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第十五章

574 異質な光景

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( リーフ )


そんなカルパスの想いにジーン・・とするのと同時に ” 見たかったっ・・!! ” と嘆き悲しみブルブルと震えていると、ジェーンは

「 完膚なきまでに消去してやったんで! 」

「 存在の痕跡すらもねじ消しちゃいました~! 」

・・と言ってニッコニコ。



俺、今悲しいけどそんな皆の心遣いが嬉しい!


感動のままカルパスとジェーンに抱きついたのだが、その途端ウロウロとレオンが俺達の周りを回り始めムッ!とする雰囲気が漂ってきたので、直ぐにまだ小さいレオンを抱っこし、よ~しよしとあやしておいた。



そんな大事件があってからこの部屋は頻繁に使われる様なメインルームへ大変身。

やはりお値段と比例してかなり居心地は良く、下の絨毯はフカフカで寝っ転がりながら本を読むには最適で、午後の授業と修行を終え、身体がボロボロのままレオンと本を読んだりするにはそこで寝ながら過ごすことが主になった。


更に昼間の休憩中はカルパス達従業員さん達の休憩部屋にしたらどうか?と提案すると、最初は何とも言えぬ顔で苦笑いしていたカルパスだったが・・・

急にニタリとやはりダークサイド側の笑みを浮かべてポツリと呟いた。


「 そうですねぇ・・それはそれはいい主旨返しになるかもしれませんね? 」



「 ????

・・・あーうんうん、そうそう。 」



実はよく聞こえなかったが、カルパスが非常に楽しそうなご様子だったためとりあえず肯定しておいた。



そんな皆にとって馴染み深い部屋となった『 家族ルーム 』


約2週間ぶりにそこの扉が両脇に立つカルパスとジェーンによって開かれた瞬間ーー

” わ~い!久しぶりのフカフカ絨毯! ” と我先に入った俺の目に飛び込むもの・・・それは相変わらずギランギランの家具やフカフカの絨毯とーーー




ソファーに紛れて四つん這いのポーズで固まったまま動かないドノバンの姿であった。




「 ・・・・・? 」



思わず入り口付近でピタリと止まって黙ってしまった俺をよそに、カルパスとジェーンはさっきと変わらぬ様子でスタスタと中へ入ると、カルパスはソファーとドノバンがいるエリアへ案内するような手つきで手を差し出し「 どうぞ、お好きな席へ。 」と言った。


そしてジェーンは近くに置いてあったティーセットが置かれたテーブルへと近づき、お茶を入れ始める。


俺はドノバン(?)から目を逸らさずゆっくりと二人がけのソファーへと近づいていき、座る・・前にレオンに掴まれその上に乗せられた。


あげ玉と黒みつは下のフカフカ絨毯で大喜び。

二人でゴロゴロと転がってご満悦の様子。


俺は視線をドノバン(?)へ固定したままニコニコと笑うカルパスに「 あの・・ドノバンだよね?あれ・・ 」と尋ねると、カルパスは表情を一つも変えずに「 椅子です。 」とさらりと答えた。



「 ・・・・。 」


またもや閉口する俺の前にふんわりといい香りを放つお茶と星屑ナッツが置かれ、とりあえずお茶を飲もうとティーカップを持ち上げーーー

・・ようとしたのだが、それより先にレオンがティーカップを持ち上げ、ふ~ふ~と息を吹きかけて冷ましてくれる。


そして口元へ近づけてくるもんだから条件反射でそれをコクコクと飲み干し、その後は星屑ナッツを口へ放り込まれた。


カリッ!と音を立てて噛み砕いた瞬間、ナッツとアーモンドの間の子の様な香ばしい香りがブワッ!と口の中から鼻の方へと抜け、素材本来の塩味が口に広がる。


う、うま~!


その旨味に震えながら後ろのレオンにもひょいひょいと食べさせてあげていると、ジェーンはニコニコと自分の分のお茶を飲みながら近くのソファーに座り、カルパスもお茶を受け取った後座った。



ドノバンの上に。



そして俺の意識は再びドノバンへと移り、まるで普通の椅子に座っているかのようにドノバンの上に座るカルパスをジッと見つめる。


カルパスが座ってるのって・・?


目を細めてジーッと睨みつける様に見てもやっぱりドノバン・・。

それを確信した俺は、ニコニコと上機嫌でお茶を飲んでいるジェーンに恐る恐る話しかける。



「 ね、ねぇ、ジェーン。

あのさ、あれってさ、ドノバン・・・ 」


「 椅子で~す。 」


笑顔でズバッ!と返されてしまい、俺はまた口を閉じる。

その後視線をまたしてもドノバンの方へと戻し目をコシコシと擦ったが、やはり何をしてもその映像は変わらない。


困ってしまった俺の視線の先には、四つん這いのドノバンの上で一切の遠慮なく座っているカルパスが優雅に足まで組みリラックスし始めている。


そんな異様な光景なのに誰も違和感を感じていない様子で、カルパスが普通に "  学院はどうか?  "   と色々質問してくるのだが正直全く集中できないため、俺は恐る恐るドノバンに話しかけた。



「 ドノバン・・?ねぇ、ドノバンだよね?

何でそんな格好をしているんだい?一体何が・・。 」



俺に質問された瞬間、ドノバンはプルプルと震えながら、

「 す・・すみませんでしたぁ~!! 」

ーーーと突然謝罪し、その後はうぉぉん!と泣き出してしまった。


俺はその突然の号泣にびっくり仰天!


「 ど、どうしたんだい!?ドノバン!? 」

慌ててお~いお~いと泣くドノバンに声を掛けたが、答えようとするドノバンより先にカルパスが口を開いた。


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