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第十六章
593 頑張るぞ〜!
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( リーフ )
「 ……それってここでも書いてもらう事はできる? 」
「 多分書いてくれるんじゃないかな?
黒みつ~昨日の絵をまた書いてくれるかい? 」
黒みつは俺の質問に対し ” 問題なし! ” と言わんばかりにニュ~ッと伸ばした2本の触手で大きな丸を作る。
そしてエイミさんが取り出した紙とペンが机の上に置かれると、ピョンっ!とそこへ軽く飛んで移動し、触手を使って昨日と全く同じ絵を書いた。
エイミさんはそれを見下ろしゾッと青ざめ「 なんだかゾッとする絵ね……。 」と呟いたので俺も大きく頷いてそれに同意する。
「 俺も最初見た時は怖いって思ったよ。そのせいで変な夢まで見ちゃったくらい。 」
「 確かに私も今夜は怖い夢を見ちゃうかも……。
黒スライム君はこの絵に関して他に何か教えてくれたの? 」
俺は首を横に振ってそれに ” NO ” と答えた。
「 それがこれ以上の事は黒みつにも分からないみたいなんだ。
とりあえずお墓ではなさそうなんだけど……。 」
黒みつはお墓の存在にピンッときてなさそうだったが、” モンスターが沢山死んでいるところ? ” と聞いてみたら、う~ん……と悩んでいる様子を見せた後、プルプルと左右に揺れて ” 違う ” を訴えた。
エイミさんは俺の話を聞きながら黒みつの絵を持ち上げ、更にジッと見つめるとそのまま困った様に眉を下げる。
「 そうなのね。じゃあ、やっぱり森の奥に行ってみるしかないって事か~。
でもまだ少し時間が掛かりそうなのよね。
モンスター増加のせいで魔素も濃くなっているし、下手に強いモンスター達の縄張りに突っ込んでしまうと、他のモンスター達も触発して街に危険が及ぶ可能性もあるから調査は慎重に行わないといけないし……。
浅いところからゆっくり……か。
────はあ~……先は長くなりそうね。 」
「 何事も上から崩すのは難しいからね~。
下からゆっくり……。もどかしいけど仕方ないね。 」
だるまさん落としも、上のだるまを落としたらゲームオーバー。
下手に奥にいる強いモンスターを刺激すれば、そこから水の波紋の様にその刺激はモンスター達に広がり一気に人里に降りてくる恐れもある。
まさに雪山の雪崩の様だ。
これほど大きな森だとホント大変なんだな~……。
しみじみその苦労を想像していると、エイミさんは、そういえば……と俺がレガーノに帰省している間に起こった出来事に関して話してくれた。
「 つい昨日、急に魔素が強くなって森の一部に大きめの< 瘴気 >が発生した事件があったんだけど、直ぐに教会からソフィア様が来て魔素に戻してくださったのよ。
やっぱりすごいわね~。
現在唯一魔素に対して有効なスキルを持っている聖女様は。
街に来てくれて本当に心強いわ。
でも、ソフィア様の能力はいざって時に使って頂かないと、本当に危ない時にスキルが使えない状態になるかもしれないからね。
だからその負担を減らすため冒険者一同、モンスター討伐をガンガンしてその数を減らさないと! 」
ゴッ!と燃え上がるエイミさん。
それに釣られた俺もゴッ!と燃え上がる。
「 よ~しっ!じゃあ、俺もモンスター討伐頑張らないといけないね!
ちょっと依頼、見てくる! 」
やる気満々になった俺は、直ぐに依頼ボードまで走り、良さげな依頼書をキョロキョロと探す。
そしてやはり俺の目を引くのはボロボロの長く放置されているであろう依頼書達で、端にゴソッと貼られているそれをペラペラとめくり、一番古そうな依頼書を手に取った。
するとその依頼書には『 流星コウモリ 』の討伐と書かれていた。
< 流星コウモリ >
体長30cm程のコウモリ型Fランクモンスター。
普段は温厚で主食は木の実やきのこなどの草食で人を襲ってくる事は滅多にないが、個体の強さとしてはEランク、さらにそれが集団化するとDランク相当といわれているランク越えモンスター。
特にスピードが凄まじく早い為、空から一直線に飛んで仕掛ける体当たりはまるで流星のようであると言われている。
この流星コウモリは空から体当たりという単調な攻撃しか仕掛けてこないが、これが非常に厄介で、とにかく早い。
しかも集団の場合は空から四方八方、360°どこからでも襲ってくるため、集団の討伐になると最低5人以上のパーティーで挑む必要がある。
遠距離攻撃が可能な人を真ん中に配置し、その周りを前衛班で囲む。
そして四方八方からの攻撃を前衛班が防ぎながら、真ん中の後衛が遠距離攻撃をぶっ放して倒していく────というのがセオリーな倒し方だ。
勿論地味に時間が掛かるし、苦労が多い割に流星コウモリのお肉は唐揚げ一個分くらいしかとれない。
その上スピード特化の防御力は紙レベルのため、こちらの攻撃により派手に飛び散り、それと共に瘴核も大抵は粉々!
そのせいで素材収入は雀の涙程なのに依頼ランクも集団は全て一律Eランク……とくれば確かに人気のないのも頷ける依頼である。
「 ……それってここでも書いてもらう事はできる? 」
「 多分書いてくれるんじゃないかな?
黒みつ~昨日の絵をまた書いてくれるかい? 」
黒みつは俺の質問に対し ” 問題なし! ” と言わんばかりにニュ~ッと伸ばした2本の触手で大きな丸を作る。
そしてエイミさんが取り出した紙とペンが机の上に置かれると、ピョンっ!とそこへ軽く飛んで移動し、触手を使って昨日と全く同じ絵を書いた。
エイミさんはそれを見下ろしゾッと青ざめ「 なんだかゾッとする絵ね……。 」と呟いたので俺も大きく頷いてそれに同意する。
「 俺も最初見た時は怖いって思ったよ。そのせいで変な夢まで見ちゃったくらい。 」
「 確かに私も今夜は怖い夢を見ちゃうかも……。
黒スライム君はこの絵に関して他に何か教えてくれたの? 」
俺は首を横に振ってそれに ” NO ” と答えた。
「 それがこれ以上の事は黒みつにも分からないみたいなんだ。
とりあえずお墓ではなさそうなんだけど……。 」
黒みつはお墓の存在にピンッときてなさそうだったが、” モンスターが沢山死んでいるところ? ” と聞いてみたら、う~ん……と悩んでいる様子を見せた後、プルプルと左右に揺れて ” 違う ” を訴えた。
エイミさんは俺の話を聞きながら黒みつの絵を持ち上げ、更にジッと見つめるとそのまま困った様に眉を下げる。
「 そうなのね。じゃあ、やっぱり森の奥に行ってみるしかないって事か~。
でもまだ少し時間が掛かりそうなのよね。
モンスター増加のせいで魔素も濃くなっているし、下手に強いモンスター達の縄張りに突っ込んでしまうと、他のモンスター達も触発して街に危険が及ぶ可能性もあるから調査は慎重に行わないといけないし……。
浅いところからゆっくり……か。
────はあ~……先は長くなりそうね。 」
「 何事も上から崩すのは難しいからね~。
下からゆっくり……。もどかしいけど仕方ないね。 」
だるまさん落としも、上のだるまを落としたらゲームオーバー。
下手に奥にいる強いモンスターを刺激すれば、そこから水の波紋の様にその刺激はモンスター達に広がり一気に人里に降りてくる恐れもある。
まさに雪山の雪崩の様だ。
これほど大きな森だとホント大変なんだな~……。
しみじみその苦労を想像していると、エイミさんは、そういえば……と俺がレガーノに帰省している間に起こった出来事に関して話してくれた。
「 つい昨日、急に魔素が強くなって森の一部に大きめの< 瘴気 >が発生した事件があったんだけど、直ぐに教会からソフィア様が来て魔素に戻してくださったのよ。
やっぱりすごいわね~。
現在唯一魔素に対して有効なスキルを持っている聖女様は。
街に来てくれて本当に心強いわ。
でも、ソフィア様の能力はいざって時に使って頂かないと、本当に危ない時にスキルが使えない状態になるかもしれないからね。
だからその負担を減らすため冒険者一同、モンスター討伐をガンガンしてその数を減らさないと! 」
ゴッ!と燃え上がるエイミさん。
それに釣られた俺もゴッ!と燃え上がる。
「 よ~しっ!じゃあ、俺もモンスター討伐頑張らないといけないね!
ちょっと依頼、見てくる! 」
やる気満々になった俺は、直ぐに依頼ボードまで走り、良さげな依頼書をキョロキョロと探す。
そしてやはり俺の目を引くのはボロボロの長く放置されているであろう依頼書達で、端にゴソッと貼られているそれをペラペラとめくり、一番古そうな依頼書を手に取った。
するとその依頼書には『 流星コウモリ 』の討伐と書かれていた。
< 流星コウモリ >
体長30cm程のコウモリ型Fランクモンスター。
普段は温厚で主食は木の実やきのこなどの草食で人を襲ってくる事は滅多にないが、個体の強さとしてはEランク、さらにそれが集団化するとDランク相当といわれているランク越えモンスター。
特にスピードが凄まじく早い為、空から一直線に飛んで仕掛ける体当たりはまるで流星のようであると言われている。
この流星コウモリは空から体当たりという単調な攻撃しか仕掛けてこないが、これが非常に厄介で、とにかく早い。
しかも集団の場合は空から四方八方、360°どこからでも襲ってくるため、集団の討伐になると最低5人以上のパーティーで挑む必要がある。
遠距離攻撃が可能な人を真ん中に配置し、その周りを前衛班で囲む。
そして四方八方からの攻撃を前衛班が防ぎながら、真ん中の後衛が遠距離攻撃をぶっ放して倒していく────というのがセオリーな倒し方だ。
勿論地味に時間が掛かるし、苦労が多い割に流星コウモリのお肉は唐揚げ一個分くらいしかとれない。
その上スピード特化の防御力は紙レベルのため、こちらの攻撃により派手に飛び散り、それと共に瘴核も大抵は粉々!
そのせいで素材収入は雀の涙程なのに依頼ランクも集団は全て一律Eランク……とくれば確かに人気のないのも頷ける依頼である。
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