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第十八章
639 お前さえいなければ
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( レオン )
ミシミシと音を立てて絞まっていく細い首。
眼の前にいる ” リーフ様 ” は、目を見開き、苦しそうに顔を歪める。
” レ・・オン・・?・・・なんで・・?
・・・どうして・・?? ”
” リーフ様 ” の目尻からはポロポロと涙が溢れ、口からは苦しそうに喘ぐ声が漏れた。
それを見ても、俺の心は一切動かない。
体も。何も。
「 ” なぜ ” ・・?
お前こそ一体何をしている?
消えろ。不愉快なモノを見せるな。 」
俺はそのまま手に力を少しだけ入れて、そのままグチャリと首を握り潰した。
ゴトッ・・
コロコロコロコローー・・
・・・ドサッ
下に落下して転がっていく首と力なく崩れ去った体。
それを見てもやはり俺の心には何も変化は起きなかった。
無感情にただ淡々と血で汚れた手を洗浄魔法でキレイにしていると、横たわっていた ” 体 ” が突然ムクリっと起き上がり、自身のちぎれてしまった首の所までゆっくり歩いて行くと、それをヒョイッと拾う。
” 酷いよ。レオン・・。痛いじゃないか。
俺の事、大好きだって思っているのに何でそんな事をするんだい? ”
くるりと俺の方を向いた顔は悲しげな顔をしているが、その瞳には堪えることの出来ぬほどの憎悪の炎がメラメラと燃えていた。
「 ” 大好き ” ?
俺が大好きなのはリーフ様だけだ。
お前の存在で俺の心も体も動かない、干渉を受けない。
” 感情 ” は生まれない。 」
そう口にすることで、俺は全てのピースがカチッと頭の中で嵌った様な気がした。
” リーフ様の体だけでは ” 気持ちいい ” は得る事はできない ”
たとえリーフ様の体だけあっても俺の心は動かない。
だから何一つ ” 感情 ” は生まれない。
” 愛し合う ” には全てを持ったリーフ様でないと駄目なんだ。
そこまで思考が辿り着いた瞬間、心の中一杯に広がったリーフ様との日々の記憶。
初めて会った時の驚き、何かが変わってしまうという恐怖、ワクワク、喜び
下僕失格、捨てられるという不安、、悲しみ、力のない自分への不甲斐なさ、悔しさ、怒り・・・
嫌というほどその言動と行動に振り回されて、その度に心は大きく動かされる。
そしてそれに伴った沢山の ” 楽しい ” ” 嬉しい ” ” 幸せ ” で満ち溢れている想い達ーーー
そんな思い出全てが合わさって、俺の中でリーフ様という人間が出来上がる。
姿が同じでも駄目。
たとえ同じ魂を持ってたとしても、全てが揃わなければ俺のリーフ様ではない。
共に過ごすことで少しづつ少しづつ俺のリーフ様は育っていき、どんどんどんどん ” 愛おしい ” 気持ちも成長していくのか。
そんな ” 愛おしい ” リーフ様だからこそ、俺は ” 愛し合いたい ”
そう思う心の正体はーーーーーー・・・
その答えに辿り着こうとした、その時ーーー首を切断されてしまった ” リーフ様 ” が『 ーーークソっ・・!、 』と呟きながら消えると、今度は突然辺り一面沢山の ” リーフ様 ” が現れた。
そしてその全ての ” リーフ様 ” はニコッと笑いながら俺に語りかける。
” ねぇねぇ、俺を選んでよ、レオン。俺ならレオンの望みを何だって叶えてあげられるよ? ”
” そうだよ。ずっと一緒にいてあげるし、何処にも行かないよ。 ”
” レオンの望む永遠を叶えてあげる ”
俺が黙っていると、更に " リーフ様 " 達は続けて言った。
” 沢山沢山気持ちいいこともできるよ。
だっていつも一緒にいるリーフはレオンの事を見てくれないんでしょ?
レオンのお願いは何一つ叶えてくれずにすぐ ” 外 ” に行っちゃう自分勝手な奴なんでしょ? "
" 俺だったらそんな辛い思いをレオンにはさせないな~。
レオンだけ見てあげる。
レオンを世界一幸せにしてあげる。
ーーーね?だからここに・・ ”
そう言って一斉に俺に手を伸ばそうとする ” リーフ様 ”
しかしーーー
どんなに魅力的な言葉でも俺の心に届く事はない。
言う事を聞いてくれるリーフ様は俺の大好きなリーフ様ではないから。
フッと小さな笑いを漏らした後、俺は静かにレイピアを抜きーーーー
一瞬で全員をバラバラにしてやった。
まるで赤い絵の具でもぶちまけた様に真っ赤に染まってしまった黒の空間内。
その中でやはり何の感情も浮かばぬままぼんやりと立っていると、そこら中から沢山の声が聞こえてきた。
” クソっ!クソっ!!何で?!何でだよっ!!?
完全に同じ物質構成で作り上げたのにっ!! ”
” 魂も全て同じ配列で創ったのにっ!!! ”
” おのれおのれおのれぇっ!!!!
お前さえ、お前さえいなければっ・・・!!
” 世界 ” は完璧な姿にーーーーーーーー ”
そんな憎々しげな声と共に黒い空間の至る所からドロドロとした黒いモノが噴出し、それが全て手の形になると俺に向かって来たがーーー
一瞬ですべての ” 黒 ” はまるで煙の様に消えてしまった。
そしてチャプチャプという水の音と共に気がつけば下は透明で綺麗な水に浸っており、それがどこまでもどこまでも続いていく。
そして空は先ほどまで黒だったのが信じられない程、明るい太陽が昇る青空へと変化してしまった。
俺は眩しいものを見る様にその景色を眺め・・・ぴょんぴょんと楽しそうに駆けていく見慣れた背中に向かってポツリと呟く。
「 俺の ” 始まり ” をくれた人。
最初は ” また会いたい ”
そして ” 想い ” はどんどん大きくなっていく。
貴方が俺に向けてくれる全てのものが、俺は ” 愛おしい ”
俺は・・貴方がーーー・・・ 」
ーーーーー
「 一緒にいこう! 」
ミシミシと音を立てて絞まっていく細い首。
眼の前にいる ” リーフ様 ” は、目を見開き、苦しそうに顔を歪める。
” レ・・オン・・?・・・なんで・・?
・・・どうして・・?? ”
” リーフ様 ” の目尻からはポロポロと涙が溢れ、口からは苦しそうに喘ぐ声が漏れた。
それを見ても、俺の心は一切動かない。
体も。何も。
「 ” なぜ ” ・・?
お前こそ一体何をしている?
消えろ。不愉快なモノを見せるな。 」
俺はそのまま手に力を少しだけ入れて、そのままグチャリと首を握り潰した。
ゴトッ・・
コロコロコロコローー・・
・・・ドサッ
下に落下して転がっていく首と力なく崩れ去った体。
それを見てもやはり俺の心には何も変化は起きなかった。
無感情にただ淡々と血で汚れた手を洗浄魔法でキレイにしていると、横たわっていた ” 体 ” が突然ムクリっと起き上がり、自身のちぎれてしまった首の所までゆっくり歩いて行くと、それをヒョイッと拾う。
” 酷いよ。レオン・・。痛いじゃないか。
俺の事、大好きだって思っているのに何でそんな事をするんだい? ”
くるりと俺の方を向いた顔は悲しげな顔をしているが、その瞳には堪えることの出来ぬほどの憎悪の炎がメラメラと燃えていた。
「 ” 大好き ” ?
俺が大好きなのはリーフ様だけだ。
お前の存在で俺の心も体も動かない、干渉を受けない。
” 感情 ” は生まれない。 」
そう口にすることで、俺は全てのピースがカチッと頭の中で嵌った様な気がした。
” リーフ様の体だけでは ” 気持ちいい ” は得る事はできない ”
たとえリーフ様の体だけあっても俺の心は動かない。
だから何一つ ” 感情 ” は生まれない。
” 愛し合う ” には全てを持ったリーフ様でないと駄目なんだ。
そこまで思考が辿り着いた瞬間、心の中一杯に広がったリーフ様との日々の記憶。
初めて会った時の驚き、何かが変わってしまうという恐怖、ワクワク、喜び
下僕失格、捨てられるという不安、、悲しみ、力のない自分への不甲斐なさ、悔しさ、怒り・・・
嫌というほどその言動と行動に振り回されて、その度に心は大きく動かされる。
そしてそれに伴った沢山の ” 楽しい ” ” 嬉しい ” ” 幸せ ” で満ち溢れている想い達ーーー
そんな思い出全てが合わさって、俺の中でリーフ様という人間が出来上がる。
姿が同じでも駄目。
たとえ同じ魂を持ってたとしても、全てが揃わなければ俺のリーフ様ではない。
共に過ごすことで少しづつ少しづつ俺のリーフ様は育っていき、どんどんどんどん ” 愛おしい ” 気持ちも成長していくのか。
そんな ” 愛おしい ” リーフ様だからこそ、俺は ” 愛し合いたい ”
そう思う心の正体はーーーーーー・・・
その答えに辿り着こうとした、その時ーーー首を切断されてしまった ” リーフ様 ” が『 ーーークソっ・・!、 』と呟きながら消えると、今度は突然辺り一面沢山の ” リーフ様 ” が現れた。
そしてその全ての ” リーフ様 ” はニコッと笑いながら俺に語りかける。
” ねぇねぇ、俺を選んでよ、レオン。俺ならレオンの望みを何だって叶えてあげられるよ? ”
” そうだよ。ずっと一緒にいてあげるし、何処にも行かないよ。 ”
” レオンの望む永遠を叶えてあげる ”
俺が黙っていると、更に " リーフ様 " 達は続けて言った。
” 沢山沢山気持ちいいこともできるよ。
だっていつも一緒にいるリーフはレオンの事を見てくれないんでしょ?
レオンのお願いは何一つ叶えてくれずにすぐ ” 外 ” に行っちゃう自分勝手な奴なんでしょ? "
" 俺だったらそんな辛い思いをレオンにはさせないな~。
レオンだけ見てあげる。
レオンを世界一幸せにしてあげる。
ーーーね?だからここに・・ ”
そう言って一斉に俺に手を伸ばそうとする ” リーフ様 ”
しかしーーー
どんなに魅力的な言葉でも俺の心に届く事はない。
言う事を聞いてくれるリーフ様は俺の大好きなリーフ様ではないから。
フッと小さな笑いを漏らした後、俺は静かにレイピアを抜きーーーー
一瞬で全員をバラバラにしてやった。
まるで赤い絵の具でもぶちまけた様に真っ赤に染まってしまった黒の空間内。
その中でやはり何の感情も浮かばぬままぼんやりと立っていると、そこら中から沢山の声が聞こえてきた。
” クソっ!クソっ!!何で?!何でだよっ!!?
完全に同じ物質構成で作り上げたのにっ!! ”
” 魂も全て同じ配列で創ったのにっ!!! ”
” おのれおのれおのれぇっ!!!!
お前さえ、お前さえいなければっ・・・!!
” 世界 ” は完璧な姿にーーーーーーーー ”
そんな憎々しげな声と共に黒い空間の至る所からドロドロとした黒いモノが噴出し、それが全て手の形になると俺に向かって来たがーーー
一瞬ですべての ” 黒 ” はまるで煙の様に消えてしまった。
そしてチャプチャプという水の音と共に気がつけば下は透明で綺麗な水に浸っており、それがどこまでもどこまでも続いていく。
そして空は先ほどまで黒だったのが信じられない程、明るい太陽が昇る青空へと変化してしまった。
俺は眩しいものを見る様にその景色を眺め・・・ぴょんぴょんと楽しそうに駆けていく見慣れた背中に向かってポツリと呟く。
「 俺の ” 始まり ” をくれた人。
最初は ” また会いたい ”
そして ” 想い ” はどんどん大きくなっていく。
貴方が俺に向けてくれる全てのものが、俺は ” 愛おしい ”
俺は・・貴方がーーー・・・ 」
ーーーーー
「 一緒にいこう! 」
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