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第十一章
435 それぞれの選択
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( リーフ )
いつものようにヒュンヒュンっとかなりのスピードで走っていくあげ玉は、そのまま巨大な防壁をなんなく駆け上がっていき、そのまま頂上へ着くとーーー迷わずポポーンッ!と空に飛び立った。
そしてお次は小さな羽を広げ、毎度お馴染みグライダー飛行!
朝のひんやりした風と新鮮な空気を全身で感じながら、森の全体を空から見渡せば先が見えないほど大きな樹海のような森が眼の前にず~と広がっているのが見えた。
グリモアがダンジョンが多いことで有名なのは、この大きな樹海に突入する形で建てられているからだが、何もそういった形の街はこの街だけではない。
基本的にこの世界はモンスターの方が圧倒的に数が多く、それより少ない人が住んでいる街や村など森の面積からすればほんの僅か。
だからこそモンスターたちの暮らす森の面積の方が多く街が森の一部の様になってしまうのは仕方ないし、
そもそも資源が豊富で住みやすい場所はモンスターも人型種も同様であるため、住みたい土地が被ってしまうというのも理由の一つである。
勿論安全をとって森から離れた所に建てる選択する街や村もあるが、以前ウォッカの冒険者、” 春の三毛猫 ” の皆の故郷の様に水を汲むため1時間~・・
ーーーなどという事態になる上、” 素早いダンジョンの発見 ” や ” モンスターの目撃情報 ” はどうしても遅れてしまうので、運悪く森から溢れたモンスターの襲撃に合ってしまった時には・・・という悲しい結果にもつながることも多い様だ。
そのためどうしても豊かさと安全を求めるなら、荒れる森の近くに街を建て、更には毎日のモンスター討伐やダンジョンの管理が出来る十分な戦力を持った戦闘員達の配置が必要となってしまう。
ただ、稀に俺たちの故郷レガーノの様に、森に突入しているにも関わらずモンスター被害が少ない街や村があり、かつてはそこへ人は殺到していた時代があったそうだがーーー
それが必ずしも ” ずっと ” 安全でないということは実は悲しい数々の歴史から分かっている。
何の前触れもなく急にモンスターが大増殖してしまったり、ダンジョンが出来てしまったりすることも多々有り、それが起きてしまえば今までのんびりと暮らしていたその街や村に抵抗する術はない。
そして森の近くに建つその場所は一番最初に犠牲になるので、結果は ” 全滅 ”
誰一人逃げることはできない。
どうにかしようと戦闘員を配置しようとしても、現状が平和な街では実りの良い仕事はなく居着いてはくれないので、街の人たちはいつそんな危険に見舞われるかと怯えながら暮らすしか無いのだ。
そのリスクを考えると、結局どれを優先して何処で暮らすかは人それぞれ。
レガーノの街の人たちはそのリスクを知って尚、あの街に暮らす事を選んでいる様だ。
一応俺はそういった事態を危惧し森の入り口辺りにトラップ的な物を作って配置しておいたのだが、今も尚その出番が一切ない事を思い出し、ううん?と一つ不思議だなと思った事も続けて思い出す。
物語の中にて、” レガーノの森の治安は悪化していっている ” 的な描写が一度チラッと描かれているシーンがあって、それについて俺ではない悪役< リーフ >が、
” 呪われし化け物のせいだ ” とコレ幸いと街の人たちを煽るように言っていたのだが、現在そんな兆しはさっぱり。
そこに住んでいたメルンブルク家は、住み始めた当時から自身のお抱えの騎士団並みの私兵団を街に常駐させていたので、
” もしかしてその人達が森の管理をしてくれていたから ” 平和なレガーノ ” になっていたのでは? ”
ーーーーと今ではそう考えている。
勿論< リーフ >が俺になった現在は、そんな私兵団などおらず森の管理などもしていない。
それが心配で、俺はこれまで幾度となくレオンと森に入っては修行がてら見回りしていたが、かなり奥に入らなければ強いモンスターなど出てこなかった。
しかもそんな強いモンスター達も少ない居心地の良い場所を争って勝手に戦ってたし、そこから基本出ようとしないしで、街は本当に平和そのもの。
一体この差はなんなのだろう?
これも少し気になるな・・
少しずつ細かい違和感の様なものが増えてきて、トリ頭のキャパシティは崩壊寸前。
あーでもないこうでもないと考えていた、その時ーーーー
バキバキバキーーーっ!!!!
大きな音を立てながら森の一角で木々がなぎ倒されていくのが見えた。
「 何だ何だ??? 」
俺は直ぐにその先頭と思われる場所へ目線を移しジーッと見つめると、倒れていく木々は一直線に進んでいっている事から、何か大きなモノが木にぶつかりながら森の中を走っているのかと気づく。
まるで何かを追いかけているような・・
ハッ!とした俺は直ぐにあげ玉に声を掛けた。
「 あげ玉!あの近くに寄ることはできるかい? 」
「 ピッ!( OK! ) 」
あげ玉は非常に良い返事を返した後、なぎ倒されていく木々の方へと近づいていく。
そしてその先頭が見えるほどの距離まで近づけばその現象を起こしているモンスターが目に入った。
< ブタ鼻・ライオン >だ!
< ブタ鼻・ライオン >
大きなブタの鼻と顔の周りに生える立派なタテガミが特徴の体長10m程のライオン型Eランクモンスター。
鼻が効くため一度獲物と認識するとその匂いを辿りどこまでも追いかけてくるため縄張りに近づかない様注意。
硬い体表に岩をも簡単に粉砕する鼻により体当たりされてしまえば命はない。
物理耐性( 小 )をもつが火属性の攻撃が弱点。
いつものようにヒュンヒュンっとかなりのスピードで走っていくあげ玉は、そのまま巨大な防壁をなんなく駆け上がっていき、そのまま頂上へ着くとーーー迷わずポポーンッ!と空に飛び立った。
そしてお次は小さな羽を広げ、毎度お馴染みグライダー飛行!
朝のひんやりした風と新鮮な空気を全身で感じながら、森の全体を空から見渡せば先が見えないほど大きな樹海のような森が眼の前にず~と広がっているのが見えた。
グリモアがダンジョンが多いことで有名なのは、この大きな樹海に突入する形で建てられているからだが、何もそういった形の街はこの街だけではない。
基本的にこの世界はモンスターの方が圧倒的に数が多く、それより少ない人が住んでいる街や村など森の面積からすればほんの僅か。
だからこそモンスターたちの暮らす森の面積の方が多く街が森の一部の様になってしまうのは仕方ないし、
そもそも資源が豊富で住みやすい場所はモンスターも人型種も同様であるため、住みたい土地が被ってしまうというのも理由の一つである。
勿論安全をとって森から離れた所に建てる選択する街や村もあるが、以前ウォッカの冒険者、” 春の三毛猫 ” の皆の故郷の様に水を汲むため1時間~・・
ーーーなどという事態になる上、” 素早いダンジョンの発見 ” や ” モンスターの目撃情報 ” はどうしても遅れてしまうので、運悪く森から溢れたモンスターの襲撃に合ってしまった時には・・・という悲しい結果にもつながることも多い様だ。
そのためどうしても豊かさと安全を求めるなら、荒れる森の近くに街を建て、更には毎日のモンスター討伐やダンジョンの管理が出来る十分な戦力を持った戦闘員達の配置が必要となってしまう。
ただ、稀に俺たちの故郷レガーノの様に、森に突入しているにも関わらずモンスター被害が少ない街や村があり、かつてはそこへ人は殺到していた時代があったそうだがーーー
それが必ずしも ” ずっと ” 安全でないということは実は悲しい数々の歴史から分かっている。
何の前触れもなく急にモンスターが大増殖してしまったり、ダンジョンが出来てしまったりすることも多々有り、それが起きてしまえば今までのんびりと暮らしていたその街や村に抵抗する術はない。
そして森の近くに建つその場所は一番最初に犠牲になるので、結果は ” 全滅 ”
誰一人逃げることはできない。
どうにかしようと戦闘員を配置しようとしても、現状が平和な街では実りの良い仕事はなく居着いてはくれないので、街の人たちはいつそんな危険に見舞われるかと怯えながら暮らすしか無いのだ。
そのリスクを考えると、結局どれを優先して何処で暮らすかは人それぞれ。
レガーノの街の人たちはそのリスクを知って尚、あの街に暮らす事を選んでいる様だ。
一応俺はそういった事態を危惧し森の入り口辺りにトラップ的な物を作って配置しておいたのだが、今も尚その出番が一切ない事を思い出し、ううん?と一つ不思議だなと思った事も続けて思い出す。
物語の中にて、” レガーノの森の治安は悪化していっている ” 的な描写が一度チラッと描かれているシーンがあって、それについて俺ではない悪役< リーフ >が、
” 呪われし化け物のせいだ ” とコレ幸いと街の人たちを煽るように言っていたのだが、現在そんな兆しはさっぱり。
そこに住んでいたメルンブルク家は、住み始めた当時から自身のお抱えの騎士団並みの私兵団を街に常駐させていたので、
” もしかしてその人達が森の管理をしてくれていたから ” 平和なレガーノ ” になっていたのでは? ”
ーーーーと今ではそう考えている。
勿論< リーフ >が俺になった現在は、そんな私兵団などおらず森の管理などもしていない。
それが心配で、俺はこれまで幾度となくレオンと森に入っては修行がてら見回りしていたが、かなり奥に入らなければ強いモンスターなど出てこなかった。
しかもそんな強いモンスター達も少ない居心地の良い場所を争って勝手に戦ってたし、そこから基本出ようとしないしで、街は本当に平和そのもの。
一体この差はなんなのだろう?
これも少し気になるな・・
少しずつ細かい違和感の様なものが増えてきて、トリ頭のキャパシティは崩壊寸前。
あーでもないこうでもないと考えていた、その時ーーーー
バキバキバキーーーっ!!!!
大きな音を立てながら森の一角で木々がなぎ倒されていくのが見えた。
「 何だ何だ??? 」
俺は直ぐにその先頭と思われる場所へ目線を移しジーッと見つめると、倒れていく木々は一直線に進んでいっている事から、何か大きなモノが木にぶつかりながら森の中を走っているのかと気づく。
まるで何かを追いかけているような・・
ハッ!とした俺は直ぐにあげ玉に声を掛けた。
「 あげ玉!あの近くに寄ることはできるかい? 」
「 ピッ!( OK! ) 」
あげ玉は非常に良い返事を返した後、なぎ倒されていく木々の方へと近づいていく。
そしてその先頭が見えるほどの距離まで近づけばその現象を起こしているモンスターが目に入った。
< ブタ鼻・ライオン >だ!
< ブタ鼻・ライオン >
大きなブタの鼻と顔の周りに生える立派なタテガミが特徴の体長10m程のライオン型Eランクモンスター。
鼻が効くため一度獲物と認識するとその匂いを辿りどこまでも追いかけてくるため縄張りに近づかない様注意。
硬い体表に岩をも簡単に粉砕する鼻により体当たりされてしまえば命はない。
物理耐性( 小 )をもつが火属性の攻撃が弱点。
応援ありがとうございます!
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