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第二十五章

844 最終・・

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( リーフ )

あげ玉と黒みつは俺の言葉を聞いてコクリと頷き、俺達は同時にその部分を睨みつけると、それに気づいた様に、黒い蝶は大きく羽ばたき頭上に巨大な黒い玉をいくつも打ち上げた。

「 ?なんで空に……?? 」

俺達ではなく空に打たれた攻撃にハテナを飛ばしていると、その上空の黒い玉はそのまま一斉に弾け、何と空から大量のモンスターが雨の様に降ってきた!


「 モンスター増殖のスキル!こんな形で使う事もできるのか!! 」


次から次へと落ちてくるモンスター達をあげ玉はひらりひらりと避けてはふっ飛ばし、更に黒みつも広範囲スキルを使いどんどん吹っ飛ばす。

中にはAランクモンスターも多数いるというのにあまりにもあっさり倒すものだから ” ポッポ鳥とスライムが最弱は嘘だぞ~? ” と心の中でうちの子自慢をしておいた。


そしてそんな中、突然レオンが上空を見つめフッと消え、またフッと戻ってくる。

レオンも負けじと倒してきたのかな~?

そう思ってニコッと笑いかけると、なんとその腕の中一杯に< エメラルド・ゴースト・カブト >がいた。



< エメラルド・ゴースト・カブト >

体長30cm程のカブトムシ型Gランクモンスター。

その体はまるでエメラルドの様にキラキラと輝き、巨大な宝石の様に見えるため、非常に高値で取引されているが、幻惑魔法に長けているモンスターであるためその姿はほとんど視認する事ができない。

更に魔素の比較的濃い場所にしか生息してないので、現在は王族や高位貴族が家宝にするほど貴重で珍しい素材系モンスターとして扱われている。

入手難易度はSランク



キラキラ輝くそのまばゆいばかりの輝きに目を細めていると、なんとレオンは< 花島カメ >の背中から花まで毟ってきた様で、上機嫌でこれまたキラキラのお花を俺にスッ・・と差し出してくる。



< 花島カメ >

体長20m程の大きなカメ型Bランクモンスター

背中はまるで小さな島の様な作りをしており、沢山の花や植物が咲き乱れている。

モンスターの栄養を受けている影響か、生えている花や植物はスーパーレア。

かつ超高級品であるため需要はかなり高いが、非常に好戦的なモンスターであるため無傷の状態でそれを入手するのは相当難しい。



マイペース過ぎるレオンの行動にまたもや目が点になってしまったが、とりあえず今はそれどころではないため受け取ったお花をまたスィ~とレオンに渡した。


「 凄く綺麗だね!ありがとう。

後で家に飾るからしまっておいてね。 」


そう伝えると、レオンはまたパァ!と嬉しそうに笑う。

「 結婚式ではこの花を使いますか? 」

「 手で持つヤツはこういう花にします?色は・・ 」

更には何故かウエディングプランナーさんみたいな事を言ってくるが、本当に今はそれどころじゃない。

あげ玉と黒みつがバシバシッ!!と空から降り注ぐモンスター達を倒してくれている間に、俺は黒い蝶の対策を考えなきゃ!


「 そうだね! 」

意識0.5割くらいで適当に答えると、レオンはモソモソと俺にくっついて凄く嬉しそう。

だからもうレオンはそのままに放って置く事にして、俺も空から落ちてくるモンスター達を広範囲スキルで蹴散らしているとーーー

「 ーーー!!クポっ!! 」

あげ玉が焦った様子で声を上げたので、何だ?!と直ぐに黒い蝶の方へ視線を向けた。

すると、何と黒い蝶は羽一杯に付いている口をパクパクと大きく開けながら、上から降り注ぐモンスター達を喰らっているではないか!


「 た……食べている……。な、何で?? 」


驚きながらその理由を考え、直ぐにハッ!!と気づいた。


こいつの先天スキル、何かへ進化するための進化条件!!


” ある一定以上の魔素、又は瘴気を体の中に取り込む事 ”

魔素を吸って吐いてして生きているモンスター達はいわば魔素の貯金箱。

つまりそんなモンスター達を食べているという事はーーーー……


「 大変だ!!あげ玉、黒みつ!!

急いであいつに攻撃してくれ!!! 」


俺は大声でそう叫ぶと、そのままスキル< ミツバチのランス >で黒い蝶へ攻撃を。

そしてあげ玉は< 高速の無限足 >で、黒みつは< 天人の刃 >で攻撃をし、それを同時にクリーン・ヒットさせた。


ーーーーブワッ!!!


攻撃の余波で周囲の黒いモヤモヤが周囲に大きく広がり、黒い蝶はそれに隠れて見えなくなる。


進化は止められたのか・・?


黒く染まった視界の中ジッ・・と目を凝らしていると、またしても頭の中にビーーッ!!ビーーッ!!という警戒音が響いた。



『 警告!《 呪災厄の成体 》からの進化条件を満たしました。


これより《 呪災厄の成体 》から《 大災厄の呪死蝶 》へと最終進化します。 』


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