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第十一章

451 歴史は・・

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( リーフ )




「 私は消えてしまった歴史を知りたいんです。

元々 ” 歴史 ” というものを知る事が好きだったのですけど・・


” 知る ” ことで沢山の危険回避ができる事を知ってからもっとですね。


アーサーお兄様が以前一部地域の大きな反乱を犠牲者なく防いだ時があって、その時は同じ状況でそれが起きてしまった歴史があるのを知っていたから分かったのだと言っていました。


その時言っていた言葉がーーー 」




” 歴史とは予言書 ” 



” 歴史を知らなければ必ず人は同じ歴史を繰り返すから ”






ソフィアちゃんは王女らしくないキラキラ好奇心に満ちた表情でそう語り、最後は今は近くにいない兄であるアーサーを思い出したのか困ったように眉を下げる。


俺はグテ~と力を無くしてしまったレオンのお腹をワッシャワッシャと撫でながら、ふ~む!深い!と関心していた。


当時の人たちが選んだ選択肢によって悲しい結末を迎えてしまった歴史は語り継がれていき、その過ちを繰り返さないという意識を後世の人々に与えてくれる。


そのためその時と同じ状況に陥った際は大抵の人達はその選択肢を選ばず、例え何かしらの理由でそれを選ぼうとした者達がいても、その悲惨な歴史を知る者達がそれを止めようとするだろう。


しかし、もしその歴史を知らなかったらーーーー




・・やはり同じ結末を迎える事になるかもしれない。



アーサーが未然にその大きな反乱を止められたのは、過去に別の国で全く同じ状況で反乱が起き多くの犠牲者を出してしまった歴史を知っていたからだった。




アーサーの資質は物語の中で出てこなかったので不明


だが分かっているだけでもなんと彼は人の全歴史である3000年分の全世界の歴史を6歳くらいの時には既に全て丸暗記していたというのだから、その非凡さには恐れ入る。



一体何の資質を持っているのだろう?


現在はこの国にいないアーサーの事を考えながら、くったりしすぎて黒いカーペットの様になってしまったレオンのお腹を今度はスッスッと流れるような動きで撫で続けていると、

少し考え込む様子を見せたリリアちゃんが突然ソフィアちゃんに話しかけた。




「 アーサー様の武勇伝は、我がレイティア王国でも数多く知られています。

そして、私も歴史というものに関して概ね同じ考えを持ってまして・・



だから『 ゼロの歴史 』を知りたいと思って独学ではありますが色々調べてきました。


それが悲惨な歴史だった場合・・・

それと同じ道を歩むべきではないと考えたからです。 」



レイドやメルちゃんなど割りと今が楽しければ~組は、ほほぉ~?などと結構な他人行事で聞いている感があったが、最後の言葉でザッ!と青ざめて汗を掻く。


モルトとニールも鳥の動きをピタリと止めて神妙な顔で話を聞き始め、チェックチェック~とサイモンも耳より情報カモン的体制に。



俺はと言えば、流石は知力高きエルフ族!考えが大人~と尊敬の眼差しを向けた後・・

赤ちゃんになってしまったレオンを静かにジッと見下ろした。



無言でレオンを見下ろす俺をよそに話は続いていき、ソフィアちゃんとリリアちゃんは同志!と意気投合した様子でポンポンとお互いの見解を話し始め、他の皆も話にちょこちょこ参加し始めた様だ。




「 本当に一体何があったんすかね~?

あ、確かあの有名な絵本も ” 過去人が残した遺産 ” なんすよね?


え~と・・猫が踊る・・・ 」



「 【 シュペリンの踊り猫 】

小さい頃一度は読んでもらった絵本がまさかの・・だな。


この国では普及していませんが、他にも同様の絵本が存在していることを聞いた事があります。


全ての絵本が作者不明とされていますが絵本自体は、たしか【 レイティア王国 】が発祥の地でしたね。


やはりコレット様はその歴史を知っているのでしょうか? 」



ニールに続き、綺麗な絵本が大好きなモルトがそう発言すれば、サイモンの目がキランッと光る。



「 絶対知っていると思うのよね~。


だって人型種の歴史が始まった3000年前には唯一の女王として即位しているんだもん。

しかも今と全く変わらぬ姿をしていた姿絵も残っているからさ~。


つまりコレット様が即位されたのは・・ 」



「 ふむ・・。『 ゼロの歴史 』の中・・・ということだからな。


一体あのお方はどれほどの時を生きてこられたのだろう? 」




サイモンがペラペラ~と話せば、アゼリアちゃんはしみじみとそう呟く。



それを聞いたレイドはメルちゃんと顔を見合わせた後、「 すげぇ元気なばあちゃんだよな! 」と言ったもんだから、

すかさずサイモンが羽交い締め、またしてもアゼリアちゃんの刀で頭の耳をペタペタ、ツンツンと叩かれていた。


ちなみになぜかメルちゃんはその隣に正座している。


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