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第二十一章

715 完敗

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( リーフ )

ちょっと言われた言葉の内容が分からな過ぎて、意識が一瞬昨日食べたアヒルの肉サンドに飛ぶと、お腹がキュキュ~と可愛らしい音を立てる。


そしてそのままクリスマスの豪華メニューにまで意識がスキップしていきそうになったのでーーー首をブンブン!と振ってアヒルのお肉から現実へ意識を戻した。


” ちょっと触っただけなのにビビっちゃって情けない。

マッサージを受けてデロデロになっちゃって駄目駄目過ぎ~。


そんな弱くて満足しちゃ駄目だよね?

努力しないでどうせ現実逃避するんでしょ?

少しくらいは見逃してもいいけどね~ヤレヤレ。


あ、何かアヒルの事を思い出したから言っておこう。 ”



ガガーーーン!!!


あまりの酷い言われように、ぐわんぐわん視界が回りフラフラと足元がおぼつく。


心を抉る様な暴言の数々に、確実にクリティカルヒットしてくる言葉選び!


親にとっての地獄の試練、反抗期!!


ショックで真っ白になった頭の中では、純粋で可愛かったレオンがアヒル達と戯れている映像が流れ、「 リ~フ様~! 」と無邪気な様子で俺に手を振っている。


「 レオ~ン!一緒に遊ぼ~! 」


ダッ!と走りながら中剣を抜き、晩ごはん用にレオンの周りにいるアヒル達を狩り・・・


ーーーと、まさにご指摘の通りに現実逃避しかけていたのに気づき、もう一度ブンブンと首を振ると、負けるもんか!とレオンに反撃を開始する。



「 何を言っているんだい!俺だって頑張っているんだよ!

確かに気持ちいいのに負けちゃうちょっと駄目なおじ・・じゃなくてご主人だけど、心はそう簡単に負けやしないさ。

レオンには俺の頑丈なハートを評価してもらいたい。 」



「 ・・・そうですか。

確かにそうでしたね。体は簡単でしたから。

それを手に入れたら全てを手に入れた様な気がして・・確かに傲慢そのものでしたね。


体や魂が同じものでも俺の心は動きませんでした。

そう考えるとやはり全てを手にする事がとても重要なものだと俺は気づきましたよ。

あの気味の悪いヤツのせいで。 」



” あれだけグズグズデロデロの状態を見ちゃうとね~・・チョロすぎてお話にならないから勝ったと思っては駄目だったね!

そんなんじゃ、俺の心は動かないよ!この雑魚助!

そりゃ~体も心も全部が強い方が良いに決まっているでしょ?

全然頑丈でもなんでもないハートを持った気味の悪いリーフ様のせいで気づきましたよ! ”



ーーークリティカルヒット!!!


俺は胸を押さえてフラフラフラ~と後ろに倒れそうになったが、お相撲の四股を踏むかの如く、ドスンッ!!とその場に踏ん張る!

そして無表情でこちらを見下ろすレオンの目を真っ直ぐにキッ!と睨みつけた。


「 そっ、そもそも俺は逃げたりしないよ!ちゃんと向き合っているさ!

見ている範囲なら許すって・・そんなドッグ・ランみたいな言い方は良くない! 」


「 リーフ様はすぐいなくなります。

スルッと・・気がつけば腕の中にいない。


でも別にいいんです。直して欲しいなど思っていませんので。

俺は俺の見える範囲なら許す事にしました。

代価もきっちり頂くので構いませんよ。ある程度なら。

どうせ逃げられないのだから箱庭の中でくらい自由にさせないと可哀想だし・・何より自由に無邪気に遊ぶ姿は好ましいと思ってますので。

アヒルもそこから逃さず、自由にしてから食べるでしょう? 」



ズギャギャーーーーーッン!!!!

凄まじい衝撃が体を襲い、とうとう踏ん張っていられずフラ~と後ろに倒れていったーーーが、レオンにワシっ!と二の腕を掴まれているので倒れずにすみブランッと宙ぶらりんに。


力を失った俺を見て ” 勝った!! ” と思ったのか、レオンは嬉しそうに笑った。


「 どんなに嫌がっても無駄ですので少しづつ受け入れていきましょうね。

離れる選択肢なんてないのだから。

いつまでも待ってますのでごゆっくりどうぞ。 」


 
” 直ぐに脱走する家畜アヒルと同じなんだから諦めなよ。

自由にさせて最後は食事になるという代価を払う、それは仕方がない。


どんなに嫌でもそれが事実なんだから真実を受け入れたらどう?

それから離れる事はできないんだから、ゆっくり受け入れていけば~? ”



フィニッシュ!!とばかりにトドメを刺され、俺は真っ白な灰になって心はサラサラと砂の様に風に飛ばされていった。


完敗・・・

俺、今日から家畜アヒルの仲間入り・・・


黙ったまま意気消沈している俺をニコニコとしながら見下ろし、そのまま片手で持ち上げ抱っこすると、「 本当にキレイだ・・ 」「 凄いな、ただの白い布なのに・・ 」やら、白いドレスに対する感想を次々と述べてくる。


同時にサスサスと手や背中を擦る動きから少々の罪悪感は感じている様子だが、メンタルボロボロの俺に少し時間を下さい・・と俺は無言。

そんな無言の俺を勝ち誇ったうっとり顔で見下ろしながら、レオンはベッドルームまで俺を運んでくれた。


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