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第十九章
658 排除してやりたい気持ちと・・
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( マリオン )
” リーフ様はご家族から見放された存在でいずれその権威は失墜するだろう。
今のうちに身の振り方を考え、今日からこのマリオンに従え。 ”
ーーーと。
すると2人はお互いに顔を見合わせた後 ” 知っています。 ” と声を合わせて答えた。
そして更に予想外の答えが返ってきた事に驚く俺に向かって、強い意志を感じさせる目を向け言い放つ。
” それでも俺達はずっとリーフ様の取り巻きのままお側にいようと思います。 ”
キッパリとそう告げ、二人は頭を下げて去って行った。
それを呆然と見送りながら、俺は混乱してしまう。
何故?
何故あんな凡庸な容姿に何も持っていない、何一つメリットのないリーフ様に肩入れするのか??
俺の方が上、勝っているのに・・何故!!
全く理解ができず俺は酷く悩んだ。
どうしたらリーフ様に勝てる?
どうしたらめちゃくちゃに傷つけて完膚なきまでに叩き潰してやれる?
頭の中はとにかく気に入らないリーフ様を如何にして排除してやろうかという想いで一杯で、それを探るため俺はリーフ様の動きを毎日必死で目で追い続けた。
リーフ様は単純で好奇心が強く誰よりも自由に動く人だった。
だからこそ兄同様に他の者の意見は全て否定し自分の意見のみを遠そうとする嫌な人間だと思ったが、意外にもリーフ様は自分の意見を突き通す事はなかった。
何か物事を決める際は、まずは高位の者から決めるのが常識。
そのためそれに従って周りの者達がリーフ様に意見を求めても、多数決やくじ引きにじゃんけん、他には交代制や投票などなど、とにかく全員を巻き込む形の意見を出してくる。
実力がないからそうやって下位の者達に媚びているのだろう
そう思って笑ってやれば、とんでもない。
常に俺の遥か上にリーフ様がいる。
ボロボロに負けてゼェゼェと息を吐く俺に「 俺の勝ち~! 」と言って嬉しそうに笑う姿にゴッ!!と怒りの炎が燃え上がる。
” リーフ様は実力が下の者達を笑いモノにするのが好きな最低なサディスト野郎だ! ”
そう思い心底軽蔑と侮蔑の目で睨みつけていれば、あの化け物と戦って俺以上にボロボロに負けた後は悔しそうに地面をゴロゴロと転がりまわる。
” 負けた~~!!俺、悔しいぃぃぃーーー!! ”
そのままオギャギャン!と泣き叫ぶ非常に情けない姿を見てしまえば、怒りなど完璧に吹き飛んでしまった。
” この人は単に頭が悪い気弱な愚か者なのだろう ”
そう決めつけバカにしていれば誰もが反論できない様な言葉を発し、時に恐ろしくて動けないくらいの怒涛の説教にげんこつとかなり激しい一面を見せてくる。
それに完全に恐怖してしまった自分にモヤモヤして、そんな掴みどころのないリーフ様に対し途方に暮れていた、そんなある日の事。
次の授業がある教室へと移動している最中、前の教室に忘れ物をしてしまった事に気づき一人で戻ると、教室の中から俺の悪口が聞こえてきた。
” マリオン様って怖いよね。
いつもギスギスしているっていうかさ・・やっぱり高位貴族だから負けるのが相当悔しいんじゃない? ”
” プライド高過ぎなんだよな。
多分出ていったお兄さんもそのせいで追い出されたんじゃね?
俺が一番だから出てけ!って意地悪したんだよ、きっと。 ”
” あ~・・あの人なら有り得る。
でも両親もちょっと変だよね、子供を追い出すなんて凄く冷たい人達なんじゃない? ”
ワイワイと盛り上がっているのは、普段俺の取り巻きの末端として後ろの方に控えている者達であった。
こんな事は貴族だったら日常茶飯事で、結局は取り巻きなど自分に都合がいいから従っているだけ。
その場で一番自分に利益がある者の側についていれば自分が害される事はないから。
勿論それを責める権利は俺にはない。
俺とて置いておけば都合がいいだけの存在で、お互い心の内は晒さず一定の距離を保った関係性ーーーそんな付き合いも世を渡っていくための処世術の一つなのだから。
扉に伸ばしかけていた手を直ぐに引っ込め、その場から立ち去ろうとした、その時ーーーー
ゴンッ!!ゴッ!ゴンッ!!!
立て続けに聞こえた低くて鈍い音、そして続く
「「「 いっ!!痛ッーーーーーーー!!! 」」」という叫び声の数々に思わず足を止める。
” こらっ!憶測で悪口を言うんじゃない。悪い子達だね。 ”
そんなリーフ様の怒っている声が聞こえ、そこでさっきの鈍い音はげんこつする音だった事に気づく。
取り巻きたちはリーフ様の登場に言い淀む様子だったが、そのうちの一人がボソボソと言い訳するように言った。
” で、でもお兄さんが出ていったのは本当ですし、優秀だったのも本当ですよ。
< 花爆弾 >を制作したのもその人なんですよ。
家を出て直ぐに魔導具専門店を立ち上げ完全に独立したそうです。 ”
《 名門貴族の跡取り、その地位を捨ててまで独立する 》
そんな事があればほとんどの者達は捨てた家によっぽどの難があるのだろうと勘繰る。
更に出ていった者が優秀であればあるほどその噂は真実味を帯びるだろう。
” リーフ様はご家族から見放された存在でいずれその権威は失墜するだろう。
今のうちに身の振り方を考え、今日からこのマリオンに従え。 ”
ーーーと。
すると2人はお互いに顔を見合わせた後 ” 知っています。 ” と声を合わせて答えた。
そして更に予想外の答えが返ってきた事に驚く俺に向かって、強い意志を感じさせる目を向け言い放つ。
” それでも俺達はずっとリーフ様の取り巻きのままお側にいようと思います。 ”
キッパリとそう告げ、二人は頭を下げて去って行った。
それを呆然と見送りながら、俺は混乱してしまう。
何故?
何故あんな凡庸な容姿に何も持っていない、何一つメリットのないリーフ様に肩入れするのか??
俺の方が上、勝っているのに・・何故!!
全く理解ができず俺は酷く悩んだ。
どうしたらリーフ様に勝てる?
どうしたらめちゃくちゃに傷つけて完膚なきまでに叩き潰してやれる?
頭の中はとにかく気に入らないリーフ様を如何にして排除してやろうかという想いで一杯で、それを探るため俺はリーフ様の動きを毎日必死で目で追い続けた。
リーフ様は単純で好奇心が強く誰よりも自由に動く人だった。
だからこそ兄同様に他の者の意見は全て否定し自分の意見のみを遠そうとする嫌な人間だと思ったが、意外にもリーフ様は自分の意見を突き通す事はなかった。
何か物事を決める際は、まずは高位の者から決めるのが常識。
そのためそれに従って周りの者達がリーフ様に意見を求めても、多数決やくじ引きにじゃんけん、他には交代制や投票などなど、とにかく全員を巻き込む形の意見を出してくる。
実力がないからそうやって下位の者達に媚びているのだろう
そう思って笑ってやれば、とんでもない。
常に俺の遥か上にリーフ様がいる。
ボロボロに負けてゼェゼェと息を吐く俺に「 俺の勝ち~! 」と言って嬉しそうに笑う姿にゴッ!!と怒りの炎が燃え上がる。
” リーフ様は実力が下の者達を笑いモノにするのが好きな最低なサディスト野郎だ! ”
そう思い心底軽蔑と侮蔑の目で睨みつけていれば、あの化け物と戦って俺以上にボロボロに負けた後は悔しそうに地面をゴロゴロと転がりまわる。
” 負けた~~!!俺、悔しいぃぃぃーーー!! ”
そのままオギャギャン!と泣き叫ぶ非常に情けない姿を見てしまえば、怒りなど完璧に吹き飛んでしまった。
” この人は単に頭が悪い気弱な愚か者なのだろう ”
そう決めつけバカにしていれば誰もが反論できない様な言葉を発し、時に恐ろしくて動けないくらいの怒涛の説教にげんこつとかなり激しい一面を見せてくる。
それに完全に恐怖してしまった自分にモヤモヤして、そんな掴みどころのないリーフ様に対し途方に暮れていた、そんなある日の事。
次の授業がある教室へと移動している最中、前の教室に忘れ物をしてしまった事に気づき一人で戻ると、教室の中から俺の悪口が聞こえてきた。
” マリオン様って怖いよね。
いつもギスギスしているっていうかさ・・やっぱり高位貴族だから負けるのが相当悔しいんじゃない? ”
” プライド高過ぎなんだよな。
多分出ていったお兄さんもそのせいで追い出されたんじゃね?
俺が一番だから出てけ!って意地悪したんだよ、きっと。 ”
” あ~・・あの人なら有り得る。
でも両親もちょっと変だよね、子供を追い出すなんて凄く冷たい人達なんじゃない? ”
ワイワイと盛り上がっているのは、普段俺の取り巻きの末端として後ろの方に控えている者達であった。
こんな事は貴族だったら日常茶飯事で、結局は取り巻きなど自分に都合がいいから従っているだけ。
その場で一番自分に利益がある者の側についていれば自分が害される事はないから。
勿論それを責める権利は俺にはない。
俺とて置いておけば都合がいいだけの存在で、お互い心の内は晒さず一定の距離を保った関係性ーーーそんな付き合いも世を渡っていくための処世術の一つなのだから。
扉に伸ばしかけていた手を直ぐに引っ込め、その場から立ち去ろうとした、その時ーーーー
ゴンッ!!ゴッ!ゴンッ!!!
立て続けに聞こえた低くて鈍い音、そして続く
「「「 いっ!!痛ッーーーーーーー!!! 」」」という叫び声の数々に思わず足を止める。
” こらっ!憶測で悪口を言うんじゃない。悪い子達だね。 ”
そんなリーフ様の怒っている声が聞こえ、そこでさっきの鈍い音はげんこつする音だった事に気づく。
取り巻きたちはリーフ様の登場に言い淀む様子だったが、そのうちの一人がボソボソと言い訳するように言った。
” で、でもお兄さんが出ていったのは本当ですし、優秀だったのも本当ですよ。
< 花爆弾 >を制作したのもその人なんですよ。
家を出て直ぐに魔導具専門店を立ち上げ完全に独立したそうです。 ”
《 名門貴族の跡取り、その地位を捨ててまで独立する 》
そんな事があればほとんどの者達は捨てた家によっぽどの難があるのだろうと勘繰る。
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