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第十一章
443 溜め込むタイプ
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( リーフ )
アホみたいに広い学院内、そこを大きな身体のレオンを担ぎながら目的地に行くのは大変だったが、次第にレオンは落ち着きを取り戻し、
「 俺が間違ってました。 」
「 そんなあっさり手に入るものではない事は分かってたのに・・ 」
「 何も問題はありません。引き続き俺は頑張ります。
全てをかけて。 」
ーーーという、またしても王道少年漫画の主人公みたいな最強ポジティブ発言を俺に担がれたまましてきた。
「 その意気だ!! 」と俺はエールを送りつつ歩き続けやっと目的地についたが、時間はギリギリ。
説明会を行う会場は入学院式をやった〈 大ホール 〉で、もう既に全員が着席している状態。
おっと、不味い不味い!と俺は直ぐに空いている席を探すーーー・・
・・・暇も無いほど、入ってきた入り口近くからサァーと干潮に近いくらいの引き際で席についていた生徒たちが移動してしまったので、俺は担いでいたレオンをポポンっとその席の一つに落とすとその隣に俺も座る。
そしてその後直ぐにソロ~と入ってきた教員がやはり俺たちが座る席を大きく避けて、『 ないない君 』騒動時に壊れて新たに立て直したらしいスピーチ台の前に立つと、そのまま授業についての説明会を始めた。
俺とレオンの周りだけレガーノレベルの人口密度、見えない畑や森が周囲との間に見えるほど・・
しかし視線だけは誰よりも集めているという謎の現象付き。
特に説明をしてくれている先生からの視線が熱く、1~2秒に一回は必ず目が合うくらいの釘付けっぷりだ。
普通の状況ならば、俺とレオンのこと好きなんじゃないの~?と自惚れる所だが、なにせ見つめてくる表情が好きとかの類とは真逆にいそうな恐怖に引きつっている顔なもんだから、そんな誤解をする暇がない。
それを払拭しようとレオンに笑みを浮かべてもらおうにも、間が悪い事にレオンの機嫌がちょー悪い。
説明会が終わりに向かうにつれてドンドン悪くなっていくので空気もそれと比例して悪くなっていく。
レオンは怒りを溜め込むタイプのため、恐らく先ほどの俺のキツイ反撃に激おこしているご様子。
俺は目元を覆い、失敗したな~と大いに反省し、あそこは釘を刺さずに「 その通り!全てレオンのもの~。 」と言っておけばよかったな~と後悔しながら説明をきっちり最後まで聞き終えた。
◇◇◇◇
そうして説明会が終わると、その説明してくれた教員は、
「 ではこの後は各自興味のある部活へ見学に行く時間とする。ーーー解散! 」
と言い残し、俺とレオンの場所を大きく避けてホールから出ていった。
俺の手には最後に配られた【 専門教養 】の受講申請書、そして、【 部活動 】入部届けという2枚の用紙。
さらに今後の教材と制服がいつの間にかホールのサイドに控えていた業者さんらしき人達から配られ始め、各自自身の寮へ届けてくれる配達員さん達にそれを順番に渡している。
勿論俺とレオンは2人きりの寮なのでそんな人はいない。
プルプル震えてコチラに視線を向ける業者さんに気づいた俺は、一向に配られない制服と教材一式を自ら取りに向かい、ズシッとくる二人分の荷物の重さに一度寮へ持って帰ろうかな・・と考えた。
しかしレオンが突然スッ・・と太くて長い黒いヒモ?のようなものを取り出し、直ぐに俺と自分の分の荷物を結んで肩に担いだ。
どうやらこのまま見学に行く気満々らしい。
そんなに早く部活見学に行きたいのか・・とレオンのかつて無いやる気っぷりに目を見張りながら、随分としっかりしてそうな黒いヒモにちょっとだけ興味が移る。
「 その黒い丈夫そうなヒモなんだい? 」
何気なく質問してみると、レオンは「 黒いトカゲのもどきの髭です。 」と訳の分からぬ答えを返してきた。
グリモアの森にいたトカゲかなんかかな??
髭の長さから体長はかなり大きいのでは?と予想されるので、やはり俺たちが住んでいる寮は治安的にヤバいのかもしれない。
ほぼ森の中だし・・
モンスターに突然襲来される可能性に戦々恐々としていると、「「 リ~フ様~。 」」と、モルトとニールの声が聞こえてそちらに視線を向ける。
すると視線の先にはモルト、ニール、更にその後ろには獣人のレイドとメルちゃんもいて全員コチラに向かって手を振ってきたので、俺もそれに答えて手を振り、「 おはよー! 」と朝の挨拶。
そして4人はニコニコーと笑いながら挨拶し返すも、俺の後ろにいる大きな荷物を背負った不機嫌全開レオンに気づき、ス~・・と大きく回り道をして俺の前へ。
そのままコソコソと話しかけてきた。
「 なんかレオン機嫌悪いっすね。どうしたんですか? 」
「 まぁ、レオンは少人数派タイプだからな。沢山人がいてびっくりしたんじゃないか? 」
ニールの質問、そして的確なモルトの考察であったが今回はそうではなかった為、俺はフルフルと首を横に振る。
するとすかさずレイドが、「 じゃー腹ペコなんじゃね?俺たち良いの持ってるから食うか? 」と言ってメルちゃんと二人でポケットから『 カユジ虫の煮干し 』を取り出した。
< カユジ虫の煮干し >
Gランクモンスターカユジ虫を天干しにし乾燥させた平民のおやつの一つ。
アホみたいに広い学院内、そこを大きな身体のレオンを担ぎながら目的地に行くのは大変だったが、次第にレオンは落ち着きを取り戻し、
「 俺が間違ってました。 」
「 そんなあっさり手に入るものではない事は分かってたのに・・ 」
「 何も問題はありません。引き続き俺は頑張ります。
全てをかけて。 」
ーーーという、またしても王道少年漫画の主人公みたいな最強ポジティブ発言を俺に担がれたまましてきた。
「 その意気だ!! 」と俺はエールを送りつつ歩き続けやっと目的地についたが、時間はギリギリ。
説明会を行う会場は入学院式をやった〈 大ホール 〉で、もう既に全員が着席している状態。
おっと、不味い不味い!と俺は直ぐに空いている席を探すーーー・・
・・・暇も無いほど、入ってきた入り口近くからサァーと干潮に近いくらいの引き際で席についていた生徒たちが移動してしまったので、俺は担いでいたレオンをポポンっとその席の一つに落とすとその隣に俺も座る。
そしてその後直ぐにソロ~と入ってきた教員がやはり俺たちが座る席を大きく避けて、『 ないない君 』騒動時に壊れて新たに立て直したらしいスピーチ台の前に立つと、そのまま授業についての説明会を始めた。
俺とレオンの周りだけレガーノレベルの人口密度、見えない畑や森が周囲との間に見えるほど・・
しかし視線だけは誰よりも集めているという謎の現象付き。
特に説明をしてくれている先生からの視線が熱く、1~2秒に一回は必ず目が合うくらいの釘付けっぷりだ。
普通の状況ならば、俺とレオンのこと好きなんじゃないの~?と自惚れる所だが、なにせ見つめてくる表情が好きとかの類とは真逆にいそうな恐怖に引きつっている顔なもんだから、そんな誤解をする暇がない。
それを払拭しようとレオンに笑みを浮かべてもらおうにも、間が悪い事にレオンの機嫌がちょー悪い。
説明会が終わりに向かうにつれてドンドン悪くなっていくので空気もそれと比例して悪くなっていく。
レオンは怒りを溜め込むタイプのため、恐らく先ほどの俺のキツイ反撃に激おこしているご様子。
俺は目元を覆い、失敗したな~と大いに反省し、あそこは釘を刺さずに「 その通り!全てレオンのもの~。 」と言っておけばよかったな~と後悔しながら説明をきっちり最後まで聞き終えた。
◇◇◇◇
そうして説明会が終わると、その説明してくれた教員は、
「 ではこの後は各自興味のある部活へ見学に行く時間とする。ーーー解散! 」
と言い残し、俺とレオンの場所を大きく避けてホールから出ていった。
俺の手には最後に配られた【 専門教養 】の受講申請書、そして、【 部活動 】入部届けという2枚の用紙。
さらに今後の教材と制服がいつの間にかホールのサイドに控えていた業者さんらしき人達から配られ始め、各自自身の寮へ届けてくれる配達員さん達にそれを順番に渡している。
勿論俺とレオンは2人きりの寮なのでそんな人はいない。
プルプル震えてコチラに視線を向ける業者さんに気づいた俺は、一向に配られない制服と教材一式を自ら取りに向かい、ズシッとくる二人分の荷物の重さに一度寮へ持って帰ろうかな・・と考えた。
しかしレオンが突然スッ・・と太くて長い黒いヒモ?のようなものを取り出し、直ぐに俺と自分の分の荷物を結んで肩に担いだ。
どうやらこのまま見学に行く気満々らしい。
そんなに早く部活見学に行きたいのか・・とレオンのかつて無いやる気っぷりに目を見張りながら、随分としっかりしてそうな黒いヒモにちょっとだけ興味が移る。
「 その黒い丈夫そうなヒモなんだい? 」
何気なく質問してみると、レオンは「 黒いトカゲのもどきの髭です。 」と訳の分からぬ答えを返してきた。
グリモアの森にいたトカゲかなんかかな??
髭の長さから体長はかなり大きいのでは?と予想されるので、やはり俺たちが住んでいる寮は治安的にヤバいのかもしれない。
ほぼ森の中だし・・
モンスターに突然襲来される可能性に戦々恐々としていると、「「 リ~フ様~。 」」と、モルトとニールの声が聞こえてそちらに視線を向ける。
すると視線の先にはモルト、ニール、更にその後ろには獣人のレイドとメルちゃんもいて全員コチラに向かって手を振ってきたので、俺もそれに答えて手を振り、「 おはよー! 」と朝の挨拶。
そして4人はニコニコーと笑いながら挨拶し返すも、俺の後ろにいる大きな荷物を背負った不機嫌全開レオンに気づき、ス~・・と大きく回り道をして俺の前へ。
そのままコソコソと話しかけてきた。
「 なんかレオン機嫌悪いっすね。どうしたんですか? 」
「 まぁ、レオンは少人数派タイプだからな。沢山人がいてびっくりしたんじゃないか? 」
ニールの質問、そして的確なモルトの考察であったが今回はそうではなかった為、俺はフルフルと首を横に振る。
するとすかさずレイドが、「 じゃー腹ペコなんじゃね?俺たち良いの持ってるから食うか? 」と言ってメルちゃんと二人でポケットから『 カユジ虫の煮干し 』を取り出した。
< カユジ虫の煮干し >
Gランクモンスターカユジ虫を天干しにし乾燥させた平民のおやつの一つ。
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