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第十二章
459 精神汚染
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( リーフ )
「 さて、まずはこの────< 精盗視石 >で【 精神汚染度 】を測らせて貰うわね!
2人は【 精神汚染度 】について詳しく知っているかな? 」
< 精盗視石 >
精神汚染度を測定できる魔道具。
【 精神汚染度 】について軽くは知っているが、詳しくは知らなかったので、俺がフルフルと首を横に振ると、エイミさんはそのまま説明をしてくれた。
「 【 精神汚染 】とは罪を犯すごとに心が汚れる状況の事を言って、犯罪を犯せば犯すほどこの精神汚染は進んでその汚染度数は強くなっていくわ。
これが登録する前に一定数以上だと、残念だけど冒険者ギルドへは入ることができないの。
だけど傭兵ギルドの方にはその規定はないからそういう人たちはそっちに行ってもらう事になるかな~。 」
「 ほぅほぅ……。 」
確か傭兵ギルドは細かい規定がないと聞いていたが、極端に言えば、凄い悪人でもOK!ってことの様だ。
多少びっくりしながらエイミさんの話の続きを大人しく聞く。
「 人は生まれ落ちた瞬間、この汚染度は『 ゼロ 』で色は《 白 》。
そしてそれから少しづつ汚染が進んで黒くなっていくの。 」
「 なるほどなるほど~。
でも罪を犯してない人でも黒くなっていっちゃうのかい? 」
少し疑問を感じ質問してみたが、エイミさんはそんな質問はお見通し!とばかりにパチンとウインクをしてみせた。
「 ” 生きる ” ってことは大なり小なり罪を犯しているって事だからね。
相手のためを思ってついた嘘でも多少色は染まっちゃうし、どんなにいい人でも真っ白……という人は絶対にいないわ。
でも、真っ当に生きていれば、そんなに黒く染まることはないから大丈夫!
ただし、利己的な殺人なんかの重犯罪は真っ黒になっちゃうから一発OUTね。
その場合は申し訳ないけど、国の上層部への報告義務があるので速やかにご同行して頂きま~す。 」
そう言いながらエイミさんはフッフッフ~と悪い笑みを浮かべた。
ザップルさんが「 脅かしすぎだぞ、エイミ。 」と軽く窘めると、彼女はごめ~んと言いながらぺろりと舌を出して軽く俺達に謝った。
「 さっ!じゃあ登録の前にこの< 精盗視石 >に順番に触ってね。
それに合格したら晴れて冒険者としての一歩が踏み出せま~す。 」
ニコッと笑うエイミさんが前に置かれている< 精盗視石 >をズイッと俺達の前に差し出してきたので、俺は面白そ~!とワクワクしながらゆっくりと手を伸ばし、それに指先が触れた瞬間────
< 精盗視石 >が消えてしまった。
「「「 …………えっ??? 」」」
俺、ザップルさん、エイミさんがギョッ!!としてそう口から漏らすと、一瞬の沈黙の後、エイミさんがガタガタッと勢いよく立ち上がり、< 精盗視石 >があったはずの場所を指差し叫んだ。
「 えっ?えっ??!えええええ────────っ!!??
な、なんで消えちゃったの??!
もしかしてリーフ君何かスキルでも使った? 」
俺はそれに焦って首を振りながら必死にそれを否定する。
「 俺、なんにもしてないよ!
俺も何がなんだか……。
………………あれ?
……??何か手に石が触れている感覚がある……?
ちょっと離してみるね。 」
俺は石に触れたまま動かしていない手を、ソロ~と引っ込めていくと、またしても< 精盗視石 >が急に姿を現した。
「「「 ????? 」」」
3人揃って首を傾げたが、エイミさんが「 もしかして……? 」とブツブツ呟きながら、俺にもう一度< 精盗視石 >に触れるよう頼んでくる。
「 わ、分かった! 」
俺は素直にコクリと頷き、もう一度< 精盗視石 >に触れたのだが────やはり石はシュンッと消えてしまった。
ザップルさんと俺が再びハテナマークを飛ばしながら、先ほどまで< 精盗視石 >があった場所を睨みつけると、エイミさんが突然ポンッと自身の手を叩く。
「 分かったわ!これ、消えたんじゃなくて『 透明 』になっているのよ!
白に限りなく近い色の人は稀にいるけど……透明なんて見たことも聞いたこともないわ!
一体どういう事なのかしら……? 」
ブツブツと呟きながら考え込んでしまったエイミさんに、ザップルさんは俺が手を離した事で再び姿を現した< 精盗視石 >を指差した。
「 ??よく分からんが、合格って事でいいのか? 」
「 え、えぇ。一応は……。 」
エイミさんは慌ててOKを出してくれるが、100%この現象を納得できない様で、うう~ん……と唸り声をあげている。
一方、俺はといえば、合格したことは嬉しかったが、心中はとてもとても複雑であった。
いや、透明ってさ~……。
これって俺の存在感『 ゼロ 』……って事じゃない??
えぇ────……。
嫌な予想を立てて、ズズ~ン!と大きく肩を落とす。
いくら俺が平凡代表だと言っても存在感が空気と同類レベルは地味~に傷つくぞ!
思ってもみない方法で自分の目立たないっぷりを突きつけられて凹んでいるところで、とりあえず俺は合格( ? )。
では、お次はレオンの番!とエイミさんが触れるようレオンをこいこいと手招く。
それに逆らう事なく、レオンはゆっくりとその< 精盗視石 >に手を近づけてったので、俺もザップルさんもエイミさんもそれを見守っていると、その手が石に触れた、その瞬間────……
「 さて、まずはこの────< 精盗視石 >で【 精神汚染度 】を測らせて貰うわね!
2人は【 精神汚染度 】について詳しく知っているかな? 」
< 精盗視石 >
精神汚染度を測定できる魔道具。
【 精神汚染度 】について軽くは知っているが、詳しくは知らなかったので、俺がフルフルと首を横に振ると、エイミさんはそのまま説明をしてくれた。
「 【 精神汚染 】とは罪を犯すごとに心が汚れる状況の事を言って、犯罪を犯せば犯すほどこの精神汚染は進んでその汚染度数は強くなっていくわ。
これが登録する前に一定数以上だと、残念だけど冒険者ギルドへは入ることができないの。
だけど傭兵ギルドの方にはその規定はないからそういう人たちはそっちに行ってもらう事になるかな~。 」
「 ほぅほぅ……。 」
確か傭兵ギルドは細かい規定がないと聞いていたが、極端に言えば、凄い悪人でもOK!ってことの様だ。
多少びっくりしながらエイミさんの話の続きを大人しく聞く。
「 人は生まれ落ちた瞬間、この汚染度は『 ゼロ 』で色は《 白 》。
そしてそれから少しづつ汚染が進んで黒くなっていくの。 」
「 なるほどなるほど~。
でも罪を犯してない人でも黒くなっていっちゃうのかい? 」
少し疑問を感じ質問してみたが、エイミさんはそんな質問はお見通し!とばかりにパチンとウインクをしてみせた。
「 ” 生きる ” ってことは大なり小なり罪を犯しているって事だからね。
相手のためを思ってついた嘘でも多少色は染まっちゃうし、どんなにいい人でも真っ白……という人は絶対にいないわ。
でも、真っ当に生きていれば、そんなに黒く染まることはないから大丈夫!
ただし、利己的な殺人なんかの重犯罪は真っ黒になっちゃうから一発OUTね。
その場合は申し訳ないけど、国の上層部への報告義務があるので速やかにご同行して頂きま~す。 」
そう言いながらエイミさんはフッフッフ~と悪い笑みを浮かべた。
ザップルさんが「 脅かしすぎだぞ、エイミ。 」と軽く窘めると、彼女はごめ~んと言いながらぺろりと舌を出して軽く俺達に謝った。
「 さっ!じゃあ登録の前にこの< 精盗視石 >に順番に触ってね。
それに合格したら晴れて冒険者としての一歩が踏み出せま~す。 」
ニコッと笑うエイミさんが前に置かれている< 精盗視石 >をズイッと俺達の前に差し出してきたので、俺は面白そ~!とワクワクしながらゆっくりと手を伸ばし、それに指先が触れた瞬間────
< 精盗視石 >が消えてしまった。
「「「 …………えっ??? 」」」
俺、ザップルさん、エイミさんがギョッ!!としてそう口から漏らすと、一瞬の沈黙の後、エイミさんがガタガタッと勢いよく立ち上がり、< 精盗視石 >があったはずの場所を指差し叫んだ。
「 えっ?えっ??!えええええ────────っ!!??
な、なんで消えちゃったの??!
もしかしてリーフ君何かスキルでも使った? 」
俺はそれに焦って首を振りながら必死にそれを否定する。
「 俺、なんにもしてないよ!
俺も何がなんだか……。
………………あれ?
……??何か手に石が触れている感覚がある……?
ちょっと離してみるね。 」
俺は石に触れたまま動かしていない手を、ソロ~と引っ込めていくと、またしても< 精盗視石 >が急に姿を現した。
「「「 ????? 」」」
3人揃って首を傾げたが、エイミさんが「 もしかして……? 」とブツブツ呟きながら、俺にもう一度< 精盗視石 >に触れるよう頼んでくる。
「 わ、分かった! 」
俺は素直にコクリと頷き、もう一度< 精盗視石 >に触れたのだが────やはり石はシュンッと消えてしまった。
ザップルさんと俺が再びハテナマークを飛ばしながら、先ほどまで< 精盗視石 >があった場所を睨みつけると、エイミさんが突然ポンッと自身の手を叩く。
「 分かったわ!これ、消えたんじゃなくて『 透明 』になっているのよ!
白に限りなく近い色の人は稀にいるけど……透明なんて見たことも聞いたこともないわ!
一体どういう事なのかしら……? 」
ブツブツと呟きながら考え込んでしまったエイミさんに、ザップルさんは俺が手を離した事で再び姿を現した< 精盗視石 >を指差した。
「 ??よく分からんが、合格って事でいいのか? 」
「 え、えぇ。一応は……。 」
エイミさんは慌ててOKを出してくれるが、100%この現象を納得できない様で、うう~ん……と唸り声をあげている。
一方、俺はといえば、合格したことは嬉しかったが、心中はとてもとても複雑であった。
いや、透明ってさ~……。
これって俺の存在感『 ゼロ 』……って事じゃない??
えぇ────……。
嫌な予想を立てて、ズズ~ン!と大きく肩を落とす。
いくら俺が平凡代表だと言っても存在感が空気と同類レベルは地味~に傷つくぞ!
思ってもみない方法で自分の目立たないっぷりを突きつけられて凹んでいるところで、とりあえず俺は合格( ? )。
では、お次はレオンの番!とエイミさんが触れるようレオンをこいこいと手招く。
それに逆らう事なく、レオンはゆっくりとその< 精盗視石 >に手を近づけてったので、俺もザップルさんもエイミさんもそれを見守っていると、その手が石に触れた、その瞬間────……
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