上 下
699 / 1,370
第十九章

684 イメージ変わる〜

しおりを挟む
( リーフ )



目を見開いて驚くルルちゃんはその後、体を丸めて「 む、無抵抗・・ 」「 無理やりも・・あり~・・ 」と何やらブツブツ・・


とりあえずは嬉しそうな雰囲気だけはプンプンと漂ってきたので大丈夫そうだと、視線をレオンへと移す。

すると、こっちはこっちでオドオドビクビクしていて、どうやら女の子だらけのこの場所の居心地がそうとう悪い様子。


確かにレオンは男ということを差し引いてもここでも非常に目立っているのでその気持ちは分かるが・・

せっかく来たのでその目的を是非達成して欲しいと考えた俺は、意を決してそんなレオンに話しかける。


「 さぁ、レオン。好きなお洋服を見つけて持っておいで。

何でもいいからね。 」


「 えっ?!俺が選んでも・・いいのですか? 」


パァッと電気がつくように明るくなるレオンの雰囲気。

嬉しくて嬉しくても堪らない様子に俺もとても嬉しい気持ちになった。


「 もちろんだよ!

白いドレスでも何でも!好きなのを選んでいいからね。

レオンが選ぶ事に意味があるんだから! 」



「 白いドレス・・俺が選ぶことに意味が・・

~~っ・・・はい・・! 」



レオンはムワンムワンと喜びオーラを滲ませ俺の前髪をちょいちょい摘んでイジイジ弄ぶ。

「 絶対に似合うドレスを・・選びます。 」

意を決した様な表情でそう言い残し、レオンはど真ん中のエリアへと向かって行った。


まるで今から戦場に行くかの様な雰囲気に、やれやれ・・とため息。

真面目なレオンは一切手を抜かずにドレスを選んでくるらしいので、それまでゆっくり待とう~。

妥協は絶対にしないだろうから多分時間かかるだろうし・・


今までの思い出からそう結論を出した俺は、次にキャイキャイとその場でモジモジしながらお店の中を眺めているナッツちゃんとリーンちゃんへ視線を移す。


「 少し時間が掛かりそうだから、俺と一緒に色々見て回ろうか。

どこを回りたい? 」


「 えっ?ーーうん!いいよ! 」

「 やった~!私、今一番流行っている ” お貴族様コーデ ” のエリアが見たい! 」


ハイッ!と手を上げながら嬉しそうにお返事するリーンちゃんとナッツちゃんは、いつの間にか立ち直ったらしいいつも通りのルルちゃんと共に、その流行っているという ” お貴族様コーデ ” エリアへと歩いていった。


そうしてそのエリアに着くと、そのイメージ通りに作られた沢山の洋服達がズラ~と並べられており、更に服だけではなくその服に合わせる感じのアクセサリーや小物なども大量に置いてあるのが目に飛び込んでくる。


それを目にしたリーンちゃんとナッツちゃんは、そのまま目を輝かせてワーー!とアクセサリーが置いてある方へ走っていった。

その様子を微笑ましく見つめながら近くにある洋服をペロンッと広げて見ると、大きなリボンがこれでもかとついた上着だったが、やはりそんな大きなリボンがついているにも関わらず全くごちゃついた感じが見られず、思わず凄いな~と感心してしまう。


「 こんなに主張するデザインなのにシンプルにも見えるから、俺みたいな素人でも凄いなって思うよ。

これは人気なはずだ。 」


「 この ” お貴族様コーデ ” のデザイナーさんの凄い所はまさにそれです。

お手軽に平民が楽しめるをコンセプトにしているので、このデザイナーさんの出す服は他のコーデも出した瞬間、大流行してるんですよ~。

そのため、ファッション界のカリスマと言われています。

そのデザイナーの< フラン >様は。 」



「 えっ!!??フランって学院長の事かい? 」




グリモア学院長< フラン >


( レオンの前以外では )厳格なイメージが強い彼女とこんな可愛い洋服達のイメージが結びつかず思わず叫んでしまったが、ルルちゃんはあっさりとそれを肯定する。



「 そうですよ~。

グリモアの学院長の傍ら副業としてデザイナーもしているそうですから本当に凄い人ですよね。

なんでも可愛いものが昔から大好きなんだそうで服の他にもアクセサリーなども手掛けて全部大ヒットしてます。

ドワーフ族の方は生まれつき ” 器用さ ” が飛び抜けてますからこういったものづくりではピカイチですね。

何でも種族の習性で悩んだ時や疲れた時は物作りすると落ち着くんだとか・・。 」



意外過ぎる一面を知ってしまい、ほほぅ!と驚きの声を上げる。

確かにドワーフ族の ” 器用さ ” は種族内ダントツ一位で、気がつけば何かを作っていると聞いたが・・


俺は再度手に持っている可愛いフリフリ洋服をジ~・・と見つめ、「 フラン学院長か・・。 」と呟きながらキリッとしたイメージのフラン学院長を思い出す。


そしてそんなクールな彼女の姿はあっという間ににゃんにゃ~んと可愛い服を着て魔法のステッキを振る姿へと様変わり!

悪の組織のボスの俺と側近のレオンが愛と正義のステッキアタックで「 ああああ~・・ 」と悲鳴をあげて倒されて・・・


ーーーまで想像して "  イメージって凄い!一瞬で世界が変わる!  "   と恐怖し思わず体はフルっ・・と震えてしまった。

しおりを挟む
感想 264

あなたにおすすめの小説

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

悪役令息の死ぬ前に

やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

処理中です...