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第十九章
664 マリオンの性格
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( リーフ )
今までこの国が歩んできた数々の争いの歴史と前世での世知辛い世の中ってヤツを振り返り、思わず顔は渋顔に。
悲しい事にこの世界はまだまだ決して平和というわけではない。
内戦・・とまではいかなくとも各地で貴族同士の領境界線での小競り合いやちょっとした戦いなどは結構頻繁に起こってはいる。
『 こちらの方が有利だぞ! 』
そう嗅ぎつけるや否やあっという間に攻め込んで強引に ” 不利しかない条約を結ばせる ” ” 協力という名の下利益を掠め取ろうとする ” などなど・・
そうされない為にもけっして隙を見せない事は貴族の絶対的なルール。
" 見て分かる様な高級品を手元に置いて戦わずとも相手を威圧する事 "
" 贈り物として相手に贈り貴族間の友好関係を良好に保つ事 "
ブランド力はそういう意味では貴族にとってはなくてはならない非常に重要なアイテムなのだ。
確かに社運をかけた大事な会議にパジャマのまま出勤、そして手土産は庭で採れた柿。
いかに仕事が有能で商品は良くても、そして柿がどんなに美味しくて栄養価の高い果物だとしても絶対契約してくれない。
ビシッ!とブランドスーツに高級菓子!
そこから既に商談は始まっている!
それに大いに納得した俺はうんうんと頷き、お次はマリオンのお兄さんの主張を考えてみる。
マリオンパパさんとまさに正反対のマリオンお兄さんの主張はーー
『 平民さんのみをターゲットにする事 』
これも決して間違ってはいない。
この世界には前世にあった様な科学に基づいた生活を豊かにしてくれる電化製品類は一切なく、魔法だって使える人が限られる一般平民さん達は何でも手動が基本の生活を営んでいる。
勿論魔道具の中には電化製品に匹敵・・いやそれ以上と言えるモノがあれど、アホみたいに高いお値段がするため一般平民さんにとっては雲の上の様なもの。
よって現在の平民さん達の生活は全手動が原則。
そんな大忙しな平民さん達が魔導具を使えればその分適度なお休み時間を得る事ができる。
その結果作業効率も上がり、最終的にそれを治めている貴族にも利益が生じるので全員がハッピー!
ーーというわけだ。
" 何でも従者がやってくれる貴族ではなく、本当の意味で魔導具を必要としているのは平民なんだ! "
ーーーというのが多分お兄さんの主張。
これにも納得~の俺は大きく頷いて、そのままう~ん・・と頭を悩ませた。
この二人の視点から考えると、お互い独立して各々が信じる道を行くしかないなぁと思うが・・この場合、一番辛いのは一人残されてしまったマリオンだ。
家族の争いを目の当たりにして子供心としては辛かっただろうし、更にご両親の悲しそうな顔を見れば自分がしっかりしなければと思うはず。
そんなマリオンの心の内を想像するとおじさんはホロリとしてしまった。
多分ね~
マリオンってツンツンした態度の裏では実はいろ~んな事を考えてて、それを捨ててまで自分のやりたい事を突き通せない子なんだよ。
両親の気持ち~とか、お仕事の責任とか家が守らなきゃいけない領民達の事とか・・?
” 気にせず自分のやりたい事やるべき ”
" 結局その程度で諦められる願望だったんでしょ? "
ーーな~んて思う人もいるかもしれないが、多分そこで自分を突き通しても逆に振り切った他の事が気になって苦しくなってしまうやつ。
本人の性格、性格。
きっと本人なりに悩んで悩んで、色~んなことを考えてその選択肢を取る事を決めた。
だからきっとマリオンは性格的にお兄さんと同じ熱量の想いはあっても、今後も同じ選択肢を取ることはないだろうと思われる。
俺は顎に手を当て考え込みながらほとほと困り果てた。
" 全部捨てて自分のやりたいことを~・・ "
・・と個人的には言いたいが、それを言ってしまうとーーー何だかマリオンの決意や今まで頑張って来たことを否定してしまう様な気がして、俺はその言葉をもぐもぐゴクリと飲み込んだ。
” うおぉぉぉーーー!!頑張れマリオン!! ”
目線を下げたままのマリオンをチラッと見て、そんな気持ちが込み上げた俺は、シュバッ!!とマリオンの前に移動し背中を向けて大きく屈む。
「 マリオンは凄い!偉い!!
そんな頑張っているマリオンを俺がおんぶして差し上げよう!
さぁ!おいで!! 」
「 ・・えっ?・・・えぇぇぇーーー・・・??? 」
混乱してしまったマリオンに対し有無を言わさぬ勢いで、さぁさぁ!!と後ろに回した両手をクイクイと動かすと、マリオンは観念したのか、やがてポスっ・・と背中に覆い被さってきた。
それを確認した後ゆっくりと立ちあがると、その瞬間ーーー今度はレオンからドス黒いオーラが立ちのぼりブスブスと突き刺す様な攻撃的視線を向けてきた事にすぐ気づく。
それを一身に受けながらマリオンと共にレオンの方へ視線をむけると、そこには絶賛子供返り中のレオンが、それはもう穴ぼこだらけにされるくらい憎しげに睨んでくる姿があった。
” ずるい、ずるい、ずるい! ”
” マリオンだけおんぶなんてずるい!! ”
” 俺も俺も!おんぶおんぶ!! ”
兄弟がいるご家庭あるあるの王道を貫いてくるレオンに、俺はニッコリ笑いながら優しく宥めるように語りかけた。
「 レオンは上手に我慢できるかな~?
そんな我慢ができた良い子にはあとで抱っこと撫で撫でしてあげようね~。
今は、が~ま~ん! 」
顔を横にふりふりして歌うように言えば、レオンはムッ!!としながらもピタリと動きを止めた。
今までこの国が歩んできた数々の争いの歴史と前世での世知辛い世の中ってヤツを振り返り、思わず顔は渋顔に。
悲しい事にこの世界はまだまだ決して平和というわけではない。
内戦・・とまではいかなくとも各地で貴族同士の領境界線での小競り合いやちょっとした戦いなどは結構頻繁に起こってはいる。
『 こちらの方が有利だぞ! 』
そう嗅ぎつけるや否やあっという間に攻め込んで強引に ” 不利しかない条約を結ばせる ” ” 協力という名の下利益を掠め取ろうとする ” などなど・・
そうされない為にもけっして隙を見せない事は貴族の絶対的なルール。
" 見て分かる様な高級品を手元に置いて戦わずとも相手を威圧する事 "
" 贈り物として相手に贈り貴族間の友好関係を良好に保つ事 "
ブランド力はそういう意味では貴族にとってはなくてはならない非常に重要なアイテムなのだ。
確かに社運をかけた大事な会議にパジャマのまま出勤、そして手土産は庭で採れた柿。
いかに仕事が有能で商品は良くても、そして柿がどんなに美味しくて栄養価の高い果物だとしても絶対契約してくれない。
ビシッ!とブランドスーツに高級菓子!
そこから既に商談は始まっている!
それに大いに納得した俺はうんうんと頷き、お次はマリオンのお兄さんの主張を考えてみる。
マリオンパパさんとまさに正反対のマリオンお兄さんの主張はーー
『 平民さんのみをターゲットにする事 』
これも決して間違ってはいない。
この世界には前世にあった様な科学に基づいた生活を豊かにしてくれる電化製品類は一切なく、魔法だって使える人が限られる一般平民さん達は何でも手動が基本の生活を営んでいる。
勿論魔道具の中には電化製品に匹敵・・いやそれ以上と言えるモノがあれど、アホみたいに高いお値段がするため一般平民さんにとっては雲の上の様なもの。
よって現在の平民さん達の生活は全手動が原則。
そんな大忙しな平民さん達が魔導具を使えればその分適度なお休み時間を得る事ができる。
その結果作業効率も上がり、最終的にそれを治めている貴族にも利益が生じるので全員がハッピー!
ーーというわけだ。
" 何でも従者がやってくれる貴族ではなく、本当の意味で魔導具を必要としているのは平民なんだ! "
ーーーというのが多分お兄さんの主張。
これにも納得~の俺は大きく頷いて、そのままう~ん・・と頭を悩ませた。
この二人の視点から考えると、お互い独立して各々が信じる道を行くしかないなぁと思うが・・この場合、一番辛いのは一人残されてしまったマリオンだ。
家族の争いを目の当たりにして子供心としては辛かっただろうし、更にご両親の悲しそうな顔を見れば自分がしっかりしなければと思うはず。
そんなマリオンの心の内を想像するとおじさんはホロリとしてしまった。
多分ね~
マリオンってツンツンした態度の裏では実はいろ~んな事を考えてて、それを捨ててまで自分のやりたい事を突き通せない子なんだよ。
両親の気持ち~とか、お仕事の責任とか家が守らなきゃいけない領民達の事とか・・?
” 気にせず自分のやりたい事やるべき ”
" 結局その程度で諦められる願望だったんでしょ? "
ーーな~んて思う人もいるかもしれないが、多分そこで自分を突き通しても逆に振り切った他の事が気になって苦しくなってしまうやつ。
本人の性格、性格。
きっと本人なりに悩んで悩んで、色~んなことを考えてその選択肢を取る事を決めた。
だからきっとマリオンは性格的にお兄さんと同じ熱量の想いはあっても、今後も同じ選択肢を取ることはないだろうと思われる。
俺は顎に手を当て考え込みながらほとほと困り果てた。
" 全部捨てて自分のやりたいことを~・・ "
・・と個人的には言いたいが、それを言ってしまうとーーー何だかマリオンの決意や今まで頑張って来たことを否定してしまう様な気がして、俺はその言葉をもぐもぐゴクリと飲み込んだ。
” うおぉぉぉーーー!!頑張れマリオン!! ”
目線を下げたままのマリオンをチラッと見て、そんな気持ちが込み上げた俺は、シュバッ!!とマリオンの前に移動し背中を向けて大きく屈む。
「 マリオンは凄い!偉い!!
そんな頑張っているマリオンを俺がおんぶして差し上げよう!
さぁ!おいで!! 」
「 ・・えっ?・・・えぇぇぇーーー・・・??? 」
混乱してしまったマリオンに対し有無を言わさぬ勢いで、さぁさぁ!!と後ろに回した両手をクイクイと動かすと、マリオンは観念したのか、やがてポスっ・・と背中に覆い被さってきた。
それを確認した後ゆっくりと立ちあがると、その瞬間ーーー今度はレオンからドス黒いオーラが立ちのぼりブスブスと突き刺す様な攻撃的視線を向けてきた事にすぐ気づく。
それを一身に受けながらマリオンと共にレオンの方へ視線をむけると、そこには絶賛子供返り中のレオンが、それはもう穴ぼこだらけにされるくらい憎しげに睨んでくる姿があった。
” ずるい、ずるい、ずるい! ”
” マリオンだけおんぶなんてずるい!! ”
” 俺も俺も!おんぶおんぶ!! ”
兄弟がいるご家庭あるあるの王道を貫いてくるレオンに、俺はニッコリ笑いながら優しく宥めるように語りかけた。
「 レオンは上手に我慢できるかな~?
そんな我慢ができた良い子にはあとで抱っこと撫で撫でしてあげようね~。
今は、が~ま~ん! 」
顔を横にふりふりして歌うように言えば、レオンはムッ!!としながらもピタリと動きを止めた。
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