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第十二章

462 精神あれこれ

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( リーフ )




「 俺、この依頼を受けようと思うんだけど、レオンはどうする? 」


「 分かりました。 」


レオンはソロ~と差し出された依頼書を一切見る事なくあっさりとそう答え、スタンダード定位置・・俺の背後にピタリと張り付く。



レオンの目的はお金。


だから今までの説明を聞き、もしかしててっとり早く稼げる傭兵ギルドなどの方がいいと言い出すかも・・と思ったが別にこれでいいらしい。

とりあえず一応今回は一緒に行くらしいので、俺はOKOK~と頷きながら依頼書を持って正面の《 ギルド受付所 》の列に並んだ。



まぁ、慣れてきたらやっぱり傭兵ギルドへ・・と言うかもしれないが、レオンは人見知り&場所見知りが元々酷いので、それに順応するまではお付き合いしよう。


そう判断した俺はそのまま順番を待つ。



そしてそれなりに長い列を並び続けやっと順番が回ってくると、そのカウンターに座っている痩せ型の30代後半くらいの男性職員さんは、俺達を見てニコリと控えめな笑顔を見せた。



「 こんにちは。ご要件承ります。 」



爽やかな挨拶をされた後、俺が手に持つ依頼書を渡すと冒険証の提示を指示されたのでぼんやりしているレオンの分と俺の分をそのまま一緒に渡すと、ギルド職員の男性はそれを見ながら言った。



「 お二人は初めての依頼ということになりますが、今回のみのご同行でしょうか?

それともパーティーとしての依頼受注にいたしますか?


それならパーティー登録も致しますが・・。 」



パーティー登録・・

そこまで考えていなかったが、今後レオンがイヤイヤした時一緒に依頼を受けない可能性もあるので、一時的な同行という形にしたほうがよいだろうか・・?


せっかく登録してもその後直ぐに解散しては手続きしてくれた人に申し訳ないかもと、後ろをくるりと向いて完全なる他人事的な態度を一貫して貫いているレオンに聞いてみた。



「 ねぇねぇ、レオンは今後どうする?一人がいいかい? 」


「 ・・えっ?! 」


今までぼんやりしていたレオンはそう聞いた瞬間、目を見開いて俺を見返して来たかと思ったら、物凄い勢いで怒涛の如く詰め寄ってきた。



「 一人って・・っなんでそんな事をいうんですか!?


俺の何が駄目なんですか!?

俺はあなたのためならなんだってするのにっ・・!


一緒がいいです!一緒じゃなきゃ嫌です!!

捨てないで下さい!! 」



ガーッ!!と流れる滝の如しに言われた言葉の内容と声の大きさにより、受付を担当してくれていた男性は勿論、後ろに並んでいる人達や両隣に並んでいる人達、他のカウンター、更にはギルド内全域で聞こえてしまい、場内はシーンと静まりかえってしまった。



全員固まって注視してくる中、俺はしまったな~と内心頭を抱える。



一人が怖い怖いなレオン、そして赤ちゃん返りによって恐らく人見知りに場所見知りが更に爆発したと思われるレオン・・・

俺は精神的な病気の事はさっぱりだが、とにかく今のレオンの精神の起伏の激しさが普通ではない事だけはよく分かった。


そのため俺はできるだけレオンを刺激しないように優し~く「 じゃあ、一緒にいようね~ 」とだけ返し、受付の男性にとりあえずパーティー登録をしてもらおうと前を向いたのだが・・


レオンはそれを許さない!とばかりに俺の肩をガシッ!と掴むと、そのままくるんとダンスのターンの様に俺の体を回す。

すると俺の目の前にはフードで隠れたレオンのお顔。


そしてそのまま両腕の二の腕をワシっと結構な力で掴まれ向かい合わせの位置に固定されてしまう。


痛くはないがその一連の行動にびっくりした俺は、頭にハテナマークをぴょんぴょん飛ばしながら、

「 うわっ、何?何??どうしたの?レオン? 」

・・と尋ねたが、レオンは真剣な様子で、いくら若いお耳でもちょっとよく聞こえな~いと言いたくなるような小声でブツブツと何かを呟くだけ。




そのため「 ごめん、もっと大きな声で言って~。 」と頼むと、唯一見える口元がニッコリと弧を描く。


「 ずっと一緒にいましょうね。ここに。



・・いいですよね? 」



有無を言わさぬ勢いでそう言ったかと思うと、そのまま抱きしめられてしまった。



ええっ~??

ここにいようって・・・ぼ、冒険者ギルドの建物の中にずっといたいって事???



さっぱり意味が分からず、もしかしてこの建物の外観が気に入った・・?などと考えながら、続けてレンガ造りの趣ある外観を思い出していたが・・そこで、はっ!と気がついた。



そうか!さっきのエイミさんの話のせいか!!



俺はレオンにギュムムム~と締め付けられ、うぷっ・・っ!と軽くえづきながらも完全に理解する。



” 悪い人達が【 クラス 】まで引き連れてグリモアへ来た! ”


” 更に新人さんを無理やり引き入れようと、悪質極まりない声掛けをしてくる? ”


” 凄く怖い!

ザップルさんの様に守ってくれる人がいるココから出たくないよぅ・・ ”




そうレオンは言っている。



レオンはそういう輩につい最近攫われ悲しい思いをさせられたばかり・・そりゃ~あんな物騒な話を聞かされてしまえば怖いに決まっている。



俺は自分の気遣いのなさに対し、ぐぐぐっ・・とうめき声を上げながら目を閉じた後、直ぐにカッ!!と開け放ち、レオンの腰を力の限り抱き寄せる。


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