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第十二章
475 一難は去った
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( エイミ )
「 さぁ!!ザップルさん!直ぐにその凶暴なモンスターを倒しに行こう!
マリンさんのためにも今直ぐに! 」
フンッフンッ!と鼻息荒くそう言い放つリーフ君にザップルさんは、固まっていた体を弛緩させた後、ブハッ!!と吹き出す。
そして「 ??? 」と不思議そうにしているリーフ君の頭に手を乗せ、わしゃわしゃと頭をかき混ぜた。
「 おいおい嘘だろう!お前本当に強いんだな!
まさかGランクの冒険者がCランクのモンスターをソロで討伐するなんて俺は聞いたことないぞ!!
そもそも高ランクモンスターはソロで倒せるはずないというのに・・
う~む、『 完全な規格外・・期待のルーキー現る!! 』ーーーで、決まりだな!
明日の『 冒険者速報 』は。
おーい!!皆!そういうことだから討伐は無くなった!
解散しても大丈夫だ~、おつかれ様ーー!! 」
『 冒険者速報 』
冒険者に関する速報や森でのモンスター目撃情報などなど、役立つ情報がまとめて乗っているギルド内で販売される情報誌。
それを聞いた周囲の冒険者達は、またワッ!!と歓声を上げ、「 今日は打ち上げだーー!!! 」 と叫び、ご機嫌でゾロゾロ解散していく。
更に去り際、リーフ君の肩や背中やらを軽く叩き
「 よっ!期待のルーキー様!ありがとよ~! 」
「 今夜はお陰様で気持ちよく寝れそうだわ、これからよろしくね! 」
などなど感謝の言葉を掛けていったが、当の本人のリーフ君は困惑顔。
隣にいたレオン君は、リーフ君の頭を撫でるザップルさんが嫌だったのか?
リーフ君の二の腕を掴み、ススス・・とさり気なくその手から遠ざけると、ザップルさんやその他大勢に叩かれた箇所をスッスッとまるで汚れを払う様に叩いている。
それがおかしくてクスリッと笑った後、その場に残った気絶したナックルとその仲間の7人・・いや、切り捨てられた3人の仲間とまだ仲間の4人の方へ視線を向けた。
彼らは全員青ざめ立ち尽くしていたが、この程度の事で改心などするはずもなく、ギリッと殺気を込めた目で、リーフ君とザップルさんの方を睨みつけている。
しかし、リーフ君は完全無視・・というか、多分全く気にしていない様子だし、ザップルさんに至っては逆にそれが心地よい!と言わんばかりにニヤ~と笑い、更に彼らを煽る様に、シッシッと追い払う仕草を見せつけながら言った。
・・・・・・・・・・
「 ほらほら、新人2人を食い殺したモンスターはいなかったんだから解散、解散!
これにこりたらしっかり確証をもった事のみ報告することだ。
さぁ、さっさとそこに転がる ” ゴミクズ ” を持って家に帰るんだな。 」
スッと気絶したナックルを指差しながらそう言い放てば、全てのヘイトはザップルさんへ集中し、物凄い形相でギロリと睨みつけていた。
どうやらわざと自分にのみヘイトを集めるため挑発する言い方をした様子。
全く・・と呆れていると、ナックルの仲間達は悔しそうにザップルさんを睨みつけながら気絶したナックルを背負い、そのまま去っていった。
リーフ君はその一連の流れを見て、ヤレヤレ~と心底困った様にため息をつく。
「 なるほど。
先ほどの彼らがそんな嘘を言って周りを混乱させたんだね?
まったく子供のイタズラなら許せるけど、いい大人がなんて情けない・・
人に迷惑かける嘘はいけないね。 」
嘆かわしい!と言わんばかりにそう言えば、レオン君はそれにウンウンと頷いて肯定を示す。
ザップルさんはヘンドリク様と顔を見合わせキョトンとした顔を見せた後、ププッ・・と笑いを我慢しながら「 そうだな。 」と言ったが、その後直ぐに笑いを引っ込め真剣な表情でリーフ君に言った。
「 リーフが強いのは分かったが、気をつけろよ。
ああいう奴らはしつこいからな。
特に理屈より己の感情が優先の奴らは・・。 」
「 そうだね!一度嘘をついちゃうと癖になるからね~。
ましてや大人になってからの改善は難しいよ。
仕事は誠実さが命・・人の命が掛かっているお仕事ならなおさらさ。 」
間違ってはいないが通じていない様子のリーフ君に、苦笑いする私とは対照的にザップルさんは大きく頷いた。
「 その通りだ!仕事は信頼が第一だからな! 」
・・などとやっぱり通じてなさそうな返事を返し、その後も突っ込みたくなるような会話が続く。
先ほども思ったが、この2人、会話している様でしていないというか・・本題からとんでもない方向へと話がそれていってしまう様だ。
思わず頭を抱えていると、どうやら査定を終えたらしい素材受け取り所からお声がかかり、リーフ君は「 は~い! 」と元気よく返事をしながらそこへと向かい、そしてーー・・
「 ひゃっ、百万円!!!???
ーーーーじゃなかった!白金貨1枚!!?? 」
ギャーッ!!とモンスターに襲われた人並の大声を上げてびっくりするリーフ君にこちらの方が驚いてしまう。
どうやらモンスターの査定額に驚いた様だが、あんなに強いのにモンスターを売ったのが初めてだったの??と不思議に思いながら視線を向けていると、
リーフ君はガクガク震える手で、金貨100枚に分けられたそのお金を受け取るとフラフラしながら私達にお別れを告げて帰っていった。
大丈夫かしら・・と不安げに見つめる私とザップルさんをよそにヘンドリク様は上機嫌でフォッフォッフォッ~と笑い、ヒゲを触りながら私達に話しかける。
「 二人に話しがある。奥の部屋に来てくれるか? 」
「 さぁ!!ザップルさん!直ぐにその凶暴なモンスターを倒しに行こう!
マリンさんのためにも今直ぐに! 」
フンッフンッ!と鼻息荒くそう言い放つリーフ君にザップルさんは、固まっていた体を弛緩させた後、ブハッ!!と吹き出す。
そして「 ??? 」と不思議そうにしているリーフ君の頭に手を乗せ、わしゃわしゃと頭をかき混ぜた。
「 おいおい嘘だろう!お前本当に強いんだな!
まさかGランクの冒険者がCランクのモンスターをソロで討伐するなんて俺は聞いたことないぞ!!
そもそも高ランクモンスターはソロで倒せるはずないというのに・・
う~む、『 完全な規格外・・期待のルーキー現る!! 』ーーーで、決まりだな!
明日の『 冒険者速報 』は。
おーい!!皆!そういうことだから討伐は無くなった!
解散しても大丈夫だ~、おつかれ様ーー!! 」
『 冒険者速報 』
冒険者に関する速報や森でのモンスター目撃情報などなど、役立つ情報がまとめて乗っているギルド内で販売される情報誌。
それを聞いた周囲の冒険者達は、またワッ!!と歓声を上げ、「 今日は打ち上げだーー!!! 」 と叫び、ご機嫌でゾロゾロ解散していく。
更に去り際、リーフ君の肩や背中やらを軽く叩き
「 よっ!期待のルーキー様!ありがとよ~! 」
「 今夜はお陰様で気持ちよく寝れそうだわ、これからよろしくね! 」
などなど感謝の言葉を掛けていったが、当の本人のリーフ君は困惑顔。
隣にいたレオン君は、リーフ君の頭を撫でるザップルさんが嫌だったのか?
リーフ君の二の腕を掴み、ススス・・とさり気なくその手から遠ざけると、ザップルさんやその他大勢に叩かれた箇所をスッスッとまるで汚れを払う様に叩いている。
それがおかしくてクスリッと笑った後、その場に残った気絶したナックルとその仲間の7人・・いや、切り捨てられた3人の仲間とまだ仲間の4人の方へ視線を向けた。
彼らは全員青ざめ立ち尽くしていたが、この程度の事で改心などするはずもなく、ギリッと殺気を込めた目で、リーフ君とザップルさんの方を睨みつけている。
しかし、リーフ君は完全無視・・というか、多分全く気にしていない様子だし、ザップルさんに至っては逆にそれが心地よい!と言わんばかりにニヤ~と笑い、更に彼らを煽る様に、シッシッと追い払う仕草を見せつけながら言った。
・・・・・・・・・・
「 ほらほら、新人2人を食い殺したモンスターはいなかったんだから解散、解散!
これにこりたらしっかり確証をもった事のみ報告することだ。
さぁ、さっさとそこに転がる ” ゴミクズ ” を持って家に帰るんだな。 」
スッと気絶したナックルを指差しながらそう言い放てば、全てのヘイトはザップルさんへ集中し、物凄い形相でギロリと睨みつけていた。
どうやらわざと自分にのみヘイトを集めるため挑発する言い方をした様子。
全く・・と呆れていると、ナックルの仲間達は悔しそうにザップルさんを睨みつけながら気絶したナックルを背負い、そのまま去っていった。
リーフ君はその一連の流れを見て、ヤレヤレ~と心底困った様にため息をつく。
「 なるほど。
先ほどの彼らがそんな嘘を言って周りを混乱させたんだね?
まったく子供のイタズラなら許せるけど、いい大人がなんて情けない・・
人に迷惑かける嘘はいけないね。 」
嘆かわしい!と言わんばかりにそう言えば、レオン君はそれにウンウンと頷いて肯定を示す。
ザップルさんはヘンドリク様と顔を見合わせキョトンとした顔を見せた後、ププッ・・と笑いを我慢しながら「 そうだな。 」と言ったが、その後直ぐに笑いを引っ込め真剣な表情でリーフ君に言った。
「 リーフが強いのは分かったが、気をつけろよ。
ああいう奴らはしつこいからな。
特に理屈より己の感情が優先の奴らは・・。 」
「 そうだね!一度嘘をついちゃうと癖になるからね~。
ましてや大人になってからの改善は難しいよ。
仕事は誠実さが命・・人の命が掛かっているお仕事ならなおさらさ。 」
間違ってはいないが通じていない様子のリーフ君に、苦笑いする私とは対照的にザップルさんは大きく頷いた。
「 その通りだ!仕事は信頼が第一だからな! 」
・・などとやっぱり通じてなさそうな返事を返し、その後も突っ込みたくなるような会話が続く。
先ほども思ったが、この2人、会話している様でしていないというか・・本題からとんでもない方向へと話がそれていってしまう様だ。
思わず頭を抱えていると、どうやら査定を終えたらしい素材受け取り所からお声がかかり、リーフ君は「 は~い! 」と元気よく返事をしながらそこへと向かい、そしてーー・・
「 ひゃっ、百万円!!!???
ーーーーじゃなかった!白金貨1枚!!?? 」
ギャーッ!!とモンスターに襲われた人並の大声を上げてびっくりするリーフ君にこちらの方が驚いてしまう。
どうやらモンスターの査定額に驚いた様だが、あんなに強いのにモンスターを売ったのが初めてだったの??と不思議に思いながら視線を向けていると、
リーフ君はガクガク震える手で、金貨100枚に分けられたそのお金を受け取るとフラフラしながら私達にお別れを告げて帰っていった。
大丈夫かしら・・と不安げに見つめる私とザップルさんをよそにヘンドリク様は上機嫌でフォッフォッフォッ~と笑い、ヒゲを触りながら私達に話しかける。
「 二人に話しがある。奥の部屋に来てくれるか? 」
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