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第十二章
464 ピリピリ〜?
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( リーフ )
レオンの今までの行動を振り返るとーー・・
黒いフードを深く被った顔の見えない怪しい戦闘職らしい男が、いきなり幼児化して叫びだす。
” 怖い!お外出たくなーい! ”
そしてそう言いながら隣にいる平凡男に縋りついた挙げ句、抱っこされて赤子の様にあやされてやっと落ち着く・・。
この行動だけ見たら言い訳のしようがないほど奇っ怪な行動。
俺はどうしてこの行動に至ってしまったのか理由を知っているので哀れみあれど恐怖など微塵もないが・・それを知らない人達からしたらこんな不思議な行動は恐怖以外の何者でもないはず。
俺は大丈夫ですよ~と怖がらせてしまった周りに見せつけるようにレオンとお手々を繋ぎ、てくてくと歩くが、やはり視線はビシビシと突き刺さる・・。
やはりここでも長期戦か・・
しかし冒険者達はいわば戦闘のプロ。
沢山の修羅場をくぐってきた猛者達なので恐らく学院の生徒達よりは早くうちとけてくれるはず!
頑張ろう、頑張ろう~♬
ぼんやりしているレオンの手を引き、更にてくてく。
それに合わせて周りの人達も俺たちを大きく避ける様に動くが、気にせずザップルさんの元へ。
色々教えてくれた御礼を言いにいったわけだが、ザップルさんも周りの人達ほどではないが汗をツゥ・・と掻きながらレオンを凝視していて、それは近くにいるエイミさんも同じ。
色々親切にしてくれた彼らにはちゃんとレオンの状態を話しておくべきかと考え、俺はレオンにパーティー名が書かれた冒険者証を渡し、
「 ちょっとそこで待っててね~。 」と行って少し端の方へレオンを放置。
そして俺はまだ固まっているザップルさんとエイミさんの方へパパッーと急ぎ足で向かうと、ザップルさんは大きく息を吸いながら俺に話しかけてきた。
「 ・・一つ聞きたいのだが・・レオンは一体何者だ・・?
今までどうやって生きてきた?
・・・リーフは大丈夫なのか? 」
「 ・・< 精盗視石 >を偽造することは不可能なはずなのに・・
レオン君は・・・? 」
ザップルさんに続きエイミさんも息をフゥフゥと吐きながらそう言ってきて、更に二人揃って真剣な表情で冒険者証を眺めているレオンの方へチラッと視線を向ける。
俺もその視線を追いかけてレオンの方を見ると、冒険者証を見つめていたレオンはそれを上に持ち上げ光に透かす様に(?)して更にジー・・と夢中になってそれを眺めている様子。
その姿から確実にこちらの話を聞いていない事が確認でき、俺は安心しながらザップルさん達に向かってヒソヒソと小さな声で話し出す。
「 実はね、レオンは色々あってちょっと精神的な病気を患っているんだ。
だからさっきみたいに急に赤ちゃんみたいな事を言ったり、駄々をこねたりしちゃうんだよ。
でも本当は真面目で大人しくて凄くいい子なんだ。
びっくりさせちゃってゴメン。 」
ペコペコ~と頭を下げながら説明した俺に対し、2人は顔を見合わせてから考え込む様な仕草を見せた後、ザップルさんが初めに口を開いた。
「 そ・・そうだったのか・・。
さっきの威嚇するような強烈な空気は心の病気からくるものだったのか・・。
正直レオンからは最初から妙な空気を感じていたんだ。
こう・・ピリッピリッっていう肌を刺激してくる様な?
その妙な感覚もそのせいか・・? 」
俺はそれに大きく頷く。
「 多分手負いの獣と同じだと思うよ。
周りの人達が怖くて精一杯威嚇してるんじゃないかな?
レオンは凄く怖がりだからさ。 」
そう言った後でその嘆かわしさに俺は片手で顔を覆う。
するとザップルさんも、なんということだ・・!と真剣な表情になり気遣うようにレオンの方をチラリと見てから俺に言った。
「 じゃあ、リーフはそんな状態になってしまったレオンの面倒を見ているわけか・・
だからお金が・・・
しかし、そんな状態で一緒に冒険者をして大丈夫なのか? 」
「 レオンは強いから大丈夫だよ。
今は興味があることを体験させてあげたほうがいいと思って色々模索中なんだ。
家で一人だと壁しか見ないから心配だしね。 」
「 なるほど・・壁を・・。
それは良くない!
確かに強そうだし、どんどん外に出したほうが良いかもしれないな!
依頼、俺もついていこうか? 」
心配してくれたザップルさんが依頼の同行を申し出てくれたが、一番最初にエイミさんが、全然休んでいないと心配していたのを思い出し、それは丁重に断らせて貰う。
お休みがないのはいけない、是非休んでいて頂きたい。
そこで今の今まで一言も話さないエイミさんを思い出し、視線を向けると彼女は頭を抱えて目を閉じていた。
具合でも悪くなったのかと心配になった俺が、「 エイミさん具合悪いの?大丈夫? 」と尋ねると、ザップルさんもそれに便乗して、「 なに?エイミ、大丈夫か?仕事のしすぎじゃないのか? 」と気遣う様に話しかける。
するとエイミさんは、はぁ・・と息を吐き出し、「 何か違う気がする・・。 」と呟いた後、俺を頭のてっぺんからつま先までジロジロ~と見ながら言った。
「 リーフ君は本当に大丈夫なの?
あんな・・重苦しい空気の中・・平気・・なの・・? 」
重苦しい??
はて?と思ったが直ぐに、” あぁ、周りの人達が向けてくる遠巻きからの視線の事か! ” と思い立つ。
レオンの今までの行動を振り返るとーー・・
黒いフードを深く被った顔の見えない怪しい戦闘職らしい男が、いきなり幼児化して叫びだす。
” 怖い!お外出たくなーい! ”
そしてそう言いながら隣にいる平凡男に縋りついた挙げ句、抱っこされて赤子の様にあやされてやっと落ち着く・・。
この行動だけ見たら言い訳のしようがないほど奇っ怪な行動。
俺はどうしてこの行動に至ってしまったのか理由を知っているので哀れみあれど恐怖など微塵もないが・・それを知らない人達からしたらこんな不思議な行動は恐怖以外の何者でもないはず。
俺は大丈夫ですよ~と怖がらせてしまった周りに見せつけるようにレオンとお手々を繋ぎ、てくてくと歩くが、やはり視線はビシビシと突き刺さる・・。
やはりここでも長期戦か・・
しかし冒険者達はいわば戦闘のプロ。
沢山の修羅場をくぐってきた猛者達なので恐らく学院の生徒達よりは早くうちとけてくれるはず!
頑張ろう、頑張ろう~♬
ぼんやりしているレオンの手を引き、更にてくてく。
それに合わせて周りの人達も俺たちを大きく避ける様に動くが、気にせずザップルさんの元へ。
色々教えてくれた御礼を言いにいったわけだが、ザップルさんも周りの人達ほどではないが汗をツゥ・・と掻きながらレオンを凝視していて、それは近くにいるエイミさんも同じ。
色々親切にしてくれた彼らにはちゃんとレオンの状態を話しておくべきかと考え、俺はレオンにパーティー名が書かれた冒険者証を渡し、
「 ちょっとそこで待っててね~。 」と行って少し端の方へレオンを放置。
そして俺はまだ固まっているザップルさんとエイミさんの方へパパッーと急ぎ足で向かうと、ザップルさんは大きく息を吸いながら俺に話しかけてきた。
「 ・・一つ聞きたいのだが・・レオンは一体何者だ・・?
今までどうやって生きてきた?
・・・リーフは大丈夫なのか? 」
「 ・・< 精盗視石 >を偽造することは不可能なはずなのに・・
レオン君は・・・? 」
ザップルさんに続きエイミさんも息をフゥフゥと吐きながらそう言ってきて、更に二人揃って真剣な表情で冒険者証を眺めているレオンの方へチラッと視線を向ける。
俺もその視線を追いかけてレオンの方を見ると、冒険者証を見つめていたレオンはそれを上に持ち上げ光に透かす様に(?)して更にジー・・と夢中になってそれを眺めている様子。
その姿から確実にこちらの話を聞いていない事が確認でき、俺は安心しながらザップルさん達に向かってヒソヒソと小さな声で話し出す。
「 実はね、レオンは色々あってちょっと精神的な病気を患っているんだ。
だからさっきみたいに急に赤ちゃんみたいな事を言ったり、駄々をこねたりしちゃうんだよ。
でも本当は真面目で大人しくて凄くいい子なんだ。
びっくりさせちゃってゴメン。 」
ペコペコ~と頭を下げながら説明した俺に対し、2人は顔を見合わせてから考え込む様な仕草を見せた後、ザップルさんが初めに口を開いた。
「 そ・・そうだったのか・・。
さっきの威嚇するような強烈な空気は心の病気からくるものだったのか・・。
正直レオンからは最初から妙な空気を感じていたんだ。
こう・・ピリッピリッっていう肌を刺激してくる様な?
その妙な感覚もそのせいか・・? 」
俺はそれに大きく頷く。
「 多分手負いの獣と同じだと思うよ。
周りの人達が怖くて精一杯威嚇してるんじゃないかな?
レオンは凄く怖がりだからさ。 」
そう言った後でその嘆かわしさに俺は片手で顔を覆う。
するとザップルさんも、なんということだ・・!と真剣な表情になり気遣うようにレオンの方をチラリと見てから俺に言った。
「 じゃあ、リーフはそんな状態になってしまったレオンの面倒を見ているわけか・・
だからお金が・・・
しかし、そんな状態で一緒に冒険者をして大丈夫なのか? 」
「 レオンは強いから大丈夫だよ。
今は興味があることを体験させてあげたほうがいいと思って色々模索中なんだ。
家で一人だと壁しか見ないから心配だしね。 」
「 なるほど・・壁を・・。
それは良くない!
確かに強そうだし、どんどん外に出したほうが良いかもしれないな!
依頼、俺もついていこうか? 」
心配してくれたザップルさんが依頼の同行を申し出てくれたが、一番最初にエイミさんが、全然休んでいないと心配していたのを思い出し、それは丁重に断らせて貰う。
お休みがないのはいけない、是非休んでいて頂きたい。
そこで今の今まで一言も話さないエイミさんを思い出し、視線を向けると彼女は頭を抱えて目を閉じていた。
具合でも悪くなったのかと心配になった俺が、「 エイミさん具合悪いの?大丈夫? 」と尋ねると、ザップルさんもそれに便乗して、「 なに?エイミ、大丈夫か?仕事のしすぎじゃないのか? 」と気遣う様に話しかける。
するとエイミさんは、はぁ・・と息を吐き出し、「 何か違う気がする・・。 」と呟いた後、俺を頭のてっぺんからつま先までジロジロ~と見ながら言った。
「 リーフ君は本当に大丈夫なの?
あんな・・重苦しい空気の中・・平気・・なの・・? 」
重苦しい??
はて?と思ったが直ぐに、” あぁ、周りの人達が向けてくる遠巻きからの視線の事か! ” と思い立つ。
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