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第十七章
625 ” 絶対悪 ”
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( カール )
コポコポコポ・・・
私のお気に入りのカップに飴色の紅茶が注ぎ込まれると、フワッと香るのは薔薇の香り。
我が最愛の妻マリナと娘のシャルロッテが愛して止まない薔薇茶。
家族揃ってのティータイムには欠かすことのできない重要なアイテムだ。
いつもの時間、いつもと同じ家族ルーム、いつもと同じ最高品質の薔薇茶。
私はフッ・・と小さく笑みを溢した後、その高貴な香りを存分に楽しみながらゆっくりとカップに口付けその幸せな香りと味を堪能した。
一人で。
それを再確認した瞬間、ピキピキッ!!と青筋が額を蜘蛛の巣のように走っていき、怒りに震えだす手のせいで持っているカップからは紅茶がジャバジャバと下に溢れていく。
口元からもダラダラと紅茶が溢れていき、力を入れ過ぎたお気に入りのカップは亀裂が入ってしまったためもう二度と使えない。
それが更に怒りを増幅し、必死に抑え込んでいた憎悪、憎しみが大爆発するように勢いよく外に飛び出した。
「 ふっ・・ふっふっーー・・・
ふっざけるなぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!!! 」
大声を上げながらカップを壁に向かって思い切り叩きつけると、そのせいで当然カップは無惨にもバラバラ。
その破片が辺り一面に飛び散った。
「 ヒィッ!! 」
給仕をしていた侍女が短い悲鳴をあげて部屋の外へとバタバタと逃げ出していったが、それを気にする余裕は今の私にはない。
私の怒りは収まる事なく、「 クソっ!クソっ!! 」「 この!!ゴミ虫がぁぁぁっ!! 」などと呪詛を吐き出す様に叫びながら、どうにか落ち着こうと頭を両手でガシガシと強く掻きむしる。
すると思った以上に強くこすりすぎたせいで、私の美しい金色の髪が抜けパラパラと床へ落ちていった。
「 がっ・・・がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっーーーーーーーっ!!! 」
続けて自身を襲う気が狂いそうになる怒りに、私はまるで獣の様な叫び声を上げながら手当たり次第そこら中の家具を壊して回った。
そして部屋中の家具を壊し尽くすと、多少は冷静になれた気がするが依然憎悪の炎はメラメラと燃え盛ったまま。
私は片手で顔を覆い、荒い呼吸を落ち着かせながら大事な大事な家族の事を想った。
私が心から愛し、世界一大事な家族。
そんな家族と過ごすティータイムが私の一番の安らぎ。
全員が幸せに満ち溢れた美しい顔で微笑み、その日にあった出来事や輝くような未来の話が飛び交う。
まさに幸せを象徴したような時間、幸せの情景ーーー
それがっーーーーーー!!!!!
ギリッ!!と唇を噛み締め、私はギラギラと憎しみのこもった目を天井へと向けた。
この目に写るのは天井に吊り下がった美しいシャンデリアではなくーーー
あの忌々しい醜き邪神の使いっ!!
汚らしい茶色のゴミ虫がそのシャンデリアを突き抜けブワッと浮き上がる!!
酷く醜い容姿を持ったまさにこの世の ” 絶対悪 ” !!!
それに対し到底耐えることのできない強い殺意が湧き、私は足元に散らばる薔薇の花をぐしゃぐしゃと踏み潰した。
そして踏み荒らされてしまった美しい薔薇の無惨な姿に憂い嘆く。
神に選ばれし我がメルンブルク家
完璧な存在である我々の唯一の汚点、天敵、弱点ともいえるアレのせいで美しい薔薇たちはこの様に蹂躙されてしまった・・
そしてこの薔薇の姿は我々メルンブルク家の未来の姿ーーー
このままあの悪しき邪神に屈してしまえば、これが現実のものとなってしまうだろう。
世界すらも・・
私はヨロっ・・とふらつきながらボロボロになってしまったソファーへ座り、そのまま額に手を当て俯いた。
そして完全とも言える作戦を立てたのに失敗してしまった事を思い出し、爪を強く噛む。
世界を破滅しようと目論む、邪悪な邪神の遣い< リーフ >
それを、我がメルンブルク家は神に変わって討ち滅ぼそうと今の今まで入念な準備をし、中学院入学前に作戦を実行に移した。
金も時間も人脈も・・ありとあらゆる全てのモノを使って全力をもってその作戦に挑んだのだがーーー結果は惨敗。
Sランク傭兵パーティーの ” 神の戯れ ” は冷静沈着で情に流されることなく、いつも完璧と言える仕事をしてきてくれたため、我がメルンブルク家としては最も信頼していたいわばビジネスパートナーであった。
彼らに任せればいつも通り完璧な仕事をしてくれるだろう
そう期待し、念には念をと多数のAランク傭兵たちまで用意したのに・・・
その結果、全滅だ。
更にそれだけではなく、アーサーの第二騎士団に花まで持たせてしまった。
” 神の戯れ ” を始末したのは元第二騎士団団長< ドノバン >と元副団長の< ユーリス >
今までも尽くエドワード派閥のジャマをしてきた憎き敵で、その強さは厄介だと最大限足止めをしたはずなのに、どうして間に合ってしまったのか?
噛んでいた爪をビリッ!!と噛みちぎると血がダラダラと指から垂れてきたが・・強すぎる憎悪のせいで痛みは感じない。
考えられる可能性はもう一人の厄介な存在ーーー
元諜報部員で諜報ギルドの頂点に立つ総ギルド長< エルビス >が最も信頼し今も繋がりを持っている男
< カルパス >
恐らく奴が情報をいち早くキャッチし動いたに違いない。
コポコポコポ・・・
私のお気に入りのカップに飴色の紅茶が注ぎ込まれると、フワッと香るのは薔薇の香り。
我が最愛の妻マリナと娘のシャルロッテが愛して止まない薔薇茶。
家族揃ってのティータイムには欠かすことのできない重要なアイテムだ。
いつもの時間、いつもと同じ家族ルーム、いつもと同じ最高品質の薔薇茶。
私はフッ・・と小さく笑みを溢した後、その高貴な香りを存分に楽しみながらゆっくりとカップに口付けその幸せな香りと味を堪能した。
一人で。
それを再確認した瞬間、ピキピキッ!!と青筋が額を蜘蛛の巣のように走っていき、怒りに震えだす手のせいで持っているカップからは紅茶がジャバジャバと下に溢れていく。
口元からもダラダラと紅茶が溢れていき、力を入れ過ぎたお気に入りのカップは亀裂が入ってしまったためもう二度と使えない。
それが更に怒りを増幅し、必死に抑え込んでいた憎悪、憎しみが大爆発するように勢いよく外に飛び出した。
「 ふっ・・ふっふっーー・・・
ふっざけるなぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!!! 」
大声を上げながらカップを壁に向かって思い切り叩きつけると、そのせいで当然カップは無惨にもバラバラ。
その破片が辺り一面に飛び散った。
「 ヒィッ!! 」
給仕をしていた侍女が短い悲鳴をあげて部屋の外へとバタバタと逃げ出していったが、それを気にする余裕は今の私にはない。
私の怒りは収まる事なく、「 クソっ!クソっ!! 」「 この!!ゴミ虫がぁぁぁっ!! 」などと呪詛を吐き出す様に叫びながら、どうにか落ち着こうと頭を両手でガシガシと強く掻きむしる。
すると思った以上に強くこすりすぎたせいで、私の美しい金色の髪が抜けパラパラと床へ落ちていった。
「 がっ・・・がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっーーーーーーーっ!!! 」
続けて自身を襲う気が狂いそうになる怒りに、私はまるで獣の様な叫び声を上げながら手当たり次第そこら中の家具を壊して回った。
そして部屋中の家具を壊し尽くすと、多少は冷静になれた気がするが依然憎悪の炎はメラメラと燃え盛ったまま。
私は片手で顔を覆い、荒い呼吸を落ち着かせながら大事な大事な家族の事を想った。
私が心から愛し、世界一大事な家族。
そんな家族と過ごすティータイムが私の一番の安らぎ。
全員が幸せに満ち溢れた美しい顔で微笑み、その日にあった出来事や輝くような未来の話が飛び交う。
まさに幸せを象徴したような時間、幸せの情景ーーー
それがっーーーーーー!!!!!
ギリッ!!と唇を噛み締め、私はギラギラと憎しみのこもった目を天井へと向けた。
この目に写るのは天井に吊り下がった美しいシャンデリアではなくーーー
あの忌々しい醜き邪神の使いっ!!
汚らしい茶色のゴミ虫がそのシャンデリアを突き抜けブワッと浮き上がる!!
酷く醜い容姿を持ったまさにこの世の ” 絶対悪 ” !!!
それに対し到底耐えることのできない強い殺意が湧き、私は足元に散らばる薔薇の花をぐしゃぐしゃと踏み潰した。
そして踏み荒らされてしまった美しい薔薇の無惨な姿に憂い嘆く。
神に選ばれし我がメルンブルク家
完璧な存在である我々の唯一の汚点、天敵、弱点ともいえるアレのせいで美しい薔薇たちはこの様に蹂躙されてしまった・・
そしてこの薔薇の姿は我々メルンブルク家の未来の姿ーーー
このままあの悪しき邪神に屈してしまえば、これが現実のものとなってしまうだろう。
世界すらも・・
私はヨロっ・・とふらつきながらボロボロになってしまったソファーへ座り、そのまま額に手を当て俯いた。
そして完全とも言える作戦を立てたのに失敗してしまった事を思い出し、爪を強く噛む。
世界を破滅しようと目論む、邪悪な邪神の遣い< リーフ >
それを、我がメルンブルク家は神に変わって討ち滅ぼそうと今の今まで入念な準備をし、中学院入学前に作戦を実行に移した。
金も時間も人脈も・・ありとあらゆる全てのモノを使って全力をもってその作戦に挑んだのだがーーー結果は惨敗。
Sランク傭兵パーティーの ” 神の戯れ ” は冷静沈着で情に流されることなく、いつも完璧と言える仕事をしてきてくれたため、我がメルンブルク家としては最も信頼していたいわばビジネスパートナーであった。
彼らに任せればいつも通り完璧な仕事をしてくれるだろう
そう期待し、念には念をと多数のAランク傭兵たちまで用意したのに・・・
その結果、全滅だ。
更にそれだけではなく、アーサーの第二騎士団に花まで持たせてしまった。
” 神の戯れ ” を始末したのは元第二騎士団団長< ドノバン >と元副団長の< ユーリス >
今までも尽くエドワード派閥のジャマをしてきた憎き敵で、その強さは厄介だと最大限足止めをしたはずなのに、どうして間に合ってしまったのか?
噛んでいた爪をビリッ!!と噛みちぎると血がダラダラと指から垂れてきたが・・強すぎる憎悪のせいで痛みは感じない。
考えられる可能性はもう一人の厄介な存在ーーー
元諜報部員で諜報ギルドの頂点に立つ総ギルド長< エルビス >が最も信頼し今も繋がりを持っている男
< カルパス >
恐らく奴が情報をいち早くキャッチし動いたに違いない。
応援ありがとうございます!
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