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第十九章
662 夢の魔導具
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( リーフ )
まず平民の子ならば当然貴族とは組みたくない。
貴族と二人きりなど授業どころではなくなるし、それで目をつけられては溜まったものではないからだ。
対して貴族の子達も、失礼で下品な平民と一緒は嫌だと思っていてお互いがお互いガチガチの偏見からこの双方は基本的に組むことはない。
ここまでは良くあるスタンダード事情なのだが・・実は意外にも深刻な問題となるのは貴族同士の子達で組む場合である。
貴族同士で組む場合はお互いの家同士の関係性が非常に重要な様で、簡単に言うと・・
” 派閥が違う ”
” 家同士が友好関係かどうか ”
” 家業的に積極的にお付き合いをしても問題ないかどうか ”
ーーなどなど・・本人同士の問題ではなく ” 家 ” 同士の関係によって一緒に組むのがNG!という場合がある様だ。
そのため貴族の子達は普段は基本予め問題が起きない者同士集まってグループを作り、更にそのグループ内で爵位による役割的なものを暗黙の了解で決めて上手くお付き合いする。
所謂子供たちだけの会社みたいなもの。
だから貴族だけが集まっている【 貴族組 】などでは全く問題ないが、混合クラスだとそれが上手くできず、同じグループの子たちがクラス内にいない場合、突然グループを組むのが難しい。
マリオンがよく一緒にいるグループの子達は全員【 貴族組 】になってしまったのでちょっと心配していたのだが、予感は見事に的中してしまった様だ。
俺は居心地悪そうにしているマリオンに向かって飛び、目の前にシュタッ!!と着地した。
「 マリオーン!俺たちと一緒に組~もう! 」
そう声を掛けるとマリオンは一瞬パァァ~と目を輝かせたが・・
後ろにいるレオンへ視線を向けると、ムスス~ッと心底嫌そうな顔を見せる。
「 申し訳ありませんが遠慮しーーー 」
ーーーと言いかけたが、俺は言葉の途中でマリオンを猫の子の様にヒョイっと持ち上げ脇に抱え込んだ。
「 マリオンはウチの班がも~らい! 」
手をピッ!と上げてそう宣言すると、マリオンが直ぐ様何か言おうとしたので俺はパパンッ!!とその口を塞ぐ。
モガモガモガー~っ!と文句を言おうとするマリオンを見下ろしニッコリ。
そしてそれを見たクルト先生もニッコリ笑った後、両手で大きく丸を描きOKサインを出した。
怖くな~い、怖くな~い
某有名アニメ映画の主人公の様に呟きながら、レオン・・に頼んでも誰も魔導具を渡してくれないため、俺がそのままスタスタと近くにいる教員の所へ行って魔導具を貰う。
そして、えっ?えっ?と事態に頭がついてきていない様子のマリオンにこれ幸いと、そのままダンジョンを探しに飛んでいった。
そうしてマリオンを抱えたまま、さぁ、ダンジョンを探そう!としたのだが・・
レオンのソワソワ、ジロジロ~と挙動不審な行動が激しくなってきたため、俺は直ぐにマリオンを降ろしそのまま横並びでダンジョンを探す。
マリオンは最初は戸惑っていたものの、流石は貴族・・直ぐにその状況に順応しペラペラと魔導具についての話を始めた。
マリオンの話は基本7割がチクチク嫌味、そしてあとの3割は魔導具についての話だ。
たまに時間があっておしゃべりする時はいつもそんな感じ。
それを聞く限りは、魔導具作りが本当に好きな事とモルトとニール同様家業に対して誇りを持っている事。
あとは家業を受け継いできたご先祖様達とご両親の事をとても尊敬している事は何とな~く分かる。
普段はツンツン、中身は真面目に頑張る子猫ちゃん
それがこのマリオンだ。
既にリタイア世代のおじじにとって頑張る若者の姿はそれだけで希望!
ほっこりするお胸をこっそりモミモミしながら、見守りモード全開おじさんは、うんうんと頷いてちょこちょこと口を挟む。
「 マリオンは本当に魔導具が好きなんだねぇ。
この間ちょろっと言った『 オルゴール 』もあっという間に作っちゃってびっくりしたよ。
しかも星空とか海の映像付きとか色んなオプションまでつけてさ。
凄いじゃないか。 」
「 !!ーーーま、まぁ、そんなモノ、このマリオンからしたら大したことなかったですね!!
原理さえ掴んでしまえば全く問題ありませんので!
それよりリーフ様、本当によろしいのですか?
我がスタンティン家としてはアイディア料として今後売上の10%ほどを受け取って頂きたいと思っているのですが・・ 」
マリオンは困った様に眉を下げそう言ったが、『 オルゴール 』は前世ではありふれたアイテムで勿論俺の考えついたモノではない。
そのためアイディア料を貰うのは一応ご遠慮させていただいた。
俺のした事なんて本当に気まぐれにマリオンにオルゴールについてチラリと話しただけ。
それだけでなんと次の日にはその試作品を。
更にその後は改良に改良を重ね前世のものとはもはや別物の高性能かつ多機能付きの『 スーパーオルゴール 』をあっという間に作り上げてしまったのはマリオンだ。
是非堂々とスタンティン家の作りし新商品として世に売り出して頂きたい。
「 あ~あれ、俺のアイディアじゃないからいらないよ。
え~と・・その・・
ーーーあ!そうそう、夢で見た魔導具なんだよね。
だからそんな夢で見た魔導具が出来たら俺は嬉しいから、それで良いよ。
また他の夢の魔導具も作って見せて欲しいな。
どんなものができるか凄く楽しみだ。 」
まず平民の子ならば当然貴族とは組みたくない。
貴族と二人きりなど授業どころではなくなるし、それで目をつけられては溜まったものではないからだ。
対して貴族の子達も、失礼で下品な平民と一緒は嫌だと思っていてお互いがお互いガチガチの偏見からこの双方は基本的に組むことはない。
ここまでは良くあるスタンダード事情なのだが・・実は意外にも深刻な問題となるのは貴族同士の子達で組む場合である。
貴族同士で組む場合はお互いの家同士の関係性が非常に重要な様で、簡単に言うと・・
” 派閥が違う ”
” 家同士が友好関係かどうか ”
” 家業的に積極的にお付き合いをしても問題ないかどうか ”
ーーなどなど・・本人同士の問題ではなく ” 家 ” 同士の関係によって一緒に組むのがNG!という場合がある様だ。
そのため貴族の子達は普段は基本予め問題が起きない者同士集まってグループを作り、更にそのグループ内で爵位による役割的なものを暗黙の了解で決めて上手くお付き合いする。
所謂子供たちだけの会社みたいなもの。
だから貴族だけが集まっている【 貴族組 】などでは全く問題ないが、混合クラスだとそれが上手くできず、同じグループの子たちがクラス内にいない場合、突然グループを組むのが難しい。
マリオンがよく一緒にいるグループの子達は全員【 貴族組 】になってしまったのでちょっと心配していたのだが、予感は見事に的中してしまった様だ。
俺は居心地悪そうにしているマリオンに向かって飛び、目の前にシュタッ!!と着地した。
「 マリオーン!俺たちと一緒に組~もう! 」
そう声を掛けるとマリオンは一瞬パァァ~と目を輝かせたが・・
後ろにいるレオンへ視線を向けると、ムスス~ッと心底嫌そうな顔を見せる。
「 申し訳ありませんが遠慮しーーー 」
ーーーと言いかけたが、俺は言葉の途中でマリオンを猫の子の様にヒョイっと持ち上げ脇に抱え込んだ。
「 マリオンはウチの班がも~らい! 」
手をピッ!と上げてそう宣言すると、マリオンが直ぐ様何か言おうとしたので俺はパパンッ!!とその口を塞ぐ。
モガモガモガー~っ!と文句を言おうとするマリオンを見下ろしニッコリ。
そしてそれを見たクルト先生もニッコリ笑った後、両手で大きく丸を描きOKサインを出した。
怖くな~い、怖くな~い
某有名アニメ映画の主人公の様に呟きながら、レオン・・に頼んでも誰も魔導具を渡してくれないため、俺がそのままスタスタと近くにいる教員の所へ行って魔導具を貰う。
そして、えっ?えっ?と事態に頭がついてきていない様子のマリオンにこれ幸いと、そのままダンジョンを探しに飛んでいった。
そうしてマリオンを抱えたまま、さぁ、ダンジョンを探そう!としたのだが・・
レオンのソワソワ、ジロジロ~と挙動不審な行動が激しくなってきたため、俺は直ぐにマリオンを降ろしそのまま横並びでダンジョンを探す。
マリオンは最初は戸惑っていたものの、流石は貴族・・直ぐにその状況に順応しペラペラと魔導具についての話を始めた。
マリオンの話は基本7割がチクチク嫌味、そしてあとの3割は魔導具についての話だ。
たまに時間があっておしゃべりする時はいつもそんな感じ。
それを聞く限りは、魔導具作りが本当に好きな事とモルトとニール同様家業に対して誇りを持っている事。
あとは家業を受け継いできたご先祖様達とご両親の事をとても尊敬している事は何とな~く分かる。
普段はツンツン、中身は真面目に頑張る子猫ちゃん
それがこのマリオンだ。
既にリタイア世代のおじじにとって頑張る若者の姿はそれだけで希望!
ほっこりするお胸をこっそりモミモミしながら、見守りモード全開おじさんは、うんうんと頷いてちょこちょこと口を挟む。
「 マリオンは本当に魔導具が好きなんだねぇ。
この間ちょろっと言った『 オルゴール 』もあっという間に作っちゃってびっくりしたよ。
しかも星空とか海の映像付きとか色んなオプションまでつけてさ。
凄いじゃないか。 」
「 !!ーーーま、まぁ、そんなモノ、このマリオンからしたら大したことなかったですね!!
原理さえ掴んでしまえば全く問題ありませんので!
それよりリーフ様、本当によろしいのですか?
我がスタンティン家としてはアイディア料として今後売上の10%ほどを受け取って頂きたいと思っているのですが・・ 」
マリオンは困った様に眉を下げそう言ったが、『 オルゴール 』は前世ではありふれたアイテムで勿論俺の考えついたモノではない。
そのためアイディア料を貰うのは一応ご遠慮させていただいた。
俺のした事なんて本当に気まぐれにマリオンにオルゴールについてチラリと話しただけ。
それだけでなんと次の日にはその試作品を。
更にその後は改良に改良を重ね前世のものとはもはや別物の高性能かつ多機能付きの『 スーパーオルゴール 』をあっという間に作り上げてしまったのはマリオンだ。
是非堂々とスタンティン家の作りし新商品として世に売り出して頂きたい。
「 あ~あれ、俺のアイディアじゃないからいらないよ。
え~と・・その・・
ーーーあ!そうそう、夢で見た魔導具なんだよね。
だからそんな夢で見た魔導具が出来たら俺は嬉しいから、それで良いよ。
また他の夢の魔導具も作って見せて欲しいな。
どんなものができるか凄く楽しみだ。 」
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