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第十六章
587 罪の終着点
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( リーフ )
” やっぱりやべぇのが奥にいたんだな。今回は全員か? ”
” 破棄される予定だった奴隷全部だってよ。全員喰わしたから当分は安全だな。 ”
” ちくしょう!
・・・
ちょっと遊んだだけなのにどうしてこんな目に合わなきゃいけねぇんだよ!
散々働かされて最後は餌かよ!!ニコラ王めっ巫山戯やがってっ! ”
そんな会話が聞こえてきて俺はやっと現状を知る。
この場にいる奴隷達の泥だらけでボロボロの格好
辺りに散らばる汚物や漂う腐敗臭などの匂いからも分かる不衛生な環境
危険なモンスターが生息しているらしい鉱山
恐らく彼らは重犯罪を起こした< 犯罪奴隷 >達
そしてここはそんな彼らの終着点、危険地帯に指定された鉱山の様だ。
何故先ほどから全く身に覚えがない場面が俺の目の前に写っているのか?
動かぬ体でボンヤリと考えながら作業している彼らを見ていると、突然ーーーー
ーーーカンカンカンカンッ!!!
そんな鐘を叩く音が聞こえて奴隷の男達はピクリッと顔を上げ、一斉に洞窟とは反対の方向へと視線を向けた。
するとそこには大きな荷台車を引く数人の人達がいて、その荷台車の中には小さなパンがむき出しのままゴトッと積まれているのが見える。
それを目にした奴隷達はワッ!!と我先にと走り、荷台を引いてきた人達からその小さなパンを一人につき一つずつ貰っては離れていった。
すると直ぐに始まるパンの奪い合い。
それを見ながら荷台を引いてきた人達は、心底うんざりしたかのように大きなため息をつく。
” こんなになってもまだ他人から奪うって事しか考えられねぇんだよなぁ・・
こうなっちまうとおしまいだなって思うよ。 ”
” まっ、いいんじゃね?
それで怪我して動けなくなったらとっとと破棄して餌にすりゃー良いだけだし。
毎日毎日沢山の奴隷が送られてくるんだ。
どんどん回さないとここもパンクしちまうからな。 ”
” 自分一人の命じゃ全く足りないくらいの人間を殺して ” 遊んで ” きた奴らに同情なんてできねぇよな~。
可哀想だなんて言う奴も中にはいるが・・。 ”
罵りあい、殴り合う奴隷達を見て荷台を引いてきた人達は心底蔑む様な目を向けていたが、視線を逸してある一点を見た瞬間ーーーーザッ!!と顔が青ざめて固まってしまった。
そしてその視線を追うように目を動かした俺はーーーー衝撃に呼吸が止まる。
背はヒョロリと高く多分年齢は10代の半ばほどだと思われるが、ガリガリの体に全身泥だらけの薄汚れた格好のせいでハッキリとした年齢は分からない。
黒ずんで汚れているため綺麗な時よりは目立たないが、それでもハッキリと分かる黒髪と赤黒い左半身の呪いの文字達。
そして・・・
とても印象的だったのは、まるで何も見えてないかの様に宙をぼんやり見つめる瞳であった。
そしてまるでインプットされている動きを体が勝手にしているだけの様に、フラフラと歩いて荷台の方へと向かっていく。
薄っすらとした面影しかないが、その人物は間違いない・・
ーーーーレオンハルトだ。
衝撃で動けない俺の前をあっさりと通り抜けていったレオンハルト。
その存在に他の奴隷達も気づき、争っていた彼らは悲鳴を上げて慌ててレオンハルトから遠ざかる。
そしてパンを配っていた者達も近くまできたレオンハルトに対し悲鳴を上げ、そのまま荷台のパンを掴むと遠くに投げた。
するとレオンハルトはその投げられたパンの所へまたフラフラと向かいそれを掴むと、その場で食べ始めたがーーー
「 化け者!!もっと遠くの方で食べろよ!! 」
「 気持ちわりぃんだよ!!あっちいけ!! 」
奴隷たちはそう責め立てて、なんと足元にあった石をレオンハルトに投げつけ始めたのだ!
その一つがレオンハルトの頭に当たり、そこからツゥ・・と血が垂れてきたが・・
レオンハルトは恐ろしいまでに無反応であった。
「 こらーーっ!!!レオンハルトに何すんだ!!
この大バカヤローー!!! 」
俺は力の限り叫び、また体を動かそうと必死になって藻掻くがやはり全く動かない。
しかし尚も続くレオンハルトへの罵倒の数々に居ても立ってもいられず、俺はフンフンッ!!と石を投げてくる奴らをぶん殴って止めようと藻掻き続ける。
「 レオン!レオン!レオーーン!!
ちゃんと石なんて避けないと駄目じゃないか!!
頑張れーーーー!!!!! 」
聞こえるはずもないのに唯一自由な口で力の限り叫ぶと、ちょうど横から大きめな小石が結構なスピードで飛んできて ” レオンの頭にぶつかる!! ” と思ったその瞬間ーーー
ーーーパシッ!
なんとレオンはその石を見もせずに簡単に片手でキャッチしたのだ。
ギョッ!とした奴隷達は動きを止め、それでやっと石の攻撃は止んで俺はホッと息を吐く。
偶然だと思うがとりあえず良かった!
そう思いながら唖然とする奴隷達を睨みつけた後、レオンハルトの方へ視線を戻すと・・・
レオンハルトはジッ・・と俺の方を向いている気がして、あれ?と首を傾げた。
” やっぱりやべぇのが奥にいたんだな。今回は全員か? ”
” 破棄される予定だった奴隷全部だってよ。全員喰わしたから当分は安全だな。 ”
” ちくしょう!
・・・
ちょっと遊んだだけなのにどうしてこんな目に合わなきゃいけねぇんだよ!
散々働かされて最後は餌かよ!!ニコラ王めっ巫山戯やがってっ! ”
そんな会話が聞こえてきて俺はやっと現状を知る。
この場にいる奴隷達の泥だらけでボロボロの格好
辺りに散らばる汚物や漂う腐敗臭などの匂いからも分かる不衛生な環境
危険なモンスターが生息しているらしい鉱山
恐らく彼らは重犯罪を起こした< 犯罪奴隷 >達
そしてここはそんな彼らの終着点、危険地帯に指定された鉱山の様だ。
何故先ほどから全く身に覚えがない場面が俺の目の前に写っているのか?
動かぬ体でボンヤリと考えながら作業している彼らを見ていると、突然ーーーー
ーーーカンカンカンカンッ!!!
そんな鐘を叩く音が聞こえて奴隷の男達はピクリッと顔を上げ、一斉に洞窟とは反対の方向へと視線を向けた。
するとそこには大きな荷台車を引く数人の人達がいて、その荷台車の中には小さなパンがむき出しのままゴトッと積まれているのが見える。
それを目にした奴隷達はワッ!!と我先にと走り、荷台を引いてきた人達からその小さなパンを一人につき一つずつ貰っては離れていった。
すると直ぐに始まるパンの奪い合い。
それを見ながら荷台を引いてきた人達は、心底うんざりしたかのように大きなため息をつく。
” こんなになってもまだ他人から奪うって事しか考えられねぇんだよなぁ・・
こうなっちまうとおしまいだなって思うよ。 ”
” まっ、いいんじゃね?
それで怪我して動けなくなったらとっとと破棄して餌にすりゃー良いだけだし。
毎日毎日沢山の奴隷が送られてくるんだ。
どんどん回さないとここもパンクしちまうからな。 ”
” 自分一人の命じゃ全く足りないくらいの人間を殺して ” 遊んで ” きた奴らに同情なんてできねぇよな~。
可哀想だなんて言う奴も中にはいるが・・。 ”
罵りあい、殴り合う奴隷達を見て荷台を引いてきた人達は心底蔑む様な目を向けていたが、視線を逸してある一点を見た瞬間ーーーーザッ!!と顔が青ざめて固まってしまった。
そしてその視線を追うように目を動かした俺はーーーー衝撃に呼吸が止まる。
背はヒョロリと高く多分年齢は10代の半ばほどだと思われるが、ガリガリの体に全身泥だらけの薄汚れた格好のせいでハッキリとした年齢は分からない。
黒ずんで汚れているため綺麗な時よりは目立たないが、それでもハッキリと分かる黒髪と赤黒い左半身の呪いの文字達。
そして・・・
とても印象的だったのは、まるで何も見えてないかの様に宙をぼんやり見つめる瞳であった。
そしてまるでインプットされている動きを体が勝手にしているだけの様に、フラフラと歩いて荷台の方へと向かっていく。
薄っすらとした面影しかないが、その人物は間違いない・・
ーーーーレオンハルトだ。
衝撃で動けない俺の前をあっさりと通り抜けていったレオンハルト。
その存在に他の奴隷達も気づき、争っていた彼らは悲鳴を上げて慌ててレオンハルトから遠ざかる。
そしてパンを配っていた者達も近くまできたレオンハルトに対し悲鳴を上げ、そのまま荷台のパンを掴むと遠くに投げた。
するとレオンハルトはその投げられたパンの所へまたフラフラと向かいそれを掴むと、その場で食べ始めたがーーー
「 化け者!!もっと遠くの方で食べろよ!! 」
「 気持ちわりぃんだよ!!あっちいけ!! 」
奴隷たちはそう責め立てて、なんと足元にあった石をレオンハルトに投げつけ始めたのだ!
その一つがレオンハルトの頭に当たり、そこからツゥ・・と血が垂れてきたが・・
レオンハルトは恐ろしいまでに無反応であった。
「 こらーーっ!!!レオンハルトに何すんだ!!
この大バカヤローー!!! 」
俺は力の限り叫び、また体を動かそうと必死になって藻掻くがやはり全く動かない。
しかし尚も続くレオンハルトへの罵倒の数々に居ても立ってもいられず、俺はフンフンッ!!と石を投げてくる奴らをぶん殴って止めようと藻掻き続ける。
「 レオン!レオン!レオーーン!!
ちゃんと石なんて避けないと駄目じゃないか!!
頑張れーーーー!!!!! 」
聞こえるはずもないのに唯一自由な口で力の限り叫ぶと、ちょうど横から大きめな小石が結構なスピードで飛んできて ” レオンの頭にぶつかる!! ” と思ったその瞬間ーーー
ーーーパシッ!
なんとレオンはその石を見もせずに簡単に片手でキャッチしたのだ。
ギョッ!とした奴隷達は動きを止め、それでやっと石の攻撃は止んで俺はホッと息を吐く。
偶然だと思うがとりあえず良かった!
そう思いながら唖然とする奴隷達を睨みつけた後、レオンハルトの方へ視線を戻すと・・・
レオンハルトはジッ・・と俺の方を向いている気がして、あれ?と首を傾げた。
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