天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十八章

640 ここまで!

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( レオン )

突然聞こえたリーフ様の声によって、俺の意識は一瞬で現実へ戻る。

更に聞こえた言葉に驚き、思わずバタンッと倒れてしまうと────直ぐ目の前には、リーフ様の泣きそうな顔があった。


「 本物のリーフ様……ですか? 」


本物なのは分かっていたが何となく口から出てしまった言葉に、リーフ様は不思議そうな顔をした後、俺の額にソッ……と優しく触れてくる。


「 ほら、レオン。俺は本物のリーフだよ。

さぁ、お家に帰って早く寝ようね。 」


『 相手から寝床に誘って来たらOKって事だな。

” 一緒に寝よう~ ” とか、” 二人きりで休める所に行きたいな~ ” とか────……。 』


先程の授業で、軽薄男が言っていたセリフと同じだ!!


俺の意識は一気に覚醒した。


直ぐ様不安そうな顔のリーフ様を抱きかかえ、そのまま家まで飛ぶ。

そしてベッドの上にリーフ様をソッ……と優しく下ろすと、なんと俺に ” おいで ” と言ってくれたのだ!


ドッドッドッドッ…………!


心臓が太鼓の様に鳴っているのを感じながら、急に近づいて怖がらせない様に、まずは人一人分のスペースを開けて座る。

そしてリーフ様が怖がっていない事を確認しながら、ズリズリと距離を詰めた。

緊張で固まる体と高鳴る鼓動を必死に抑え、俺は小さな声で ” 本当にしてもいいのか? ” と確認を取り、ドキドキしながらリーフ様の答えを待ったが────……。


なんとリーフ様の答えは ” まだ早い ” であった……。


ガ────ン!!

大きなショックを受けながら何故??と必死に尋ねると、リーフ様は衝撃的な答えを俺に返してきた。


「 赤ちゃんができちゃうからだよ。 」


あ、赤ちゃん……????


俺は思ってもみなかった答えに対し、動きを止めた。

          ・
赤ちゃんとは、人間の女の腹にでき下半身から出てくるもの……と本には書いてあった。

確か特殊な魔導具を使わない限りは男で赤子を生むことはできないはずだが……?


何度も見たリーフ様の下半身を思い出し、確実に ” 雄 ” の性を持っている事を、頭の中で何度も確認した。


「 ……赤ちゃん、できるのですか……?? 」


恐る恐る質問するとリーフ様は非常に驚いた様子で俺を凝視した後、キリッ!と表情を引き締め ” できる! ” と断言したのだ。


リーフ様のいう事こそが世界の真理……。


それは分かっているが諦めきれない気持ちと、頭に存在する様々な知識と照らし合わせ一応 ” 先程の授業では言っていなかった気が……? ” と確認してみたのだが……やはり返ってきた答えは先程同様何一つ間違いなどない!と断定するものであった。


「 レオン、それは嘘だ。信じてはいけない。

やれば子供はできる。

そんな嘘に踊らされて、覚悟もなしに子供を作る行為をするなんて最低な行為だよ。

だから順番的には結婚が先!エッチは後!そして愛し合った先にある愛の結晶、それが赤ちゃんだ! 」


────ズドンっ!!!!


全身が凄まじい衝撃に襲われ、意識がフワフワッと飛びそうになったが必死に堪えた。


リーフ様と愛し合えば子供ができる。

そしてそれを現在の不安定な状態で作るのは最低……。


「 もっ、申し訳ありません……!

お、俺は危うく無責任で最低な男になってしまう所でした……。

結婚できるように俺、頑張りますから!

ですのでどうか嫌わないで下さい! 」


その2つを即座に理解すると、俺は直ぐに土下座をして謝った。


その通りだ。

俺はまた自身の快感と欲望だけを追い、リーフ様とその赤ちゃんの事を考えていなかった事に気づき、ズンッ……と心は重くなる。


もうダメだ……。

リーフ様はこんな不誠実な俺を嫌いだと言うかもしれない。


プイッ!!とそっぽを向いて「 無責任なレオン嫌いっ!! 」と言うリーフ様が頭を過ぎり、体はフルフルと震えた。

そうしてそのままリーフ様の言葉を大人しく待っていると、突然肩を暖かい手でポンッと叩かれる。

ドキッ!としながらその暖かさを感じていると……なんとリーフ様は俺を見捨てるつもりはないとキッパリ宣言してくれた。


「 その意気だ!!

レオンが真面目で誠実な男であることは主人たる俺がよ~く知っている!

そんな君を嫌う奴などいるわけがない。

ゆっくりコツコツ頑張れば相手はきっと答えてくれるよ。 」


「 ────!は、はい! 」


” ゆっくりコツコツ頑張れば相手( リーフ様 )は、きっと答えてくれるよ。”

そんな未来に繋がる言葉まで言ってくれて、俺は嬉しくて俺の心臓はドキドキと早くなる。


まだ捨てられていない。

頑張れば答えてくれる。

そんな非常に前向きな言葉が────俺は心の底から嬉しかった。


つまり俺の努力次第でリーフ様は────《 俺と愛し合って 》くれて、《 俺と結婚 》してくれて、、そして《 俺の子供を産んで 》くれる……かもしれないという事だ。


それをしてもらうにはとにかく愛し合うのは結婚した後。

これは絶対に守らなければならない事だとしっかり理解したわけだが……そこで一つの疑問が生じる。


結婚するまで触ったり、抱きしめたり……キスまではいいのだろうか?


それを想像すると、ドキドキと心臓はまたしても大きく動き出す。


「 その……愛し合う行為は結婚の後……というのは分かりました。

でも……その……さっ、触ったりとか、ギュッとしたりとかも駄目なのでしょうか……。

……キ、キスとかも……。 」


意を決して質問すると、リーフ様は考え込みながら唸りだしてしまう。


もしかして嫌われてしまったか?

少々焦ったが、その後直ぐに返された言葉に心臓が止まった。


「 いいって言うなら好きなだけするといいさ。

ただし!相手が嫌そうにしていたら直ぐに辞めるんだよ。

そうしないと守備隊が飛んでくるからね! 」


す、好きなだけ!!?

相手( リーフ様 )が嫌がらない限りは好きなだけ触って良い、そう言われて、理解が追いつくと、心臓はバクバクと全力で叩いている様に激しく鳴り始める。


バックンッ!バックン!


────バクバクバクバク~ッ……!!!!


い、嫌がってないなら良い……嫌がってないなら……。


「 …………。 」


俺はそう思ってくれているリーフ様の気持ちが嬉しくてお礼を告げてから隣に座ると、注意深くその反応を見ながらその体を自分の方へと引き寄せた。


嫌がってる様子はない。

これは良し……。


そしてそのままフワッと香るリーフ様の匂いに誘われて髪の毛に顔を突っ込み存分に匂いを嗅ぐと、リーフ様はう~ん……と渋るような表情になってしまった。


なるほど、お金を渡さない場合はここまでか……。


俺はそれを即座に理解し、許されている所まで堪能しようとクンクンと匂いを嗅いでその幸せに浸った。

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