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第二十一章

739 終焉の世界

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( リーフ )


その内容を目にした後、俺はゴクリと喉を鳴らした。


恐らくあの謎の人物が言っていた ” 目 ” とはこれの事に間違いない。

自身の存在している ” 世界 ” はこのアルバード王国が存在している世界の事、そしてその運命を ” 理 ” から覗くという事はーーーー



先程見た出来事はこれから起こる予定の未来の映像であったと、そういう事だ。



” 先程の恐ろしい出来事が現実にーーー ”


それを考えたらゾワッ!と恐怖が体を襲い、完全に目は覚めた。



反教会組織の結成、そしてその後に起こる教会と反教会組織の戦いは恐らくグリモアでの事件が発端だ。


親友のメルちゃんを亡くしてしまったレイド

双子の妹リリアちゃんを亡くしてしまったサイモン


その二人がその組織を立ち上げ、同じ様に大切な者達を亡くした同志達を集めてその組織ができた・・・

そう考えると今現在そんな組織はないというのが合点がいく。

更に分かる事は、反教会組織がかなりの巨大な組織であった事からも多分被害はグリモアだけに留まらなかったのではないか?という事。


俺はう~う~と唸り声を上げながらレオンの胸にゴリンゴリンと頬を擦り付けて、グリモアの正門の前方にいた黒くて巨大な ” 何か ” を必死に思い出した。


多分アレがその事件の犯人。


それに気づいた俺はカッ!!と目を見開いた後、レオンの腰に手を回して突然飛び起きそのままベッドの上にレオンを放り投げた。


だったら俺にできることは一つだけ。



あの ” 何か ” を、俺がぶっ飛ばす!



昨日に引き続きボールの様に投げられてしまったレオンは空中でキョトンとした可愛い顔を見せてきたので、俺はホッコリ笑顔になりながら大声で叫ぶ。


「 レオーーン!!今日から修行はいつもの100倍だーー!!!

俺についてこーーい!! 」


レオンは不思議そうな顔をしたまま俺の腕の中に落ちてきたので俺はそれをしっかりキャッチ。

グイッと覗き込むと、レオンは直ぐにニコッと控えめな笑顔を見せて「 はい。 」といつも通りのイエスマンな答えを返してきたので、俺は笑顔でそれに返事を返した。



あの ” 何か ” が何かは分からないが、第二騎士団が全滅していた事からも相当強いのは確実なので、今のままでは絶対に俺の負け。


だから強くなる事、これが最優先。


俺はゆっくりレオンをベッドの上に降ろし、ポクポクとトンチ少年の様に他にも今の時点で分かった事を考えた。



俺が最大限に恐れているのは大きく ” 運命 ” を変える事で起こりうる< 補正力 >

これが働く事でより多くの犠牲が出るかもしれないと以前レーニャちゃんに忠告されたわけだがーーー


どう見てもコレ、最悪な形の未来だよね・・?


先程の映像を思い出してゾゾ~としながら、この事件の後?多分レオンハルトが旅立つ直前の出来事らしい映像もあった事を思い出し、そうか・・と一つの事実を知る。



『 アルバード英雄記 』は悪役が勝利した世界の終焉を描いた物語だったのだ。



誰も幸せになれなかった世界だったんだ・・

勝利したはずの悪役達も。



俺の脳裏には高らかに笑っていた世界一幸せそうに笑うエドワードの姿を思い出し、何とも言えない気持ちを抱いた。


手が届きそうだった理想の世界は、その犠牲になって壊されたレオンハルトによって跡形もなく消えてしまったのだから。



因果応報。何とも皮肉めいた話だなぁ・・



チラッと降ろされたベッドの上でちょこんと可愛らしく座り込んで大人~しく俺を見上げるレオンを見下ろし、ヤレヤレとため息をついた。


結局はどんなに安全な所にいたって川を汚し続ければいつかは巡り巡って自分の口に入ってくるのだよ、自分が汚した汚水は。


よ~ちよち!と目の前に座るレオンの頭を撫でながらもう一度ため息をつき、それに・・と現在の状況をもう一度確認する。


本来ここにいないはずのレオンハルトがこのグリモアにいる限り、この事件が起きてしまえばレオンハルトの正規の運命は大きく変わる・・いや、どころかここで人生が終了するかもしれないぞ!


た、た、大変だ!!


うっとりと撫でられていたレオンの頭から手を外し、あわわわ・・と焦りがニョキニョキと体中から飛び出してきた。


も、もしかして鉱山にいたほうが安全だったって事・・?

あれ、セーフティーゾーンだった・・とか・・?



ガガーーン!!


ショックで倒れそうになりながらも、カカッ!と目を見開きその場で踏ん張る。

そしてゴッ!!と燃え上がった俺は拳を強く握って心に誓った。


” 何か ” を倒してレオンを守る!

悪役枠は俺!あんな黒い変なのと同じ土俵など御免被る!


気合満々になった俺はそのまま着替えようとして、フッ・・と自身の格好を見下ろすと、肩と背中がパックリ、下はスリットが股間部スレスレまで入っているよ!的な、冬に優しくないぴっちり紺色のセクシードレスに包まれている自分の体があった。
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