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第十九章

669 謎の人物登場

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( リーフ )




ーーーーーゾワッ!!!!




それに気づいた瞬間ーー全身に冷たいモノが走り、汗がドッ!と吹き出す。




気配を全く感じなかった。


いや、それどころか今も感じられない・・??





ーーードッ、ドッ、ドッ・・・・




心臓の鼓動が自分の耳を叩く勢いで大きく鳴り出したので、それをどうにか落ち着かせようと何度も短く息を吐き出した。


・・・が効果はなく、それどころか頭の中ではーーー


” やばい ”


” やばい ”


” 逃げろ ”


” 逃げろ ”



ーーーと、その言葉ばかりが飛び交う。




俺は少しでも情報を得ようと、必死に目線をその人物に固定した。



長い足元まで隠れるほどの黒いマント。

そのマントについているフードを深く被っているため顔は全く見えないが、全体像を見れば恐らくは男性なのではないか?と思われる骨格をしている。


ただ、そこまで体格が良いわけではないので前衛か後衛かは不明。



そこまで考えた時、俺は更に恐ろしい事実に気づいてしまった。



                 
視覚でその人物を捕らえているはずなのに




多分それを誰かが言ったら ” 何言ってるんだい? ” と思わず尋ねてしまうだろうが、実際にそう表現することしかできないのだ。


ただ、目にした情報を脳が認識してくれないというか、そこにいるモノと思う事ができないというか・・そんなおかしな感覚を俺にビシビシ与えてきて、それが恐怖を生み出す。


例えそれが生きているモノではないただの物質だとしても、その姿を視覚で捉えれば認識は絶対にできるはずなのでこんな事は絶対にありえない。



俺は初めて感じる未知なる感覚に恐怖しながらも、脇に抱えたマリオンをゆっくり地面に降ろし、その前に立つ。


そして後ろに座り込むマリオンの様子を伺うと、俺同様の恐怖を味わっているのかその謎の人物を凝視したまま汗を大量に掻いている姿が目に入った。


俺は視線を静かにそんなマリオンからその謎の人物に移すと、彼(?)は、動かず大きな一本の木の下でジッとこちらを見ている様子であった。



一体彼は何者なのか?

そして俺たちに何の用があるのか?



その目的が分からないので動きようがないが、万が一を考え、俺は後ろにベタンと座り込んでいるマリオンに向かってボソボソと話しだした。



「 マリオン、あいつ、何か変だ。

目的は分からないけどもしかして戦闘になるかもしれない。


その場合、マリオンは直ぐに離脱して先生達のいる方へ向かうんだ。

いいね? 」


「 ーーーっ!!そんなっ!リーフ様ーーっ!! 」


マリオンが俺を見上げてそう言いかけたが、直ぐに謎の人物に視線を戻しゴクリと唾を飲み込む。


「 ・・承知・・いたしました・・。 」


フッ!と息を短く吐き出し動揺を隠そうとするマリオンに、俺はホッと胸を撫で下ろした。



戦闘時、壊滅的な状況及び全滅が予想される際は、その情報を持ち帰るため基本は前衛が時間を稼いでいる間に後衛が即座に撤退、可能なら応援を呼ぶのがセオリーである。


もし戦闘になったら俺とレオンで一旦時間を稼ぎ、隙を見てレオンも逃がす。

俺はそれを伝えるため、次に隣にいるレオンの方へと視線を移したのだが・・



何故かレオンはモジモジと体を動かし恥ずかしそうにしている!


思わず目が点になった俺だったが直ぐに今の危機的状況を思い出し、レオンに小さい声で話しかける。



「 どうしたんだい?

緊張してチッチしたくなっちゃった?? 」



するとレオンはチラッチラッと俺の方を見ながらソワワっ・・と体を動かす。



「 いえ・・ダンジョンを出たので・・

抱っこと撫で撫ではいつしてくださるのかなと・・。 」



その答えに俺は脱力、マリオンはグチャッと顔を歪める。




・・今?

こ、こんな不味い人物を前に、今??



もじじ~・・と体を揺らしながら俺の髪の毛をイジイジ弄るレオンに、別の意味でドバッと汗が流れ出た。



確かに ” やるべきことやってから遊ぼうね~ ” と日頃口を酸っぱくして言っているせいか、レオンはちゃんと ” 待て ” ができる様になってきたと思う。


今も多分、ダンジョン終了イコールやるべきこと終了と思い、撫で撫で~抱っこ~と要求を出していいタイミングだと思ったに違いない。



だが、今は緊急時!

相変わらず英雄の危険センサーの壊れっぷりが致命的!



俺は焦りながら、クイックイッと謎の人物に震える親指を向けてその危険性を知らせる。



「 レオン!今はそれどころじゃないんだよ!

ほらっ、何か変な人がいるだろう?そこに!


抱っこと撫で撫では家に帰ってから! 」



ヒソヒソヒソ~!!と声は小さく、でも勢いは強く!でレオンに説明したが、レオンは、ええ~・・と不満を訴える様にムススッとしてしまうだけ。危機感なし!



俺は更に焦り、必死に理解を得ようと更に説明しようとした、その瞬間ーーーー・・



















        
『 あぁ・・これはの気配ではなかったのか・・・ 』













突然謎の人物が突如喋った。





男性の声だと思った途端に、急にガクンッ!!と力が抜けて、更に体が石像の様に硬直してしまった。


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