上 下
791 / 1,370
第二十三章

776 えっと?何か??

しおりを挟む
( リーフ )



< 違和感その1 >

《 毎日話している 》

そもそも俺と365日24時間一緒にいるのにどうやって毎日会い、しかも愛を深めたのか・・?


考えてみれば、レオンが俺と別行動したのはここに来てからたったの2回。

1回目は変態集団に襲われた時、そして2回目は昼休みに図書館に行った時の非常に短い時間だけ。

こんな短期間で婚約まで辿り着くほどの愛情は育つものなのだろうか??



< 違和感その2 >

《 専属契約を使う際のコスト面 》

レオンは冒険者ギルドで稼いだ自分の取り分は全て俺に献上している。

勿論俺はそれを使い込んだりはせず、将来レオンが独り立ちをした時の資金にしようと貯金してはいるが、現在のレオンの手には一銭もない。


つまりーーー手元にお金がないのに目の玉が宇宙にいくほど高い専属契約料金を払えるお金がないということ!


何故そんな簡単なことに気づかなかったのかと俺は頭を抱えてしまったが、過ぎた事よりとにかく今を考える。


つまりつまり、この2つの違和感から導き出される答えは一つ。

そのモテモテで大変な絶世の美少年はーーーー・・・





レオンの『 イマジナリーフレンズ 』じゃない・・?


あちゃちゃ~・・と手を額に当てて目を閉じた。



レオンの頭の中で作り上げた存在しない少年。

いわゆる理想の恋人。

まぁ、それを考えると『 イマジナリーボーイフレンド 』?ってやつ~?


予想外の答えに頭はズキズキ・・額に当てていた手を頭に回し優しく擦る。


子供返りに記憶喪失、そしてイマジナリーボーイフレンドときたら、一体この次は何か来るのか?と、いっそ楽しみになってきた。


ハハッ!


漏れる笑みとは正反対に心はズズーーンと凹んだが、それは必死に笑顔の下に隠す。

そして席に着席してポリポリ小麦焼きを食べているモルトとニールへ目を向けると、直ぐに両手をモニモニと動かした。


” レ・オ・ン・こ・ん・や・く・しゃ・ニ・セ・モ・ノ ”


幼なじみ~ズの俺達のみに通じるモールス信号ならぬ『 リーフ信号 』

以前遊ぶために作ったのだが、中々便利でこうしてたまに活用している。


その信号を受け取ったモルトとニールは驚愕の表情を浮かべた後、グスングスンと涙を流し ” 分かります、分かります! ” と言わんばかりに何度も頷いた。

急に泣き出した2人を見て ” 何だ?何だ?? ” と言いたげな皆に対し、モルトとニールはヒソヒソヒソ~とレオンの『 イマジナリーボーイフレンド 』の存在について説明。

全員が何とも言えない同情的な目をレオンに向けるのを感じながら、俺はこの時点でできる事について考えた。



前世で数多くの子供たちを見送ってきた俺としては『 イマジナリーフレンド 』はそこまで珍しいというものではない。


ふっとした時に誰もいない場所で喋りだす。

透明な何かと突然遊びだす。


そんな子供をポチポチと目撃したことがあったが、それは全員が歳を重ねる事で自然と治まっていった。


その存在を否定してしまうとますます酷くなるため、基本は放置。


何かを聞かれた時だけ「 じゃーその子も一緒に遊ぼうね~。 」などと肯定を続けていれば、不思議な事にいつの間にかそのフレンドは姿を消してしまうのだ。


鼻先でワシャワシャ~と頭を乱してくるレオンの好きにさせながら、現状俺が取るべき最適の行動をトリ頭フル活動で考えて考えてーーー・・



 ” 強欲な両親に虐げられながらもCランク冒険者という高い実力を持ち、健気に働いていて、謎の理由で娼館と仮契約を交し、更にはレオンを婚約者候補NO・1にしてくれている絶世の美少年 ”

ーーーという設定のイマジナリーボーイフレンドを否定してはいけないという結論に至る。



ニッコリ。


その答えにたどり着いた俺は、笑顔でパチパチとレオンに拍手を贈った。



「 そっか、そっか~!レオン、婚約おめでとう!

後は結婚まで一直線だ!

お相手は永遠に待っていてくれるだろうから、安心してゆっくり関係を進めていけばいいよ。 」



「 はいっ!!俺はちゃんと ” 待て ” ができる器の広い男ですから。

これで俺達は婚約者・・

何だか夢みたいだ・・

やっとここまでたどりつきましたね。長かったな・・ 」



憂いるレオンの表情から伺うに、そのフレンドさんとは随分と壮大なストーリーがある様子だ。

凝り性のレオンの事。

きっとその設定だけでも本になるくらい細やかな自分設定があるに違いない。

それを知っている俺は驚くことなく、レオンの頭を撫で撫で~しながら、ホッと胸を撫で下ろす。


とりあえず訳ありの悲劇の少年が現実に存在してなくて、良かった良かった~。


完全に安心したのでペタペタとくっついてくるレオンから視線を逸し、フッと周囲へ視線を移すとーーーー・・

俺達の周りを取り囲む完全な戦闘態勢の全教員達の姿が目に飛び込んできた。



ーーーヒュオッ!!!??



変な音を立てながら息を飲む。



ジリジリと足を動かしながら俺達がいるテーブルを囲うように各々の武器を構える教員達。

その最前列にはクルト先生やルーン先生、フラン学院長にセリナ副学院長にレナ先生がいて、険しい表情で汗をダラダラ垂らしながらこちらを睨みつけてくる。




「 ・・・あ、あの~・・何かあったんですか・・??? 」


しおりを挟む
感想 264

あなたにおすすめの小説

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

【完結】竜を愛する悪役令嬢と、転生従者の謀りゴト

しゃもじ
BL
貴族の間で婚約破棄が流行し、歪みに歪んだサンドレア王国。 悪役令嬢のもとに従者として転生した主人公・グレイの目的は、前世で成し遂げられなかったゲームクリア=大陸統治をし、敬愛するメルロロッティ嬢の幸せを成就すること。 前世の記憶『予知』のもと、目的達成するためにグレイは奔走するが、メルロロッティ嬢の婚約破棄後少しずつ歴史は歪曲し、グレイの予知からズレはじめる… 婚約破棄に悪役令嬢、股が緩めの転生主人公、やんわりBがLしてる。 そんな物語です。

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

処理中です...