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第十八章

632 夢タイム再び

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( レオン )



そうしてひたすら黙っているといつの間にかそいつらは視界から消え、リーフ様に案内されるまま教室内のやたら仰々しい椅子に俺は座らされた。


今度はここで待機か・・?


そう思いながらリーフ様の動きを目で追うと、俺から離れて異常に長い机の端へとリーフ様は移動、そしてそのままそこに置いてある椅子に座ってしまう。


? 


俺は自分のいる場所、そしてリーフ様が座ってしまった場所を交互に見てその距離を確認すると、直ぐに立ち上がり椅子を引きずってリーフ様の元へ。

そして椅子をつけてとなり同士にすると、そのままストンと座った。



しかしーーーーー



” レオンの椅子は動かしては駄目 ” 


椅子に座って前を向く俺にリーフ様がまるで子供に言い聞かせる様に言ってくる。


動かしてはダメ・・俺の椅子の位置は固定・・


ーーーなるほど・・?


それを理解した俺は先程の位置へ自分の分の椅子を戻し、次にリーフ様ごとその座っている椅子を持ち上げスタスタと自身の席を置いた場所まで戻った。

そして椅子を隣同士にくっつけるとリーフ様の隣にストンと座る。


これで問題は全て解決。

自信を持って堂々としていたが、また怒られてしまう。


「 ?? 」



何故?

どうして??

疑問で一杯になりながらリーフ様の言い分を聞くと、要はーー

 ” 俺の席もリーフ様の席も動かしては行けない ” 

ーーという事らしい。


今度こそ正しく理解した俺は椅子を元に戻し、リーフ様の隣の床に座る事で今度こそ全ての問題は解決したと思ったが・・なんとこれも駄目だと言う。


「 ???? 」


理解できずにいる俺に更にリーフ様は、” 椅子はそのままの位置で ” そして ” その場所にお互い座る事 ” という主旨の事を言ってきたため、俺はその椅子と椅子の間の長い距離に絶句。


嫌だと無言の抗議を続けた。


俺はリーフ様の望みはすべて叶えると誓っている。

しかしそれはあくまで俺の側にいることが大前提となっているためこれはその前提外の事。


そのため絶対に譲るつもりはないと黙ってリーフ様の出方を見ていたら、なんと今度は自身の座る椅子に対し大絶賛を始めてしまったのだ!


何一つ俺に勝っている所などない椅子に!!


その瞬間、カッ!と頭に血が登った俺は直ぐ様リーフ様に詰めより異議申し立てをする。



「 どういう事ですか!!

俺を捨ててこんな吹けば飛んでしまうような役立たずの椅子を選ぶんですか?!

俺のどこが駄目なんですか!理由を教えて下さい!! 」



「 えっ?何っ?何?どういう事?? 」



オロオロと困った様な顔をするリーフ様に対し、どうにか自分を選んで貰おうと必死にアピール。

すると、何とか分かってもらえたらしく「 レオンの ” 椅子 ” がNO・1ーーー!!! 」と最後は言ってくれた。


ホッとした俺は、リーフ様を優しく抱き上げいつも通り ” 椅子 ” になって座ると、そのままモミモミとリーフ様お気に入りの手のマッサージを開始する。

一日の内結構な時間剣を握るその手はガチガチで、それをなんとかしたいと考えた俺は試行錯誤の末このマッサージを思いついた。


これが大当たり!


これをしている間は大人しく俺の腕の中にいてくれる。

俺にとっては至福の時間。


気持ちよさそうにマッサージを受けるリーフ様を見下ろしながら幸せに浸っていると、そこでハッ!と気づいてしまった。


これも ” 体を落とす ” とやらに該当するのでは・・?


パァッ!と眼の前が急に明るくなった気がして、さらなる技術の向上を心に誓った。




その後授業とやらは滞り無く進み、それが終わればランチの時間。

気に入らないが同じ授業を受けていた女2人と共にランチをするための場所へと向かうと、既に数人がその場所に待機していてそのまま一緒に食事をする事に。


邪魔がいっぱい・・

早く帰りたい・・


うんざりしたが、ここで帰ってしまえば性教育の講義が受けられない。


それは駄目だと軽く頭を振りながらリーフ様の様子を伺うと・・何と突然リーフ様がボンヤリとして反応が一切なくなってしまった。




これはーーーー



「 ” 夢タイム ” だな。 」


「 ” 夢タイム ” っすね~。 」



細い方と太い方が反応がなくなってしまったリーフ様に視線をチラッと向けた後、お茶を啜りながらのんびりと言った。


巨大な鳥の骨をガリガリ齧っている赤犬がその言葉に即座に食いつき「 なんだよ、その ” 夢タイム ” って? 」と尋ねると、細い方と太い方がヤレヤレとため息混じりに答える。



「 リーフ様は、その・・少々自身のキャパシティを超える出来事が起こるとああいった状態になることがあってな。

長い時だと半日くらいその状態のままの時もある。 」


「 多分これから受ける ” 性教育 ” のせいじゃないかと思うんスよね~。

まっ、俺は大人なんで、気持ちを理解してあげる事はできないすけど。 」



細い方と太い方はそう言い合って同情するような目をポヤッとしているリーフ様に向ける。

すると赤犬も続けて悲しそうな顔をして青いチビに視線を向け二人揃って首をユルユルと横に振った。


そのまま何やら妙な空気を漂わせながらランチの時間は終了し、 ” 性教育 ” を受ける教室へ向かうことになったが・・

リーフ様は自身の頭をポカッと叩いたりはしているがやはり意識は戻ってこない。


仕方ないので、俺はその叩かれた頭を撫でながら優しく抱き上げてその場所に向かうことにした。



前を歩くのは太いの、細いの、赤犬の3人。

そいつらは目的地に着くまでひたすらワイワイガヤガヤと非常に煩く話し続ける。


「 ・・どっしりした腰と太もも。 」

「 プリプリお尻っすね~。 」

「 い~や、一番は匂いだな、匂い!

ついでに全部デカかったら最高。 」


などと理解不能な話が永遠と続きウンザリした。


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