680 / 1,001
第十九章
667 戦闘時の後衛、重要!
しおりを挟む
( リーフ )
そしてマリオンが泣き終わる頃にはお手頃なダンジョンを見つける事ができ、ヨイショッとマリオンを大きな木の下に降ろした後、俺はそのダンジョンの入り口に< セーブポインター >を設置する。
魔力を流して結晶から手を離すと、入り口付近でふわんっと浮かんで止まるそれに、おおお~!と感動しながら拍手をした。
そしてセットで渡されたリングを嵌め、隣でまだブスくれているレオンの手を引っ張りながらそこらへんに実っている< チビりんご >をプチプチと採ってマリオンの元に戻る。
< チビりんご >
普通のりんごより小さく、いちごほどの大きさしかないりんご。
りんごより酸味が強いがしっかり甘みもあるため平民の間では日常的に食べられる果物の一つだが、貴族は基本あまり食べない。
チビりんごを両手一杯に抱えたまま、俺は先に座り込んだレオンの上に座りパクパクとその甘味を味わう。
そして後ろのレオンの口にヒョイヒョイと入れてあげると、目元に冷たく濡らしたハンカチを乗せているマリオンが「 申し訳ありません、ご迷惑をお掛けして・・ 」と弱々しく言ってきた。
ダンジョンを探している間も延々と泣き続けたマリオン。
そのせいでいつもはぱっちりギラギラお目々が全く見えないくらい腫れ上がり、コーヒー豆の様になってしまった。
流石にこれで戦闘は視界的に危ないか~と判断した俺は一時休んでからダンジョンに入ろうと提案し今に至るわけだが・・
マリオン的にそれは心苦しかったのか、申し訳無さそうにしょんぼりしてしまっている。
こんなの大したことじゃないのに真面目な少年だな~
そう思いながら、俺はマリオンの口にもポイッとチビりんごを放り込んであげると、急なことでびっくりしたらしいマリオンが目元のタオルをとってコーヒー豆目を晒す。
すると馴染みにない味が急に口の中に広がったためか、酸っぱそうに顔を歪めた。
それを見てプッと笑いながら「 お陰でチビりんご食べれたからラッキーだったよ。 」と答えるとマリオンは更に顔をくしゃっと歪める。
「 もし・・また兄と会えたら・・両親と兄は喧嘩になっちゃいますかね・・。
リーフ様だったらこのどうしようもない溝をどうやって埋めますか・・? 」
「 えっ?俺?
ーーーう~ん・・そうだねぇ~・・ 」
マリオンの質問に対し俺なりの解決法をツラツラと話すと、マリオンは意外にもそれを真剣な眼差しで聞いてくれるので、おじさんの語りたい病が発動!
調子にのってあ~だこ~だとうっとおしい自分語りを続け、それが終わる頃にはマリオンの目はすっかり治っていた。
◇◇◇◇
ピィィィーーン・・
人の耳には少々煩いかな?程度の金属音が洞窟内に響くと、眼の前に数十匹はいた< 吸血ネズミ >達は痙攣して動きを止める。
< 吸血ネズミ >
体長30cm程のネズミ型Fランクモンスター。
人や動物の血を吸うため口が尖った針の様な形をしているのが特徴で、視界が暗い夜にこっそり獲物に近づき血を吸う。
視力はあまり良くないが聴覚は非常に優れているため基本的に襲ってくるのは夜。
一匹辺りが吸う血は極少量で人や大型動物ならば死ぬことはないが、吸血する際に魔素の成分を含んだ唾液も同時に注入してしまうため、多数同時に吸われれば中毒症を起こし死に至る事もあるので注意。
動きが止まった吸血ネズミに対しチャンス!とばかりに一気に剣で蹴散らしたーーーが、第二陣とばかりにまたしても四方八方から吸血ネズミが飛び出してきた。
直ぐに広範囲スキルを・・と身構えた瞬間ーー
グッドタイミングで頭上に多次元の穴が開き、小さい筒状の魔導具が地上にポンッ!と落とされる。
そして、ピィィィン・・という先程と同様の音を出し吸血ネズミたちの動きを止めてくれた。
その小さな筒状の魔導具は【 音響爆弾 】と言って、こういった聴覚がメインのモンスターには効果抜群!
それは下の地面に投げつけ起動させる戦闘サポート型魔導具で、マリオンのスキル< マジック・イリュージョン >によって頭上から落とせば即発動、こうして楽に戦闘をすることが可能となるというわけだ。
< 音響爆弾 >
小さな筒状の形態をしている戦闘サポート型魔導具。
ピィィィンと人の耳には多少煩いと感じる程度の金属音程度の音を出すが、聴覚メインのモンスターにとっては大爆発時の音と同じで、一定時間動けなくなってしまう。
ただし、制作者のレベルによりその作用時間は異なるため注意が必要。
マリオンの能力は、敵だと非常にトリッキーで厄介な能力であるが味方だと心強い。
改めて後衛の大切さを学びながらドンドン倒して先に進んでいくと、あっという間に最下層へと辿り着いてしまった。
そしてそこでまだボスとしては未熟だが、他の個体とは一回りくらいは大きな< 吸血ネズミ >を倒してダンジョンは無事攻略完了。
ボス部屋の中でその吸血ネズミを倒した後、俺とマリオンはよっしゃー!とお互い手を叩き合い、喜びを分かち合った。
そしてそれを見たレオンはというと・・
ーージト~・・
ジロジロジロ~・・・
マリオンを睨みつけながら俺の周りをウロウロ。
” い~れ~て~ ” ができない内向的な少年の立ち位置になっている。
そしてマリオンが泣き終わる頃にはお手頃なダンジョンを見つける事ができ、ヨイショッとマリオンを大きな木の下に降ろした後、俺はそのダンジョンの入り口に< セーブポインター >を設置する。
魔力を流して結晶から手を離すと、入り口付近でふわんっと浮かんで止まるそれに、おおお~!と感動しながら拍手をした。
そしてセットで渡されたリングを嵌め、隣でまだブスくれているレオンの手を引っ張りながらそこらへんに実っている< チビりんご >をプチプチと採ってマリオンの元に戻る。
< チビりんご >
普通のりんごより小さく、いちごほどの大きさしかないりんご。
りんごより酸味が強いがしっかり甘みもあるため平民の間では日常的に食べられる果物の一つだが、貴族は基本あまり食べない。
チビりんごを両手一杯に抱えたまま、俺は先に座り込んだレオンの上に座りパクパクとその甘味を味わう。
そして後ろのレオンの口にヒョイヒョイと入れてあげると、目元に冷たく濡らしたハンカチを乗せているマリオンが「 申し訳ありません、ご迷惑をお掛けして・・ 」と弱々しく言ってきた。
ダンジョンを探している間も延々と泣き続けたマリオン。
そのせいでいつもはぱっちりギラギラお目々が全く見えないくらい腫れ上がり、コーヒー豆の様になってしまった。
流石にこれで戦闘は視界的に危ないか~と判断した俺は一時休んでからダンジョンに入ろうと提案し今に至るわけだが・・
マリオン的にそれは心苦しかったのか、申し訳無さそうにしょんぼりしてしまっている。
こんなの大したことじゃないのに真面目な少年だな~
そう思いながら、俺はマリオンの口にもポイッとチビりんごを放り込んであげると、急なことでびっくりしたらしいマリオンが目元のタオルをとってコーヒー豆目を晒す。
すると馴染みにない味が急に口の中に広がったためか、酸っぱそうに顔を歪めた。
それを見てプッと笑いながら「 お陰でチビりんご食べれたからラッキーだったよ。 」と答えるとマリオンは更に顔をくしゃっと歪める。
「 もし・・また兄と会えたら・・両親と兄は喧嘩になっちゃいますかね・・。
リーフ様だったらこのどうしようもない溝をどうやって埋めますか・・? 」
「 えっ?俺?
ーーーう~ん・・そうだねぇ~・・ 」
マリオンの質問に対し俺なりの解決法をツラツラと話すと、マリオンは意外にもそれを真剣な眼差しで聞いてくれるので、おじさんの語りたい病が発動!
調子にのってあ~だこ~だとうっとおしい自分語りを続け、それが終わる頃にはマリオンの目はすっかり治っていた。
◇◇◇◇
ピィィィーーン・・
人の耳には少々煩いかな?程度の金属音が洞窟内に響くと、眼の前に数十匹はいた< 吸血ネズミ >達は痙攣して動きを止める。
< 吸血ネズミ >
体長30cm程のネズミ型Fランクモンスター。
人や動物の血を吸うため口が尖った針の様な形をしているのが特徴で、視界が暗い夜にこっそり獲物に近づき血を吸う。
視力はあまり良くないが聴覚は非常に優れているため基本的に襲ってくるのは夜。
一匹辺りが吸う血は極少量で人や大型動物ならば死ぬことはないが、吸血する際に魔素の成分を含んだ唾液も同時に注入してしまうため、多数同時に吸われれば中毒症を起こし死に至る事もあるので注意。
動きが止まった吸血ネズミに対しチャンス!とばかりに一気に剣で蹴散らしたーーーが、第二陣とばかりにまたしても四方八方から吸血ネズミが飛び出してきた。
直ぐに広範囲スキルを・・と身構えた瞬間ーー
グッドタイミングで頭上に多次元の穴が開き、小さい筒状の魔導具が地上にポンッ!と落とされる。
そして、ピィィィン・・という先程と同様の音を出し吸血ネズミたちの動きを止めてくれた。
その小さな筒状の魔導具は【 音響爆弾 】と言って、こういった聴覚がメインのモンスターには効果抜群!
それは下の地面に投げつけ起動させる戦闘サポート型魔導具で、マリオンのスキル< マジック・イリュージョン >によって頭上から落とせば即発動、こうして楽に戦闘をすることが可能となるというわけだ。
< 音響爆弾 >
小さな筒状の形態をしている戦闘サポート型魔導具。
ピィィィンと人の耳には多少煩いと感じる程度の金属音程度の音を出すが、聴覚メインのモンスターにとっては大爆発時の音と同じで、一定時間動けなくなってしまう。
ただし、制作者のレベルによりその作用時間は異なるため注意が必要。
マリオンの能力は、敵だと非常にトリッキーで厄介な能力であるが味方だと心強い。
改めて後衛の大切さを学びながらドンドン倒して先に進んでいくと、あっという間に最下層へと辿り着いてしまった。
そしてそこでまだボスとしては未熟だが、他の個体とは一回りくらいは大きな< 吸血ネズミ >を倒してダンジョンは無事攻略完了。
ボス部屋の中でその吸血ネズミを倒した後、俺とマリオンはよっしゃー!とお互い手を叩き合い、喜びを分かち合った。
そしてそれを見たレオンはというと・・
ーージト~・・
ジロジロジロ~・・・
マリオンを睨みつけながら俺の周りをウロウロ。
” い~れ~て~ ” ができない内向的な少年の立ち位置になっている。
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
1,923
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる