777 / 1,315
第二十二章
762 今はまだ
しおりを挟む
( フラン )
「 そうそう!そういや、さっきの事なんだけどよ!
塔の制覇でジェニファーとクラークだけ塔を登ろうとしなかったんだぜ。
でもリーフの奴があっという間に2人を回収して行っちまったんだ。
その時のジェニファーの顔っ!
あんなびっくりした顔初めて見たぜ~! 」
大声で笑うルーンにクルトもその時の事を思い出したのか同じくヒーヒーと笑い出す。
本格的に頭が痛くなってきたので、こめかみをマッサージするように揉み込んでいると、セリナが呆れ果てた表情を笑い転げる2人に向けた。
「 全く・・あなた達ときたら。
少しは生徒たちを導く教師として相応しい行動を取りなさい!
特にルーン先生は毎日毎日その破廉恥な服装、どうにかなりませんか?
男子生徒達の風紀が乱れます。 」
セリナがくどくどと文句を言い出すと、ルーンは ” うへぇっ! ” と苦虫を食べた時の様に顔を嫌そうに歪めた。
「 おいおい、硬いこと言うなよセリナ先生ぇ。
だいたいセリナ先生こそ傭兵時代は上半身ほぼビキニだったじゃねーか。
それによ、あたいがどんな格好してようがどーせ男子生徒達のムラムラ具合なんて変わらね~って!
アイツらリンゴの断面見て興奮する様な奴らなんだからさー。
気にすんな気にすんな。 」
ヒラヒラ~と片手を振りながらあまりに下品極まりない事をいうルーンに対し、セリナは不快な顔を隠すこと無くチッ!と舌打ちすると「 露出狂の変態魔法使いが・・ 」と呟いた。
そしてそれが聞こえたルーンは心外!とばかりに噛み付く。
「 なっ!!?あたいは露出狂の変態じゃねぇーーー!
ただちょっと人の視線が自分の身体に向くと気持ちよくなっちゃうだけなんだぜ! 」
「 ハッハッハッ!ルーン、それはまごうことなき露出狂の変態だ!
俺もその格好はどうかと思っているぞ! 」
クルトは怒るルーンを指差し腹を抱えて笑っていたが、そのやり取りをみていたレナがニッコリ笑いながら突然片手をス~と挙げた。
「 はいは~い♡
私この間、階段の踊り場の大きな鏡の前で上半身裸のクルト先生がポージングしまくっているのを見ました~。
あんまりにも面白かったので< 映写球 >でた~くさん映像取りましたよー。 」
そう言ってレナは映写球を胸ポケットから取りだすと、宙にパッパッと様々なポージングをとるクルトの映像が浮かび上がる。
それを見た瞬間、セリナもルーンも吹き出し、他の教員達も同じく吹き出しては大笑いを始めてしまった。
「 おっおまっ!!クルト!放課後生徒たちがいなくなった所で何やってんだよ!?
あたい以上の変態じゃねーかっ!! 」
「 クッ・・クルト先生っ・・!
せっ生徒のお手本になるべき姿をっ・・・見せっ・・! 」
息も絶え絶えに笑うセリナとルーンをクルトは無表情に見下ろし「 は?何かおかしいところでも? 」と冷静に返答したものだから、セリナとルーンは崩れ落ちて笑いだしてしまった。
私はそんな巫山戯て笑うセリナ達や、少し離れた所で地面に転がって笑う他の教員達を見渡しため息を付き ” まぁ、こうして笑っていられるのは平和な証拠か・・ ” と思いながらーーーー森の方へと視線を向ける。
森は静かにそこにあり今日も街は平和そのものだ。
ーーーーただし、言葉の最後に ” 今はまだ ” が付く。
モンスターの大量増加から始まったグリモアを襲う数々の事件・・
街の食料、物資の流通の滞り、王都からの応援と称した盗賊まがいの大量の冒険者達の派遣、そしてそれに伴った多くのトラブルと治安悪化。
そのため守備隊も上手く機能しない上、対応に追われ続ける冒険者や傭兵ギルド、治療に追われる教会ーーと、まるで誰かが意図的に仕組んだとしか思えない様な混乱に全ての対応が遅れ、常に後手にならざるを得ない状況が続いていた。
敵の狙いは分からず
そして少しづつ少しづつ悪くなっていく状況は人を酷く疲弊させるものであった。
そんな絶望の中、ギリギリのタイミングで ” 希望 ” を見せたのが、やはりリーフ殿だ。
リーフ殿はなんと入学してから直ぐ冒険者になり数々の難解な依頼を解決。
更に早々に盗賊まがいの冒険者達のトップを崩してしまったのだそう。
その知らせを受けた時には流石に腰が抜けるかと思ったが、まだまだ続く嘘の様な出来事が起こり続ける。
街の流通の復活。
さらに高ランクモンスターを進んで朝討伐しているらしく守備隊や冒険者、傭兵達への負担軽減を果たすと、守備隊は本来の仕事である街の防御に徹する事ができるため街の治安は劇的に回復。
それにより街は元の・・いや、前以上の活気を取り戻した。
更に不思議な事に正体不明の黄色い何かと黒いボールの様な外見の者達が、森中にある難関不落のダンジョンを潰しまわっているとの事で、戦闘員達の怪我自体が減ると教会も力を取り戻し始める。
その結果、それを導いたリーフ殿の事を誰が言い始めたか ” 救世主様 ” と言い出し、それが今やすっかり定着してしまった様だ。
街の人々は不安と絶望に耐えながら、 ” 救世主 ” という希望を見出し見事に立ち上がった。
『 シュペリンの踊り猫 』の様にーー・・
” 人々に ” 希望 ” を与えた猫はその後一体どこに行くのでしょう? ”
先程のセリナの言葉が頭を過ぎったが、何を馬鹿な・・とその考えを振り払い、敵の次なる狙いはなんだ?と考えた。
「 そうそう!そういや、さっきの事なんだけどよ!
塔の制覇でジェニファーとクラークだけ塔を登ろうとしなかったんだぜ。
でもリーフの奴があっという間に2人を回収して行っちまったんだ。
その時のジェニファーの顔っ!
あんなびっくりした顔初めて見たぜ~! 」
大声で笑うルーンにクルトもその時の事を思い出したのか同じくヒーヒーと笑い出す。
本格的に頭が痛くなってきたので、こめかみをマッサージするように揉み込んでいると、セリナが呆れ果てた表情を笑い転げる2人に向けた。
「 全く・・あなた達ときたら。
少しは生徒たちを導く教師として相応しい行動を取りなさい!
特にルーン先生は毎日毎日その破廉恥な服装、どうにかなりませんか?
男子生徒達の風紀が乱れます。 」
セリナがくどくどと文句を言い出すと、ルーンは ” うへぇっ! ” と苦虫を食べた時の様に顔を嫌そうに歪めた。
「 おいおい、硬いこと言うなよセリナ先生ぇ。
だいたいセリナ先生こそ傭兵時代は上半身ほぼビキニだったじゃねーか。
それによ、あたいがどんな格好してようがどーせ男子生徒達のムラムラ具合なんて変わらね~って!
アイツらリンゴの断面見て興奮する様な奴らなんだからさー。
気にすんな気にすんな。 」
ヒラヒラ~と片手を振りながらあまりに下品極まりない事をいうルーンに対し、セリナは不快な顔を隠すこと無くチッ!と舌打ちすると「 露出狂の変態魔法使いが・・ 」と呟いた。
そしてそれが聞こえたルーンは心外!とばかりに噛み付く。
「 なっ!!?あたいは露出狂の変態じゃねぇーーー!
ただちょっと人の視線が自分の身体に向くと気持ちよくなっちゃうだけなんだぜ! 」
「 ハッハッハッ!ルーン、それはまごうことなき露出狂の変態だ!
俺もその格好はどうかと思っているぞ! 」
クルトは怒るルーンを指差し腹を抱えて笑っていたが、そのやり取りをみていたレナがニッコリ笑いながら突然片手をス~と挙げた。
「 はいは~い♡
私この間、階段の踊り場の大きな鏡の前で上半身裸のクルト先生がポージングしまくっているのを見ました~。
あんまりにも面白かったので< 映写球 >でた~くさん映像取りましたよー。 」
そう言ってレナは映写球を胸ポケットから取りだすと、宙にパッパッと様々なポージングをとるクルトの映像が浮かび上がる。
それを見た瞬間、セリナもルーンも吹き出し、他の教員達も同じく吹き出しては大笑いを始めてしまった。
「 おっおまっ!!クルト!放課後生徒たちがいなくなった所で何やってんだよ!?
あたい以上の変態じゃねーかっ!! 」
「 クッ・・クルト先生っ・・!
せっ生徒のお手本になるべき姿をっ・・・見せっ・・! 」
息も絶え絶えに笑うセリナとルーンをクルトは無表情に見下ろし「 は?何かおかしいところでも? 」と冷静に返答したものだから、セリナとルーンは崩れ落ちて笑いだしてしまった。
私はそんな巫山戯て笑うセリナ達や、少し離れた所で地面に転がって笑う他の教員達を見渡しため息を付き ” まぁ、こうして笑っていられるのは平和な証拠か・・ ” と思いながらーーーー森の方へと視線を向ける。
森は静かにそこにあり今日も街は平和そのものだ。
ーーーーただし、言葉の最後に ” 今はまだ ” が付く。
モンスターの大量増加から始まったグリモアを襲う数々の事件・・
街の食料、物資の流通の滞り、王都からの応援と称した盗賊まがいの大量の冒険者達の派遣、そしてそれに伴った多くのトラブルと治安悪化。
そのため守備隊も上手く機能しない上、対応に追われ続ける冒険者や傭兵ギルド、治療に追われる教会ーーと、まるで誰かが意図的に仕組んだとしか思えない様な混乱に全ての対応が遅れ、常に後手にならざるを得ない状況が続いていた。
敵の狙いは分からず
そして少しづつ少しづつ悪くなっていく状況は人を酷く疲弊させるものであった。
そんな絶望の中、ギリギリのタイミングで ” 希望 ” を見せたのが、やはりリーフ殿だ。
リーフ殿はなんと入学してから直ぐ冒険者になり数々の難解な依頼を解決。
更に早々に盗賊まがいの冒険者達のトップを崩してしまったのだそう。
その知らせを受けた時には流石に腰が抜けるかと思ったが、まだまだ続く嘘の様な出来事が起こり続ける。
街の流通の復活。
さらに高ランクモンスターを進んで朝討伐しているらしく守備隊や冒険者、傭兵達への負担軽減を果たすと、守備隊は本来の仕事である街の防御に徹する事ができるため街の治安は劇的に回復。
それにより街は元の・・いや、前以上の活気を取り戻した。
更に不思議な事に正体不明の黄色い何かと黒いボールの様な外見の者達が、森中にある難関不落のダンジョンを潰しまわっているとの事で、戦闘員達の怪我自体が減ると教会も力を取り戻し始める。
その結果、それを導いたリーフ殿の事を誰が言い始めたか ” 救世主様 ” と言い出し、それが今やすっかり定着してしまった様だ。
街の人々は不安と絶望に耐えながら、 ” 救世主 ” という希望を見出し見事に立ち上がった。
『 シュペリンの踊り猫 』の様にーー・・
” 人々に ” 希望 ” を与えた猫はその後一体どこに行くのでしょう? ”
先程のセリナの言葉が頭を過ぎったが、何を馬鹿な・・とその考えを振り払い、敵の次なる狙いはなんだ?と考えた。
107
お気に入りに追加
1,993
あなたにおすすめの小説
聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど?
バナナ男さん
BL
主人公の現在暮らす世界は化け物に蹂躙された地獄の様な世界であった。
嘘か誠かむかしむかしのお話、世界中を黒い雲が覆い赤い雨が降って生物を化け物に変えたのだとか。
そんな世界で兵士として暮らす大樹は突然見知らぬ場所に召喚され「 世界を救って下さい、聖女様 」と言われるが、俺男〜しかも兵士なんだけど??
異世界の王子様( 最初結構なクズ、後に溺愛、執着 )✕ 強化された平凡兵士( ノンケ、チート )
途中少々無理やり的な表現ありなので注意して下さいませm(。≧Д≦。)m
名前はどうか気にしないで下さい・・
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
【 完結 】お嫁取りに行ったのにキラキラ幼馴染にお嫁に取られちゃった俺のお話
バナナ男さん
BL
剣や魔法、モンスターが存在する《 女神様の箱庭 》と呼ばれる世界の中、主人公の< チリル >は、最弱と呼べる男だった。 そんな力なき者には厳しいこの世界では【 嫁取り 】という儀式がある。 そこで男たちはお嫁さんを貰う事ができるのだが……その儀式は非常に過酷なモノ。死人だって出ることもある。 しかし、どうしてもお嫁が欲しいチリルは参加を決めるが、同時にキラキラ幼馴染も参加して……? 完全無欠の美形幼馴染 ✕ 最弱主人公 世界観が独特で、男性にかなり厳しい世界、一夫多妻、卵で人類が産まれるなどなどのぶっ飛び設定がありますのでご注意してくださいm(__)m
奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。
拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ
親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。
え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか
※独自の世界線
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる