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第十七章
612 俺が相手だ
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( リーフ )
レナ先生を見送った後、ゆっくりしていたらもうそんな時間か~とやっと気づく。
「 リリアちゃん、そろそろ行こうよ。 」
そう声を掛けるとリリアちゃんはニコッと笑い「 はい。 」と答えてくれたため、俺とレオン、リリアちゃんの3人はそのまま【 闘技場 】へと歩きだした。
リリアちゃんは歩きながら、最近の< 平民組 >の様子について話してくれて、なんと小競り合いが多かったサイモンとメルちゃんはいつの間にか意気投合し最近『 かっこ可愛い同盟 』なるものを作ったらしい。
「 何だい?それ? 」と質問すると、リリアちゃん曰く、
” かっこいいと言われたいメルちゃん ”
” 可愛いと言われたいサイモン ”
お互い頑張ろうね!ーーーという同盟らしい。
なるほどね~と言いながら二人の性格を思い出すと、確かに2人とも同じ様な目標を持っているなと初めて気づいた。
仲良くなれて良かった良かった~と喜びながら話を聞いていると、急にリリアちゃんが真顔になってその場にピタリと止まった。
周りに木しかない鬱蒼とした場所で止まってしまったので、一体どうしたのか?と尋ねようとしたが、その前にリリアちゃんの方が先に話し出す。
「 ・・兄は変わりました。
昔はどこか人と一線置いてそれ以上近寄ろうとしないで逃げてしまっていたのに・・。
本当は ” 人 ” が大好きで凄く優しい人なんです。
でも、いつも巫山戯た振りをして人と関わる事を諦めてしまう人でした。 」
唐突な話に少々驚いたが俺はピタリと止まって大人しくリリアちゃんの話を聞く体制に、それに釣られてレオンは、聞く気はないがとりあえず俺の後ろで大人しく待機の姿勢をとる。
そんな俺たちを見て、リリアちゃんはニコッと笑い、そのまま話を続ける。
「 私達には父はいません。
母が一人で私達を産み落とし、ここまで育ててくれました。
・・母はとても綺麗で兄と容姿が瓜二つの " 男性 " なんです。
そんな母は今の兄同様、やはり若い頃はエルフ族独自の価値観に悩んでいたそうです。
女性よりも綺麗な外見は、女性には人気がなく男性からも伴侶としては人気がない。
そんな時、出会ったのが " 人族 " の父だった様ですが・・残念ながら一緒にはなれなかったようですね。 」
淡々と告げられるリリアちゃんとサイモンの家庭の事情だったが、リリアちゃん的にはそれに対しあまり納得していないであろう事は纏っている空気でなんとなく分かった。
男女の恋路は本人たちにしか知り得ない事があるため基本的には第三者がチュドンッ!と爆撃しない方が良いと思っているが、子供からしてはたまったものではない。
だから親御さんはそこはグッと堪えて子供には見せないで頂きたい。
ふぅ~と嘆かわしさに深い深~い息を吐くと、リリアちゃんは同時に視線をやや下に下げ、少し悲しそうな雰囲気を醸し出す。
「 別に私はお互い納得して今の状況なら良いんです。
正直恋愛なんて不確かなものはどうでもいいし期待もしていませんので。
・・でも母は毎日夜私達が寝静まると泣いています。
きっとーーーあまり良くない ” 愛 ” だったんでしょうね。
それを見て、母にそっくりな兄は自分の未来と重ねてしまったのかもしれません。
元々周りの人に受け入れて貰いにくい外見が嫌いで、でも大好きな母とそっくりだからと母の涙を目にするまでは良かったんですけどね・・
” 綺麗で優しくてかっこいい憧れの母でも一番になれなかったんだ。 ” という事実を知って絶望してしまったのかなと思います。
素直に弱音を吐ける人でもないので。 」
なるほど・・
俺はリリアちゃんの話を聞き難しい表情をしながら、なんでサイモンがあんなにも ” 可愛い ” に拘っているのかを何となく理解した。
サイモンはきっとお母さんが大好きで憧れの人だから、それにそっくりな容姿を持っている自分を褒められる事で、
” お母さんは間違っていない ”
” 一番なんだ ”
ーーーと証明したかったのかもしれない。
そんな親思いの子供の優しい気持ちにジーンと感動し、グススンと鼻を鳴らす。
「 そうかいそうかい・・
なんて親思いのいい子なんだろうね。おじさんはもう・・凄く感動した!
恋愛はねぇ~ホント相性だから!後、タイミング!運!
お母さん達はそのどれかで躓いちゃったのかもしれないね。
もじもじ遠くから見つめるか、パンを買ってお釣りを渡された時に手が触れてうひょひょ~いしかできない人からすれば、立派に愛を育み、そして悲しみを必死に見せない様にする君たちのお母さんは凄い人だと思うね。俺は! 」
自分の情けなさを振り払う勢いでそう返す俺に、リリアちゃんの目は点に。
しかし、直ぐに正気を取り戻す。
「 ・・いえ、その・・ありがとうございます・・?
でも多分、そうじゃなくて・・きっと嫌な男に騙されてとかかも・・? 」
「 あぁ、その可能性もあったか!そうしたらそいつぶっ飛ばそう!
サイモンは強いから絶対負けないよ。大丈夫大丈夫。 」
サイモンの攻撃は非常にトリッキーかつ強力で、並の人間なら一撃で病院送り。
そんな適当な悪い男ならタコ殴りくらいでちょうどいい。
サイモンが負けたら今度は俺が相手だ!
レナ先生を見送った後、ゆっくりしていたらもうそんな時間か~とやっと気づく。
「 リリアちゃん、そろそろ行こうよ。 」
そう声を掛けるとリリアちゃんはニコッと笑い「 はい。 」と答えてくれたため、俺とレオン、リリアちゃんの3人はそのまま【 闘技場 】へと歩きだした。
リリアちゃんは歩きながら、最近の< 平民組 >の様子について話してくれて、なんと小競り合いが多かったサイモンとメルちゃんはいつの間にか意気投合し最近『 かっこ可愛い同盟 』なるものを作ったらしい。
「 何だい?それ? 」と質問すると、リリアちゃん曰く、
” かっこいいと言われたいメルちゃん ”
” 可愛いと言われたいサイモン ”
お互い頑張ろうね!ーーーという同盟らしい。
なるほどね~と言いながら二人の性格を思い出すと、確かに2人とも同じ様な目標を持っているなと初めて気づいた。
仲良くなれて良かった良かった~と喜びながら話を聞いていると、急にリリアちゃんが真顔になってその場にピタリと止まった。
周りに木しかない鬱蒼とした場所で止まってしまったので、一体どうしたのか?と尋ねようとしたが、その前にリリアちゃんの方が先に話し出す。
「 ・・兄は変わりました。
昔はどこか人と一線置いてそれ以上近寄ろうとしないで逃げてしまっていたのに・・。
本当は ” 人 ” が大好きで凄く優しい人なんです。
でも、いつも巫山戯た振りをして人と関わる事を諦めてしまう人でした。 」
唐突な話に少々驚いたが俺はピタリと止まって大人しくリリアちゃんの話を聞く体制に、それに釣られてレオンは、聞く気はないがとりあえず俺の後ろで大人しく待機の姿勢をとる。
そんな俺たちを見て、リリアちゃんはニコッと笑い、そのまま話を続ける。
「 私達には父はいません。
母が一人で私達を産み落とし、ここまで育ててくれました。
・・母はとても綺麗で兄と容姿が瓜二つの " 男性 " なんです。
そんな母は今の兄同様、やはり若い頃はエルフ族独自の価値観に悩んでいたそうです。
女性よりも綺麗な外見は、女性には人気がなく男性からも伴侶としては人気がない。
そんな時、出会ったのが " 人族 " の父だった様ですが・・残念ながら一緒にはなれなかったようですね。 」
淡々と告げられるリリアちゃんとサイモンの家庭の事情だったが、リリアちゃん的にはそれに対しあまり納得していないであろう事は纏っている空気でなんとなく分かった。
男女の恋路は本人たちにしか知り得ない事があるため基本的には第三者がチュドンッ!と爆撃しない方が良いと思っているが、子供からしてはたまったものではない。
だから親御さんはそこはグッと堪えて子供には見せないで頂きたい。
ふぅ~と嘆かわしさに深い深~い息を吐くと、リリアちゃんは同時に視線をやや下に下げ、少し悲しそうな雰囲気を醸し出す。
「 別に私はお互い納得して今の状況なら良いんです。
正直恋愛なんて不確かなものはどうでもいいし期待もしていませんので。
・・でも母は毎日夜私達が寝静まると泣いています。
きっとーーーあまり良くない ” 愛 ” だったんでしょうね。
それを見て、母にそっくりな兄は自分の未来と重ねてしまったのかもしれません。
元々周りの人に受け入れて貰いにくい外見が嫌いで、でも大好きな母とそっくりだからと母の涙を目にするまでは良かったんですけどね・・
” 綺麗で優しくてかっこいい憧れの母でも一番になれなかったんだ。 ” という事実を知って絶望してしまったのかなと思います。
素直に弱音を吐ける人でもないので。 」
なるほど・・
俺はリリアちゃんの話を聞き難しい表情をしながら、なんでサイモンがあんなにも ” 可愛い ” に拘っているのかを何となく理解した。
サイモンはきっとお母さんが大好きで憧れの人だから、それにそっくりな容姿を持っている自分を褒められる事で、
” お母さんは間違っていない ”
” 一番なんだ ”
ーーーと証明したかったのかもしれない。
そんな親思いの子供の優しい気持ちにジーンと感動し、グススンと鼻を鳴らす。
「 そうかいそうかい・・
なんて親思いのいい子なんだろうね。おじさんはもう・・凄く感動した!
恋愛はねぇ~ホント相性だから!後、タイミング!運!
お母さん達はそのどれかで躓いちゃったのかもしれないね。
もじもじ遠くから見つめるか、パンを買ってお釣りを渡された時に手が触れてうひょひょ~いしかできない人からすれば、立派に愛を育み、そして悲しみを必死に見せない様にする君たちのお母さんは凄い人だと思うね。俺は! 」
自分の情けなさを振り払う勢いでそう返す俺に、リリアちゃんの目は点に。
しかし、直ぐに正気を取り戻す。
「 ・・いえ、その・・ありがとうございます・・?
でも多分、そうじゃなくて・・きっと嫌な男に騙されてとかかも・・? 」
「 あぁ、その可能性もあったか!そうしたらそいつぶっ飛ばそう!
サイモンは強いから絶対負けないよ。大丈夫大丈夫。 」
サイモンの攻撃は非常にトリッキーかつ強力で、並の人間なら一撃で病院送り。
そんな適当な悪い男ならタコ殴りくらいでちょうどいい。
サイモンが負けたら今度は俺が相手だ!
応援ありがとうございます!
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