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第十六章

599 おじさん感激

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( リーフ )



それがたった一日、しかも数時間で稼げてしまった事に恐怖し、それを受け取る手がガタガタと震えてしまう。



瘴核は傷が無くても勿論使えるが、傷が無い方がエネルギーが外に漏れないため純度が高い魔導具作成ができる。

そのため勿論それを目指して討伐はするのだが、どうしても戦闘になれば傷はついてしまうので、ここまで綺麗な瘴核だと貴族がこぞって買いにくるだろうとの事であった。


その説明と「 また、頼むぜ~♬ 」という言葉に、うん、うん、と赤べこ人形の様に頷いた後、フラフラ~とお外に出て俺は頭を抱える。


そして後ろで無表情のレオン、そして暴れてスッキリ~のあげ玉と黒みつを順番に見てから、俺はちょっと脇道の人が少ない所まで全員を誘導しちょっと座ってもらった。



「 あのね、あげ玉と黒みつが沢山モンスターを倒したでしょ?

だからね~お金が沢山貰えたんだよ。

お金を知っている人~。 」


俺の唐突な質問にもしっかり対応してくるレオンは、いち早くピッ!と自信満々で手を上げる。


そして案の定あげ玉と黒みつは「 ? 」といった様子で知りませ~んと言わんばかりの態度であった。


予想通りの答えに俺はうん・・と頷き、お金を知らないあげ玉と黒みつに対し "  勝った・・っ! "   という大人気ない笑みを浮かべるレオンの頭を撫で撫でして落ち着かせながら、どうしようかと考える。


考えて考えて~・・


・・・



まぁ、とりあえずは伝える努力が大事だよね。ーーーという答えを出した俺はキレイに二等分したお金をまずはあげ玉と黒みつの前に、そして依頼料の方はレオンの前に置く。



「 このお金はすごいものでね、欲しい物を買う時に使うものなんだよ。

ーーで、そんなすごいお金を稼いだのはあげ玉と黒みつで、これは君たちのもの。

レオンは色々運んでくれたから今日の依頼料は全部あげるね。


分かったかな~? 」



それを伝えるとあげ玉と黒みつより大分少ないお金の小山にガガーン!とショックを受けている様子のレオン。

前にこんもり置かれた金貨の山をくちばしで突いてジロジロと睨みつけるあげ玉に、触手でツンツンと突いている黒みつ。


そんな三者三様の反応を見つつ、その後ヘロ・・と力が抜けて倒れそうになるレオンをキャッチ。

仕方ないからヨチヨチしてあげる。

その間お金を前にしたあげ玉と黒みつは、"   どうやらこれは良いものである   "  という事は理解した様で、あげ玉はレオンの方へズッズッ!と金貨を押し出して献上し、黒みつはサササッ!と前に置かれたお金を三等分してあげ玉、レオン、俺の前に置く。


そしてあげ玉の前に置かれたお金はまたレオンの前へ。

そうしてモリッと大きな山になったお金を見てレオンは復活し、上機嫌でそれをズズズーっと押し出し俺の前に・・



つまり回り回ってお金は全て俺の前に戻ってきたということだ。



多分あげ玉は何か悲しそうな様子の弟レオンに ” ほら、コレやるから元気だせよ ” と言って元気づける為にお金をあげて、黒みつは ” 皆で半分こ~ ” を実行。

そしてレオンは、” 僕はお金欲しいけどお金ないな~いのリーフおじさんにあげるね ” と、各々の優しさから俺の元にお金が集結した。


これにはおじさん大感動!


思わず座り込んでいる皆をギュムッと抱きしめお胸がジーン・・


こうなったら俺がお金の管理をするしかあるまいと決心し、あげ玉、黒みつには現物支給。

レオンにはいつかのためにレオン貯金をしておこうと考え、ありがとうありがとう!とグススンしながら金貨を全て袋に詰めると、そのままあげ玉の多次元バックにきちんと入れておいた。


そしてその後は、すっかり依頼後の日課となっているペタペタ、モミモミと体中を触ってくるレオンは好きにさせといて、「 じゅあー皆!今日もマリンさんの所で美味しいの食べさせてもらおう! 」と言うと、あげ玉と黒みつはそれに大興奮。


俺もうひょひょ~い!と同じく大興奮しながら皆でマリンさんのお店へと歩き出した。



結局ペタ~とくっついたままのレオンが邪魔だったので半分背負って足を引きずりながらお店に到着すると、見知った顔が見えてくる。


「 リーフさ~ん! 」


真っ赤なリボンがチャームポイント!

りんごの隠れ家のリーンちゃんがお店の前で手を振ってくれたため俺も直ぐに手を振り返す。


どうやらまたパンを届けに来てくれた様だ。


「 こんばんは~!リーンちゃん。

いつもパンを届けてくれてありがとう! 」


「 どういたしまして!こちらこそ美味しいお肉をいつもありがと~!

今日もパンは完売したよ。 」


パンが入った紙袋を上に持ち上げ嬉しそうに報告してくるリーンちゃんに「 良かったね。 」と言いながらパンを受け取り、そのまま一緒に中へ。


俺達が入った瞬間にマリンさんとルルちゃんが挨拶してきてくれて俺も挨拶を返し、次にレオンに先程貰った籠一杯のキノコとギルドで貰った野菜や卵、牛乳を出してもらう。


それを見たマリンさん達はギョッ!と目を見開き驚いた表情をみせて固まった。


「 これ、今日の依頼で貰ったんだ。

良かったら使って欲しいな!皆で美味しいの食べよう。 」


「 使ってって・・これは・・。 」


マリンさんが震える手でソッ~と味好みキノコをペタペタと触り、更に野菜や卵も同様に触った後、ほぅ・・と感嘆のため息をついた。



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