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第十五章

566 ハッピー人生

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( リーフ )


「 あ、あげ玉!ちょうど良いところに~。

ほら、この子、新しいウチの家族だよ。仲良くしてね。 」


くったりとしてしまったレオンを軽く肩に担ぎ、黒スライム君をあげ玉の前に突き出すと、あげ玉は「 クピピぃ~??( 何コレ~? ) 」と片目を瞑ってジロジロとそのプラックぷるぷるボディーを見つめる。


俺もそれにつられて手に乗る黒スライム君に視線を送ると、その瞬間、ヒュヒュッ!!と息を飲んだ。


くっ、黒スライム君がデロンデロンになっている!!


その姿は、まるで水を入れすぎて失敗したスライムの様。

強く抱きしめすぎたか!?と心配でオロオロしだした、その時────……。


ピカピカピカ~~!!!


ピクッ……と動いた黒スライム君が、また発光しだした。


おおお????


驚いた俺がまたスキル< 鑑定( 改 ) >を発動すると、現れたステータス表を見てギョギョギョッ!!とビックリ仰天した!

またもや新しいスキルが発現している!



( 聖王スライム )モンスタースキル

< 深淵の魔術スライム >

光、闇、空間系魔法の適正を得る。

更に< 黒の嫌われ者 >の効果により溜まった孤独値と精神汚染度によって基礎魔力値が決定する。

孤独値は高いほど、そして精神汚染度は低いほどその基礎魔力値は高くなる。

そしてパッシブスキルも同時に取得。

自身と自分が家族認定している者達に限り、成長率が極UP。

また戦闘時に限り、全ステータスUPの恩恵を与える。

ただし、その程度は家族認定した者への愛情度によって決定される。


(発現条件)

自身の孤独を理解し、共感してもらう事

家族認定した者からの愛情を受け入れ、一定以上の信頼度、好感度、対象に対しての知的探究心、相互理解欲を持つ事。



────────────????!!!!


驚き過ぎて目玉がポポ────ン!と遠くに飛んでいったのを感じながら、魔法使いになってしまったらしいデロデロ黒スライム君を震えながら凝視する。


こ、こんな簡単にスキルって発現するものではないんだけど……??


そう思いながら発現条件を見れば、やはり同種では難しい条件であった。


そこで、うう~ん?と疑問が浮かぶ。


どうして同種では発現しないようなスキルが存在しているんだろう??

不思議~と首を傾げたが、まぁそういうモノなんだと思ってそれはポポンッと投げ捨てた後、黒スライムととあげ玉のステータス表を見比べてふっと気づいた事があった。


それはスキルの取得条件のテーマがそれぞれあるらしいということだ。


あげ玉は『 仲間 』

黒スライム君は『 家族 』


恐らくはそのテーマに沿って何かしらの刺激があった時のみ新たな力に目覚める……みたいな感じ?


ほほ~う?

これは人でいうと『 個性 』に分類されるのかな~?


興味深げに繁々と見つめていると、さっき俺が震えた事で寒いと勘違いしたレオンは、担がれたままギュッ~と抱きついてきて、黒スライム君はくるんっと手に巻き付き俺を温めようとしてくる。


それにあげ玉が気づき、もこもこした羽毛を俺につけてフリフリと身体を動かせば俺の身体はポッカポカになった。


なんかいいな~こういうの!


ジワッ……とした嬉しい気持ちが湧き出てきて、顔は自然と笑顔へ変わり、俺はスキル< 鑑定 ( 改 ) >を直ぐに解除する。


別にどんなスキルがあってもいいか!


そんな気持ちになって考えるのをスコンっと辞めた。

あったらラッキー。なくてもOK~!理由が何でも楽しければハッピ~♬

俺の人生はこれでいいのだ!


モコモコ~ポカポカ~を抱きしめて思う存分堪能すると、皆に「 さぁ、マリンさんのところへご飯に行こ~! 」と声を掛け、そのまま全員で歩きだした。

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