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第十章
408 不思議
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最後だけやや背後注意かもですm(__)m
( レオン )
無粋に ” 見よう ” としてくる奴らから愛しい愛しいリーフ様を隠す。
ここから遠く離れた場所……いや、背中合わせになっているほどの距離であるとも言える場所から覗いてくる ” 目 ”
それを酷く不快に感じて、はっきりと ” 境界線 ” を引いてやれば、やっと静かになった。
リーフ様は可愛い。
だから次から次へと彼を欲しがる奴らが湧いて出ては俺からその存在を取り上げようとしてくるのだから、本当にうっとうしい。
チリっと焦げ付くような嫌な感覚が、全身に広がっていくのを感じながら、俺はゆっくりと体を起こし、眠ってしまった愛おしいその姿を見下ろす。
そしてその存在を確かめる様に人差し指の中節辺りでリーフ様の頬を優しく撫であげた。
すると擽ったかったのか、顔を軽く揺らしひよこもどきを抱きしめたまま胎児の様に体を丸めてしまう。
その反応が可愛くて……でもなんだか拒絶されたようにも感じ、直ぐに後ろから囲い込むように抱きしめると、リーフ様を簡単に俺の腕の中に閉じ込める事ができて、灰黒い気持ちが湧き上がったのを感じた。
意識がないリーフ様を捕まえるのはこんなに簡単なのに……。
そんな事をボンヤリと思いながら ” 愛 ” ではないらしい俺の感情は一体リーフ様をどうしたいと考えているのか……それがまだはっきりと形が見えてこない事に、沢山の複雑な感情が絡まり合って俺の心をぐちゃぐちゃにしていくのが分かる。
” ずっと一緒にいたい ”
” 可愛い、愛おしい ”
” 俺だけをずっと見て、側にいて、他の人に構わないで ”
俺の心はまだその大部分が散らばっていて、その形をゆっくりと作り上げながら俺はリーフ様の後をひたすら追いかけている。
何も見えない、分からない状態で、真っ暗な道の中……ひたすら手探りで探しながら心を組み立てていく事は不安や恐怖などの嫌な感覚も沢山俺に与えてくるが────
それでも俺はその先にいるリーフ様を諦める事はできない。
そこにリーフ様がいると思えば、その嫌な感覚ですら甘く痺れるような感覚へと変わるのだから、心は本当に不思議なものだとつくづく思う。
そしてそんなぐちゃぐちゃな心に引っ張られる様に、最近は体まで大きく歪み始めてしまった事に、大きく心を乱されるようになった。
中学院の試験日当日の朝。
俺は久しく取っていなかった心地よい ” 眠り ” に身を任せ、ふわっと香るリーフ様の匂いと密着した箇所から感じる彼の体温に────
” ここにずっといたい ”
” 暖かい……いい匂い…… ”
────と、そんなじんわりした幸せの感覚を存分に味わっていたのだが……
気がつけば俺は何もない灰色の世界に1人立っていて、雪の様に灰が舞い落ちる中、俺の眼の前にはいつも通りのリーフ様が天使の様な笑みを浮かべながら立っていた。
その可愛い笑顔に俺の顔にも自然に笑みが浮かび「 リーフ様──── 」と愛おしい人の名を呼んだ瞬間────
リーフ様は両手を広げて俺に抱きついてきたのだ。
その行動にドキッと心臓は一気に跳ねた。
その存在を体で感じる事への単純な喜びと、更にそれを上回る ” 自分という存在に対して行動を起こしてくれた ” という自分に向いている想いが、何より俺に幸せを与えてくれる。
まるでリーフ様が触れてくれている箇所から溶けて1つになってしまいそうだ……
自分が向けている ” 想い ” と相手から向けられる ” 想い ”
それがぶつかり合ってお互いの全てが混ざり合うと、強烈な快感が体中をめぐり巡った。
そして俺はそれを与えてくれるリーフ様が可愛くて、愛おしくて、堪らない気持ちになって今度は────
” 何でもしてあげたい ”
” この ” 気持ちいい ” を返したい ”
そう思った俺は必死にその想いを伝える。
” リーフ様の望むことは何ですか? ”
” 欲しい物はないですか? ”
” あなたが望むものは何であれ必ず手に入れてみせます。”
” あなたが欲しいモノで溢れた理想の世界を作りましょう。 ”
俺にはそれが簡単にできてしまうのだから。
何一つリーフ様が気にする事はなく、ただその望みを口にするだけでいい。
俺がその全てを叶えるから。
でもリーフ様は、俺にそれを1つも望んではくれなくて、やはりいつものようにフルフルと軽く首を振る。
” いらない。自分で取りにいく方が楽しいから。 ”
いつもの様にあっさり断られてしまった。
酷くガッカリする気持ちが半分。
しかしそれと同時に、その高潔さに憧れや尊敬、好感を抱く気持ちが残りを占め、他にも ” あぁ、また届かなかった…… ” というチリっと焦げ付くような気持ちがまた1つ ” 思い出 ” となって記憶に追加される。
そしてそれに少しの幸せも……
ほら、不思議。
自然と溢れる笑みと共に、貪欲に幸せを求める俺はリーフ様をもっと強く抱きしめ返そうとしたのだが……
突然その体は俺から離れてしまった。
なぜ?
どうして俺から離れるの??
疑問を感じたのは一瞬。
直ぐに悲しみ、怒り、許さないというドロッとした気持ちが飛び出してきて、瞬く間に心全体を覆う。
だから俺はその感情を消すために、直ぐにリーフ様を捕まえようと、手を伸ばそうとしたのだが……
ぷち……ぷち……
リーフ様は自身の着ているシャツのボタンを目の前で外し始めてしまい、俺の動きはピタリと止まった。
ゆっくりと外されていくボタンとともに、シャツからその下に隠れていた肌が姿を現し始めると────俺は慌ててその映像から顔を背け視線を外す。
いつもと違うゆったりとした脱ぎ方に、心臓は激しく動き始め固まってしまったが、そんな事はお構いなしといわんばかりに、ボタンは外されていき……やがて全て外されたらしいシャツが、パサッ……と地面に落ちたのが横目で分かった。
ドッドッドッ……
どんどん強くなる全身を叩きつける様な心臓の鼓動を感じながら、俺はゆっくりとリーフ様の方へと視線を戻していく。
すると目に映るのは上半身に何も身につけていないリーフ様の姿。
健康的でまだ筋肉が付き始めた大人と子供の境目の肉体だ。
美しいと感じるそれは、同時に禁忌的なモノを見てしまったような罪悪感も引き連れて俺の心を襲った。
( レオン )
無粋に ” 見よう ” としてくる奴らから愛しい愛しいリーフ様を隠す。
ここから遠く離れた場所……いや、背中合わせになっているほどの距離であるとも言える場所から覗いてくる ” 目 ”
それを酷く不快に感じて、はっきりと ” 境界線 ” を引いてやれば、やっと静かになった。
リーフ様は可愛い。
だから次から次へと彼を欲しがる奴らが湧いて出ては俺からその存在を取り上げようとしてくるのだから、本当にうっとうしい。
チリっと焦げ付くような嫌な感覚が、全身に広がっていくのを感じながら、俺はゆっくりと体を起こし、眠ってしまった愛おしいその姿を見下ろす。
そしてその存在を確かめる様に人差し指の中節辺りでリーフ様の頬を優しく撫であげた。
すると擽ったかったのか、顔を軽く揺らしひよこもどきを抱きしめたまま胎児の様に体を丸めてしまう。
その反応が可愛くて……でもなんだか拒絶されたようにも感じ、直ぐに後ろから囲い込むように抱きしめると、リーフ様を簡単に俺の腕の中に閉じ込める事ができて、灰黒い気持ちが湧き上がったのを感じた。
意識がないリーフ様を捕まえるのはこんなに簡単なのに……。
そんな事をボンヤリと思いながら ” 愛 ” ではないらしい俺の感情は一体リーフ様をどうしたいと考えているのか……それがまだはっきりと形が見えてこない事に、沢山の複雑な感情が絡まり合って俺の心をぐちゃぐちゃにしていくのが分かる。
” ずっと一緒にいたい ”
” 可愛い、愛おしい ”
” 俺だけをずっと見て、側にいて、他の人に構わないで ”
俺の心はまだその大部分が散らばっていて、その形をゆっくりと作り上げながら俺はリーフ様の後をひたすら追いかけている。
何も見えない、分からない状態で、真っ暗な道の中……ひたすら手探りで探しながら心を組み立てていく事は不安や恐怖などの嫌な感覚も沢山俺に与えてくるが────
それでも俺はその先にいるリーフ様を諦める事はできない。
そこにリーフ様がいると思えば、その嫌な感覚ですら甘く痺れるような感覚へと変わるのだから、心は本当に不思議なものだとつくづく思う。
そしてそんなぐちゃぐちゃな心に引っ張られる様に、最近は体まで大きく歪み始めてしまった事に、大きく心を乱されるようになった。
中学院の試験日当日の朝。
俺は久しく取っていなかった心地よい ” 眠り ” に身を任せ、ふわっと香るリーフ様の匂いと密着した箇所から感じる彼の体温に────
” ここにずっといたい ”
” 暖かい……いい匂い…… ”
────と、そんなじんわりした幸せの感覚を存分に味わっていたのだが……
気がつけば俺は何もない灰色の世界に1人立っていて、雪の様に灰が舞い落ちる中、俺の眼の前にはいつも通りのリーフ様が天使の様な笑みを浮かべながら立っていた。
その可愛い笑顔に俺の顔にも自然に笑みが浮かび「 リーフ様──── 」と愛おしい人の名を呼んだ瞬間────
リーフ様は両手を広げて俺に抱きついてきたのだ。
その行動にドキッと心臓は一気に跳ねた。
その存在を体で感じる事への単純な喜びと、更にそれを上回る ” 自分という存在に対して行動を起こしてくれた ” という自分に向いている想いが、何より俺に幸せを与えてくれる。
まるでリーフ様が触れてくれている箇所から溶けて1つになってしまいそうだ……
自分が向けている ” 想い ” と相手から向けられる ” 想い ”
それがぶつかり合ってお互いの全てが混ざり合うと、強烈な快感が体中をめぐり巡った。
そして俺はそれを与えてくれるリーフ様が可愛くて、愛おしくて、堪らない気持ちになって今度は────
” 何でもしてあげたい ”
” この ” 気持ちいい ” を返したい ”
そう思った俺は必死にその想いを伝える。
” リーフ様の望むことは何ですか? ”
” 欲しい物はないですか? ”
” あなたが望むものは何であれ必ず手に入れてみせます。”
” あなたが欲しいモノで溢れた理想の世界を作りましょう。 ”
俺にはそれが簡単にできてしまうのだから。
何一つリーフ様が気にする事はなく、ただその望みを口にするだけでいい。
俺がその全てを叶えるから。
でもリーフ様は、俺にそれを1つも望んではくれなくて、やはりいつものようにフルフルと軽く首を振る。
” いらない。自分で取りにいく方が楽しいから。 ”
いつもの様にあっさり断られてしまった。
酷くガッカリする気持ちが半分。
しかしそれと同時に、その高潔さに憧れや尊敬、好感を抱く気持ちが残りを占め、他にも ” あぁ、また届かなかった…… ” というチリっと焦げ付くような気持ちがまた1つ ” 思い出 ” となって記憶に追加される。
そしてそれに少しの幸せも……
ほら、不思議。
自然と溢れる笑みと共に、貪欲に幸せを求める俺はリーフ様をもっと強く抱きしめ返そうとしたのだが……
突然その体は俺から離れてしまった。
なぜ?
どうして俺から離れるの??
疑問を感じたのは一瞬。
直ぐに悲しみ、怒り、許さないというドロッとした気持ちが飛び出してきて、瞬く間に心全体を覆う。
だから俺はその感情を消すために、直ぐにリーフ様を捕まえようと、手を伸ばそうとしたのだが……
ぷち……ぷち……
リーフ様は自身の着ているシャツのボタンを目の前で外し始めてしまい、俺の動きはピタリと止まった。
ゆっくりと外されていくボタンとともに、シャツからその下に隠れていた肌が姿を現し始めると────俺は慌ててその映像から顔を背け視線を外す。
いつもと違うゆったりとした脱ぎ方に、心臓は激しく動き始め固まってしまったが、そんな事はお構いなしといわんばかりに、ボタンは外されていき……やがて全て外されたらしいシャツが、パサッ……と地面に落ちたのが横目で分かった。
ドッドッドッ……
どんどん強くなる全身を叩きつける様な心臓の鼓動を感じながら、俺はゆっくりとリーフ様の方へと視線を戻していく。
すると目に映るのは上半身に何も身につけていないリーフ様の姿。
健康的でまだ筋肉が付き始めた大人と子供の境目の肉体だ。
美しいと感じるそれは、同時に禁忌的なモノを見てしまったような罪悪感も引き連れて俺の心を襲った。
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