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第二十三章
790 また会おう
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( ドノバン )
「 俺の負けだ。
ルールだから何でも願い聞いてやるよ。
お前の欲しいものって何?金か?地位か?女ーーーは違うか・・。
なぁ、何か教えてくれよ。 」
この時の俺はとてもワクワクしていたと思う。
” 一体こいつは何を望むのだろうか? ”
” それを知れば何か変わるかもしれない。”
ワクワク、ドキドキ。
そんな気持ちで一杯の俺には静止を唱える周りの声は聞こえない。
そしてやがてイケメン君はそのままヨロヨロと上半身を起こして立ち上がり、鼻と口を汚していた血を乱暴に袖で拭うとーーー俺をまっすぐ見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
「 ならばこれから卒業までの間、貴様はこのカルパスの下僕だ!!
まずはおすわりから覚えろ!!この駄犬がっ!! 」
ーーービシッ!!
勢いよく指を差されて言われた言葉に、俺も周囲も固まっちゃったよねぇ~。
もうちょっと空気読もうぜって思っちゃったもん、俺。
まぁ、一度言っちまった手前 ” NO! ” とは言えず渋々それを受け入れたんだが・・
それからの俺の学院生活はまさにビックサイクロン。
俺に対して加減や気遣いなど皆無なカルパスによって、修羅場など生ぬるい生活を送らされる事になった。
まず寝床。
最高級のふかふかベッドからカルパスの部屋のスタンダードクラスのベッドーーーの横の地べた。
硬い床に、俺の上に掛けられたのはタオル一枚!
更に朝は早くから起こされて、教会の掃除のボランティアに修行にクソ重たい荷物を運ぶアルバイト。
飯は最高級フレンチコースから全て ” 安い!デカい! ” が売りの平民食。
授業は勿論強制参加。
居眠りしたら拳や足が飛んでくる上に、授業後は修行と言われて森に連れて行かれ、前衛!盾役!囮!のオンパレード!!
まさに ” 不幸 ” を象徴したような人生で、人生はハードモード!
俺は ” 世界で一番不幸せなアンラッキーボーイ ” だ!と、そう思っていたが・・・
でもさ、これ全部覚えているんだよ。
全部全部、鮮明に。
俺はその時の思い出を振り返りながら、今の今まで生きてきた何一つ色褪せない思い出の数々を更に思い出す。
その思い出達はずっと俺の中に在り続け、俺という人間を成り立たせてくれている。
それが可笑しくて嬉しくて、プクク~ッ!と笑い出すと、カルパスは怪訝そうな様子で《 気でも狂ったか? 》と言ってきた。
そのせいで益々笑ってしまうと、やがてカルパスはお手上げとばかりにツンッと無視を決め込んできたので、ひとしきり笑いーーーその後ポツリと呟いた。
「 ・・お前は最後にイザベルと過ごした後、こっちに来るんだろ? 」
そう言うと伝電鳥から一瞬悲しげな雰囲気が漂ったが、カルパスは直ぐにそれを引っ込めて質問に答える。
《 ・・あぁ、そのつもりだ。
共に妻の墓参りをして沢山話をしたい。
そして卵が孵化したら・・用意しておいた転移陣でグリモアへ向かうつもりだ。
そこが私の最後の場所になるだろう。
・・ドノバン。簡単にモンスターになど殺されるなよ?
お前の様な狂人も貴重な ” 代償 ” なのだから、最後まで生き残って役に立ってから犠牲になれ。 》
「 へいへ~い。駄犬はぁ~御主人様の言う事を頑張って聞くワン!
なんかお前に命令されると条件反射の様に言う事を聞いちまうのって、絶対学院生活の時のトラウマだわぁ~。
洗脳されたわ~。怖ァァァ~。 」
わざとらしく腕を擦った俺を鼻で笑うカルパス。
《 何を言う。
私は正しいことしか言ってないししてもいないだろう。
お前の堕落的な生活を見直しただけだ。
感謝するといい。我が生涯最高の相棒だったドノバンよ。 》
「 ハハッ!確かに反論できねぇーわ!
俺の人生、お前のせいで ” 楽しい ” もんになっちまったからな!
辛い記憶ばっかだっつーのに、それが俺の ” 楽しい ” 人生になっちまうんだから本当に人生って不思議だよな~。
ーーーうん、めちゃくちゃ楽しかったぜ、人生。
また会おうな。俺の生涯最高の相棒だったカルパス。 」
伝電鳥からはフッ・・と小さな笑いが漏れ、そのまま何も言わずに空へと飛び立って行った。
それが見えなくなるまで見つめ、その後俺は愛剣である大剣を背中に背負い、窓から飛び出す。
目指すは黒い呪いを振りまく化け物が生まれるであろうグリモア。
俺のーーー最後になるであろう場所だ。
重力に逆らう事無く落下しながら俺は身体強化を掛け、そのままビュンっ!と空を走るように駆けていった。
「 俺の負けだ。
ルールだから何でも願い聞いてやるよ。
お前の欲しいものって何?金か?地位か?女ーーーは違うか・・。
なぁ、何か教えてくれよ。 」
この時の俺はとてもワクワクしていたと思う。
” 一体こいつは何を望むのだろうか? ”
” それを知れば何か変わるかもしれない。”
ワクワク、ドキドキ。
そんな気持ちで一杯の俺には静止を唱える周りの声は聞こえない。
そしてやがてイケメン君はそのままヨロヨロと上半身を起こして立ち上がり、鼻と口を汚していた血を乱暴に袖で拭うとーーー俺をまっすぐ見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
「 ならばこれから卒業までの間、貴様はこのカルパスの下僕だ!!
まずはおすわりから覚えろ!!この駄犬がっ!! 」
ーーービシッ!!
勢いよく指を差されて言われた言葉に、俺も周囲も固まっちゃったよねぇ~。
もうちょっと空気読もうぜって思っちゃったもん、俺。
まぁ、一度言っちまった手前 ” NO! ” とは言えず渋々それを受け入れたんだが・・
それからの俺の学院生活はまさにビックサイクロン。
俺に対して加減や気遣いなど皆無なカルパスによって、修羅場など生ぬるい生活を送らされる事になった。
まず寝床。
最高級のふかふかベッドからカルパスの部屋のスタンダードクラスのベッドーーーの横の地べた。
硬い床に、俺の上に掛けられたのはタオル一枚!
更に朝は早くから起こされて、教会の掃除のボランティアに修行にクソ重たい荷物を運ぶアルバイト。
飯は最高級フレンチコースから全て ” 安い!デカい! ” が売りの平民食。
授業は勿論強制参加。
居眠りしたら拳や足が飛んでくる上に、授業後は修行と言われて森に連れて行かれ、前衛!盾役!囮!のオンパレード!!
まさに ” 不幸 ” を象徴したような人生で、人生はハードモード!
俺は ” 世界で一番不幸せなアンラッキーボーイ ” だ!と、そう思っていたが・・・
でもさ、これ全部覚えているんだよ。
全部全部、鮮明に。
俺はその時の思い出を振り返りながら、今の今まで生きてきた何一つ色褪せない思い出の数々を更に思い出す。
その思い出達はずっと俺の中に在り続け、俺という人間を成り立たせてくれている。
それが可笑しくて嬉しくて、プクク~ッ!と笑い出すと、カルパスは怪訝そうな様子で《 気でも狂ったか? 》と言ってきた。
そのせいで益々笑ってしまうと、やがてカルパスはお手上げとばかりにツンッと無視を決め込んできたので、ひとしきり笑いーーーその後ポツリと呟いた。
「 ・・お前は最後にイザベルと過ごした後、こっちに来るんだろ? 」
そう言うと伝電鳥から一瞬悲しげな雰囲気が漂ったが、カルパスは直ぐにそれを引っ込めて質問に答える。
《 ・・あぁ、そのつもりだ。
共に妻の墓参りをして沢山話をしたい。
そして卵が孵化したら・・用意しておいた転移陣でグリモアへ向かうつもりだ。
そこが私の最後の場所になるだろう。
・・ドノバン。簡単にモンスターになど殺されるなよ?
お前の様な狂人も貴重な ” 代償 ” なのだから、最後まで生き残って役に立ってから犠牲になれ。 》
「 へいへ~い。駄犬はぁ~御主人様の言う事を頑張って聞くワン!
なんかお前に命令されると条件反射の様に言う事を聞いちまうのって、絶対学院生活の時のトラウマだわぁ~。
洗脳されたわ~。怖ァァァ~。 」
わざとらしく腕を擦った俺を鼻で笑うカルパス。
《 何を言う。
私は正しいことしか言ってないししてもいないだろう。
お前の堕落的な生活を見直しただけだ。
感謝するといい。我が生涯最高の相棒だったドノバンよ。 》
「 ハハッ!確かに反論できねぇーわ!
俺の人生、お前のせいで ” 楽しい ” もんになっちまったからな!
辛い記憶ばっかだっつーのに、それが俺の ” 楽しい ” 人生になっちまうんだから本当に人生って不思議だよな~。
ーーーうん、めちゃくちゃ楽しかったぜ、人生。
また会おうな。俺の生涯最高の相棒だったカルパス。 」
伝電鳥からはフッ・・と小さな笑いが漏れ、そのまま何も言わずに空へと飛び立って行った。
それが見えなくなるまで見つめ、その後俺は愛剣である大剣を背中に背負い、窓から飛び出す。
目指すは黒い呪いを振りまく化け物が生まれるであろうグリモア。
俺のーーー最後になるであろう場所だ。
重力に逆らう事無く落下しながら俺は身体強化を掛け、そのままビュンっ!と空を走るように駆けていった。
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