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第十九章

665 ざま〜みろ!

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( リーフ )


どうやらおんぶ一つに対し、抱っこと撫で撫での2つの方がお得だと冷静に分析した様だ。


睨んでくるが取り敢えず殺気は収めたレオンに対し俺は心の中で拍手!

物事を天秤にかけてどちらかを選ぶという行為をレオンがしたことにジーン・・と感動をしてしまった。


” 今までの経験や知識、それを元に頭をフル回転して自分が得だと思う選択肢をとる事 ”


それは物語の中のレオンハルトには出来なかったことだ。


赤ちゃん返りやら記憶喪失やら一時期はどうなることかと思ったが、逆に童心に帰る事でいい具合に人格の再構築ができているのかもしれない!


うひょひょ~い!


心の中で飛び上がって喜んだが、しかし喜んでばかりもいられないと直ぐに俺は気を引き締めた。


何も知らない真っさらな状態の人間を育児する事

これは結構責任重大だぞ!


前世にて子供に接してきたプロとしてのプライドが火を吹き、ゴッ!とあっという間に心は燃え上がる。



正直なところ、レオンは今まで見た事ないほど群を抜いて難しい性格をしている子供で、それに最近では反抗期らしきものもちらほらと顔を覗かせ始めたため更に難易度はUP。

軽くナイトメアレベルを凌ぐ。


そんな人生で二度ほど来るとされている反抗期は、親の最大の試練とされるほど大変な事なのに、現在のレオンはその第一次反抗期と第二次反抗期が一気にきている様に思える。


これが本当にきつい!


今もなお隙あらば・・と虎視眈々とおんぶの座を狙っているであろう険悪モード全開のレオンをチラッと見て大きなため息を吐いた。



特に積極的に悪さをするわけではないが、気に入らない事があると無言、睨む、最後は大爆発するのが大抵のセットで、その境目が非常に分かりにくいため結構な頻度で大爆発するレオン少年・・。

真面目で完璧主義な性格が災いしてか、とにかく斜め上どころか多次元まで思考がぶっ飛ぶのでそれを修正するのに一苦労。


それにどうもレオンなりに広い視野に目が向き出したのか、最近では俺でもびっくりする様な情報や知識を持っていて言葉に詰まってしまう事もしばしば・・

俺も自身の今までの知識と経験をフルで使いお相手しているのだが、元々の頭の出来が違いすぎて言い負かされてしまう事の方が増えてきてしまった。


子供の成長を考えればねぇ~?これ自体は非常に喜ばしい事。



だがーーーー・・



レオンの不味いところはそのめちゃくちゃな主張の全てを叶えてしまえる実力があるということだ。



あいたぁ~!と心の中で叫びながら目をキュッ!と瞑り、痛々しいと言わんばかりの顔をする。



強すぎて俺では力不足!反抗期に対抗する勢力がな~い!


これって結構不味いんじゃ・・?



ジトジト~・・ムカムカ~とした目を向けるレオンに今更ながら危機感を持ち、叱られる事のない反抗期の子供の行末を考えた。


” 俺より凄く弱いリーフ様・・いや!リーフはただのゴミ親だ!! ”

” 凄く強い俺のやることを誰も邪魔はできないぞ! ”


そう言って目につく女の子達のスカートをバッサバッサとめくって荒ぶるレオンの姿が思い浮かび、ガガーン!と衝撃を受けた。


やはり俺が早急に実力をつけてレオンの反抗勢力にならなければ!


決意を新たにフンフンッ!と鼻息荒く吹いていると、突然おぶさっているマリオンがフフフ・・と不敵な笑いを漏らす。


「 どうしたの? 」


一体何が楽しかったのかと思って聞くと、マリオンはとうとう抑えきれない!といった様子で大声で笑い出した。



「 初めてレオンに一泡吹かせてやった!

ハハッ!ざま~みろっ!! 」


レオンに指を指してそのまま笑い続けるマリオンに対し、更にブススッ!!と非常に不機嫌そうな表情を見せるレオン。


流石はマリオン、負けず嫌いならNO・1かもしれないという執念の元、あれだけ相手にされていないにも関わらず未だに消えぬレオンに対しての対抗心は ” 凄い ” の一言しかない。

無視されても無視されても果敢に挑もうとする姿勢は、俺はめちゃくちゃカッコいいと思う。



「 マリオンはさ、メンタルが凄く強いよね。

パパさんとママさんはどう?やっぱり同じ様に強いのかい? 」



「 ーーえっ?


・・・そうですね、勿論凄く強いです。。

何と言っても一筋縄ではいかない貴族を相手にする商売をしていますので、俺なんかとは比べ物にならないくらい強いと思いますよ。 」



誇らしげにそう言うマリオンを見て、俺はうんうんと頷いた。



「 そっか。


じゃあさ、パパさんとママさんはもう大丈夫だよ。

一番辛い時はマリオンが支えてくれたからだね。 」



俺がそう言うと背中越しにマリオンが小さく震えたのを感じたが、それに気づかない振りをして俺は続けて言った。

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