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第十章
409 あなたがいるから
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まだまだやや背後注意続きますm(__)m
( レオン )
慌ててリーフ様の足元へと視線をずらし、それから目を離すと、カァァ~と熱くなっていく頬と沸騰するかのように沸き立つ全身に意識を向ける。
静まれ……静まれ……!
必死にその感覚を散らそうと努力したが────……リーフ様はあろうことか、今度は自身のズボンに手を掛けゆっくり……ゆっくりと……それを脱ぎ始めてしまった。
そしてストンッ……と床にズボンの全てが落ちると、更に続けて下ろされていったのは、最後にリーフ様を包み隠していた下着だ。
それまでスルッと脱いでしまったのが視界の中で確認できると、自分の呼吸が ” はっ……はっ…… ” と酷く乱れていることが、遠い、遠い、自分ではない誰かのものの様に感じた。
今、目の前にいるリーフ様は裸。
その事実にどうしたらいいか分からないし、荒れ狂う自分の状態にどう対応していいかも分からない。
そんな混乱した状態でオロオロしていると……突然リーフ様が喋り出した。
” レオンも脱いで。 ”
動揺を隠す事もできずに呆然と立ち尽くしている俺に、そんな事を命じるリーフ様。
その瞬間、俺の顔からはサァッ……と血の気が引いていく。
いつも見慣れているはずのリーフ様の肉体なのに……何だかいつもと違う脱ぎ方をされたせいか、それを見てしまった俺の下半身は恥ずかしいくらいに反応してしまっていた。
こんなものを見られてしまえば、確実に嫌悪されてしまうだろう。
” 気持ち悪い ”
” 化け物 ”
そんな言葉の数々がリーフ様の声で頭をグルグルと周り、何一つ弁解も言い訳もできない。
” 生きているという定義すら持ってないくせに。 ”
” 死すらもお前を受け入れない。 ”
” 1人で完結する世界こそお前がいるべき世界なのに、なぜそこから出ようとするの? ”
次々とまるで歌うように紡がれる呪いの様な……いや、真実を語る言葉が頭の中で響き渡り、次第に心はどんどんと黒く染まっていく。
そして────────……。
” いっそその世界ごと ” 無 ” になってしまえばお前を煩わせる全てのモノは消えさり、求めていた ” 永遠 ” が手に入るのに。 ”
そんなゾクッとするような甘い囁きが、耳元で突然聞こえた。
全てが消える……?
この苦しい思いも、悩みも、痛みも……幸せも……??
俺とリーフ様の存在ごと全て無くなってしまえば、それは ” 永遠に ” 1つでいられるという事になるのだろうか……?
そんな事が頭をよぎった……その時────。
「 レオン 」
気がつけば直ぐ目の前にリーフ様がいて、俺をまっすぐに見つめてくる目とばっちり目が合う。
” レオン ”
それはリーフ様が付けてくれた俺の名前で、ここに俺が存在していることを初めて証明してくれた大事な大事なモノだ。
そして俺がこの世界に居続けるための居場所をくれるものでもある。
「 ……は……い……。 」
震える声でそう返すと、リーフ様はニコッと嬉しそうに笑い、俺の服に手を掛けゆっくりとそれを脱がしていく。
駄目だ、汚い。
醜い……俺の心、感情……。
それをどうか見ないで。
暴こうとしないで。
俺はそんなものを見せてあなたに拒絶されたくない
” 自分を知られる恐怖 ”
” 知られることで相手の世界から弾かれ、二度と入れてもらえない恐怖 ”
様々な恐怖する感情で俺の心は一杯で、自分の心を隠す最後の一枚となってしまった下着に、リーフ様が手を掛けた瞬間、俺は震える手でその手を掴み必死に懇願を口にした。
「 駄目です。
俺のこれはとても汚いものなんです。
きっとあなたという存在を酷く汚してしまう……俺は化け物だから……。
だからどうか服を着て下さい。 」
────そして俺から一生逃げつづけて……。
捕まえて閉じ込めてしまいたい。
逃げる場所を全て消してしまいたい。
そんな気持ちの中に僅かに残る綺麗な部分が、そう静かに告げた。
相反する言葉は常に俺の心の中を回り回って、どれが自分の本当に望んでいることかすら分からない。
でも、今はこれが本当の俺の望み。
こんな醜くて気持ち悪い化け物から解放されて、光り輝く道をなんの気鬱もなく歩くこと。
それこそがリーフ様の幸せなんだとずっと分かっている。
だから今のうちに出来るだけ遠くへ逃げて、そう伝えたのに……リーフ様は、曇の一点もない綺麗な笑みを浮かべて言った。
” レオンは汚くなんてないよ。
レオンはレオン。化け物なんて名前じゃない。
だから俺に全部見せて大丈夫。 ”
その言葉を聞いた瞬間……俺の目からポロッと涙が一粒溢れた。
そして困った事に、それは次から次へとボロボロ溢れて止まらなくなってしまう。
” レオン ” という名はリーフ様に貰った大事な大事な俺の宝物。
俺は ” 化け物 ” ではなくリーフ様によってこの世界に産み落とされた唯の ” レオン ”
1人で完結する世界は、その名を貰った時に消え去り、もうどこにも存在しない。
俺が ” レオン ” であるかぎり、ここにはあなたがいるから。
( レオン )
慌ててリーフ様の足元へと視線をずらし、それから目を離すと、カァァ~と熱くなっていく頬と沸騰するかのように沸き立つ全身に意識を向ける。
静まれ……静まれ……!
必死にその感覚を散らそうと努力したが────……リーフ様はあろうことか、今度は自身のズボンに手を掛けゆっくり……ゆっくりと……それを脱ぎ始めてしまった。
そしてストンッ……と床にズボンの全てが落ちると、更に続けて下ろされていったのは、最後にリーフ様を包み隠していた下着だ。
それまでスルッと脱いでしまったのが視界の中で確認できると、自分の呼吸が ” はっ……はっ…… ” と酷く乱れていることが、遠い、遠い、自分ではない誰かのものの様に感じた。
今、目の前にいるリーフ様は裸。
その事実にどうしたらいいか分からないし、荒れ狂う自分の状態にどう対応していいかも分からない。
そんな混乱した状態でオロオロしていると……突然リーフ様が喋り出した。
” レオンも脱いで。 ”
動揺を隠す事もできずに呆然と立ち尽くしている俺に、そんな事を命じるリーフ様。
その瞬間、俺の顔からはサァッ……と血の気が引いていく。
いつも見慣れているはずのリーフ様の肉体なのに……何だかいつもと違う脱ぎ方をされたせいか、それを見てしまった俺の下半身は恥ずかしいくらいに反応してしまっていた。
こんなものを見られてしまえば、確実に嫌悪されてしまうだろう。
” 気持ち悪い ”
” 化け物 ”
そんな言葉の数々がリーフ様の声で頭をグルグルと周り、何一つ弁解も言い訳もできない。
” 生きているという定義すら持ってないくせに。 ”
” 死すらもお前を受け入れない。 ”
” 1人で完結する世界こそお前がいるべき世界なのに、なぜそこから出ようとするの? ”
次々とまるで歌うように紡がれる呪いの様な……いや、真実を語る言葉が頭の中で響き渡り、次第に心はどんどんと黒く染まっていく。
そして────────……。
” いっそその世界ごと ” 無 ” になってしまえばお前を煩わせる全てのモノは消えさり、求めていた ” 永遠 ” が手に入るのに。 ”
そんなゾクッとするような甘い囁きが、耳元で突然聞こえた。
全てが消える……?
この苦しい思いも、悩みも、痛みも……幸せも……??
俺とリーフ様の存在ごと全て無くなってしまえば、それは ” 永遠に ” 1つでいられるという事になるのだろうか……?
そんな事が頭をよぎった……その時────。
「 レオン 」
気がつけば直ぐ目の前にリーフ様がいて、俺をまっすぐに見つめてくる目とばっちり目が合う。
” レオン ”
それはリーフ様が付けてくれた俺の名前で、ここに俺が存在していることを初めて証明してくれた大事な大事なモノだ。
そして俺がこの世界に居続けるための居場所をくれるものでもある。
「 ……は……い……。 」
震える声でそう返すと、リーフ様はニコッと嬉しそうに笑い、俺の服に手を掛けゆっくりとそれを脱がしていく。
駄目だ、汚い。
醜い……俺の心、感情……。
それをどうか見ないで。
暴こうとしないで。
俺はそんなものを見せてあなたに拒絶されたくない
” 自分を知られる恐怖 ”
” 知られることで相手の世界から弾かれ、二度と入れてもらえない恐怖 ”
様々な恐怖する感情で俺の心は一杯で、自分の心を隠す最後の一枚となってしまった下着に、リーフ様が手を掛けた瞬間、俺は震える手でその手を掴み必死に懇願を口にした。
「 駄目です。
俺のこれはとても汚いものなんです。
きっとあなたという存在を酷く汚してしまう……俺は化け物だから……。
だからどうか服を着て下さい。 」
────そして俺から一生逃げつづけて……。
捕まえて閉じ込めてしまいたい。
逃げる場所を全て消してしまいたい。
そんな気持ちの中に僅かに残る綺麗な部分が、そう静かに告げた。
相反する言葉は常に俺の心の中を回り回って、どれが自分の本当に望んでいることかすら分からない。
でも、今はこれが本当の俺の望み。
こんな醜くて気持ち悪い化け物から解放されて、光り輝く道をなんの気鬱もなく歩くこと。
それこそがリーフ様の幸せなんだとずっと分かっている。
だから今のうちに出来るだけ遠くへ逃げて、そう伝えたのに……リーフ様は、曇の一点もない綺麗な笑みを浮かべて言った。
” レオンは汚くなんてないよ。
レオンはレオン。化け物なんて名前じゃない。
だから俺に全部見せて大丈夫。 ”
その言葉を聞いた瞬間……俺の目からポロッと涙が一粒溢れた。
そして困った事に、それは次から次へとボロボロ溢れて止まらなくなってしまう。
” レオン ” という名はリーフ様に貰った大事な大事な俺の宝物。
俺は ” 化け物 ” ではなくリーフ様によってこの世界に産み落とされた唯の ” レオン ”
1人で完結する世界は、その名を貰った時に消え去り、もうどこにも存在しない。
俺が ” レオン ” であるかぎり、ここにはあなたがいるから。
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