” 聖浄結石 ” 

あれはエドワード様が置いたモノで間違いありません。


いざとなれば王の許可なしに強制発動するつもりでしょう。

彼らも計画がだいぶ遅れている様で焦っているみたいですから。 」


思った通り、街にある ” 聖浄結石 ” はエドワード様が用意したもので間違いないらしい。

なら、やはり俺達がすべき事は一つ。


「 じゃあ、やっぱりそれを俺達が手分けにて壊せばいいって事っすね!

それを守っている敵の情報を教えて欲しいっす! 」


グッ!と拳を握ってそう言うと、カルパスさんは頭を上げゆっくりと俺達の顔を一人一人見回すと、” 聖浄結石 ” を守っている奴らについての情報を事細やかに説明しだした。



そこまで思い出した後、改めて目の前で激昂している男をに見つけた。


元は王都の冒険者ギルドに所属していたCクラス冒険者< ゲイル >

パーティー名【 絶炎のスネーク 】

資質は【 拳圧師 】

拳から放たれる攻撃は非常に強力で、更にスピード強化系のスキル< 跳躍陣 >などを駆使して突っ込んでくる、いわゆるイノシシタイプの高火力型の前衛だ。


「 モルト、準備は良いっすか? 」


「 言われるまでもない。行くぞ。 」


モルトは魔力を纏った手で地面にソッ……と手を置いた。




< 造花師の資質 > ( ユニーク固有スキル )


< フラワー・ユートピア >

自身を中心としたフィールド内の土を魔力を含む土壌に変える事ができる変異型スキル。

それによりそのフィールド内の花や作物、土属性の魔法、スキルなど土の恩恵を受ける能力は飛躍的にレベルがUPする。

フィールドの広さは魔力の、土の品質は魔力操作、土に触れた経験値、体力によって決定する。

(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作、土に触れた経験値を持つこと

一定種類以上の花又は作物を育てた経験があること、かつ土属性の魔法を一定時間以上使い続ける事



モルトの発動したスキルにより広場一帯の地面に魔力が宿ると、それに気づいたゲイルはハッと鼻で笑って立ち上がった。


「 なんだぁ~?今から土遊びでもする気かよ?

これ、農業系のスキルじゃねぇか。

お前ら底辺の生産系資質が、俺みてぇなゴリゴリの戦闘職に敵うわけねぇだろうが、舐めやがって。

いますぐぶっ殺してやんよ!! 」


ゲイルはスキル< 跳躍陣 >を出現させ、足元に現れた小さな魔法陣をダンッ!と踏みしめると、ものすごいスピードでこちらに向かって飛んできた────が……

俺の方がスキル発動が早い!


「 舐めてんのはそっちっすよ!生産職を舐めるな!! 」


ゲイルの拳が俺に届く前に、地面から巨大な何かが飛び出してきてゲイルの拳を軽々と受け止めた。



< 獣畜師の資質 > ( ユニーク固有スキル )

< アニマル・ゴーレム >

動物やモンスターなど生物をモチーフにしたゴーレムを作製する事ができる。

思い入れが強ければ強いほど品質は向上する。

さらにその動物やモンスターの能力を完全コピーかつ、それに対しての想いの強さによってパワーUP&新たな能力を取得する事もできる。

進化型スキル


(発現条件) 

一定以上魔力値、魔力操作を持つこと

一定以上の生物との触れ合いの経験値、それに伴った感情値、生物に関する知識、全感情ゲージ値を持つこと

一定回数以上、土属性魔法を使用した戦闘を経験すること



地面から飛び出してきたのは巨大な盾の様なモノが前面についている< 大盾・エレファント >のゴーレムだ。


「 ぐあぁぁぁぁ────っ!!! 」


その盾に拳を打ってしまったゲイルは、そのあまりの硬さによって拳に大ダメージを受け、大きな悲鳴を上げながら後ろに下がる。

 

< 大盾エレファント >

全長10m程の象型Fランクモンスター。

顔を覆うように前面についている巨大なイボが大きな盾に見える事からそう名付けられた。

性格は温厚で大人しく人にとっては無害だが、防御力が恐ろしく強く、特に正面からの攻撃はAランクモンスターからの攻撃も防ぐと言われている。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど?

バナナ男さん
BL
主人公の現在暮らす世界は化け物に蹂躙された地獄の様な世界であった。 嘘か誠かむかしむかしのお話、世界中を黒い雲が覆い赤い雨が降って生物を化け物に変えたのだとか。 そんな世界で兵士として暮らす大樹は突然見知らぬ場所に召喚され「 世界を救って下さい、聖女様 」と言われるが、俺男〜しかも兵士なんだけど?? 異世界の王子様( 最初結構なクズ、後に溺愛、執着 )✕ 強化された平凡兵士( ノンケ、チート ) 途中少々無理やり的な表現ありなので注意して下さいませm(。≧Д≦。)m 名前はどうか気にしないで下さい・・

勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

【 完結 】お嫁取りに行ったのにキラキラ幼馴染にお嫁に取られちゃった俺のお話

バナナ男さん
BL
剣や魔法、モンスターが存在する《 女神様の箱庭 》と呼ばれる世界の中、主人公の< チリル >は、最弱と呼べる男だった。  そんな力なき者には厳しいこの世界では【 嫁取り 】という儀式がある。 そこで男たちはお嫁さんを貰う事ができるのだが……その儀式は非常に過酷なモノ。死人だって出ることもある。 しかし、どうしてもお嫁が欲しいチリルは参加を決めるが、同時にキラキラ幼馴染も参加して……?    完全無欠の美形幼馴染 ✕ 最弱主人公   世界観が独特で、男性にかなり厳しい世界、一夫多妻、卵で人類が産まれるなどなどのぶっ飛び設定がありますのでご注意してくださいm(__)m

奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。

拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ 親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。 え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか ※独自の世界線

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...