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第十三章

503 組分けと子供の〜

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( リーフ )

オリエンテーション最終日である今日は、午前中はこれから一般教養の授業を共にするクラスへ各々集合し、顔合わせと今後の授業についてなどの説明、そして午後からは男女で分かれての< 性教育 >の授業が予定されている。


一般教養のクラス分けは全部で4つ。


① 上位15名で構成された【 特級組 】


② 貴族のみのクラスの【 貴族組 】


③ 平民のみのクラスの【 平民組 】


④ 特殊な資質やスキルをもった子達の【 特化組 】



ちなみに俺とレオンは共に【 特級組 】だ。



これはシンプルに成績上位者15名で構成されたエリートクラスで、まさに実力主義を掲げるライトノア学院を象徴するようなクラスとなっている。


教室は一番豪華で、授業内容も他よりワンランクどころか百ランクくらい上!


だから誰もがこのクラスを目指す……と思いきやそうでもないらしく、毎年一定の辞退者がいるそうだ。


成績上位者に登り詰めるのは、そのほとんどが幼き頃より英才教育を受けてきた貴族で、当然この特級組もほぼ貴族。

その中に平民の子が一人とか二人とかだと気を使って勉強どころではない!という気持ちがあるのは分からなくもない。


更にもっと悪い事に、平民の子達は貴族だらけのクラス内にて虐めのターゲットになることも多いらしく、その点からも最初からリタイヤ、もしくは途中リタイアする子達がかなり多いらしいのだ。


思春期特有のよろしくない感情の一つ。


自分と違う異質の存在を排除したいしたい病が発症してしまったか……。


やれやれ~と、その嘆かわしさに大きなため息をつく。



この良くない感情は無限に広がる可能性を狭める厄介な感情で、これがまた身分制度と本当~に相性が良くない、良くない。


既に明らかといえる ” 違い ” があるせいか、この感情がすごく悪い方向に働いてしまう子らが結構いる。



物語の中でもそのことは顕著に描かれていて、明らかな違いを持つレオンハルトを周りの子達はよってたかって虐めて、結果、皆の心は一つになっていた。


レオンハルトに何するんだ!という怒りの感情と一緒に浮かぶのは、それをしてしまった子達の未来の事。


結局そんな自分の実力で手に入れたわけでもない生ぬるい場所に一度でも浸ってしまえば、もう二度とお外の世界で頑張れなくなってしまう。


お外の世界ってそりゃ~もう厳しいからさ。


フッ!フッ!と世の厳しさに翻弄された日々を思い出し、思わず遠い目をしてしまった。


年ごとの悩み、辛さ。

そして社会の理不尽さ、厳しさを前にどうしようも出来ない悔しさ~怒り~……。



…………。





────こんにゃろ!!


思わず様々な思い出達が頭を過りカッカッしてしまうが、ス~と息を吸って吐いてして気分を落ち着ける。



・・
そこはとても居心地のいい場所なんだろうとは思う。

苦しい努力をせずともずっといられて、自分が何かを失敗したって隠せちゃうし許されてしまう。


その場所を作ってくれる ” 違いを持つ ” 存在さえいれば。




” 違いを持つ ” 存在さえいれば……ね?



俺は後ろから大人しくついてくる、優しい優し~いうちの子レオンにチラリと視線を向けた後、クックックッ……と堪えきれぬ笑いが漏れる。


とりあえず、このライトノア学院の生徒達はそんな事は決してできないと言う事だけは分かっている。



なぜかといえば────そうそう。





この、俺がいるからなのだよ。




ピタリと足を止め、更にニヤリッと怖い怖い鬼の様な笑みを浮かべる。


俺はね、うるさいよ?

凄いから、本当に。


恐怖に歪む子供達の顔を思い出し、更に大きく口角は上へ上へ。


なんたって前世では ” 雷クソジジイ ” だの ” ネズミ花火警察 ” だの散々言われて恐れられてきたからね~?


頭隠して尻隠さず的に悪い事をしようとする子供達の、そのむき出しのお尻をこれでもかと叩いてきた男だから。


掴み放題の隠れたお尻を引き摺り出し、バシバシと叩いて泣かせた事を思い出し、グスンッともらい泣き。


それが、な、な、なんと、今生は悪役、更にパワーアップした状態で再登場だ。


物語のリーフ以上に、俺がこの学院を恐怖で支配してやろう。


「 そんな居心地のいい場所など探す暇など与えるものか。

ひたすら逃げ回り努力するがよい。」


フォッ~フォッフォッ~!!


おじいさん風の笑いを漏らし、更に「 小童どものお尻はすべて俺のモノだ。 」と宣言すると、後ろにいるレオンが不審そうな目で俺を見てきた。


「 お尻……?? 」


振り返ると、不思議そうに俺を見下ろすレオンの顔がある。


おっと!これからの計画が、つい口からはみ出てしまったぞ!


俺は慌てて口元を隠し、何でもな~い!と言わんばかりに笑顔で顔を横に振る。


納得しきれない様子でレオンはジーッと俺を見つめてきたが、俺はピュピュ~♬と口笛を吹いて誤魔化し、正門に置かれているであろうクラス分け表へと向かって再び歩きだした。

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