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第十章
430 見つからないね
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( レオン )
……ふぅ。
小さく息を吐き出し、その考えを散らすと、俺はベッド・マッシュと巨大な瘴核、そして分離した素材達を多次元ボックスに入れ、建設途中であった『 巣 』へと戻った。
そしてまずは寝室へベッド・マッシュを設置した後、リーフ様ご所望の温泉へと向かい、湯船の真ん中に黒いドラゴンの瘴核をセット。
そのまま瘴核に向かってレイピアをスイスイと動かし、台座の上に立つリーフ様の像を創り上げると、その出来に思わず口角が上がる。
完全に再現された美しいリーフ様の姿に、神々しさが増す白い簡素なドレス。
更に手には全てを受け入れる器の広さを象徴した聖杯を持たせ、完璧ともいえる出来の像が完成した。
しかも嬉しい事に、この瘴核は物凄いエネルギー量を秘めているようで、これだけで家中の魔道具を操作可能。
しかもそれが少なくとも10万年分くらいはありそうだという事が判明。
これは良いものを手に入れたと、満足気に頷いていると……俺の ” 目 ” に写るリーフ様が楽しそうに人と話す姿が見え、一気に機嫌は下降した。
俺がいなくてもリーフ様は楽しそう。
それがとても悲しかった。
俺はこんなにもリーフ様がいないと何も得ることが出来ないのに、リーフ様は俺がいようがいまいがその生活も心情も何一つ変わりはしない。
俺の存在がリーフ様に影響することは決して無いのだと、改めて突きつけられた気分だった。
────別にそれでも良い、結局ついていく事は変わらないのだから……。
そうは思ってはいても、心は複雑に絡んで絡んで────……。
” こんなにも欲して、俺は全てを捧げているのになぜそれと同じものを返してくれないのか? ”
そんなお門違いとも言える思いを抱いてしまう。
最初は単純だったはずの感情達は、その種類が多くなれば多くなるほど複雑化し、思いもよらぬ形で新たな感情を生み出しては俺を翻弄する。
・・
俺1人ではこれをどうすることもできなくて、だからそれをその発生源であるリーフ様にぶつけてしまうのだ。
こんな事、冷静に考えれば良くない事だと思っているのに止められず、俺は帰ってきたリーフ様をひんやりと凍る心のまま見つめた。
「 おかえりなさい、リーフ様。 」
なんとなくいつもと少し様子が違う俺に、リーフ様は戸惑う表情を見せながら「 た、ただいま! 」と返してくる。
「 ……街、楽しそうでしたね。 」
俺はリーフ様に捧げられたであろう食べ物達を、嫉妬で握り潰してやりたい気持ちを必死に抑えながら、淡々と話を振った。
「 うん!凄く楽しかったよ。
グリモアの人達は凄くいい人達だったから今度レオンも行こうね。 」
そして、そんな望んでいない答えを返され、更に心が冷えていくのを感じた俺は、直ぐに話を逸らす様に『 巣 』についてどうか?と尋ねた。
するとキョトンとした表情を見せた後、リーフ様は酷く喜んだ様子でこの『 巣 』を気に入ったと言ってくれる。
そしてニコニコと笑みを浮かべながら、俺が作った『 巣 』へと入っていくリーフ様の姿を見ると、心の冷えは治まった。
一時的にだが……。
そして一つ一つ丁寧に部屋についての説明をすると、その全てに喜び、” ありがとう ” と言ってくれて、心は少しづつポカポカと暖かくなっていくが、やはり先程浮かんだ想いは中々消えてくれない。
” なぜ俺とだけ一緒じゃだめなのか? ”
” 外なんていらない。
リーフ様を奪うそんな場所に行って欲しくないし、行きたくない。 ”
心にモヤモヤする気持ちを抱えながら、あの黒いドラゴンで作ったリーフ様の像のところまで案内すると、その出来に感動している様でフルフルと震えているのが、後ろ姿から分かった。
確かにアレは素晴らしい出来だった。
そう自画自賛しながら満足気に頷くと、リーフ様はテッテっテ~と少し離れたところまで行き────そのまま走って俺に抱きついてきたのだ!
その分かりやすい喜びの表現に、ドキッ!と俺の心臓は大きく跳ねた。
「 レオ~ン!!凄いじゃないか!俺、本当にびっくりした!
やればできる子レオ~ン!
流石は俺の奴隷だ!よく頑張ったね~。 」
全力で嬉しい!と訴えながら、満面の笑みで胸に顔を擦り付けてくるので、俺の心は " 嬉しい " で 一杯になる。
” こんなに喜んでくれて俺も嬉しい! ”
その気持ちを返したくて、そのまま抱きしめ返そうとしたのだが……リーフ様はあっさりと俺の上から降りようとし、更には帰ってきたヒヨコもどきに興味が移ってしまった。
俺の ” 悲しい ” は再び蘇り、心は冷える。
心の冷えを感じながら、それを訴える様に抱きしめ、そのまま畑の方へと飛んだ。
するとリーフ様は、黄色いヒヨコもどきが持って来たものを興味津々で眺め、あっさりと俺から離れていってしまう。
リーフ様は何も欲しがらない。
だからそれ以上俺は何も手に入れることができずに、ここで強制終了。
俺はもっとたくさんたくさんリーフ様からの気持ちが、想いが欲しい。
……なのに求めてくれなければ何も貰えない。
「 ────────。 」
────そこで俺は唐突に理解する。
リーフ様という人間の孤独な世界観を。
……だから沢山いるのにあなたは見つからないんですね。
……ふぅ。
小さく息を吐き出し、その考えを散らすと、俺はベッド・マッシュと巨大な瘴核、そして分離した素材達を多次元ボックスに入れ、建設途中であった『 巣 』へと戻った。
そしてまずは寝室へベッド・マッシュを設置した後、リーフ様ご所望の温泉へと向かい、湯船の真ん中に黒いドラゴンの瘴核をセット。
そのまま瘴核に向かってレイピアをスイスイと動かし、台座の上に立つリーフ様の像を創り上げると、その出来に思わず口角が上がる。
完全に再現された美しいリーフ様の姿に、神々しさが増す白い簡素なドレス。
更に手には全てを受け入れる器の広さを象徴した聖杯を持たせ、完璧ともいえる出来の像が完成した。
しかも嬉しい事に、この瘴核は物凄いエネルギー量を秘めているようで、これだけで家中の魔道具を操作可能。
しかもそれが少なくとも10万年分くらいはありそうだという事が判明。
これは良いものを手に入れたと、満足気に頷いていると……俺の ” 目 ” に写るリーフ様が楽しそうに人と話す姿が見え、一気に機嫌は下降した。
俺がいなくてもリーフ様は楽しそう。
それがとても悲しかった。
俺はこんなにもリーフ様がいないと何も得ることが出来ないのに、リーフ様は俺がいようがいまいがその生活も心情も何一つ変わりはしない。
俺の存在がリーフ様に影響することは決して無いのだと、改めて突きつけられた気分だった。
────別にそれでも良い、結局ついていく事は変わらないのだから……。
そうは思ってはいても、心は複雑に絡んで絡んで────……。
” こんなにも欲して、俺は全てを捧げているのになぜそれと同じものを返してくれないのか? ”
そんなお門違いとも言える思いを抱いてしまう。
最初は単純だったはずの感情達は、その種類が多くなれば多くなるほど複雑化し、思いもよらぬ形で新たな感情を生み出しては俺を翻弄する。
・・
俺1人ではこれをどうすることもできなくて、だからそれをその発生源であるリーフ様にぶつけてしまうのだ。
こんな事、冷静に考えれば良くない事だと思っているのに止められず、俺は帰ってきたリーフ様をひんやりと凍る心のまま見つめた。
「 おかえりなさい、リーフ様。 」
なんとなくいつもと少し様子が違う俺に、リーフ様は戸惑う表情を見せながら「 た、ただいま! 」と返してくる。
「 ……街、楽しそうでしたね。 」
俺はリーフ様に捧げられたであろう食べ物達を、嫉妬で握り潰してやりたい気持ちを必死に抑えながら、淡々と話を振った。
「 うん!凄く楽しかったよ。
グリモアの人達は凄くいい人達だったから今度レオンも行こうね。 」
そして、そんな望んでいない答えを返され、更に心が冷えていくのを感じた俺は、直ぐに話を逸らす様に『 巣 』についてどうか?と尋ねた。
するとキョトンとした表情を見せた後、リーフ様は酷く喜んだ様子でこの『 巣 』を気に入ったと言ってくれる。
そしてニコニコと笑みを浮かべながら、俺が作った『 巣 』へと入っていくリーフ様の姿を見ると、心の冷えは治まった。
一時的にだが……。
そして一つ一つ丁寧に部屋についての説明をすると、その全てに喜び、” ありがとう ” と言ってくれて、心は少しづつポカポカと暖かくなっていくが、やはり先程浮かんだ想いは中々消えてくれない。
” なぜ俺とだけ一緒じゃだめなのか? ”
” 外なんていらない。
リーフ様を奪うそんな場所に行って欲しくないし、行きたくない。 ”
心にモヤモヤする気持ちを抱えながら、あの黒いドラゴンで作ったリーフ様の像のところまで案内すると、その出来に感動している様でフルフルと震えているのが、後ろ姿から分かった。
確かにアレは素晴らしい出来だった。
そう自画自賛しながら満足気に頷くと、リーフ様はテッテっテ~と少し離れたところまで行き────そのまま走って俺に抱きついてきたのだ!
その分かりやすい喜びの表現に、ドキッ!と俺の心臓は大きく跳ねた。
「 レオ~ン!!凄いじゃないか!俺、本当にびっくりした!
やればできる子レオ~ン!
流石は俺の奴隷だ!よく頑張ったね~。 」
全力で嬉しい!と訴えながら、満面の笑みで胸に顔を擦り付けてくるので、俺の心は " 嬉しい " で 一杯になる。
” こんなに喜んでくれて俺も嬉しい! ”
その気持ちを返したくて、そのまま抱きしめ返そうとしたのだが……リーフ様はあっさりと俺の上から降りようとし、更には帰ってきたヒヨコもどきに興味が移ってしまった。
俺の ” 悲しい ” は再び蘇り、心は冷える。
心の冷えを感じながら、それを訴える様に抱きしめ、そのまま畑の方へと飛んだ。
するとリーフ様は、黄色いヒヨコもどきが持って来たものを興味津々で眺め、あっさりと俺から離れていってしまう。
リーフ様は何も欲しがらない。
だからそれ以上俺は何も手に入れることができずに、ここで強制終了。
俺はもっとたくさんたくさんリーフ様からの気持ちが、想いが欲しい。
……なのに求めてくれなければ何も貰えない。
「 ────────。 」
────そこで俺は唐突に理解する。
リーフ様という人間の孤独な世界観を。
……だから沢山いるのにあなたは見つからないんですね。
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