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第十章

422 執事

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( レオン )

力のコントロールは完璧に出来るようになった。

俺はリーフ様の願いを叶えることができたのだ!

喜び、誇らしい気持ち、褒めて欲しい気持ちが後から後から溢れでて、直ぐに会いにいこう!と思ったが────1つ問題が残っている。

  
このは持ち帰らなければならないのか……。


そんな気持ちがムクムクと顔を出し足を止め、先程 "  使って  "  バラバラになってしまったモノ達を見下ろす。


そして更に……俺は先程スキル< 多次元ボックス( ??? )>から出した大量の玩具達が転がっている場所へと視線を向けた。


” 落とし物は落とし主へ返却 ” 


そのルールに従い、今足元に転がっているモノ達に街で  "  使った  "  奴ら全員を返してやったのに……。

その落とし主がいなくなってしまった場合は、落とし主ごと全て俺が持ち帰らなければならないのか……?


どうするべきかと考えながら、とりあえず多次元ボックス内へ足元の転がっているモノを4つ全て収納すると、さっき出してしまった残りも一旦回収するため、そちらへ歩き出そうとした、その時────……。

俺が創り出した空間の外に、見知った魔力反応を持った沢山の小動物やモンスター達がいる事に気づいた。


確かこの反応はリーフ様の邸にいるあの執事の男の……。


それを思い出しながら、俺はスキル< 無限迷子( ??? )>を解除し、元の次元軸へと帰還する。

すると、執事は直ぐに俺の存在に気づいたらしく一匹の< 伝電鳥 >が近くの木の枝に止まった。


《 レオン君!無事な様で何よりだ!

リーフ様やモルト君、ニール君も全員無事かね!? 》


鳥から聞こえるのはその執事の声。

リーフ様という言葉にピクリと反応し、常に貼り付けている俺の ” 目 ” から絶えず送られてくる視覚情報に意識を集中する。


すると楽しそうな様子で細いの、太いのと一緒にゲームに興じている様子が見えたので、問題ない事を伝えてやると、ホッと息を吐く音が鳥から聞こえた。


《 そうかっ……!それは良かった……。

────レオン君、落ち着いて聞いてくれ。

今、そちらの状況は非常に良くない。


現在、最高ランクの実力を持った者達が街に潜伏し、リーフ様の暗殺を目論んでいるようなんだ。

ドノバンがそちらに着くまでなんとか4人で持ちこたえてほしい。

……しかし、相手は恐ろしく強い上に数から見ても絶望的だ。


とにかく逃げることに徹し時間を稼ぐしかないだろう。 》


最高ランクの実力を持った者達……??


真剣な雰囲気は伝わるが、俺は、はて?と首を捻る。


そんな者達が街にいるのか……?


一応探知魔法で世界中を隈なく探したが、そんな反応は一切無し。

タイミング的には合っているので、恐らく俺が ” 使った ” 奴らだと思うのだが……。


「 リーフ様に付き纏っていた奴らのことか?

街の中に数十人、街の外に4人ほどいたが……。 」


《 ……!!恐らくそいつらだ!まだ動き出す前という事か……。

…………もしや何かトラブルでもあったのかもしらんな。

どちらにせよチャンスだ。奴らが動き出す前に脱出しよう!


まずは────。 》


「 そいつらならもう動くことはないが……殺さない方が良かったか? 」


執事の男が何かに使いたかったのかもしれないと思い、尋ねてみたのだが、そのままシン……と沈黙してしまった。

その様子を不思議に思いながらも、とりあえず答えを待っていたのだが……。


《 ……すまないが、少し待ってくれ。 》


白い鳥はそう言い、突如バサッと飛んでいったかと思えば、直ぐにスイ~と同じ木の枝に戻ってきた。


《 ……森に転がっている沢山の死体は、全てレオン君がやったのかな? 》


この次元軸に戻る際、きちんとあちら側に放置していた壊れたモノ達達も一緒にここに戻したので、少し離れた場所に全て転がっている。

俺はコクリと頷いた。


《 …………そうか……。 》


執事の男が返事を返した後、シン……と沈黙が続いたが、時間にして10秒くらいだろうか?
その沈黙はその執事の男の何かを吹っ切ったような、フゥ!という息を吐く音で終わりを告げる。


《 ……いや、まぁ……無事なら何でもいい。

本当に良かった。


しかし、安心するのはまだ早い。

一番厄介な< 神の戯れ >の4人の姿はなかった。

恐らくまだ何処かに…… 》

     
「 あぁ、か? 」

    
人数的にで間違いないだろうと、俺が多次元ボックスからついさっき収容したモノを4つ、全て出してドサドサと地面に落とすと────執事はまた沈黙した。


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