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第二十一章
725 それぞれの最後
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( リーフ )
俺はずっとずっと叫んでいるのに声一つ届かない事に更に叫び、唸り声まで上げたが何一つ伝わらず・・
また景色は変わり、今度は冒険者ギルドがある東門の前に俺はいた。
ここも沢山のモンスターが襲い掛かってきており、ほとんどの冒険者達が既に息絶えそこら中に物言わぬ死体として転がったまま。
そんな中で戦い続けているのは数人でその内の三人は非常に見覚えのある人たちであった。
「 まさかこんなものを手にしていたとはのぉ・・
神の罰をも恐れぬ愚か者どもが。
恐らくこの街も周辺の街々も全て全滅じゃろうて。
あれを倒すためにはドロティア帝国と同じ選択をするしかあるまい。
ニコラ王は決断を迷われている様じゃが長引けば長引くほど被害は拡大していく。
もう既に遠い街にまで被害の手は広がっているようじゃな。 」
「 そんな・・!
せめて子供達だけでも助けられないのでしょうか?
仕方がないとはいえ、まだ幼い子供達にそれを負わすのはあまりにも酷い・・! 」
一人は2m・・いや下手をしたら3mくらいはありそうなムキムキの大男だが、声と口調からそれがヘンドリクさんだという事が分かった。
そしてそのヘンドリクさんと話しているのはゴツいナックルを装備しているエイミさんで、二人は飛びかかってきたモンスターをやすやすと倒しながら会話をしているが・・
ヘンドリクさんはいつもの穏やかそうな顔ではなく非常に険しい顔をしており、エイミさんも同様に険しい顔をしていてかなり怒っている様子だ。
会話の詳しい内容はよく分からないが、何者かのせいで何か恐ろしいモノがグリモアを襲い、それによって街は壊滅状態であるという事は分かった。
そしてそのせいでグリモアだけではなく遠い街までそれが広がっているほど被害が甚大である事も・・
俺の脳裏には先程森の上空いっぱいを覆っていた ” 何か巨大な影の様なモノ ” が浮かんだ。
まさか・・・アレがその原因のヤツ・・?
その正体について考えていると、エイミさんの悲痛な声を聞いたヘンドリクさんは、キュッと顔を歪め、辛そうな声でそれに答える。
「 ・・・無理じゃろうな。
わしとてなんとか助けてやりたいが・・その経路は全て閉じられてしまっている。
相当な魔術の使い手が向こうにはついているようじゃ。
こんな老いぼれの命なら喜んで差し出すのに・・神はなんと無慈悲な事を・・。 」
最後は自傷気味に言ったヘンドリクさんの元に上からドスンッ!!と両手に巨大な斧を持った男性が振ってきて、キッ!と向かいくるモンスター達の集団を睨みつけた。
「 俺は・・俺は情けないっ!!
今まで必死に努力して努力して・・っ!!A級冒険者までせっかく上り詰めたのに子供一人すら救えないとはっ!!
こんな事をした奴らを全員ぶっ飛ばしてやりたい!!
ヘンドリク様、これは神の起こした事ではありません。
非道な人間たちが起こしたただの最低最悪の人災です!
俺は無駄だと分かっていても抗ってやるさ、最後までっ!! 」
両手に大斧を持った男はザップルさんであった。
ザップルさんはその後「 うおおおーーー!! 」と大声をあげると、そのままモンスター達の集団に突っ込んで行ってしまう。
それを見たエイミさんは悲しげな顔を見せたが、やがてフフッと笑った。
「 確かにそれしか私達にできる事はありませんね。
こうなったら暴れるだけ暴れて、後に残される人たちに対し精一杯のメッセージを残しましょう。
グリモアの冒険者達は ” 悪 ” に屈せず戦い抜いたと。
そしてどうか、後世で ” 悪 ” を討ち滅ぼす者達が現れますように・・! 」
エイミさんは一度祈りを空に捧げると、ナックルがついた両拳をパンッ!と打ち合い、ザップルさんに続いてモンスター達の集団の中に消える。
ヘンドリクさんはそんな2人を見送った後、ふぉっふぉっと嬉しそうに笑った。
「 全く・・。そんな事を若者に言われてしまえば年寄りの立つ瀬がなくなってしまうのではないか。
助からんならせめて順番は守らねばのぉ。
死ぬのは老いぼれのワシが先じゃ。
こんな出がらしみたいな老いぼれがどれだけ命を燃やせるか、楽しみになってきたわい。 」
そうしてヘンドリクさんもモンスターの集団の中へと消えていった。
ーーーカチャッ!
スライドする様に景色が変わり、今度は見るからにボロボロの小屋の中。
そこには辺り一面色とりどりのキノコの残骸が散らばっていて中に生えているキノコは全滅、そして何かを引きずる様な血の跡が小屋の隅の方へと続いている。
俺は嫌な予感をビシビシと感じながらその血の跡を目線で辿っていくと、その先にいたのは・・
必死に数本のキノコを抱えて壁にもたれ掛かっている・・血だらけのライキーさんであった。
ひゅー・・ひゅー・・というか細い呼吸音は外の沢山のモンスター達の足音や鳴き声によって掻き消され、直ぐにでも逃げなければ命はない事は誰が見ても明白であったがーーー
ライキーさんは既に腹の側面は全て食いちぎられており、更に両足も喰われてしまったのかなくなっていたため、息絶えるのが先か、モンスターに襲われるのが先かという状態であった。
そんな中、ライキーさんは抱えているキノコをギュッ・・と抱きしめ、幸せそうに笑った。
「 ・・僕・・と・・君を繋ぐ・・大事・な・・最後の絆・・・。
絶対に・・離さ・・ないよ。
ーーーあーちゃん・・・ 」
そう口にした瞬間、巨大なモンスターの足が小屋を踏み潰す。
ーーーグシャッ!!!
大きな破壊音と赤い血しぶきと共にライキーさんのキノコ小屋は全壊してしまった。
俺はずっとずっと叫んでいるのに声一つ届かない事に更に叫び、唸り声まで上げたが何一つ伝わらず・・
また景色は変わり、今度は冒険者ギルドがある東門の前に俺はいた。
ここも沢山のモンスターが襲い掛かってきており、ほとんどの冒険者達が既に息絶えそこら中に物言わぬ死体として転がったまま。
そんな中で戦い続けているのは数人でその内の三人は非常に見覚えのある人たちであった。
「 まさかこんなものを手にしていたとはのぉ・・
神の罰をも恐れぬ愚か者どもが。
恐らくこの街も周辺の街々も全て全滅じゃろうて。
あれを倒すためにはドロティア帝国と同じ選択をするしかあるまい。
ニコラ王は決断を迷われている様じゃが長引けば長引くほど被害は拡大していく。
もう既に遠い街にまで被害の手は広がっているようじゃな。 」
「 そんな・・!
せめて子供達だけでも助けられないのでしょうか?
仕方がないとはいえ、まだ幼い子供達にそれを負わすのはあまりにも酷い・・! 」
一人は2m・・いや下手をしたら3mくらいはありそうなムキムキの大男だが、声と口調からそれがヘンドリクさんだという事が分かった。
そしてそのヘンドリクさんと話しているのはゴツいナックルを装備しているエイミさんで、二人は飛びかかってきたモンスターをやすやすと倒しながら会話をしているが・・
ヘンドリクさんはいつもの穏やかそうな顔ではなく非常に険しい顔をしており、エイミさんも同様に険しい顔をしていてかなり怒っている様子だ。
会話の詳しい内容はよく分からないが、何者かのせいで何か恐ろしいモノがグリモアを襲い、それによって街は壊滅状態であるという事は分かった。
そしてそのせいでグリモアだけではなく遠い街までそれが広がっているほど被害が甚大である事も・・
俺の脳裏には先程森の上空いっぱいを覆っていた ” 何か巨大な影の様なモノ ” が浮かんだ。
まさか・・・アレがその原因のヤツ・・?
その正体について考えていると、エイミさんの悲痛な声を聞いたヘンドリクさんは、キュッと顔を歪め、辛そうな声でそれに答える。
「 ・・・無理じゃろうな。
わしとてなんとか助けてやりたいが・・その経路は全て閉じられてしまっている。
相当な魔術の使い手が向こうにはついているようじゃ。
こんな老いぼれの命なら喜んで差し出すのに・・神はなんと無慈悲な事を・・。 」
最後は自傷気味に言ったヘンドリクさんの元に上からドスンッ!!と両手に巨大な斧を持った男性が振ってきて、キッ!と向かいくるモンスター達の集団を睨みつけた。
「 俺は・・俺は情けないっ!!
今まで必死に努力して努力して・・っ!!A級冒険者までせっかく上り詰めたのに子供一人すら救えないとはっ!!
こんな事をした奴らを全員ぶっ飛ばしてやりたい!!
ヘンドリク様、これは神の起こした事ではありません。
非道な人間たちが起こしたただの最低最悪の人災です!
俺は無駄だと分かっていても抗ってやるさ、最後までっ!! 」
両手に大斧を持った男はザップルさんであった。
ザップルさんはその後「 うおおおーーー!! 」と大声をあげると、そのままモンスター達の集団に突っ込んで行ってしまう。
それを見たエイミさんは悲しげな顔を見せたが、やがてフフッと笑った。
「 確かにそれしか私達にできる事はありませんね。
こうなったら暴れるだけ暴れて、後に残される人たちに対し精一杯のメッセージを残しましょう。
グリモアの冒険者達は ” 悪 ” に屈せず戦い抜いたと。
そしてどうか、後世で ” 悪 ” を討ち滅ぼす者達が現れますように・・! 」
エイミさんは一度祈りを空に捧げると、ナックルがついた両拳をパンッ!と打ち合い、ザップルさんに続いてモンスター達の集団の中に消える。
ヘンドリクさんはそんな2人を見送った後、ふぉっふぉっと嬉しそうに笑った。
「 全く・・。そんな事を若者に言われてしまえば年寄りの立つ瀬がなくなってしまうのではないか。
助からんならせめて順番は守らねばのぉ。
死ぬのは老いぼれのワシが先じゃ。
こんな出がらしみたいな老いぼれがどれだけ命を燃やせるか、楽しみになってきたわい。 」
そうしてヘンドリクさんもモンスターの集団の中へと消えていった。
ーーーカチャッ!
スライドする様に景色が変わり、今度は見るからにボロボロの小屋の中。
そこには辺り一面色とりどりのキノコの残骸が散らばっていて中に生えているキノコは全滅、そして何かを引きずる様な血の跡が小屋の隅の方へと続いている。
俺は嫌な予感をビシビシと感じながらその血の跡を目線で辿っていくと、その先にいたのは・・
必死に数本のキノコを抱えて壁にもたれ掛かっている・・血だらけのライキーさんであった。
ひゅー・・ひゅー・・というか細い呼吸音は外の沢山のモンスター達の足音や鳴き声によって掻き消され、直ぐにでも逃げなければ命はない事は誰が見ても明白であったがーーー
ライキーさんは既に腹の側面は全て食いちぎられており、更に両足も喰われてしまったのかなくなっていたため、息絶えるのが先か、モンスターに襲われるのが先かという状態であった。
そんな中、ライキーさんは抱えているキノコをギュッ・・と抱きしめ、幸せそうに笑った。
「 ・・僕・・と・・君を繋ぐ・・大事・な・・最後の絆・・・。
絶対に・・離さ・・ないよ。
ーーーあーちゃん・・・ 」
そう口にした瞬間、巨大なモンスターの足が小屋を踏み潰す。
ーーーグシャッ!!!
大きな破壊音と赤い血しぶきと共にライキーさんのキノコ小屋は全壊してしまった。
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