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第十三章
511 NOサイン
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( リーフ )
すると視線の先にはあの豪華な椅子を堂々と引きずって歩いてくるレオンの姿が。
思わず固まって見ていると、レオンは持ってきた自分の椅子を俺の席にピッタリくっつけそのまま座った。
そうしてレオンの肩が俺の耳辺りにくっついてから一瞬の間の後、ハッ!と正気に戻った俺はレオンに優しく話しかける。
「 レオンの席はあっちなんだ。椅子を動かしては駄目だよ。 」
するとそれを聞いたレオンは、そうなの?と不思議そうな顔をしながらもコクリッと頷くと、自分の席をまた引きずって端の方へと帰って行った。
・・椅子と床、傷とか大丈夫?
ヒヤッと肝を冷やしながら床を注意深く見たが、本体も床も大丈夫の様子。
流石は高級素材!強度もかなりありそうだとそれにホッとしたのも束の間、そのままスタスタとレオンは俺の方へとまたやってくる。
何だい?何だ~い?
ハテナを飛ばしながらレオンを見上げる・・・暇もないくらい、レオンは素早く椅子ごと俺を上に持ち上げそのまま自分の席の方へと移動していく。
「 えっ?えっ?えっ??? 」
戸惑う俺とは正反対にレオンは至って冷静に自分の席にピッタリ付くほど近くに俺と俺の席をセット。
また自分の席にストンと座り、お互いの肩と耳がくっつく。
「 ・・・・・。 」
シーン・・と押し黙りながらポカポカしてきた耳の温かさに心地よさを感じ始めた後、直ぐにまた正気に戻った俺はゆっくりと、レオンがしっかり理解できるように説明を始める。
「 レオン、よくお聞き。
椅子は俺のもレオンのも動かしてはいけないんだ。
俺の椅子はあっち、レオンの椅子はココ。
分かったかな~? 」
ピッ!ピッ!と右、左と交互に机の両端を指差すと、レオンは今度こそちゃんと理解した様でまたコクリと頷くと、俺ごと椅子を反対の端の方へと戻してくれた。
ヤレヤレ~とため息をついていると、またしてもこちらへやって来たレオン少年。
今度は何だ~い?と質問するその前に・・・レオンはペタリと座った。
俺の真隣、床に。
俺は動きをピタリと止め地べたにペタリと座ったまま ” ね?俺、間違ってないでしょう? ” と言わんばかりにドヤ顔をしているレオンになんて説明しようか考えていると・・
ーーーガチャンっ!
大きな音を立て、男性教員らしき人が教室の中へと入ってきたため視線と意識はそちらへ移る。
年齢は恐らく30代半ばくらい。
体格はご立派なので多分前衛職で、確か試験時に試験官をしていたうちの一人にいたような・・?
少ない容量の脳みそから必死に記憶を引っ張り出している間に、彼は教壇も前まで行くとそのまま俺たちに向かって話だした。
「 やぁ、特級組の諸君おはよう!
俺はライトノア学院、剣体術担当教師の < クルト >だ。
これからこのクラスの担任になるのでよろしく頼む! 」
そう言ってニカッ!と笑う顔は彼の印象を幼いものにした。
何だかいい人そうな先生で良かった~とニコニコしていると、その後クルト先生はわざとらしくゴホンっ!と咳をしキョロキョロと辺りを見回す。
何か探しものか~い?と思いながら、その不審な動きを見ていると今度は体をソワソワ。
そして俺の方へ視線をチラッチラッと送ってくるので首を傾げていると、とうとう観念したかの様に俺にコソコソと話しかけてきた。
「 あ~・・・リーフ殿・・。
その・・レオン殿は本日欠席なのかな?
指定の席にいないようだが・・・。
ーーあっ!いや、勿論何も文句なんてないよ!
彼は実力的にも全ての授業は免除OKと言う事になっているから!
だから、全然いいから!!本当に!何一つ!悪い事はないから!! 」
焦った様に早口で喋るクルト先生。
レオン授業全部免除OKなの!?と驚く俺、そして更にレオンは俺の隣にいる事を思い出した俺。
何かあると直前の事が頭から飛ぶ。
加齢の一番の恐怖はまさにコレ。
どうやら教壇からちょうど大きな机に阻まれレオンが見えない様なので、俺はスッ・・と隣に座り込むレオンを指差すと、なんと後ろに座る生徒たちも一斉にビシーッ!!とレオンの方を指差す。
クルト先生は不思議そうな顔で俺の隣へ視線を向けると、その瞬間ヌッと顔を半分程だしたレオンの顔とご対面。
「 ぎゃあああああーーーーー!!!!!! 」
物凄い悲鳴と共に後ろへゴロゴロと転がっていくクルト先生。
そして後ろの壁に激突すると、直ぐに近くにあった小さな棚の様なモノの影に隠れる・・が、体はごっそりはみ出ている!
まるでおばけでも見たかの様なその反応に多少驚きはしたものの、確かにこんな登場の仕方では驚いてしまうのも仕方がない・・と俺はレオンに今度こそきちんと理解してもらう為、一つ一つ丁寧に説明を開始した。
レオンの席、俺の席、その位置関係と椅子は動かさない事、床に座っては駄目な事、そしてきちんと自分の椅子に座って授業を受ける事。
そこまで説明してやっとレオンは理解したのか、俺の席、自分の席と交互に視線を送り・・・その後は無言。
これはレオンのNOサイン。
絶対にやりたくない事に出くわした時のレオンの唯一の回避法で、嫌だと思う事、不味いと思った時、レオンは無言、無表情を貫く。
こうなるとホント~にてこでも動かない。
すると視線の先にはあの豪華な椅子を堂々と引きずって歩いてくるレオンの姿が。
思わず固まって見ていると、レオンは持ってきた自分の椅子を俺の席にピッタリくっつけそのまま座った。
そうしてレオンの肩が俺の耳辺りにくっついてから一瞬の間の後、ハッ!と正気に戻った俺はレオンに優しく話しかける。
「 レオンの席はあっちなんだ。椅子を動かしては駄目だよ。 」
するとそれを聞いたレオンは、そうなの?と不思議そうな顔をしながらもコクリッと頷くと、自分の席をまた引きずって端の方へと帰って行った。
・・椅子と床、傷とか大丈夫?
ヒヤッと肝を冷やしながら床を注意深く見たが、本体も床も大丈夫の様子。
流石は高級素材!強度もかなりありそうだとそれにホッとしたのも束の間、そのままスタスタとレオンは俺の方へとまたやってくる。
何だい?何だ~い?
ハテナを飛ばしながらレオンを見上げる・・・暇もないくらい、レオンは素早く椅子ごと俺を上に持ち上げそのまま自分の席の方へと移動していく。
「 えっ?えっ?えっ??? 」
戸惑う俺とは正反対にレオンは至って冷静に自分の席にピッタリ付くほど近くに俺と俺の席をセット。
また自分の席にストンと座り、お互いの肩と耳がくっつく。
「 ・・・・・。 」
シーン・・と押し黙りながらポカポカしてきた耳の温かさに心地よさを感じ始めた後、直ぐにまた正気に戻った俺はゆっくりと、レオンがしっかり理解できるように説明を始める。
「 レオン、よくお聞き。
椅子は俺のもレオンのも動かしてはいけないんだ。
俺の椅子はあっち、レオンの椅子はココ。
分かったかな~? 」
ピッ!ピッ!と右、左と交互に机の両端を指差すと、レオンは今度こそちゃんと理解した様でまたコクリと頷くと、俺ごと椅子を反対の端の方へと戻してくれた。
ヤレヤレ~とため息をついていると、またしてもこちらへやって来たレオン少年。
今度は何だ~い?と質問するその前に・・・レオンはペタリと座った。
俺の真隣、床に。
俺は動きをピタリと止め地べたにペタリと座ったまま ” ね?俺、間違ってないでしょう? ” と言わんばかりにドヤ顔をしているレオンになんて説明しようか考えていると・・
ーーーガチャンっ!
大きな音を立て、男性教員らしき人が教室の中へと入ってきたため視線と意識はそちらへ移る。
年齢は恐らく30代半ばくらい。
体格はご立派なので多分前衛職で、確か試験時に試験官をしていたうちの一人にいたような・・?
少ない容量の脳みそから必死に記憶を引っ張り出している間に、彼は教壇も前まで行くとそのまま俺たちに向かって話だした。
「 やぁ、特級組の諸君おはよう!
俺はライトノア学院、剣体術担当教師の < クルト >だ。
これからこのクラスの担任になるのでよろしく頼む! 」
そう言ってニカッ!と笑う顔は彼の印象を幼いものにした。
何だかいい人そうな先生で良かった~とニコニコしていると、その後クルト先生はわざとらしくゴホンっ!と咳をしキョロキョロと辺りを見回す。
何か探しものか~い?と思いながら、その不審な動きを見ていると今度は体をソワソワ。
そして俺の方へ視線をチラッチラッと送ってくるので首を傾げていると、とうとう観念したかの様に俺にコソコソと話しかけてきた。
「 あ~・・・リーフ殿・・。
その・・レオン殿は本日欠席なのかな?
指定の席にいないようだが・・・。
ーーあっ!いや、勿論何も文句なんてないよ!
彼は実力的にも全ての授業は免除OKと言う事になっているから!
だから、全然いいから!!本当に!何一つ!悪い事はないから!! 」
焦った様に早口で喋るクルト先生。
レオン授業全部免除OKなの!?と驚く俺、そして更にレオンは俺の隣にいる事を思い出した俺。
何かあると直前の事が頭から飛ぶ。
加齢の一番の恐怖はまさにコレ。
どうやら教壇からちょうど大きな机に阻まれレオンが見えない様なので、俺はスッ・・と隣に座り込むレオンを指差すと、なんと後ろに座る生徒たちも一斉にビシーッ!!とレオンの方を指差す。
クルト先生は不思議そうな顔で俺の隣へ視線を向けると、その瞬間ヌッと顔を半分程だしたレオンの顔とご対面。
「 ぎゃあああああーーーーー!!!!!! 」
物凄い悲鳴と共に後ろへゴロゴロと転がっていくクルト先生。
そして後ろの壁に激突すると、直ぐに近くにあった小さな棚の様なモノの影に隠れる・・が、体はごっそりはみ出ている!
まるでおばけでも見たかの様なその反応に多少驚きはしたものの、確かにこんな登場の仕方では驚いてしまうのも仕方がない・・と俺はレオンに今度こそきちんと理解してもらう為、一つ一つ丁寧に説明を開始した。
レオンの席、俺の席、その位置関係と椅子は動かさない事、床に座っては駄目な事、そしてきちんと自分の椅子に座って授業を受ける事。
そこまで説明してやっとレオンは理解したのか、俺の席、自分の席と交互に視線を送り・・・その後は無言。
これはレオンのNOサイン。
絶対にやりたくない事に出くわした時のレオンの唯一の回避法で、嫌だと思う事、不味いと思った時、レオンは無言、無表情を貫く。
こうなるとホント~にてこでも動かない。
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