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第十三章

490 美しさ

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( レオン )



一緒にお外に行く時、その ” 外 ” がなかったらリーフ様は悲しむ。

それに一緒に ” 外 ” に行って貰えなくなるのは俺も悲しい。



消さなくて良かったと思いながら自身の弛緩した体をクッタリ預けていると、急に下ろされたためポカポカ体温から離されてしまう。




何故?どうして?




疑問と不満を感じながらジッ・・とリーフ様を見下ろしていると信じられない言葉の数々が俺を襲った。





「 レオン、パーティー名どうしようか?


あ、パーティー名っているのは、 ” 俺達家族ですよ~ ” って皆に知らせるものなんだ。

俺とレオンのファミリーネームってやつだよ。迷うね~。 」



「 か・・家族っ!! 」



とんでもない内容に叫び、体はガチッと固まった。



あんなにも渇望していた ” 家族 ” 

それを証明する同じファミリーネーム??と混乱しながらブツブツと呟いている間に、酷くあっさりと・・・



俺とリーフ様は家族になった。





【 肉巻き定食・レオン 】


【 肉巻き定食・リーフ 】



恐らくこれも【 身請け契約 】同様、法律の抜け穴!

そうして俺達はごくごくあっさりとーーー家族になってしまったのだった。





ジーーーーン・・・・



歓喜に震える心とそれにより荒れ狂う感情達によって痺れるような感覚が身体全体に広がっていく。



家族・・リーフ様と家族・・・




馬鹿になってしまったかのような頭で、ぼんやりと『 肉巻き定食 』と書かれた冒険者証のタグを見つめる。


すると小さな指紋の様なものを見つけ必死でマントの端で磨き、綺麗になった『 肉巻き定食 』と書かれている文字を見てウットリしていると、一旦離れていたリーフ様が戻ってきた。


俺はすかさず ” 家族になれて嬉しい! ” と伝えれば、リーフ様は、

「 我こそは肉巻き定食のリーフ~! 」

ーーと言って恐らくは喜びを表現するポーズをとる。



それを見た俺は、その喜びを俺も!と直ぐに同様のポーズをとって

「 俺は肉巻き定食のレオン、です。 」とリーフ様に返した。



"   家族  "

"   嬉しい!  "



必死にそう伝えた俺の気持ちに対しリーフ様は嬉しそうにしてくれて、俺もそれを見てとても嬉しかった。


” 相手が喜ぶと自分も嬉しい ”


それもリーフ様が教えてくれた事だ。


そうして依頼とやらを達成するため森へと向かうリーフ様に、俺は浮ついた心そのままにおぼつかない足取りで彼の後をいつも通りついていった。




到着次第森で遊び始めたリーフ様はいつもとても楽しそうで、そんな姿を見るのも幸せ。


木にとまっている< ジャンボボン・ヘラクレス >を捕獲し、ウヒョヒョ~イ!と喜ぶリーフ様に笑みが零れそうになりながら、

スキル< 鑑定( 改 )(???)>を発動し、目につく薬草達を全て< 多次元ボックス(???) >へと入れていく。




< ジャンボボン・ヘラクレス >


体長30cmほどのカブトムシ型Gランクモンスター

木の樹液を吸うため木にへばりついているため簡単に捕まえられるが、外骨格は非常に固く、一定以上の攻撃力がなければ傷ひとつつけられない。

性格は繁殖期以外は温厚で、虫好きにはペットとしてもとても人気がある。




そして沢山遊んで満足したのか、今度はゴロンっと寝っ転がって草をジロジロ~と観察仕出したリーフ様は、あっちかな~?こっちかな~?とぴょんぴょん飛び回って薬草を探し始める。


それにまた微笑ましさを感じながら、家族名が書かれたタグが嬉しくてジー・・と眺めていると、とうとうギブアップと言わんばかりにリーフ様は言った。



「 探そうと思うと中々見つからないもんだね、薬草って。 」



どうしよう~と悩まし気な様子を見せる彼に、< 多次元ボックス >に入れておいた薬草を取り出すと、大層びっくりした表情を見せる。



「 そ、それって< 多次元ボックス >じゃないか!?

なんでレオンがそんな凄いスキルを??? 」



目を白黒しているリーフ様にニコリと笑う。


以前街で商人がこのスキルでパパッとリンゴを出した事に喜んでいた様子だったので、気まぐれに創っておいたが、リーフ様のお役にたてるなら良かったと喜んでいると、

” どれくらいの量のモノを入れられるか? ” と質問されたので素直に ” 分からない ” と答えた。



なにせ端が見えないためどれくらい入るのかは俺でも良くは分からない、


     ・・
だが、多分全てをいれてしまう事ができるだろうなとは漠然と知っていたので、試しに国を入れてみますか?と尋ねてみた。



入れてしまえばもう全てはリーフ様のモノとなる。

国も、望むなら存在する全ての世界も、すべてはリーフ様のモノ。



好きな時に出して遊べばいいと思って言ったのに何ともあっさりと断られてしまった。


” 本当に欲のないお方だ ” 


それを悲しいと思いながらも同時に嬉しいとも思う。



確固たる自分を持っているリーフ様。

欲望という誰もが屈服するモノに決して負けない彼は、とても美しい。


その美しさも彼の魅力の一つ。

だから俺の期待を全く裏切らず美しいままでいてくれる事が俺はとても嬉しい。



ほっこりする胸とジン・・と喜びを訴えてくる心に心地よさを感じたまま、お土産の熊を狩った後は報告のためギルドと呼ばれる場所へと向かうリーフ様にまたふわふわとついていった。


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