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第十八章

647 モニモニ

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( レオン )



そこら中を飛び回るバッタの群れ、それに伴う大音量の羽の音。


先程まで考え事をしていたため気づかなかったが、気づいてしまえば不快に感じる気持ちが強く前に出てくる。



しかし ” もしかしてリーフ様はこれが嬉しいのかも・・ ” と考え一応確認したが、やはりリーフ様も不快を感じている様子であった。



同じ想いを持ってくれて嬉しい。



そう満足しながら俺は圧縮した空気を様々な方向に動かした風を創り出し、それを指の動きと連動させて端から虫の大群に通していった。


そうすれば別方向に動く風のせいでバッタの身体は一瞬でバラバラにする事ができる。


しかし誤って ” 人 ” をバラバラにしてしまえばリーフ様は悲しむので、上手く境界線を引き ” 人 ” 側にそれが当たらない様に調整したのだが・・

まさか余波の風如きで人が吹き飛んでしまうとは思わなかった。



可愛らしく踏ん張ろうとするリーフ様を抱きしめ、それ以外の風に巻き込まれ上空に打ち上がっていく人や虫の残骸を眺めていると、残しておいた一匹の爆食バッタが目に入る。


どうやらこの爆食バッタはあくまで仮想の実体である様なので、このままでは消えてしまう。



リーフ様はこれが欲しい。

ならーーー





俺はたまにリーフ様を覗こうとする遠い遠い場所にいる無礼な奴らのスキルを発動した。







 < 神の資質 >  (???スキル)



< 生命のパズル >


自身の管轄する ” 世界 ” において、創られし生命体の構造を組み替える事のできるEXスキル。

ただし、それを行う際はそれと同等の犠牲が必要となるがその犠牲がどこで補正されるか、更にどの程度の範囲の犠牲が必要になるかは、< 理 >の法則のみぞ知る事となる。

発動条件として現在保有する ” 力 ” の50%を失ってしまう。






 < 英雄の資質 >  (???スキル)



< 生命のパズル( ??? ) >


全ての ” 世界 ” において、創られし生命体の構造を自在に組み替える事のできるEXスキル。

それを行う際に必要な構成物質を使い、更に< 理 >の法則の影響は一切受けず独立した法則を生み出し適応させる。

発動条件はスキル ” 超越者 ” を持っている場合、無限に使う事が可能。





空気中に存在する元素を組み合わせ、合成、分裂させて全く同じ個体を作り上げ命を創り出す。

すると、あくまで仮想的な映像実体が本物の実体へと変化し、これならこの巫山戯た空間から出てもあの爆食バッタだけは消えない。



これでリーフ様が楽しく遊べる玩具になった。



落ちてきたそいつは戸惑っている様子を見せ、周りに仲間がいなくなったことから体表の色を赤から緑にしようとしたが、直ぐに< 時空魔法 >を創り出し赤のまま時間を固定。

そのままリーフ様にプレゼントすると、凄く楽しそうにそれを使って遊び始めてくれて俺は嬉しい気持ちになった。



< 時空魔法 >

” 時間 ” に干渉することのできる魔法の総称。

実際に使う事は不可能であるためあくまで空想上の魔法として存在している。




大好きな人の笑顔によってホワッと暖まる胸に宿る小さな幸せ。

それをしっかり噛み締めながら戻ってきたリーフ様を抱きかかえ、丁寧に丁寧にマッサージ。



お疲れの身体にマッサージは非常に気持ち良いらしく、他に関心を寄せようとするリーフ様を身体で黙らせ俺だけを見てもらう。


何と言っても身体は既に陥落済み。

こうして ” 気持ちいい ” でリーフ様を捕まえてしまえば、俺からもう離れることは出来ない。



モニモニモ二~~



ひたすら揉み続けた事が良かったらしく、リーフ様を独り占めしたまま気が付けば授業は終了していた。



ーーーニヤリッ。


満足気に笑みを浮かべていると、突然リーフ様が俺の右手を労る様にモニモニしてきた。

” ありがとう ” 

” 嬉しい ”

そんな感謝の気持ちが溢れている様に感じる優しい手付きにドキドキ・・


しかし、ここはリーフ様の事。

恐らくもっと広くて想像だにしない理由で触ってきているのかも・・

何がきてもいい様にキリッ!と身構えていたのだがーーー?


今度は俺の左目をサワサワ・・

同じく優しい手つきで触って来た。



” 沢山モニモニしてくれるレオンが好き~ ” 

” 大好き ”



ドキドキ

ドキドキ・・



これは間違いない。

リーフ様は俺のマッサージに対して嬉しいと伝えてくれている。



触れられると嬉しい。

それに "  気持ち  "   が乗っているともっと嬉しい。


想いが俺に向いているのが気持ちいい。

リーフ様の一つ一つの行動全てに俺への想いがある。





幸せ






・・・・・






ここでペロペロは駄目だろうか・・





ジーーー・・・

探るような目をリーフ様に向けて言い出すタイミングを狙っていると・・・





「 ・・・お~い・・もう話しかけていいか? 」



ーーー下着の女に邪魔された!



「 はーい!大丈夫でーす! 」


リーフ様がピッ!と手を挙げてそう答えてしまったので、言い出すタイミングは完全に消えうせてしまった。



ムッ!!!


怒りを隠す事なくムスッ!!としながら下着の女を睨みつけたが、リーフ様はあっさりとその女について行く。

そのためペロペロは諦めてリーフ様と共に女の後について行くしかなかった。



そうして何やら酒の沢山ある場所へ案内されると、直ぐにリーフ様は清掃作業を開始する。


お掃除の時間・・??


洗浄魔法、ついでに部屋のもの全てを消そうかーーと思ったが・・

"  お掃除楽しいね。 "  

そう言いながらヒヨコもどきを転がして埃をとっていたリーフ様の姿を思い出して動きを止めた。


"   楽しい  "  を奪ってはいけない。


ふぅ・・とため息をつきながら、俺も・・とその辺に落ちていた布を手に取って開くと、雑巾にしては随分派手、かつクシャとしているが三角形?の変わった形である事に気づく。






繁々と見つめながらもっと広げてみようとしたが、何故かあっという間にリーフ様に取られてしまった。


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