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第十五章
572 分かっちゃったもんね
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( リーフ )
どうやらこの " ビターーン " は周りから見るとかなりインパクトがあるらしく、顔を食われてドロドロと黒い血が滴り落ちる様な光景なのだそう。
更に張り付いた黒みつのボディーに俺の顔がくっきり浮かび上がるのもかなり怖かったのだとか・・
驚かせてしまい本当に申し訳ない。
ペコペコ~と頭を下げながらとにかく攻撃体制になっているイザベルには落ち着いてもらい、今度こそしっかりと無害だということを伝えた。
そしてしょんぼりしてしまった黒みつには「 怖くない、怖くない。 」と某有名アニメ映画の主人公と同じセリフを言って励ましていると、イザベルはスッ・・と片手で顔を覆い空を見上げる。
「 黒・・・またしてもーーー黒っ・・!! 」
ブツブツと呟き出したイザベルは、指の隙間からお目々を覗かせギロリッとレオンを睨みつけたが残念ながらレオンは超省エネモード。
ちょっとやそっとでは起動致しません。
ギリギリッ・・とコオロギの鳴き声の様な歯ぎしりまでし始めたイザベルの横で、ジェーンは顎に手を当てう~ん・・と非常に難しい顔をしながら「 強酸に浸ければ・・あるいは・・? 」
ーーなどと何とも物騒な事を言ったため、黒みつはヒエッ!と大きく震えて俺の手に巻き付き黒い手袋になってしまった。
クランはニコニコしながらジェーンに続く様に「 埋めたらキレイな黒い花が咲くかもしれませんね。 」と冗談を言ったため、隣にいる真面目代表のアントンは閉口したまま表情をスコンと落とす。
そうしてわいのわいのと収集がつかなくなったところで、カルパスがゴホンっと咳払いをして全員の注目を集めた。
「 ・・失礼しました。
見たことがない生物でしたので少々驚いてしまいました。
これからよろしくお願いします、黒みつ君。
ーーでは、皆様帰ってきたばかりでお疲れでしょう。
良い< 星屑ナッツ >が手に入ったのでまずは召し上がってゆっくりなさって下さい。
さぁ、どうぞ。 」
< 星屑ナッツ >
星の形をしているナッツ。
栄養価が高く魔素と酸素の割合がピッタリの環境で育てないと星型にならないため栽培が難しいが、甘く程よいしょっぱさが人気の高級おやつとして貴族には大人気。
は~い!と俺とあげ玉、黒みつが手を上げ返事をした後、アントンとクラン、イザベルは仕事をしに持ち場へ戻ると言いその場で解散。
俺はそんな3人に手を振った後、前を歩くカルパスとジェーンに続き超省エネモードに突入しているレオンの手を引きながら懐かしき我が家へと入っていった。
◇◇◇◇
とにかくアホみたいに広い豪邸の我が家、物語の中ではそれこそ運動会でもするのかな~?というくらいの従者達が常駐していた家だったのに現在住んでいるのはほんの数人。
そのため使う部屋もある程度限られてくる。
大体こうして皆集まってのお茶の時使うのは『 家族ルーム 』と呼ばれる部屋なのだが、
実はその部屋は元々言葉の通り家族団欒のために作られたお部屋で、尋常じゃないくらいにこだわり抜いて作った特別な部屋なのである。
その『 家族ルーム 』の前に着いた俺はその仰々しい扉の前でピタリと止まってそれを見上げた。
扉の上部のど真ん中、そこにまず立体的に上半身が飛び出たイシュル神の像がこんにちはするようにくっついていて、それだけ見ればグリモアの正門と似ている形なのだがーー
周りを囲っているのが剣の彫刻ではなく一面バラの銀細工という、全体的に ” バラが好き! ” という気持ちがダイレクトに伝わってくるデザインだ。
そしてイシュル像と扉は世界一高価な< 皇石 >で作られていて、バラの銀細工の他にも金、銀、宝石なんでもあれ~が扉一面にゴテゴテと散りばめられている。
まさに " シンプル I S THE BEST " の息の根を完全に止めるほどの出来で、相変わらずの物凄い輝きっぷりに眩しさからコシコシと目を擦った。
メルンブルク家は尋常じゃないくらい『 家族の時間 』というものを大事にしていて、物語の中でもこの『 家族ルーム 』で毎日決まった時間にティータイムするのが日課であった。
つまりここはこの邸で最も力を入れた、NO1のこだわりのお部屋だということは容易に想像する事ができる。
しかし以前はこの部屋、厳重に閉じられておりカルパスは絶対に開けないようにしていて見ることすら叶わなかった。
そこは『 アルバード英雄記 』の大ファンの俺としては絶対に見ておきたい ” 聖地 ” と言っても良い場所・・
物語の中でその部屋については頻繁に出てきてはいたが詳しい描写はなくーーー
” とにかく凄い部屋 ”
” 家族の愛の結晶 ”
・・としか表現されていなかったため、是非とも見てみたいと俺は強く思っていた。
そのためカルパスが街へとお出かけする日に、レオンと共に通気孔からこっそり侵入し、その部屋に入り込んだのだが・・・
いや~、もう圧巻の光景だったね。
” とにかく凄い部屋 ” と ” 家族の愛の結晶 ” の意味がわかっちゃったもん。
どうやらこの " ビターーン " は周りから見るとかなりインパクトがあるらしく、顔を食われてドロドロと黒い血が滴り落ちる様な光景なのだそう。
更に張り付いた黒みつのボディーに俺の顔がくっきり浮かび上がるのもかなり怖かったのだとか・・
驚かせてしまい本当に申し訳ない。
ペコペコ~と頭を下げながらとにかく攻撃体制になっているイザベルには落ち着いてもらい、今度こそしっかりと無害だということを伝えた。
そしてしょんぼりしてしまった黒みつには「 怖くない、怖くない。 」と某有名アニメ映画の主人公と同じセリフを言って励ましていると、イザベルはスッ・・と片手で顔を覆い空を見上げる。
「 黒・・・またしてもーーー黒っ・・!! 」
ブツブツと呟き出したイザベルは、指の隙間からお目々を覗かせギロリッとレオンを睨みつけたが残念ながらレオンは超省エネモード。
ちょっとやそっとでは起動致しません。
ギリギリッ・・とコオロギの鳴き声の様な歯ぎしりまでし始めたイザベルの横で、ジェーンは顎に手を当てう~ん・・と非常に難しい顔をしながら「 強酸に浸ければ・・あるいは・・? 」
ーーなどと何とも物騒な事を言ったため、黒みつはヒエッ!と大きく震えて俺の手に巻き付き黒い手袋になってしまった。
クランはニコニコしながらジェーンに続く様に「 埋めたらキレイな黒い花が咲くかもしれませんね。 」と冗談を言ったため、隣にいる真面目代表のアントンは閉口したまま表情をスコンと落とす。
そうしてわいのわいのと収集がつかなくなったところで、カルパスがゴホンっと咳払いをして全員の注目を集めた。
「 ・・失礼しました。
見たことがない生物でしたので少々驚いてしまいました。
これからよろしくお願いします、黒みつ君。
ーーでは、皆様帰ってきたばかりでお疲れでしょう。
良い< 星屑ナッツ >が手に入ったのでまずは召し上がってゆっくりなさって下さい。
さぁ、どうぞ。 」
< 星屑ナッツ >
星の形をしているナッツ。
栄養価が高く魔素と酸素の割合がピッタリの環境で育てないと星型にならないため栽培が難しいが、甘く程よいしょっぱさが人気の高級おやつとして貴族には大人気。
は~い!と俺とあげ玉、黒みつが手を上げ返事をした後、アントンとクラン、イザベルは仕事をしに持ち場へ戻ると言いその場で解散。
俺はそんな3人に手を振った後、前を歩くカルパスとジェーンに続き超省エネモードに突入しているレオンの手を引きながら懐かしき我が家へと入っていった。
◇◇◇◇
とにかくアホみたいに広い豪邸の我が家、物語の中ではそれこそ運動会でもするのかな~?というくらいの従者達が常駐していた家だったのに現在住んでいるのはほんの数人。
そのため使う部屋もある程度限られてくる。
大体こうして皆集まってのお茶の時使うのは『 家族ルーム 』と呼ばれる部屋なのだが、
実はその部屋は元々言葉の通り家族団欒のために作られたお部屋で、尋常じゃないくらいにこだわり抜いて作った特別な部屋なのである。
その『 家族ルーム 』の前に着いた俺はその仰々しい扉の前でピタリと止まってそれを見上げた。
扉の上部のど真ん中、そこにまず立体的に上半身が飛び出たイシュル神の像がこんにちはするようにくっついていて、それだけ見ればグリモアの正門と似ている形なのだがーー
周りを囲っているのが剣の彫刻ではなく一面バラの銀細工という、全体的に ” バラが好き! ” という気持ちがダイレクトに伝わってくるデザインだ。
そしてイシュル像と扉は世界一高価な< 皇石 >で作られていて、バラの銀細工の他にも金、銀、宝石なんでもあれ~が扉一面にゴテゴテと散りばめられている。
まさに " シンプル I S THE BEST " の息の根を完全に止めるほどの出来で、相変わらずの物凄い輝きっぷりに眩しさからコシコシと目を擦った。
メルンブルク家は尋常じゃないくらい『 家族の時間 』というものを大事にしていて、物語の中でもこの『 家族ルーム 』で毎日決まった時間にティータイムするのが日課であった。
つまりここはこの邸で最も力を入れた、NO1のこだわりのお部屋だということは容易に想像する事ができる。
しかし以前はこの部屋、厳重に閉じられておりカルパスは絶対に開けないようにしていて見ることすら叶わなかった。
そこは『 アルバード英雄記 』の大ファンの俺としては絶対に見ておきたい ” 聖地 ” と言っても良い場所・・
物語の中でその部屋については頻繁に出てきてはいたが詳しい描写はなくーーー
” とにかく凄い部屋 ”
” 家族の愛の結晶 ”
・・としか表現されていなかったため、是非とも見てみたいと俺は強く思っていた。
そのためカルパスが街へとお出かけする日に、レオンと共に通気孔からこっそり侵入し、その部屋に入り込んだのだが・・・
いや~、もう圧巻の光景だったね。
” とにかく凄い部屋 ” と ” 家族の愛の結晶 ” の意味がわかっちゃったもん。
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