826 / 1,315
第二十四章
811 希望の神様
しおりを挟む
( ソフィア )
「 ーーーーはいっ!!!
リーフ様が戦っているならば・・戦いたい!
邪魔をするモンスター共を根こそぎぶっ飛ばしてやりたいです!!
私だって・・足掻いて足掻いてハッピーエンドが良いっ・・! 」
拳をグッと握り辛そうに顔を歪めるアゼリア。
ヨセフ司教は今度はオロオロとしながら私とアゼリアを交互に見る。
「 でっ、でも・・ 」
「 さっきのはまぐれかも・・ 」
そう必死に説得しようとするも、私はそれを笑いながら言い返した。
「 まぐれで呪いが決して消えない事をヨセフ司教の方がよく知っているでしょう?
リーフ様がぶっ飛ばすと言って下さったのだから絶対にそうしてくれます。
だから絶対にここは死守しなければなりませんね!
なんと言っても私、リーフ様のハーレム ” 姫 ” 担当枠を頂いてしまったので一人逃げるわけには参りませんので。 」
アゼリアに続いて拳をグッと握り、ジーーン・・と感動に震えていると、ヨセフ司教は反対にガガーン!とショックを受けた様子を見せた。
「 ややっ!!?ハ、ハーレムとな!?
王女ともあろう者が何をおっしゃっているのです!
どちらかといえば貴方はハーレムを作る方なのですよ??
アゼリア!お前も何か言っておやりなさい! 」
ヨセフ司教はプンプンと怒りながらアゼリアの方を振り向いたが、アゼリアはシラっとした顔で首を横に振る。
「 私はアゼリアではありません。
リーフ様ハーレムの ” ヤマトナデシコ ” 担当アゼリアです。 」
アゼリアまで訳のわからぬ事を言い出した事で、ヨセフ司教は白目を剥いて立ち尽くす。
アゼリアと私は顔を見合わせ笑い合い、その後真っ白になってしまったヨセフ司教に視線をまっすぐ向けた。
「 ” 心こそが人の本体である ”
そう教えてくれたのはヨセフ司教ではありませんか。
私の心はここで逃げればきっと腐って形を失ってしまうでしょう。
それに・・私はどうも今がこの国の未来を決める重要な分かれ道のような気がするんです。 」
私の言葉にヨセフ司教の意識は戻り、フッと真剣な眼差しを私に向けてきた。
私は笑顔を見せたまま街中を見渡す。
「 例え身体が助かっても大切な者達の死によって心が死んでしまえば、きっと二度と国のために頑張ろうとは思わないでしょう。
そんな状態では結局、自分だけが幸せな世界を創ろうとする第二のエドワードお兄様が沢山生まれて同じ歴史を辿るだけです。
心が生きているから沢山の感情が生まれ、それによって必死に現状に抗うから世界は輝く。
” 希望 ” が目の前にあるなら全力で抗いましょう。
私はこれからも歴史書をキラキラした目で見続けたいので頑張ります! 」
今、目の前には黒いモヤで覆われた空と黒い蝶。
でも今の私にはこんな世界がとても綺麗なモノに見えた。
ヨセフ司教は私の言葉を聞き下へ下へと視線を下げる。
そしてブルブルと大きく震えた後、突然凄い勢いで顔を上げ縋るような目つきで私を見た。
「 ほっ・・本当に希望をっ・・・
そんな夢みたいな希望を持っても良いのでしょうか?
あんなどうしようもない無敵の化け物を本当に倒してくれると・・? 」
「「 倒せます!! 」」
アゼリアと私が同時に叫ぶと、ヨセフ司教はまるで泣き出す寸前の様な顔を見せた後、組んだ手を額につけブツブツと祈りの言葉を呟く。
私よりも遥かに人々の心と寄り添ってきたヨセフ司教にとって、この計画は本当に辛い選択であったはずだ。
大切な者達を失い未来を生きる人々の姿は本当に悲しいモノだから。
だからそうならない未来を掴む希望があるなら、きっと誰よりも飛びつきたかったに違いない。
それを証拠にヨセフ司教はキラキラした目で空を見上げると、そのまま両手を高々と上げて大声で叫んだ。
「 やっぱり私の願いはイシュル神様に届いてきたのですねーーー!!
毎日毎日遅くまで祈っていた甲斐がありました!
私だってこんなの絶対に嫌だったんですよ!!
せっかく今度『 シニア限定!恋のお祈り始めませんか?☆ 』パーティーの企画書ができてたのに!
絶対生き残ってバンバンお見合いパーティー開いて教会で結婚式あげて貰いまーーーす!!! 」
わーー!!と気合満々で叫ぶヨセフ司教をアゼリアが苦々しい顔で見ていたが、本心では嬉しそうだ。
そんな二人を見てクスッと笑った後、私は直ぐに笑いを引っ込め、晴れ渡った空の一部がまた黒いモヤに覆われていくのを睨みつけた。
「 ヨセフ司教、アゼリア、私はこのスキルを発動している間ここを動く事ができません。
ここは私の戦場です。
ですのでお二人はご自身の戦場へと向かって下さい。 」
「 ーーーっ!!しかし、突然良からぬ動きをするモンスターがいないとは限りません! 」
心配の声を上げるアゼリアを安心させる様に私は笑った。
「 心配はいりません。
このスキルを発動している限りモンスター達は私に近づけば近づく程息ができなくなります。
決して近づこうとしないでしょう。
イシュル教会司教ヨセフ、そして専属聖兵士のアゼリア両名にアルバード王国第一王女として命じます。
全力で足掻いてハッピーエンドを目指しなさい。
死ぬことは許しませんよ。 」
二人は表情を引き締めると「「 ーーはっ!! 」」と返事をしながら一度頭を下げる。
そして各々の戦場へと向かって走っていった。
それを見送った後、私は大きく深呼吸をし呪いの蝶を睨みつけながら、どんどんスキルの精度を上げていく。
するとそいつは何かの違和感を感じているのか、私のスキルと真っ向からぶつかる様な力を放ってきたがーーー私は負けない。
「 貴方はモンスター達を、私は ” 人 ” を強くする。
どんなに絶望を振りまこうとももう無駄です。
私達には希望の神様がついているのだから。 」
「 ーーーーはいっ!!!
リーフ様が戦っているならば・・戦いたい!
邪魔をするモンスター共を根こそぎぶっ飛ばしてやりたいです!!
私だって・・足掻いて足掻いてハッピーエンドが良いっ・・! 」
拳をグッと握り辛そうに顔を歪めるアゼリア。
ヨセフ司教は今度はオロオロとしながら私とアゼリアを交互に見る。
「 でっ、でも・・ 」
「 さっきのはまぐれかも・・ 」
そう必死に説得しようとするも、私はそれを笑いながら言い返した。
「 まぐれで呪いが決して消えない事をヨセフ司教の方がよく知っているでしょう?
リーフ様がぶっ飛ばすと言って下さったのだから絶対にそうしてくれます。
だから絶対にここは死守しなければなりませんね!
なんと言っても私、リーフ様のハーレム ” 姫 ” 担当枠を頂いてしまったので一人逃げるわけには参りませんので。 」
アゼリアに続いて拳をグッと握り、ジーーン・・と感動に震えていると、ヨセフ司教は反対にガガーン!とショックを受けた様子を見せた。
「 ややっ!!?ハ、ハーレムとな!?
王女ともあろう者が何をおっしゃっているのです!
どちらかといえば貴方はハーレムを作る方なのですよ??
アゼリア!お前も何か言っておやりなさい! 」
ヨセフ司教はプンプンと怒りながらアゼリアの方を振り向いたが、アゼリアはシラっとした顔で首を横に振る。
「 私はアゼリアではありません。
リーフ様ハーレムの ” ヤマトナデシコ ” 担当アゼリアです。 」
アゼリアまで訳のわからぬ事を言い出した事で、ヨセフ司教は白目を剥いて立ち尽くす。
アゼリアと私は顔を見合わせ笑い合い、その後真っ白になってしまったヨセフ司教に視線をまっすぐ向けた。
「 ” 心こそが人の本体である ”
そう教えてくれたのはヨセフ司教ではありませんか。
私の心はここで逃げればきっと腐って形を失ってしまうでしょう。
それに・・私はどうも今がこの国の未来を決める重要な分かれ道のような気がするんです。 」
私の言葉にヨセフ司教の意識は戻り、フッと真剣な眼差しを私に向けてきた。
私は笑顔を見せたまま街中を見渡す。
「 例え身体が助かっても大切な者達の死によって心が死んでしまえば、きっと二度と国のために頑張ろうとは思わないでしょう。
そんな状態では結局、自分だけが幸せな世界を創ろうとする第二のエドワードお兄様が沢山生まれて同じ歴史を辿るだけです。
心が生きているから沢山の感情が生まれ、それによって必死に現状に抗うから世界は輝く。
” 希望 ” が目の前にあるなら全力で抗いましょう。
私はこれからも歴史書をキラキラした目で見続けたいので頑張ります! 」
今、目の前には黒いモヤで覆われた空と黒い蝶。
でも今の私にはこんな世界がとても綺麗なモノに見えた。
ヨセフ司教は私の言葉を聞き下へ下へと視線を下げる。
そしてブルブルと大きく震えた後、突然凄い勢いで顔を上げ縋るような目つきで私を見た。
「 ほっ・・本当に希望をっ・・・
そんな夢みたいな希望を持っても良いのでしょうか?
あんなどうしようもない無敵の化け物を本当に倒してくれると・・? 」
「「 倒せます!! 」」
アゼリアと私が同時に叫ぶと、ヨセフ司教はまるで泣き出す寸前の様な顔を見せた後、組んだ手を額につけブツブツと祈りの言葉を呟く。
私よりも遥かに人々の心と寄り添ってきたヨセフ司教にとって、この計画は本当に辛い選択であったはずだ。
大切な者達を失い未来を生きる人々の姿は本当に悲しいモノだから。
だからそうならない未来を掴む希望があるなら、きっと誰よりも飛びつきたかったに違いない。
それを証拠にヨセフ司教はキラキラした目で空を見上げると、そのまま両手を高々と上げて大声で叫んだ。
「 やっぱり私の願いはイシュル神様に届いてきたのですねーーー!!
毎日毎日遅くまで祈っていた甲斐がありました!
私だってこんなの絶対に嫌だったんですよ!!
せっかく今度『 シニア限定!恋のお祈り始めませんか?☆ 』パーティーの企画書ができてたのに!
絶対生き残ってバンバンお見合いパーティー開いて教会で結婚式あげて貰いまーーーす!!! 」
わーー!!と気合満々で叫ぶヨセフ司教をアゼリアが苦々しい顔で見ていたが、本心では嬉しそうだ。
そんな二人を見てクスッと笑った後、私は直ぐに笑いを引っ込め、晴れ渡った空の一部がまた黒いモヤに覆われていくのを睨みつけた。
「 ヨセフ司教、アゼリア、私はこのスキルを発動している間ここを動く事ができません。
ここは私の戦場です。
ですのでお二人はご自身の戦場へと向かって下さい。 」
「 ーーーっ!!しかし、突然良からぬ動きをするモンスターがいないとは限りません! 」
心配の声を上げるアゼリアを安心させる様に私は笑った。
「 心配はいりません。
このスキルを発動している限りモンスター達は私に近づけば近づく程息ができなくなります。
決して近づこうとしないでしょう。
イシュル教会司教ヨセフ、そして専属聖兵士のアゼリア両名にアルバード王国第一王女として命じます。
全力で足掻いてハッピーエンドを目指しなさい。
死ぬことは許しませんよ。 」
二人は表情を引き締めると「「 ーーはっ!! 」」と返事をしながら一度頭を下げる。
そして各々の戦場へと向かって走っていった。
それを見送った後、私は大きく深呼吸をし呪いの蝶を睨みつけながら、どんどんスキルの精度を上げていく。
するとそいつは何かの違和感を感じているのか、私のスキルと真っ向からぶつかる様な力を放ってきたがーーー私は負けない。
「 貴方はモンスター達を、私は ” 人 ” を強くする。
どんなに絶望を振りまこうとももう無駄です。
私達には希望の神様がついているのだから。 」
95
お気に入りに追加
1,993
あなたにおすすめの小説
聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど?
バナナ男さん
BL
主人公の現在暮らす世界は化け物に蹂躙された地獄の様な世界であった。
嘘か誠かむかしむかしのお話、世界中を黒い雲が覆い赤い雨が降って生物を化け物に変えたのだとか。
そんな世界で兵士として暮らす大樹は突然見知らぬ場所に召喚され「 世界を救って下さい、聖女様 」と言われるが、俺男〜しかも兵士なんだけど??
異世界の王子様( 最初結構なクズ、後に溺愛、執着 )✕ 強化された平凡兵士( ノンケ、チート )
途中少々無理やり的な表現ありなので注意して下さいませm(。≧Д≦。)m
名前はどうか気にしないで下さい・・
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
【 完結 】お嫁取りに行ったのにキラキラ幼馴染にお嫁に取られちゃった俺のお話
バナナ男さん
BL
剣や魔法、モンスターが存在する《 女神様の箱庭 》と呼ばれる世界の中、主人公の< チリル >は、最弱と呼べる男だった。 そんな力なき者には厳しいこの世界では【 嫁取り 】という儀式がある。 そこで男たちはお嫁さんを貰う事ができるのだが……その儀式は非常に過酷なモノ。死人だって出ることもある。 しかし、どうしてもお嫁が欲しいチリルは参加を決めるが、同時にキラキラ幼馴染も参加して……? 完全無欠の美形幼馴染 ✕ 最弱主人公 世界観が独特で、男性にかなり厳しい世界、一夫多妻、卵で人類が産まれるなどなどのぶっ飛び設定がありますのでご注意してくださいm(__)m
奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。
拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ
親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。
え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか
※独自の世界線
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる