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第二十三章

768 天国にいた

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( リーフ )


そう心から思っているのだが、何と言ってもレオンは可愛い物が大好き・・

・・というか、お人形遊び自体が確かに可愛い衣装を着せて遊ぶものだし仕方がないのだが、どうにもレオンが作るのはちょっと可愛いというか奇抜というか・・


今まで着せられた着せ替えられた洋服達を振り返り、ズズ~ン・・と更に心が重だるくなる。


前なんてお酒大好きウォッカのお祭りで貰ったダンス大会の優勝賞品、あのスケスケ踊り子衣装まで完全再現し着させられた上踊らされた事もあった。


その姿は、もはや酔っ払いが集まった時の罰ゲーム。


ヤレヤレと困った俺はリーンちゃんとナッツちゃんに頼み、可愛らしい女の子のお人形を貰ってそれをレオンに渡した。


これで着せ替えしたほうが楽しいよ~?

ほら、ごらんよ。

可愛い!可愛いねぇ~?


ニコニコと笑いながら女の子人形を褒めたーーーのが不味かったらしく、またしても ” 俺の方が強い ” だの、 ” そんなモノより俺の方が可愛い( ?? ) ” だのゴネだし、ずっとくどくどくどくどレオンのお話に付き合う羽目になってしまった。


その時の事を思い出し大きなため息をつくと、その間にレオンはテキパキとナフキンを俺の首元に掛け洋服の汚れ防止対策を進め、挙句の果てには俺の手にしっかりとフォークまで握らせてくれる。


そして、ジーーーっ・・と< 等価交換 >のタイミングを虎視眈々と狙って俺をひたすら睨みつけてくる・・これが俺の現在の日常。



・・ま、まぁ、お人形遊びもそのうち飽きて卒業するだろう。


そう思ったのと、何であれレオンやあげ玉、黒みつの3人が頑張って作ったお洋服を無下にするのはな・・と考え、結局は ” まっ、いっか! ” 

今日も今日とてそんな感じで流されて、俺は目の前にあるダイヤエデン・フィッシュのお刺し身に全意識を移す。


光を乱反射させキランキランと凄まじい光を放つ真っ白な身。

それがまるでお花が開くように盛り付けられている姿はただただ美しい!


それに釘付けの俺、マリンさん、ルルちゃんはゴクッと喉を鳴らしながらお互い目を見合わせ ” まずはリーフ( さん )から・・ ” と目と目で合図し合うと、俺は恐る恐るその切り身の一枚をフォークに突き刺しゆっくりと持ち上げた。


ーー_と言っても、刺した・・という感触は全くなくてまるで雲を刺した様。


そしてまずはシンプルにと、それにサッサッと塩を一振りしそのまま口にーーーヒョイッ!!

するとその瞬間に口の中に広がるのは、ジワっと溶けるような感触と一気に弾ける凝縮された旨味!

えっ!!!?と、その信じられない奇跡の美味しさに目を瞑り、そして開ければ・・・俺は天国にいた。



?????



雲の上、そこにはお花が咲き乱れ、妖精や天使達が一斉に飛び回っては「 ようこそ~! 」と俺に話し掛けてくる!



俺は即座に「 お邪魔しま~す! 」と返事を返し、いつの間にか生えている翼を羽ばたかせながら、ウヒョヒョ~イ!と目一杯遊び回ってーーーーー

やがてスーー・・と意識が現実に戻ると・・不思議そうな顔をしたマリンさんとルルちゃんが目の前にいた。


「 ? 」


” 何~? ” と言わんばかりにヘラヘラとしていると、二人曰く俺が刺し身を口に入れた瞬間、急に目を閉じて笑い出したので驚いたとの事だった。


天国にいた。


一言そう伝えると、二人は今度は怪訝そうな顔に。

食べるのを戸惑っている様子だったので、俺はもう一枚切り身をフォークで刺し今度はレオンの口へポイッ。


するとレオンは無表情でいつも通りにもぐもぐゴクンしたため、二人はホッとしながら切り身を口へ、そして同時に俺ももう一枚口へと入れたーーーーら・・



俺達3人は天国に。



三人で手を繋ぎ、翼をパタパタと動かしながら妖精や天使達とお空のお散歩を思う存分楽しんだ。







◇◇◇◇



「 ダイヤエデン・フィッシュ!!??

まじかよ!!あのランクSSSって言われている幻の魚じゃねーか! 」


レイドが突然立ち上がりそのままテーブルを強くダンッ!と両手で叩いたため、その振動でランチボックスが一瞬宙に浮く。

おっとっと~!と俺はそのランチボックスを空中キャッチしてソッ・・とテーブルに置いた後、こちらに驚いた顔を向けるいつものメンバーを見渡した。



いつもと同じ学院での全員揃ってのランチの時間。

そんなメンバー達に今日の朝にマリンさんの所でダイヤエデン・フィッシュを食べた話をすれば、全員が目を見開いて驚き、その中でレイドがいち早く大声を上げたのだった。



「 そうそう。その凄いお魚だよ。

いや~まさか俺、また・・じゃなかった。

初めて死んで天国に行っちゃったのかと思っちゃったもん。 」



レオンに口を拭き拭きされながらウンウンと頷くと、サイモンがブス~ッとしながら立ち上がって顔を近づけてきた。


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