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第十三章
480 腹が減っては
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( リーフ )
フフフ~ン♬
鼻歌を歌いながら、俺は金貨がもっさりと入った麻袋とリボンでラッピングされた熊のトゲトゲのお手々を持って、マリンさんの店へと向かう。
熊をちょっと倒しただけで100万円!!
これなら目標金額の5000万まで意外と早く届くかもしれないぞ!
計画が一歩どころか1万歩くらい進んだ事が嬉しくて、俺はヤッホ~イ!と飛び上がった。
俺達の住むレガーノでは冒険者ギルドなどの戦闘系機関はなく、勿論素材の買い取りなども一切ない。
とりあえずモンスターを仕留めたら、どうぞどうぞ~と街の人達全員におすそ分け。
余ったら教会に持って行って街のボランティア……というか手が空いている人達が炊き出しを始めて皆で食べるため、こんなにも高額で売れるものというのは初めて知った。
お金を稼ぎたいと言っていたレオンも、これには嬉しかったのかニッコニコと始終機嫌が良い。
俺も負けずにニコニコしながら、金貨の入った袋を振ってチャリチャリという音を楽しんだ。
ご飯を食べ終わったらお金を山分けしよう。
この間レオンの狩ったモンスターの瘴核を色んな人にあげてしまったので、弁償代も兼ねて今回はレオン多めの8対2くらいの割合で山分けかな~?
そんな事を考えながらマリンさんのお店【 森の恵み 】に到着したのだが────なんと『 本日売り切れ! 』と書かれた札が店のドアに掛けられていた。
ガガーン!!
お店が閉まっている事にショックを受け、今日は駄目か……とトボトボ帰ろうとした、その時……。
────バァンっ!!!
大きな音を立ててドアが開け放たれ、そこには今朝別れたばかりの美しさ大爆発の立ち姿……文句のつけようもないほど完璧なむっちんむっちんボディを揺らしたマリンさんが立っていた。
前のめりでドアを開けた事で目の前にババンっ!と現れたお胸の谷間様に、俺の目は釘付け。
そんなエロエロ目線などお構いなしに、マリンさんはズカズカと俺とレオンに近づくと、ポンポンと俺達の肩を叩いた。
「 待ってたんだよ!二人共お疲れさん!
いや~、今日はあんた達がくれた肉でお店は大繁盛!
皆久しぶりにこんなに肉料理食べれたって、泣きながら帰っていったほどさ。
本当にありがとね。
ほらっ!早く中に入ってご飯を食べな。
明日のお弁当も作っておいたからね。 」
至近距離で視覚を破壊せんとする2つのむっちんに、むひょ……?と声を漏らしながら一瞬固まる。
そして、その後に続くふんわりと香る控えめなお花の匂いに導かれる様に、俺は中へ手招きするマリンさんにフラフラ~とおぼつかない足取りでついていった。
お店の中ではこの間と同様、ルルちゃんが各テーブルを拭いて回っていたので、俺が「 こんばんは~。 」と声を掛けると、ルルちゃんはピャッ!!と小さく飛び上がってテーブルの影に隠れてしまう。
あれれ?嫌われている??と疑問に思ったのも束の間。
真っ赤な顔でじーっ……と俺とレオンを交互に見ながら「 こんばんは! 」と元気よくあいさつを返してきたので、どうやら嫌われてはいない様子だ。
多分恥ずかしがり屋さんなんだろうな!
そう思い、俺はニッコリ笑いながら手を振った。
マリンさんはそんな俺達のやり取りをご機嫌で眺めながら、キッチンの方へと行ってしまったので、名残惜しげにその姿を目で追っていると、急に窓をコツコツと叩く音が聞こえて俺とルルちゃんが同時にそちらを振り向く。
すると窓の外には、薄汚れた黄色い色のモワモワがヌッと姿を現し、二人同時にヒエッ!!と驚き飛び上がったのだが────。
「 クエェェ~( ただいま~ )
クピピピ~! ( 中に入れて~! ) 」
その独特の鳴き声からその正体があげ玉だと知り、ホッと胸を撫で下ろした。
だいぶ汚れて埃の塊みたいになってしまったあげ玉は、モソ~と入り口のドアに体をねじ込み中に入ってくると、コロンっと床に転がってしまう。
どうやら森の中で随分とはしゃいで来たようだ。
そしてグ~グ~と鳴ったお腹の音に空腹である事に気づいたルルちゃんは、あげ玉用の豆の詰め合わせを取りにカウンターの奥へ。
そしてバケツ一杯の色とりどりの豆を持ってきてくれた。
すると────……。
「 クピョ────────!!!! 」
揚げ玉が突然歓喜の鳴き声を上げると、凄い勢いでその豆達を食べ始めてしまったため、俺はルルちゃんにペコリと頭を下げて御礼を告げる。
しかしルルちゃんは慌てて首を振り、その豆についての豆知識を教えてくれた。
「 実はこの豆達は ” 魔素のアク ” が強すぎて破棄されてしまう豆なんです。
だから寧ろ処分に困る物なので、本当に気にしないで下さい。 」
「 へぇ~。 」
< 魔素のアク >
魔素を吸い取って育った動物や植物の中にはその吸収率が非常に高く、体内で濃厚に凝縮した塊になってしまう事がある。
それを魔素のアクと呼ぶ。
モンスターなら無問題だが人型種が食べれば具合を壊したり、最悪の場合死んでしまう場合もあるほど濃厚な魔素を体内に持つ個体もあるため注意が必要。
フフフ~ン♬
鼻歌を歌いながら、俺は金貨がもっさりと入った麻袋とリボンでラッピングされた熊のトゲトゲのお手々を持って、マリンさんの店へと向かう。
熊をちょっと倒しただけで100万円!!
これなら目標金額の5000万まで意外と早く届くかもしれないぞ!
計画が一歩どころか1万歩くらい進んだ事が嬉しくて、俺はヤッホ~イ!と飛び上がった。
俺達の住むレガーノでは冒険者ギルドなどの戦闘系機関はなく、勿論素材の買い取りなども一切ない。
とりあえずモンスターを仕留めたら、どうぞどうぞ~と街の人達全員におすそ分け。
余ったら教会に持って行って街のボランティア……というか手が空いている人達が炊き出しを始めて皆で食べるため、こんなにも高額で売れるものというのは初めて知った。
お金を稼ぎたいと言っていたレオンも、これには嬉しかったのかニッコニコと始終機嫌が良い。
俺も負けずにニコニコしながら、金貨の入った袋を振ってチャリチャリという音を楽しんだ。
ご飯を食べ終わったらお金を山分けしよう。
この間レオンの狩ったモンスターの瘴核を色んな人にあげてしまったので、弁償代も兼ねて今回はレオン多めの8対2くらいの割合で山分けかな~?
そんな事を考えながらマリンさんのお店【 森の恵み 】に到着したのだが────なんと『 本日売り切れ! 』と書かれた札が店のドアに掛けられていた。
ガガーン!!
お店が閉まっている事にショックを受け、今日は駄目か……とトボトボ帰ろうとした、その時……。
────バァンっ!!!
大きな音を立ててドアが開け放たれ、そこには今朝別れたばかりの美しさ大爆発の立ち姿……文句のつけようもないほど完璧なむっちんむっちんボディを揺らしたマリンさんが立っていた。
前のめりでドアを開けた事で目の前にババンっ!と現れたお胸の谷間様に、俺の目は釘付け。
そんなエロエロ目線などお構いなしに、マリンさんはズカズカと俺とレオンに近づくと、ポンポンと俺達の肩を叩いた。
「 待ってたんだよ!二人共お疲れさん!
いや~、今日はあんた達がくれた肉でお店は大繁盛!
皆久しぶりにこんなに肉料理食べれたって、泣きながら帰っていったほどさ。
本当にありがとね。
ほらっ!早く中に入ってご飯を食べな。
明日のお弁当も作っておいたからね。 」
至近距離で視覚を破壊せんとする2つのむっちんに、むひょ……?と声を漏らしながら一瞬固まる。
そして、その後に続くふんわりと香る控えめなお花の匂いに導かれる様に、俺は中へ手招きするマリンさんにフラフラ~とおぼつかない足取りでついていった。
お店の中ではこの間と同様、ルルちゃんが各テーブルを拭いて回っていたので、俺が「 こんばんは~。 」と声を掛けると、ルルちゃんはピャッ!!と小さく飛び上がってテーブルの影に隠れてしまう。
あれれ?嫌われている??と疑問に思ったのも束の間。
真っ赤な顔でじーっ……と俺とレオンを交互に見ながら「 こんばんは! 」と元気よくあいさつを返してきたので、どうやら嫌われてはいない様子だ。
多分恥ずかしがり屋さんなんだろうな!
そう思い、俺はニッコリ笑いながら手を振った。
マリンさんはそんな俺達のやり取りをご機嫌で眺めながら、キッチンの方へと行ってしまったので、名残惜しげにその姿を目で追っていると、急に窓をコツコツと叩く音が聞こえて俺とルルちゃんが同時にそちらを振り向く。
すると窓の外には、薄汚れた黄色い色のモワモワがヌッと姿を現し、二人同時にヒエッ!!と驚き飛び上がったのだが────。
「 クエェェ~( ただいま~ )
クピピピ~! ( 中に入れて~! ) 」
その独特の鳴き声からその正体があげ玉だと知り、ホッと胸を撫で下ろした。
だいぶ汚れて埃の塊みたいになってしまったあげ玉は、モソ~と入り口のドアに体をねじ込み中に入ってくると、コロンっと床に転がってしまう。
どうやら森の中で随分とはしゃいで来たようだ。
そしてグ~グ~と鳴ったお腹の音に空腹である事に気づいたルルちゃんは、あげ玉用の豆の詰め合わせを取りにカウンターの奥へ。
そしてバケツ一杯の色とりどりの豆を持ってきてくれた。
すると────……。
「 クピョ────────!!!! 」
揚げ玉が突然歓喜の鳴き声を上げると、凄い勢いでその豆達を食べ始めてしまったため、俺はルルちゃんにペコリと頭を下げて御礼を告げる。
しかしルルちゃんは慌てて首を振り、その豆についての豆知識を教えてくれた。
「 実はこの豆達は ” 魔素のアク ” が強すぎて破棄されてしまう豆なんです。
だから寧ろ処分に困る物なので、本当に気にしないで下さい。 」
「 へぇ~。 」
< 魔素のアク >
魔素を吸い取って育った動物や植物の中にはその吸収率が非常に高く、体内で濃厚に凝縮した塊になってしまう事がある。
それを魔素のアクと呼ぶ。
モンスターなら無問題だが人型種が食べれば具合を壊したり、最悪の場合死んでしまう場合もあるほど濃厚な魔素を体内に持つ個体もあるため注意が必要。
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