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第十一章

441 新たな巣

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( リーフ )




息つく暇もないくらい矢継ぎ早に言われる質問に既に疲労気味の脳みそはポポン。

しどろもどろになりながら、


「 お、俺は困らないよ。えっと・・多分、他の大勢の人たちが・・その・・ 」


困るから・・ーーと、何故か言い訳する様に言えば、その言い方がまた勘に触ったのかレオンはヒュゥ・・と冷たい空気を漂わせニヤッと見たこともない悪い笑みを浮かべた。




「 じゃあ、行く必要は一切ありませんね。


誰がどれほど困ろうが心底どうでもいい・・俺は絶対に行きません。


行きたくない所へは行く気は全くありませんので、俺はここにずっといます。


どうしてもと言うならそもそもそんな嫌なところ無い方がいいですね。



” 嫌な事を強いるのは悪い事 ” ・・・ですもんね?



血を吸って不快な思いを与えてくるから、蚊は潰される・・

不快な ” 蚊 ” は全て潰しましょう。


今直ぐに。 」




実は以前からレオンの ” 蚊 ” に対するヘイトは相当なもので、俺はレオンに出会ってから蚊に刺された事は一度もない。


血を吸う、痒くて不快、体内の液体を奪う、この辺りが全てレオンの怒りのツボに触れた様で、多分世界一蚊を殺した男として表彰されるくらい見つけ次第瞬殺している。


物凄い圧で迫ってくるレオンの顔をさり気なく押し返しながら、なぜ神様に会いに行く話から ” 蚊 ” の話に???と処理しきれない情報に対し早々に俺の脳みそは考える事を破棄。


ただ、レオンは英雄のお役目に対し今のところは ” 行きたくない ” という自分の意志を出してきた。

それだけはちゃんと理解できて少しだけジーンと感動するも少々焦りの様な物も滲み出てくる。



もし今後、超越せし狂った神が改善してもこの ” お家から出たくな~い ” 的な解答が変わらなかったらどうすべきか・・と考えて、俺はフッと思った。




どうにかして元保護者の俺がイシュル神に会いにいけないだろうか・・?

過保護な親が如く ” ウチの子が行きたくないと申してまして~ ” 的な?



そしてダメ元で俺が英雄のお努めを・・とか頼めないかな~、なんちゃって!



そう考えたが一瞬で ” レオンハルトの運命を変えてしまうから駄目だ~・・ ” と心の中でバッテンマークを大きく掲げた。



そもそもイシュル神様がいるとされる ” イシュルの聖大樹 ” は英雄しか入れないし・・とまたしてもガックリ肩を落とす。



そもそも俺が英雄なんて外見、内面共に無理感満載だが、もしも俺なら世界の命運が~とか、旅に出てお役目を~とかーーー


大歓迎!


命運とか難しそうな事は早々に脳みそから飛んで、まさかの世界一周旅行!

多分イヤッホ~イとか言うね、不謹慎極まりなく。



ーーーで、人の命が掛かっているのに無礼者が!って当たり前の事で騎士に逮捕された後、運命の補正力が働いて、やっぱりレオンハルトに・・という流れになる可能性も・・


これはいかん!とフルフルと横に顔を振ると、レオンはブスッとしながら、「 リーフ様が辞めろというなら・・ 」とブツブツ不満げに呟く。



そもそもレオンハルトが英雄にならなければ運命の補正力とやらがどんな牙を剥いてくるか分からないから駄目なんだとしても、どうにか俺が英雄のお役目だけ代われないもんかね~と思ってしまう。


そうしたら、例え何をしたって ” 無 ” になっちゃう運命だとしても、戦うのが好きじゃないレオンは直ぐに自由になって好きな事ができる。


まぁ、レオンはまずそれを見つける事からだが・・



「 まさか新しい巣でも探しに旅へ・・? 」



そう怪訝そうに俺を見てくるレオンだったが、考えることに没頭している俺は気づかず。


なんといってもライトノア学院の部活数はNO・1

とりあえずはフリー期間の今、何か興味のあるものが見つかる可能性は高いぞ~と思いながら、うんうんと頷き、レオンは固まる。



とりあえず運動系~文化部系~端から全部回ってみるか!


そう考えて手に持つ部活案内が書かれた項目を眺めているとーーー

レオンの手によって掴まれている腰あたりがミシッ・・と音を立てた。


不穏な雰囲気をキャッチした俺が、「 ・・・レオン? 」と名前を呼べば、手の力と反比例した様な意外に冷静な様子のレオンの顔をご対面。


どうしたのかと聞こうとしたその時、レオンはツィ・・と俺の手からプリントを無言で取りそれをジッと見つめる。


「 基礎運動場と・・各教室各所に・・あるんですね?それが。 」


ゆっくり・・それでいて間違いのない様なしっかりとした口調で俺に確認をとってくるレオン。



運動系の部活紹介は< 基礎運動場 >

その他の文化系部活は各教室や室内にある施設にて各々に合ったアピール方法で新入部員を集めようとする予定なので、

俺がコクリと頷くと、レオンは老眼かい?と問いたくなるくらいスッ・・と目を細めて言った。



「 凄く楽しみですね。

いったいどの様なアピールをリーフ様にしてくるのか・・

俺はそれらをどの程度の出来であるかをしっかりと確認しなければいけませんね?


・・・・まさか用意されているもの全て中に入って見るんですか? 」



冷え冷えする様な雰囲気

そしていつになく真剣な様子で俺を見下ろすレオン


そんな不穏な雰囲気がビンビンに部屋中を漂ったが、お構いなしに俺の頭の中では盛大な花火がドドーン。

沢山の小さい俺がそれを見上げながら ” おめでとう! ” と言い合い乾杯している真っ最中。


身体を震わせながら「 ちょっ・・ちょっと待って~ 」と言って断りを入れてから、レオンの手を外した。

そしてその後、コロコロと床を転がって少し離れた位置でうつ伏せで止まるとプルプルとその場で喜びに打ちひしがれる。

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