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第十一章
450 歴史を知るかもしれない人
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( リーフ )
実はこのライトノア学院にある【 神学研究部 】は、その界隈で現在もかなり有名な活動家達が初期メンバーとして立ち上げた部活で、
なんと ” 過去人が残した遺産 ” のいくつかを発見したこともあるという凄い実績を持つ。
試験の時にチラリと思ったが、ソフィアちゃんはこの歴史についての謎に非常に興味があるようだな~と、
すっかり大人しくなった黒いお琴のレオンのお腹をスリスリと撫でながら、改めて今俺たちが生きている世界の事を考える。
今世界に存在している国は6つ
今俺たちが暮らしているこの国 < アルバード王国 >
獣人の国 < ジェンス王国 >
エルフの国 < レイティア王国 >
ドワーフの国 < ガンドレイド王国 >
そしてこの4カ国と敵対関係にあるのがーー
人族の侵略国家 < ドロティア帝国 >
商人の国と言われている< ガリウス帝国 > である。
それぞれが独自の文化を持って国を発展させてきたため、国によって考え方も価値観も全く違うし歩んできた歴史にもかなりの差がある。
しかしこの6つの国に共通している事が一つだけ存在している。
それが【 ゼロの歴史 】
これは裁断機でスパッと切ってしまったように約3000年前より前の歴史がない事からそう呼ばれているが、それが何故かは未だに解明されてはいない。
あらゆる文献や文明の痕跡のあるものを各地で探しても人型種が住んでいる所でそれが見つかる事はなく、
ただし人型種が住んでいないダンジョンや魔素が濃い場所などではちょこちょこと ” 過去人が残した遺産 ” と呼ばれる3000年より前のものと思われる出土品が見つかっている。
これが一つの国の中での出来事である場合、勿論100%納得は出来ないがなにかしらの理由は見つけられるかもしれない。
しかし・・・
これが6つの国全てに共通して歴史が消えているとなると不可能であると言わざるをえないというわけだ。
” 全世界の全種族が一斉に示し合わせたように歴史を消し去る ”
そんな事が不可能である事は、この国の現状を考えるだけでもよく分かる事だ。
国や種族が違えば勿論考え方や価値観も大きく変わり、同じ国内で考えたって身分や年齢が少し違うだけで何かが起きた際の対応方法も大きく異なる。
もし、仮にその当時のどこぞやの権力者達によって、何かしら不都合なことが起きたとする。
するとその事実がバレたら困る権力者達は当然即座にそれを葬り去ろうとするだろうが・・
どんなに隠そうともそれに反発する勢力は必ず現れ、何かしらの痕跡は歴史の中に残ってしまうはず。
ましてやそれがその国だけに留まらない問題であったならなおさら。
では、何かしらの大きな厄災などの類により、物理的な ” 力 ” をもってして歴史を消し去ったと考えても、それにしてはその爪痕がなさ過ぎて首を傾げてしまうし・・
そうなるとやはり全世界の人々全てがまるで示し合わせたかの様に歴史を消してしまったとしか思えなくなってくる。
この謎を追っている人達は世界中にいて、様々な調査が行われているが憶測の域を越えるものは現れていない。
しかしーーーーー
実はたった一人だけその答えを知っているかもしれない存在がいる。
それがーー
レイティア王国 現女王 < コレット >である。
彼女の資質は【 語り部人 】
次代へ歴史という物語を語り継ぐという特殊な性質をもった、世界でただ一人彼女だけが持っている特級資質である。
そしてその資質のスキルの中には不老不死の効果を持つモノがあるらしく、彼女は歴史が始まった約3000年前には既に女王となってレイティア王国を治めていたようなのだ。
そのため何か知っているはずなのだが・・・彼女は誰が何を言おうとも決して口は開かない。
そんな沈黙を貫く彼女が今まで唯一語った言葉は、たった一言
” 全ては無駄であった ”
一体何が ” 無駄 ” だったのか?
この一言で更に謎が深まってしまった。
その意味を知ろうにも彼女はそれから一度も語る事はなかったため何一つ分からぬまま現在に至るーーーというわけだ。
実はこのライトノア学院にある【 神学研究部 】は、その界隈で現在もかなり有名な活動家達が初期メンバーとして立ち上げた部活で、
なんと ” 過去人が残した遺産 ” のいくつかを発見したこともあるという凄い実績を持つ。
試験の時にチラリと思ったが、ソフィアちゃんはこの歴史についての謎に非常に興味があるようだな~と、
すっかり大人しくなった黒いお琴のレオンのお腹をスリスリと撫でながら、改めて今俺たちが生きている世界の事を考える。
今世界に存在している国は6つ
今俺たちが暮らしているこの国 < アルバード王国 >
獣人の国 < ジェンス王国 >
エルフの国 < レイティア王国 >
ドワーフの国 < ガンドレイド王国 >
そしてこの4カ国と敵対関係にあるのがーー
人族の侵略国家 < ドロティア帝国 >
商人の国と言われている< ガリウス帝国 > である。
それぞれが独自の文化を持って国を発展させてきたため、国によって考え方も価値観も全く違うし歩んできた歴史にもかなりの差がある。
しかしこの6つの国に共通している事が一つだけ存在している。
それが【 ゼロの歴史 】
これは裁断機でスパッと切ってしまったように約3000年前より前の歴史がない事からそう呼ばれているが、それが何故かは未だに解明されてはいない。
あらゆる文献や文明の痕跡のあるものを各地で探しても人型種が住んでいる所でそれが見つかる事はなく、
ただし人型種が住んでいないダンジョンや魔素が濃い場所などではちょこちょこと ” 過去人が残した遺産 ” と呼ばれる3000年より前のものと思われる出土品が見つかっている。
これが一つの国の中での出来事である場合、勿論100%納得は出来ないがなにかしらの理由は見つけられるかもしれない。
しかし・・・
これが6つの国全てに共通して歴史が消えているとなると不可能であると言わざるをえないというわけだ。
” 全世界の全種族が一斉に示し合わせたように歴史を消し去る ”
そんな事が不可能である事は、この国の現状を考えるだけでもよく分かる事だ。
国や種族が違えば勿論考え方や価値観も大きく変わり、同じ国内で考えたって身分や年齢が少し違うだけで何かが起きた際の対応方法も大きく異なる。
もし、仮にその当時のどこぞやの権力者達によって、何かしら不都合なことが起きたとする。
するとその事実がバレたら困る権力者達は当然即座にそれを葬り去ろうとするだろうが・・
どんなに隠そうともそれに反発する勢力は必ず現れ、何かしらの痕跡は歴史の中に残ってしまうはず。
ましてやそれがその国だけに留まらない問題であったならなおさら。
では、何かしらの大きな厄災などの類により、物理的な ” 力 ” をもってして歴史を消し去ったと考えても、それにしてはその爪痕がなさ過ぎて首を傾げてしまうし・・
そうなるとやはり全世界の人々全てがまるで示し合わせたかの様に歴史を消してしまったとしか思えなくなってくる。
この謎を追っている人達は世界中にいて、様々な調査が行われているが憶測の域を越えるものは現れていない。
しかしーーーーー
実はたった一人だけその答えを知っているかもしれない存在がいる。
それがーー
レイティア王国 現女王 < コレット >である。
彼女の資質は【 語り部人 】
次代へ歴史という物語を語り継ぐという特殊な性質をもった、世界でただ一人彼女だけが持っている特級資質である。
そしてその資質のスキルの中には不老不死の効果を持つモノがあるらしく、彼女は歴史が始まった約3000年前には既に女王となってレイティア王国を治めていたようなのだ。
そのため何か知っているはずなのだが・・・彼女は誰が何を言おうとも決して口は開かない。
そんな沈黙を貫く彼女が今まで唯一語った言葉は、たった一言
” 全ては無駄であった ”
一体何が ” 無駄 ” だったのか?
この一言で更に謎が深まってしまった。
その意味を知ろうにも彼女はそれから一度も語る事はなかったため何一つ分からぬまま現在に至るーーーというわけだ。
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