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第二十二章
752 フルフェイスは無理
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( クラーク )
「 よ~し!!心構えはバッチリできたな!!
じゃあーーーー始めっ!! 」
クルト先生が上げている手を勢いよく下に下げると、その場にいた全員が開かれた塔の扉へと全力で走っていった。
その場を動かないジェニファー様と俺を置いて。
先程のうるささが嘘の様に静まり返ったその場で俺は小さく息を吐く。
下るダンジョンならまだしも100階まで階段を登るならドレスや装飾品を身につけた状態では無理。
それを理解してジェニファー様はこの課題をリタイアしようと考えた様だ。
恐らくは遅れる事で皆に迷惑を掛けるくらいなら・・と思っての事だと思われる。
「 ・・・。 」
俺はジェニファー様の後ろに立ったまま、手を後ろに回し休めの体制をとった。
ジェニファー様が決めた事なら臣下の俺はそれに従う。
このまま授業が終了するまでこの場で待機、それが俺たちの選択だ。
それからしばし経った頃、いつまでも動こうとしない俺たちに対し困った顔をしたクルト先生とルーン先生がゆっくりと近づいてきた。
「 ジェニファー殿、クラーク殿。
二人は塔の中には入らないのか?
何なら今からでも更衣室で着替えてきて参加しても構わないが・・ 」
グイッと更衣室がある建物を指さしながらクルト先生がそう言ったが、ジェニファー様は「 結構ですわ。 」とはっきりとNOを告げる。
それに対しクルト先生とルーン先生は汗を垂らしながら、お互い顔を見合わせ頭をポリポリと掻いた。
「 ・・あ~・・あのよ、あたいの魔法の授業ではどんな格好をしても良いって言っただろ?
それって元々持っている魔法のイメージを、実際の戦いを経験していく中で照らし合わせて欲しかったからなんだぜ。
実際後衛だって前衛並に走ったり避けたりしなきゃならないからな。
今回はそういった事も想定しての課題なんだ。
だから流石に塔を登りながらだとその格好じゃ・・ 」
「 ですので辞退しますわ。 」
とりつく暇もないくらいズバッ!と答えたジェニファー様に、うう~んと頭を抱えてしまったクルト先生とルーン先生。
結局二人は ” まぁ、仕方ないか~ ” と諦め、そのまま元の場所に戻ろうと踵を返したのだがーーーー
「 見つけたーーーー!!!! 」
そんな聞き覚えのある声が空から聞こえたため動きを止めると、なんと何者かが先生達と俺たちの間にドスーーーン!!と大きな音を立てて着地した。
「「 リーフ( 殿 )っ!!?? 」」
先生たちが同時に声を上げ、その突然現れた生徒ーーリーフ様の名を呼ぶと、リーフ様はニッコリ笑った後、俺とジェニファー様の方を振り返る。
「 ジェニファーちゃんとクラーク君め~っけ!
塔の入口はあっちだよ。行こう行こ~。 」
相変わらずのマイペースさに汗を掻きつつ、突然現れたリーフ様に驚き、目を見張る俺達。
しかしそんな視線はなんのその。
リーフ様は塔の入口を指差したが、急にあっ!と何かに気づいた様子を見せながら、今度は塔の横に絡みつく様に伸びている階段を指差し言った。
「 あそこから飛び降りてきたんだよ。
なんか中に入って少ししたらジェニファーちゃんとクラーク君がいないことに気づいてね。
あのぐるぐる階段を登っている時にここにいることに気づいて迎えにきたんだよ。 」
「 ・・幻影空間に繋がっているはずなんだが・・? 」
あっけらかんとした様子で説明するリーフ様を、クルト先生とルーン先生はジト~とした目を向けながらボソリと呟いたが、今までの経験からそこまでは驚いてはない様だ。
気がつけば誰も思いつかぬやり方でいくつも課題をクリアーしてきたリーフ様に ” いつもの事 ” という雰囲気が漂う。
そして意思疎通が若干ズレるのもいつものこと。
俺達はどうやって現れたかに驚いたのではなく、その派手な登場の仕方と何で戻ってきたのかという事に驚いているのに、どうやらどこから飛んで来たのかについて驚いていると思っているらしい。
ジェニファー様の方へ視線をチラッと向けると、少々動揺している様子だったが直ぐに持ち直し、ツンッとリーフ様から視線を逸して言った。
「 私は辞退したのでお気になさらず。
お気遣いどうもありがとうございます。 」
「 ??何でだい?具合でも悪いの? 」
リーフ様はグイ~と顔を傾けてて不思議そうな顔をしたので、後ろにいるクルト先生がヒソヒソと先程の出来事を説明した様だ。
すると、あ~!とリーフ様は納得した様子で大きく頷いた。
「 そっかそっか~!ジェニファーちゃんの格好だと階段100階まではちょっとキツそうだもんね。
俺も全身フルフェイス鎧でアレ登るのちょっと嫌だな。 」
「 ???フ、フルフェイス??
ーーーと、とりあえずそういう事ですの。
私は何があってもこのドレスは脱ぐ気はありませんので、どうか放って置いて下さいませ。 」
リーフ様の最後の言葉には疑問が残ったが、ジェニファー様はハッキリと自分の考えを曲げるつもりがないと意志を表明した。
それを聞いてリーフ様は「 分かった! 」と答えたので、これで終わりだろうと俺もジェニファー様も想い肩の力を抜いたーーー
のだがーーー?
「 よ~し!!心構えはバッチリできたな!!
じゃあーーーー始めっ!! 」
クルト先生が上げている手を勢いよく下に下げると、その場にいた全員が開かれた塔の扉へと全力で走っていった。
その場を動かないジェニファー様と俺を置いて。
先程のうるささが嘘の様に静まり返ったその場で俺は小さく息を吐く。
下るダンジョンならまだしも100階まで階段を登るならドレスや装飾品を身につけた状態では無理。
それを理解してジェニファー様はこの課題をリタイアしようと考えた様だ。
恐らくは遅れる事で皆に迷惑を掛けるくらいなら・・と思っての事だと思われる。
「 ・・・。 」
俺はジェニファー様の後ろに立ったまま、手を後ろに回し休めの体制をとった。
ジェニファー様が決めた事なら臣下の俺はそれに従う。
このまま授業が終了するまでこの場で待機、それが俺たちの選択だ。
それからしばし経った頃、いつまでも動こうとしない俺たちに対し困った顔をしたクルト先生とルーン先生がゆっくりと近づいてきた。
「 ジェニファー殿、クラーク殿。
二人は塔の中には入らないのか?
何なら今からでも更衣室で着替えてきて参加しても構わないが・・ 」
グイッと更衣室がある建物を指さしながらクルト先生がそう言ったが、ジェニファー様は「 結構ですわ。 」とはっきりとNOを告げる。
それに対しクルト先生とルーン先生は汗を垂らしながら、お互い顔を見合わせ頭をポリポリと掻いた。
「 ・・あ~・・あのよ、あたいの魔法の授業ではどんな格好をしても良いって言っただろ?
それって元々持っている魔法のイメージを、実際の戦いを経験していく中で照らし合わせて欲しかったからなんだぜ。
実際後衛だって前衛並に走ったり避けたりしなきゃならないからな。
今回はそういった事も想定しての課題なんだ。
だから流石に塔を登りながらだとその格好じゃ・・ 」
「 ですので辞退しますわ。 」
とりつく暇もないくらいズバッ!と答えたジェニファー様に、うう~んと頭を抱えてしまったクルト先生とルーン先生。
結局二人は ” まぁ、仕方ないか~ ” と諦め、そのまま元の場所に戻ろうと踵を返したのだがーーーー
「 見つけたーーーー!!!! 」
そんな聞き覚えのある声が空から聞こえたため動きを止めると、なんと何者かが先生達と俺たちの間にドスーーーン!!と大きな音を立てて着地した。
「「 リーフ( 殿 )っ!!?? 」」
先生たちが同時に声を上げ、その突然現れた生徒ーーリーフ様の名を呼ぶと、リーフ様はニッコリ笑った後、俺とジェニファー様の方を振り返る。
「 ジェニファーちゃんとクラーク君め~っけ!
塔の入口はあっちだよ。行こう行こ~。 」
相変わらずのマイペースさに汗を掻きつつ、突然現れたリーフ様に驚き、目を見張る俺達。
しかしそんな視線はなんのその。
リーフ様は塔の入口を指差したが、急にあっ!と何かに気づいた様子を見せながら、今度は塔の横に絡みつく様に伸びている階段を指差し言った。
「 あそこから飛び降りてきたんだよ。
なんか中に入って少ししたらジェニファーちゃんとクラーク君がいないことに気づいてね。
あのぐるぐる階段を登っている時にここにいることに気づいて迎えにきたんだよ。 」
「 ・・幻影空間に繋がっているはずなんだが・・? 」
あっけらかんとした様子で説明するリーフ様を、クルト先生とルーン先生はジト~とした目を向けながらボソリと呟いたが、今までの経験からそこまでは驚いてはない様だ。
気がつけば誰も思いつかぬやり方でいくつも課題をクリアーしてきたリーフ様に ” いつもの事 ” という雰囲気が漂う。
そして意思疎通が若干ズレるのもいつものこと。
俺達はどうやって現れたかに驚いたのではなく、その派手な登場の仕方と何で戻ってきたのかという事に驚いているのに、どうやらどこから飛んで来たのかについて驚いていると思っているらしい。
ジェニファー様の方へ視線をチラッと向けると、少々動揺している様子だったが直ぐに持ち直し、ツンッとリーフ様から視線を逸して言った。
「 私は辞退したのでお気になさらず。
お気遣いどうもありがとうございます。 」
「 ??何でだい?具合でも悪いの? 」
リーフ様はグイ~と顔を傾けてて不思議そうな顔をしたので、後ろにいるクルト先生がヒソヒソと先程の出来事を説明した様だ。
すると、あ~!とリーフ様は納得した様子で大きく頷いた。
「 そっかそっか~!ジェニファーちゃんの格好だと階段100階まではちょっとキツそうだもんね。
俺も全身フルフェイス鎧でアレ登るのちょっと嫌だな。 」
「 ???フ、フルフェイス??
ーーーと、とりあえずそういう事ですの。
私は何があってもこのドレスは脱ぐ気はありませんので、どうか放って置いて下さいませ。 」
リーフ様の最後の言葉には疑問が残ったが、ジェニファー様はハッキリと自分の考えを曲げるつもりがないと意志を表明した。
それを聞いてリーフ様は「 分かった! 」と答えたので、これで終わりだろうと俺もジェニファー様も想い肩の力を抜いたーーー
のだがーーー?
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