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第十二章
478 真っ白ベビー
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( エイミ )
もう一度、はっはっはっーー!!と心底嬉しそうに高笑いするザップルさんを見て、毎日相当ストレスだったのだろうな・・と思わず憐れみの気持ちを抱いてしまった。
組織のトップになるとは、結局は一人の時の様に好き勝手に動くわけにはいかなくなるということ。
そうして我慢我慢の毎日を重ねたザップルさん率いるクラスが唯一、ナックル、ゲイルのクラスと対時する構図が出来上がっていたが・・
厄介な事にナックルとゲイルはザップルクラスに関しての時のみ手を組み、よりその厄介さを増していた。
そうして集団化し固まってしまう事でそれを崩すのは難しい状況だったというのに、今回の事でそれが見事に崩された。
ああいう輩が手を組むのはあくまで目的のためで、内心はお互い虎視眈々と相手を陥れるチャンスを狙っている。
” 子供の新人冒険者に負けた ” など付け入る最大のチャンス。
ましてやゲイルの方も嘘かホントか、” 街中で子供相手にぶっ飛ばされた ” という汚名以外の何者でもない噂たっているのだ。
恐らくナックルはその噂を聞きつけチャンスとばかりに攻め込むつもりで姿を現したのだろうが、完全に当てが外れ逆に自身に不名誉な噂がついてしまった。
これで更にザップルさんのクラスにちょっかいをかけて戦力が削られてしまえばお互い攻め込まれるチャンスを与えてしまうため下手に手が出せず、その汚名を挽回するには大きな手柄をたてなければならなくなった。
これで当分は相手の出方を待って大人しくなるはず。
「 私も思わず心の中でガッツポーズしてしまいましたよ。
これでついでにモンスター肉の流通も復活すると良いですが・・
あいつら討伐した肉をわざと街に回さない様、嫌がらせしてますからね。 」
「 そうなんだよな~。
これだけ次から次にモンスターが発生しては、ゆっくり解体してそれを持ち帰る事もできん。
死骸に引きつけられて他のモンスター達が寄ってこないよう直ぐにその場で全て燃やしてその後は連戦の嵐だ。
そうしてこっちが戦っているのを良いことに、あいつらはゆっくり解体して人数にモノを言わせて素材をわんさか持ち帰っては嫌がらせで街には卸さないからなぁ。
全く腹が立つことだ。 」
プンプンと怒り心頭!といった様子で言い放つザップルさん。
モンスターが増加したことで発生している問題の一つがこの品物の流通の滞りである。
モンスターの増加と聞けば逆に流通は潤うのでは?と思われるが、とんでもない。
多すぎて解体する時間も持ち帰る事も難しくなってしまい、更には他のモンスターが血の匂いで寄ってくるのを防ぐため止む無くその場で即刻燃やさなければならなくなるのだ。
特に依頼後の帰り道など連戦に次ぐ連戦になってしまうので正直素材を持ち帰る余裕もない。
勿論魔道具の< 多次元バック >などを多様はするが、それでもモンスターの素材を持ち帰るのは限界があり、全てを持ち帰るとしても容量が全く足りないのでどうしても多くの人でが必要だ。
それを知っている元々の人数で言えば最多のナックル、ゲイルのクラスの奴らは、ザップルさん達のクラスの人達が必死に戦っている間に、コソコソと素材を持ち帰っては嫌がらせで街には卸さず、手を組んでいる別の街の商人達に卸している。
「 全く、困ったもんじゃ。
それを盾に街の飲食店を中心に脅して言うことを聞かせていたらしいからのぉ。
味をしめてしまったのじゃろうな。
< 多次元ボックス >持ちの冒険者が沢山参入してくれれば少しでも問題は解決するんじゃが・・あんなレアスキルを持っている者は中々・・ 」
そこでフッと三人で顔を見合わせ、先ほど見た衝撃的な光景を思い出す。
「 ーーそういえば、先ほどの新人冒険者の内の一人・・
黒いフードを被った方の小童は丸々一頭分のモーニング・スターベアを< 多次元ボックス >に入れておったな。
あんな容量の大きいスキル持ちは中々おらぬぞ。
今度指名依頼を出してみようかの?
しかしどうもあの小童、何か不思議な気配がするんじゃ。
・・・・それもあまり良くない類の・・。 」
難しい顔で考え込んでしまったヘンドリク様。
そういえばあの騒動でイマイチ目がいかなかったが、あんな巨大なモンスターを丸々収納するなど、それで商売している商人とて中々いない。
レオン君はかなり重宝される能力を持っているようだが・・本当に彼はサポート特化な役なのだろうか?
ーーーというのも、依頼を受ける際にリーフ君に対して放たれた殺気の様なものが今まで感じた事がないくらい恐ろしいものだったからだ。
第一印象は ” 静か ”
無色透明というか・・何も感じられない
いや、恐怖を感じてはいるのだが、何に恐怖を感じているのか脳と体が理解できないというか・・とにかく普通ではない初めての感覚を私にもたらした。
結局は精神的なものだとリーフ君は言っていたし< 多次元ボックス >を持っていたため、もしかして相手の感覚を狂わせる特殊スキルでも持っていたのかもしれないと思ったが・・
ヘンドリク様までそんな事をいうとは、やはり何かあるのかもしれない。
ヘンドリク様同様私も難しい顔で考えていると、ザップルさんはケロッとした様子でヘンドリク様に言った。
「 そうそう!今思い出しましたが、レオンの< 精盗視石 >の結果がちょっとおかしかったんですよ。
生まれたての赤子と同じ真っ白!!
俺はあんなの初めて見たぞ。なぁ、エイミ。 」
もう一度、はっはっはっーー!!と心底嬉しそうに高笑いするザップルさんを見て、毎日相当ストレスだったのだろうな・・と思わず憐れみの気持ちを抱いてしまった。
組織のトップになるとは、結局は一人の時の様に好き勝手に動くわけにはいかなくなるということ。
そうして我慢我慢の毎日を重ねたザップルさん率いるクラスが唯一、ナックル、ゲイルのクラスと対時する構図が出来上がっていたが・・
厄介な事にナックルとゲイルはザップルクラスに関しての時のみ手を組み、よりその厄介さを増していた。
そうして集団化し固まってしまう事でそれを崩すのは難しい状況だったというのに、今回の事でそれが見事に崩された。
ああいう輩が手を組むのはあくまで目的のためで、内心はお互い虎視眈々と相手を陥れるチャンスを狙っている。
” 子供の新人冒険者に負けた ” など付け入る最大のチャンス。
ましてやゲイルの方も嘘かホントか、” 街中で子供相手にぶっ飛ばされた ” という汚名以外の何者でもない噂たっているのだ。
恐らくナックルはその噂を聞きつけチャンスとばかりに攻め込むつもりで姿を現したのだろうが、完全に当てが外れ逆に自身に不名誉な噂がついてしまった。
これで更にザップルさんのクラスにちょっかいをかけて戦力が削られてしまえばお互い攻め込まれるチャンスを与えてしまうため下手に手が出せず、その汚名を挽回するには大きな手柄をたてなければならなくなった。
これで当分は相手の出方を待って大人しくなるはず。
「 私も思わず心の中でガッツポーズしてしまいましたよ。
これでついでにモンスター肉の流通も復活すると良いですが・・
あいつら討伐した肉をわざと街に回さない様、嫌がらせしてますからね。 」
「 そうなんだよな~。
これだけ次から次にモンスターが発生しては、ゆっくり解体してそれを持ち帰る事もできん。
死骸に引きつけられて他のモンスター達が寄ってこないよう直ぐにその場で全て燃やしてその後は連戦の嵐だ。
そうしてこっちが戦っているのを良いことに、あいつらはゆっくり解体して人数にモノを言わせて素材をわんさか持ち帰っては嫌がらせで街には卸さないからなぁ。
全く腹が立つことだ。 」
プンプンと怒り心頭!といった様子で言い放つザップルさん。
モンスターが増加したことで発生している問題の一つがこの品物の流通の滞りである。
モンスターの増加と聞けば逆に流通は潤うのでは?と思われるが、とんでもない。
多すぎて解体する時間も持ち帰る事も難しくなってしまい、更には他のモンスターが血の匂いで寄ってくるのを防ぐため止む無くその場で即刻燃やさなければならなくなるのだ。
特に依頼後の帰り道など連戦に次ぐ連戦になってしまうので正直素材を持ち帰る余裕もない。
勿論魔道具の< 多次元バック >などを多様はするが、それでもモンスターの素材を持ち帰るのは限界があり、全てを持ち帰るとしても容量が全く足りないのでどうしても多くの人でが必要だ。
それを知っている元々の人数で言えば最多のナックル、ゲイルのクラスの奴らは、ザップルさん達のクラスの人達が必死に戦っている間に、コソコソと素材を持ち帰っては嫌がらせで街には卸さず、手を組んでいる別の街の商人達に卸している。
「 全く、困ったもんじゃ。
それを盾に街の飲食店を中心に脅して言うことを聞かせていたらしいからのぉ。
味をしめてしまったのじゃろうな。
< 多次元ボックス >持ちの冒険者が沢山参入してくれれば少しでも問題は解決するんじゃが・・あんなレアスキルを持っている者は中々・・ 」
そこでフッと三人で顔を見合わせ、先ほど見た衝撃的な光景を思い出す。
「 ーーそういえば、先ほどの新人冒険者の内の一人・・
黒いフードを被った方の小童は丸々一頭分のモーニング・スターベアを< 多次元ボックス >に入れておったな。
あんな容量の大きいスキル持ちは中々おらぬぞ。
今度指名依頼を出してみようかの?
しかしどうもあの小童、何か不思議な気配がするんじゃ。
・・・・それもあまり良くない類の・・。 」
難しい顔で考え込んでしまったヘンドリク様。
そういえばあの騒動でイマイチ目がいかなかったが、あんな巨大なモンスターを丸々収納するなど、それで商売している商人とて中々いない。
レオン君はかなり重宝される能力を持っているようだが・・本当に彼はサポート特化な役なのだろうか?
ーーーというのも、依頼を受ける際にリーフ君に対して放たれた殺気の様なものが今まで感じた事がないくらい恐ろしいものだったからだ。
第一印象は ” 静か ”
無色透明というか・・何も感じられない
いや、恐怖を感じてはいるのだが、何に恐怖を感じているのか脳と体が理解できないというか・・とにかく普通ではない初めての感覚を私にもたらした。
結局は精神的なものだとリーフ君は言っていたし< 多次元ボックス >を持っていたため、もしかして相手の感覚を狂わせる特殊スキルでも持っていたのかもしれないと思ったが・・
ヘンドリク様までそんな事をいうとは、やはり何かあるのかもしれない。
ヘンドリク様同様私も難しい顔で考えていると、ザップルさんはケロッとした様子でヘンドリク様に言った。
「 そうそう!今思い出しましたが、レオンの< 精盗視石 >の結果がちょっとおかしかったんですよ。
生まれたての赤子と同じ真っ白!!
俺はあんなの初めて見たぞ。なぁ、エイミ。 」
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