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第十七章

614 やぁ、俺リーフ

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( リーフ )



こめかみを揉むのを嫌がっていないと判断したレオンが腰辺りを掴み、更にモニモニと優しく揉んでくると、デロロ~ンと思考は徐々に溶けていく。


むひょ・・?


変な声を漏らしながらその巧みなテクニックに翻弄されていると、何やら離れた場所でザワザワと非常に騒がしい事に気づいた。


一体どうしたんだろう?


周りに人がいなくなってご機嫌なリリアちゃんと目を合わせたその時、視界の端からにゅにゅっ!とサイモンが滑り込んできた。



「 あ、サイモンおはよう。何だか騒がしいけどどうしたんだい? 」


「 リ~フ様ぁ~!おはようございます。

実は大変な騒ぎになっていて・・本当に本当に大変なんですよ~。 」


サイモンは戯けた様にそう言ってきたが、目は真剣でムッとしている雰囲気。

それが伝わってきたので俺はレオンのマッサージでドロロンしてた思考をしっかりと戻し、サイモンに再度質問した。



「 騒ぎって一体何の騒ぎだい?喧嘩か何かかな? 」



「 いいえ~。

実は三年生の特級組の人達が入ってきてから結構空気が悪かったんですが・・


【 辺境伯 】の< マービン >様


ーーが会場入りしてからそれがガクッと悪化しちゃいました。

ライロンド家はエドワード様の派閥の中でもナンバー入りの家ですから、ソフィア様も強く言えなくて・・ 」



【 辺境伯 】はマリオンやアゼリアちゃんの【 伯爵 】より身分は上。

よって一学年の中で物を申せる身分の子はいない。


さらに確かライロンド家といえば、エドワード派閥のいわゆる幹部?的な立場でありかなりの過激派なのだと聞いた事があった様な?


もしそうなら中立派のソフィアちゃんとしては決定的な何かがなければ動く事ができない。


これは何とも大変な状況の様だ。


毎度の事ながら既に社会の荒波真っ只中の様な学生生活にホロリとしていると、サイモンは更に話を続ける。



「 マービン様は以前から素行が最悪な人なんですけど、高い身分に加えて資質は上級資質持ちですから自他共に認める現在の三年生のトップに君臨している人なんですよぉ。

バリバリの身分至上主義に加えて女性軽視が物凄~い事でも有名で、あの人のせいで三年生は軒並み評判最悪ですね!

何かにつけて女は~女は~って凄くて、ウチの【 報道部 】でも一面記事の常連さんです。

今なんて平民グループの女の子達に   "   服を脱いで下着で踊れ  "   って脅しだしちゃって・・

今急いで先生達を呼びにいっているところなんですよぉ~。 」



「 えぇっ!?何てこった!

それはいけない!直ぐに止めないと。 」


こんな昼間、しかも学院内で堂々とそんな痴漢の様な事をするとは・・なんとも末恐ろしいスケベ坊やだ!


非常に驚かされながら俺が騒ぎの中心へと向かうと、まず目に入ったのは3人の女の子達。

全員酷く怖がっている様子で、その顔は青ざめ泣きそうに顔を歪めながらブルブルと震えている。


そして対峙するように腕を組み、笑いながらドドーンと立っているのが問題スケベ坊やのマービン君の様だ。


ザ・貴族の見本の様なフリル満載の軍服の様な服に、クリンクリンの薄暗い金色の髪に左のサイドの髪一房だけ少々長い若者のおしゃれヘアー(?)

そしてタレ目気味の目は普通に見ればパンダさん的なイメージで可愛いはずなのだが、なんといってもその破廉恥な行動により、いやらしいイメージに変わってしまっている。


後ろに控えるのは同じ様にエチチな目でニヤつく少年達が2人、多分取り巻き的な坊や達だと思われる。


マービン君は怖がるその女の子達を舐める様な目で見つめながら、ニヤニヤした顔で喋りだした。



「 ほらっ?聞こえなかったのか?平民。

この俺が退屈しているんだ。

身分も実力もない役立たずの平民の女ができる事をしろって言っているんだよ。

そんな最下層の女ができる事なんて1つだろ?


さっさとその服を脱いでこの俺を楽しませろよ。 」



高圧的な物言いに女の子達がビクッ!!と震え、下を向き3人でより一層固まって震え続ける。


それをマービン君の後ろから楽しそうに見ているのは三年生の特級組の面々で、「 可哀想~。 」「 でも言っている事は確かに・・ねぇ? 」などなど言い合ってクスクス笑っていた。


他の一年生達は悔しそうな顔をしているものの高い身分と実力差から何も言えず・・唯一ソフィアちゃんのみ、その言動や行動に対し「 マービン様・・」と避難する様な声を上げたが、マービン君はそれに対し適当に流すだけで聞こうとしない。



今の国の法律では平民に対する不当な暴力や暴言に対する強制力というものは低く、基本は平民側の泣き寝入り。

寧ろそれを庇う方が ” 問題がない貴族に対し非常に無礼で下品な行動 ” と捕らえられてしまい、残念ながらそんなジャイアニズムも驚きの一方通行の考え方が主流なのである。


やれやれと小さくため息をつきながら、俺がザッ・・と女の子達の前に立つと、マービン君はピクリッと眉を上げ、不快そうな表情を見せた。



「 ーーはっ?何だ?貴様は? 」



「 やぁ、俺はリーフ。

君はマービン君・・で合っているかな? 」


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